理由がはっきりしないのに「もう辞めたい」「このまま続けていけるのかな」と感じる。そんなモヤモヤを抱えやすいのが、梅雨の時期です。新年度の慌ただしさが落ち着いた頃に、急にやる気が出なくなったり、些細なことでイライラしたりして、自分でも戸惑ってしまう保育士さんは少なくありません。
「子どもたちと過ごす時間は変わらず好きなはずなのに、朝起きるのがつらい」「今までは気にならなかった同僚の一言が、やたらと引っかかる」。こうした感覚は、はっきりした出来事がなくても起こることがあります。
この記事では、梅雨どきに「なんとなく辞めたい」気持ちが強くなりやすい理由と、その気持ちが出てきたときにどう向き合えばよいかを整理していきます。焦って大きな決断をする前に、一度立ち止まって考えるためのヒントとして読んでみてください。
Contents
なぜ梅雨は気分が不安定になりやすいのか
梅雨の時期は、低気圧や急な気圧の変化が続き、自律神経が乱れやすくなることが知られています。気圧の変化は内耳にあるセンサーを通じて自律神経に影響を与え、だるさや頭痛、気分の落ち込みといった不調を引き起こすことがあります。「気象病」と呼ばれるこの不調は、誰にでも起こり得るもので、特別なことではありません。
加えて、湿度の高さによる寝苦しさや、日照時間が短くなることによるセロトニン分泌の低下も、気分に影響を与える要因のひとつです。新年度が始まって2ヶ月ほど経ち、緊張感が緩んでくる時期でもあるため、この時期特有のだるさや意欲の低下は「6月病」と呼ばれることもあります。仕事の内容や人間関係が特に変わっていなくても、季節の影響だけで「なんとなくやる気が出ない」状態になることは十分にあり得るのです。
保育士ならではの梅雨の忙しさ
梅雨は、保育の現場にとっても負担が増えやすい時期です。雨の日が続くと外遊びができず、室内でどう過ごすかを毎日工夫する必要が出てきます。汗や汚れで着替えの回数が増え、その分着替えの介助やお着替え袋の管理も増えます。傘や雨具の対応で送迎時のやり取りが普段より長くなることもあるでしょう。
さらに、もうすぐ始まるプール活動の準備や、安全管理の確認、夏に向けた行事の計画など、6月は次の業務の下準備が重なる時期でもあります。洗濯物が乾きにくく着替えのストックが不足しがちになり、保護者から相談を受けることも増えますし、体調を崩す子どもが増えて欠席の連絡対応が続くこともあるでしょう。気分の落ち込みやすさに、こうした現場の忙しさが重なることで、「なんとなく辞めたい」という感覚がより強く感じられやすくなるのです。
その気持ち、本当に「季節のせい」だけ?
保育士の離職理由としてよく挙げられるのは、人間関係、業務量や残業の多さ、給与や待遇への不満などです。梅雨どきのモヤモヤがこれらと結びついている場合、単に気候のせいとは言い切れないこともあります。
たとえば「特定の同僚との関わりを考えると気が重い」「行事の準備がいつも自分に偏っている気がする」といった具体的な引っかかりがあるなら、それは季節が落ち着いても残り続ける可能性のある問題です。一方で、「特に思い当たる理由はないけれど、なんとなく気持ちが沈む」という場合は、季節的な要因が大きいかもしれません。
まずはこの違いを意識してみることが、次に何をすべきかを考えるための第一歩になります。
判断に迷うときは、2週間ほど簡単な記録をつけてみるのも一つの方法です。「今日の気分」と「何があったか」を一言ずつメモしておくだけで構いません。雨の日と晴れの日で気分に差があるか、休日を挟むと気持ちが変わるか、特定の業務や人と関わった日に気分が沈みやすいかなど、振り返ってみると傾向が見えてくることがあります。感覚だけで判断するより、記録を見返したほうが冷静に状況をとらえやすくなります。
「なんとなく辞めたい」と感じたら、まず立ち止まる
こうした感覚が出てきたとき、すぐに転職活動を始めるのではなく、まず一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。大切なのは、その気持ちが「季節的な一時的なもの」なのか、「仕事内容や環境そのものに対する根本的な違和感」なのかを見極めることです。
