身近な職業でもある保育士ですが、意外と給料事情を知らない人は多いのではないでしょうか。
保育士を志す人は給料が安すぎると生活ややりがいに影響するため、不安になる人もいるでしょう。
最近では、国の政策で保育士の処遇改善措置が定期的に行われているので、将来的には賃金が上がっていく可能性があります。
お金が目的ではなく、子どもと関われる仕事がしたいから目指している人は多いはずですが、給料事情について深く理解しておくことも大切です。
今回は、保育士の給料が安いのは当たり前なのかや、手取り・新人の初任給などについて解説していきます。
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保育士の給料が安いのは当たり前?
保育士は仕事をするうえで、経験が重視されることが多いため学歴による給料格差は、あまりないと言われている職業です。
転職する際に、保育園や保育施設で中途採用の場合は保育士の経験の有無によって賃金に差がでる場合が多いです。
世間からは保育士の給料が安いのは、当たり前だと思われている風潮がありますが、一生懸命に働いているのにそのような目で見られているのは心外だという保育士は多いのではないでしょうか。
周りから見ると、保育士の仕事内容は子どもと触れ合っているだけでお金を稼げると勘違いしている人もいるため、国家資格の取得が必要な保育士が軽く見られていることが考えられます。
国家資格が必要な他の職業と比べると、保育士の給料は決して高いとは言えません。
保育士の給与が安いと言われている背景には、色々な理由があります。
給料が安い理由
保育士の給料が安い理由として、昔から育児は誰でもできるものなので給料が安いのは当たり前だと考えられてきたというのがあります。
奉仕の心をもって子ども達の生活サポートを行うことを、世間から求められてきておりあまり保育の専門性は重視されてきませんでした。
その他には、保育園が国や自治体から給料を支給されていて、認可保育園の場合では支給額が政府が決める公的価格によって定められています。
つまり、保育園側が独自で給料の支給額を決めたりできないため、民間企業と比較して賃金が上がりにくくなっているのが現状としてあります。
民間企業の場合では、役職によって給料が増えるという仕組みのところが多いですが、保育園に勤める保育士は役職が少なくキャリアアップの機会が少ないことも給料が安い理由の1つです。
給料・手取りの安さに不満を抱く保育士も多い
保育士のなかには、給料・手取りの安さに不満を抱く人も多いです。
子どもの命を預かるという重大な責務を背負っていながら、長時間労働したり仕事量が多くて持ち帰り仕事や休日出勤を度々行ったりする保育士もたくさんいます。
周りから見ると楽なイメージをもたれがちな保育士の職業ですが、決して簡単ではない仕事なのに給料が安いとなると、モチベーションややりがいを保つことが困難になってしまうわけです。
国からの補助金は徐々に上がっている
保育士の給料が安いのは当たり前になっている理由に、保育施設の形態によって補助金の金額に差がでて給料差が生じていることがあまり知られていないというのがあります。
例えば、認可を受けた規模が大きい保育園では、補助金の支給額が大きく逆に小規模の保育施設では補助金が少額になるケースも少なくありません。
保育士全員が規模が大きい保育施設で働けるわけではありませんが、国からの補助金は徐々に上がっています。
保育士の平均月収・年収
2015年から実施された処遇改善等加算で、保育士の勤続年数に応じて給料がアップする仕組みになったこともあり、平均月収・年収は上昇傾向です。
保育士の平均月収は25万円前後、ボーナスなどを含め年収は380万円位だとされています。
所得税や社会保険料等を控除する前の金額ですから、手取り額を考えると低くなってしまいます。
保育園無償化では給料に影響しない
2019年10月から開始した新制度の「幼児教育・保育の無償化」により、3歳児~小学校入学前の子どもの保育料が無償化になっています。
さらに、低所得者層に向けて住民税非課税世帯が0歳児~2歳児の保育料を無償化させる取り組みも行われており、保育園無償化は保育士の給料に影響を及ぼすのではと考える人もいるはずです。
しかしながら、保育園無償化では財源を補助金で賄っているため、保育士の給料には今のところ影響がありません。
保育士に関連する記事はこちら⇒保育士のボーナスはどれくらい?金額や回数について解説!
保育士の給料で手取りと基本給の違いについて
保育士を目指している人や、働いている人のなかには給料で基本給を月収と勘違いしていたり、手取りと基本給の違いをあまり理解していない人もいるのではないでしょうか。
基本的には、月収は所得税や社会保険料等を控除する前の金額で、色々引かれたものが手取り額となります。
・基本給=年齢・経験・地位や能力などによって算出された給与のことで勤め先から受け取る基本賃金
・手取り額=給料の総支給額から必要な控除を差し引いたものが毎月の給与として貰えるのが手取り額
給与は基本給+手当で構成されており、総支給額は基本給に時間外労働手当や休日出勤手当など、各種手当が加えられたり、インセンティブ報酬なども加算された金額になります。
保育士として働いている時に、総支給額と手取り額を同じものだと考えて、総支給額を丸々貰えると勘違いしてしまうと、手にする給料が色々引かれてかなり少なくなり慌ててしまう可能性があるので注意が必要です。
保育士の給料で初任給はいくら?
保育士の職業は、一般企業と比べると役職が少なくてやキャリアアップしにくいと言われていますので、長年働いても給料が安いのは当たり前だと諦めの境地でいる人も少なくないでしょう。
金銭感覚やお金に対する価値観は人それぞれに違いがあるので、保育士を目指している、あるいはすでに働いている人のなかには、初任給の金額で満足できる人もいます。
高い給料を貰っていても、保育士の仕事にやりがいがなかったりプライベートに支障がでたり、ライフワークバランスの両立が難しくなってしまうと、長く続けることが困難になります。
新人保育士の給料で初任給の平均月収は、約21万円となっているので目安にしながら就職や転職活動をして、失敗や後悔しないようにしましょう。
保育士の給料で手取りはいくら?
保育士の平均月収が約25万円だとされているので、上記で手取り額は減ってしまうことをお伝えしました。
だいたい、手取り額は総支給額の75%~85%位になると言われているので、保育士の平均月収が25万円で算出すると手取り額は以下のようになります。
・月収25万円☓0.75~0.85手取り額=約187,500円~212,500円
このことから、保育士の給料で平均的な手取り額は約20万円となります。
保育士の新人の手取りはいくら?
保育士は、保育園や保育施設によって給料に差があるため、できるだけ待遇面が良い職場で働きたいのであれば、多くの求人情報をチェックしたり、転職エージェントを活用するのがベストです。
一般企業で新卒カードと呼ばれる、学校を卒業して最初の就職が一番好条件や待遇の職場になる可能性が高いため、初めての職場は慎重に選んだ方が良いでしょう。
保育士の新人の手取り額は、約17万円が平均となっていますのでこの金額を目安にして、就職や転職をする際に保育園や保育施設を決めるのも大事です。
まとめ
保育士の職業は、保育士資格という国家資格の取得が必要で、子どもの命を預かる責任重大で尊い仕事ですが、子どものお世話は誰でもできると世間から見られ、給料が安いのは当たり前だと思われがちです。
保育士の給料は、保育園や保育施設によって違いがありますが国家資格が必要な職業のなかでは高待遇というわけではありません。
国の政策により、定期的に保育士の処遇改善の施策が行われているので、将来的には給与水準は上がっていく見込みです。
この記事の監修は
保育のせかい
キャリアコンサルタント 渡辺愛菜(保育士)
保育士として勤務をした後、一般企業も経験しその後、保育のせかいに入社。
自身の経験をもとに求職者の方々へアドバイスをおこなっています。
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