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2026.06.19

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【保育士必見】ICT保育記録システム導入で変わる書類業務・残業の実態と転職時のチェックポイント

「今日も書類が終わらない…」そんな悩みを抱えている保育士さんは少なくありません。保育士の仕事は、子どもと向き合う時間だけでなく、保育日誌や指導計画、連絡帳など、事務作業が非常に多いことで知られています。実際に、仕事量の多さは保育士の離職理由の中でも大きな割合を占めるといわれており、慢性的な保育士不足の一因にもなっています。

こうした状況を変えるべく、近年急速に広がっているのが「保育ICTシステム」です。国もICT化を後押しする補助金制度を整備しており、今後ますます多くの園で導入が進むと見られています。本記事では、ICT化によって保育士の働き方がどう変わるのか、現場のリアルな実態とあわせて解説します。さらに、転職や就職活動の際に「この園はICT化が進んでいるかどうか」をどう見分ければよいか、具体的なチェックポイントもご紹介します。

保育園でのICTの様子1タブレット画面の赤いダッシュボードアイコン群。ダッシュボード、家庭から園へ、園から家庭へ、ブレスチェック、指導計画、共有情報管理、成長記録の各アイコンが並ぶ。

※保育園でのICT端末(取材協力:長岡京にじいろキッズ保育園)

保育士の事務作業、実はこんなに多い

保育士が担う書類業務は、保育日誌、週案・月案、児童票、指導要録、連絡帳、行事の計画書など多岐にわたります。さらに、登降園の管理や延長保育料の計算、給食費の請求業務まで手作業で行っている園も少なくありません。

これらの業務の多くは、労働環境が悪い園だと、保育が終わった後の時間や休憩時間、場合によっては自宅に持ち帰って対応せざるを得ないケースもあります。「子どもと過ごす時間は好きだけれど、事務作業が負担で疲れてしまう」という声は、現場でよく聞かれる悩みのひとつです。

特に行事の前後や年度末は、計画書や報告書、要録の作成が一気に集中する時期です。日中は子どもから目を離せないため、書類作成にまとまった時間を確保しづらく、結果として勤務時間外にしわ寄せが行きやすいのが実情です。手書きの書類は修正のたびに書き直しが必要になることも多く、同じ内容を別の書類にも転記する二重作業が発生しやすい点も、負担を大きくしている要因のひとつといえます。

ICT化で変わる業務とは

保育ICTシステムを導入すると、こうした事務作業の多くが効率化されます。代表的な変化は次のとおりです。

保育日誌や指導計画

テンプレートに沿って入力するだけで作成できるようになり、過去の記録を呼び出して参照することも簡単になります。園児の基本情報も一度入力すれば日誌や連絡帳に自動で反映されるため、同じ内容を何度も書き直す手間がなくなります。

登降園の管理

保護者がタッチパネルやICカードを端末にかざすことで登降園の時間が自動で記録されるようになり、その記録データから延長保育料や給食費が自動で計算され、請求書の発行までシステム上で完了します。手書きや手計算によるミスも減らせる点は大きなメリットです。

職員間の情報共有

開所時間が長い園では、早番・遅番などシフトで動く職員が多く、紙の引き継ぎノートだけでは情報が漏れがちでした。ICTシステムを使えば、園児の情報を瞬時に検索することができ、また、誰がいつ確認したかも含めて記録が残るため、伝達ミスを防ぎやすくなります。

保護者対応

連絡帳アプリを通じてスマートフォンでやり取りができるようになり、リアルタイムに近い情報共有が可能になります。共働き家庭が増えるなかで、保護者からもこうした機能を求める声は強まっています。

これらの効果によって、書類作成にかかる時間が大幅に短縮され、残業や持ち帰り仕事の削減につながることが期待されています。事務作業の負担が減ることで、子どもと向き合う時間や、保育の質を高めるための準備に時間を使えるようになる点も、ICT化の本質的な価値といえるでしょう。

国も後押し、ICT化を支える補助金制度

ICT化が急速に広がっている背景には、こども家庭庁が実施する「保育所等におけるICT化推進等事業」の存在があります。これは、保育に関する計画・記録、登降園管理、保護者との連絡、実費徴収のキャッシュレス決済といった機能を持つシステムの導入費用を補助する制度です。

補助額は導入する機能の数によって異なり、1機能であれば1施設あたり上限20万円程度、3機能をすべて導入する場合は上限60万円程度、タブレットなどの端末購入もあわせて行う場合はさらに上乗せされ、最大で100万円を超える補助を受けられるケースもあります。国と自治体が費用の大部分を負担する仕組みのため、中小規模の園であっても導入のハードルが下がってきています。