休みの日にしっかり休んで体調が整うと気持ちが落ち着く場合は、季節的な要因が大きいと考えられます。一方で、休んでも気持ちが晴れず、特定の業務や人間関係を考えるとどうしても気が重くなる場合は、根本的な原因に向き合う必要があるかもしれません。どちらか分からないときは、焦って結論を出さず、しばらく自分の気持ちの変化を観察してみるとよいでしょう。
気分の波を整えるためにできること
季節的な要因が大きいと感じる場合は、まず生活のリズムを整えることから始めてみましょう。具体的には、次のようなことが挙げられます。
睡眠時間をできるだけ確保し、就寝前のスマートフォンの使用を控えること。軽い運動やストレッチを日常に取り入れ、体を動かす機会をつくること。湿度や室温を整えて、寝苦しさによる睡眠の質の低下を防ぐこと。休日には、保育や仕事のことを一旦忘れて好きなことに時間を使うこと。そして、感じているモヤモヤを一人で抱え込まず、同僚や友人、家族など信頼できる人に話してみることです。
話すことで気持ちが整理され、「思っていたよりも大きな問題ではなかった」と気づけることもあります。職場の同僚や友人、家族のほか、地域の保育士会や保育士同士のSNSコミュニティ、転職を考えているなら転職エージェントのキャリアアドバイザーに話を聞いてもらうのも一つの方法です。同じ立場の人に話すことで「自分だけではない」と感じられ、気持ちが軽くなることもあります。
湿気の多い時期は食欲が落ちやすく、それが体調や気分の不調につながることもあります。さっぱりした食事や、冷たいものに偏らず体を温める食事も取り入れるなど、食生活を見直すことも小さな対策のひとつです。無理に元気を出そうとしたり、自分を責めたりする必要はありません。梅雨の時期に気分が落ち込みやすくなるのは多くの人に共通することだと知っておくだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。
それでも気持ちが変わらないときは
生活を整えても、時間が経っても「やっぱり辞めたい」という気持ちが変わらない場合は、それは季節的な要因だけではなく、今の職場や働き方そのものに向き合うべきサインかもしれません。
そのときは、何が一番つらいのかを具体的に書き出してみることをおすすめします。人間関係なのか、業務量なのか、待遇なのか。原因がはっきりすると、今の園で改善できることなのか、環境を変える必要があることなのかが見えやすくなります。気分の落ち込みが長く続いていたり、食欲や睡眠への影響が大きいと感じる場合は、一人で抱え込まず、早めに周囲や専門家に相談することも大切な選択肢です。
転職を考える場合も、勢いだけで決めるのではなく、複数の求人や園の情報を比較しながら、自分に合った環境を落ち着いて探していくことが、後悔のない選択につながります。
一人で抱え込まないための、現場でできる小さな工夫
梅雨どきの忙しさは、保育士一人の努力だけで乗り切るものではありません。室内遊びのアイデアを同僚と共有し合ったり、行事の準備を一人に偏らせず分担したりするだけでも、負担の感じ方は変わってきます。
特に入職して数ヶ月の新人保育士にとっては、6月は「思っていた保育の仕事と現実のギャップ」を感じやすい時期でもあります。いわゆるリアリティショックと、季節的な気分の落ち込みが重なりやすいため、先輩保育士が「最初はみんなそう感じるよ」と声をかけるだけでも、気持ちが軽くなることがあります。チーム全体で「この時期は誰もが少し疲れやすい」という前提を共有しておくことも、一つの工夫といえるでしょう。
まとめ
梅雨の時期に「なんとなく辞めたい」と感じるのは、気圧や湿度の変化による自律神経の乱れと、現場の忙しさが重なりやすいことが背景にあります。まずは生活のリズムを整え、信頼できる人に気持ちを話してみることから始めてみてください。
それでも気持ちが変わらないときは、原因を具体的に見つめ直し、今の環境を変えるべきかどうかをゆっくり考えていきましょう。一人で結論を出さず、周囲の人や同業者の声も参考にしながら、焦らず自分のペースで、今の気持ちと向き合ってみてください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.06.17
2026.06.19





