さらに注目したいのは、ICT活用が保育士の配置基準にも関わってきている点です。1歳児の配置基準を6対1から5対1に改善した園に支給される「1歳児配置改善加算」は、処遇改善等加算の取得や職員の平均経験年数とあわせて、業務でのICT活用が条件のひとつとされています。つまりICT化は、単なる事務効率化の話にとどまらず、配置基準の改善や保育士の負担軽減そのものに直結する制度的な後押しを受けているということです。

「ICT化が進んでいる園」をどう見分けるか

すべての園で同じようにICT化が進んでいるわけではありません。同じ「ICT導入済み」という言葉でも、連絡帳アプリだけを使っている園と、日誌・指導計画・請求業務まで一括管理している園では、保育士の業務負担に大きな差があります。

園見学の際は、まずは玄関または保育室の入り口を見てみましょう。ipadのようなタブレット端末やパソコンが置かれていたら、ほとんどの場合、ICTが導入されている園だということが分かります。

また、次のような点を具体的に確認してみると、実態がつかみやすくなります。

保育日誌や指導計画は手書きかシステム入力か。登降園管理や請求業務までシステム化されているか。導入しているシステムの名称と、いつから使い始めたか。実際の残業時間や持ち帰り業務の頻度はどの程度か。職員全員がシステムを使いこなせているか、それとも紙とシステムの二重管理になっていないか。

導入したばかりの園では、現場がまだ運用に慣れておらず、紙とシステムが併存して逆に手間が増えているケースもあります。「導入している」だけで判断せず、運用が定着しているかどうかまで踏み込んで聞いてみることをおすすめします。また、ICT化に積極的な園は、有給休暇の取得率やシフト体制の整備など、働き方改革全般に力を入れている傾向もあるため、あわせて確認すると園の姿勢がより見えてきます。

可能であれば、実際にシステムを使っている職員の声を園見学時に聞かせてもらうのも有効です。「入力にどれくらい時間がかかるか」「困ったときに相談できる体制があるか」など、現場の実感を直接聞くことで、求人票だけでは分からない運用の実態をつかみやすくなります。

ICT化への不安、「温かみがなくなる」は本当か

ICT化について、「パソコンやタブレットを使うことで、保育の温かみが失われるのでは」という声が聞かれることもあります。しかし、ICT化はあくまで事務作業を効率化するための手段であり、子どもと向き合う保育の質そのものを変えるものではありません。むしろ、事務作業に追われる時間が減ることで、ひとり一人の子どもとじっくり関わる時間を確保しやすくなる、という側面に注目したいところです。

導入直後は操作に慣れるまで時間がかかったり、年齢層によってデジタル機器への抵抗感があったりすることもありますが、多くの園で研修やサポート体制を整えながら運用を進めています。

よくある疑問

ICT化が進むと、保育士の仕事自体が減ってしまうのでは?

事務作業が減ることはあっても、保育という仕事そのものがなくなるわけではありません。むしろ、子どもの観察や保護者対応など、人にしかできない部分に時間を割けるようになる、という見方が現場では一般的です。データ入力や計算といった定型業務をシステムに任せ、保育士はより専門性の高い業務に集中できる、という方向に進んでいます。

ICT化のコストは、保育士の給料に影響するのでは?

導入費用の多くは国や自治体の補助金でカバーされる仕組みになっているため、導入そのものが園の経営を直接圧迫するケースは少なくなっています。逆に、事務作業の効率化によって残業代や紙の消耗品費などのコストが下がり、その分を処遇改善に回せる可能性もあります。求人を比較する際は、ICT化の有無だけでなく、処遇改善加算の取得状況もあわせて確認すると、園の経営方針がより見えてきます。

まとめ

保育士の働き方は、ICT化の進み方によって大きく変わりつつあります。書類業務や残業の負担を減らせるかどうかは、保育士自身のワークライフバランスや、長く働き続けられるかどうかにも直結する重要なポイントです。国の補助金制度や配置基準の加算とも結びつき始めていることからも、ICT化は今後さらに広がっていくと考えられます。

これから転職や就職先を探す際は、求人情報の表面的な記載だけでなく、どの業務が実際にシステム化されているのか、職員がどの程度使いこなせているのかまで、ぜひ具体的に確認してみてください。事務作業に追われる毎日から少しでも解放されることが、保育士としてのやりがいや、子どもと向き合う時間をより大切にすることにつながっていくはずです。

この記事の監修者

監修者の写真

森 大輔(Mori Daisuke)

保育のせかい 代表

《資格》

保育士、幼稚園教諭、訪問介護員

《経歴》

2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。

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