「転職したいけど、せめてボーナスをもらってから辞めたい」。そう考えている保育士さんは少なくありません。夏のボーナス支給が近づく6月〜7月は、転職の意向を固める保育士が増える時期でもあります。「次の職場でもっと良い環境で働きたい」「給与を上げたい」という前向きな気持ちがある一方で、「今の園に迷惑をかけたくない」「タイミングを間違えて損をしたくない」という不安も当然あるでしょう。
ただ、ボーナスをもらってから辞めるとひと口に言っても、タイミングの取り方を誤ると「もらい逃げ」の印象を与えてしまったり、次の職場でのボーナスが思ったより少なくなったりすることがあります。損をしない転職のためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。本記事では、保育士がボーナス前後に転職を考えるうえで知っておきたい知識を整理します。
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保育士の夏のボーナス、いつ支給される?
まず基本として、保育士の夏のボーナス支給時期を確認しておきましょう。公立保育園に勤める公務員保育士の場合は6月30日ごろ、私立保育園の場合は6月下旬から7月上旬にかけて支給されるケースが多いです。ただし、私立保育園はボーナスの支給日や支給回数、金額を園が自由に決められるため、園によって時期はさまざまです。
金額の目安としては、私立保育園で平均的に基本給の2〜3か月分、公立保育園では4か月分程度が一般的とされています。また、ボーナスは「基本給×支給月数」で計算されることが多いため、求人票に記載されている月給(各種手当を含む)とは異なる点に注意が必要です。
さらに、転職1年目の保育士は夏のボーナスをもらえないケースが多い点も覚えておきましょう。多くの園では、前年10月〜3月が夏のボーナスの算定期間とされており、年度途中で入職した場合は夏のボーナスが支給されなかったり、寸志程度にとどまったりすることがあります。冬のボーナスについては4〜9月が算定期間となる園が多く、秋以降に入職した場合は冬も満額をもらいにくい状況になります。つまり、転職後の最初の1年間はボーナス収入が前職より大きく下がる可能性があることを、あらかじめ想定しておく必要があります。
ボーナスをもらってから辞めるのは問題ない?
結論からいえば、ボーナスをもらってから退職することは、法的には何ら問題ありません。ただし、いくつかの点には注意が必要です。
まず、ボーナス支給前に退職の意思を伝えてしまうと、支給額を減額されたり、最悪の場合は支給されなかったりするケースがあります。就業規則に「ボーナス支給日に在籍していること」が支給条件として定められている園も多いため、支給日を確認し、ボーナスが実際に振り込まれるまでは退職の意思を職場に伝えないことが賢明です。
また、ボーナス受給後すぐに退職の意思を伝えると、「最初から辞めるつもりでもらったのでは」と受け取られ、職場との関係が悪くなる可能性があります。受給後1〜2か月程度の余裕を持って申し出るのが、円満退職につながりやすいとされています。
なお、すでにもらったボーナスを返還しなければならないケースは、就業規則に返還規定がある場合や、不正行為が原因で解雇された場合など、特殊な状況に限られます。通常の自己都合退職でボーナスを返す義務はありません。
ボーナスを確実に受け取るために確認しておくこと
ボーナスを意識した退職計画を立てるうえで、まず確認しておきたいのが就業規則のボーナス支給条件です。多くの園では「支給日に在籍していること」が条件とされており、支給日前日までに退職してしまうと受け取れません。また、「支給日に在籍していても、退職の意思を申し出ている者には支給しない」という規定を設けている園もあります。
就業規則を手元で確認できない場合は、信頼できる先輩や、転職エージェントのアドバイザーに相談してみるのも一つの方法です。いずれにしても、ボーナスが振り込まれる前に退職の意思を表明してしまうことが最大のリスクになります。支給日と支給額を確認してから動き出すことが、安心につながります。
保育士が退職を申し出るタイミング
保育士の退職は、一般的な会社員よりも早めに意思を伝えることが求められます。民法上は2週間前の申し出で退職は可能ですが、保育現場では後任の採用やクラスの引き継ぎに時間がかかるため、退職希望日の3か月前、少なくとも1〜2か月前には園長や主任に伝えるのが望ましいとされています。
夏のボーナスをもらって転職したい場合、逆算すると次のような流れになります。多くの私立保育園の夏のボーナス支給は6月下旬〜7月上旬です。支給後1か月程度経った7月中旬〜下旬ごろに退職の意思を伝えれば、3か月後の10月末〜11月ごろに退職、11月〜12月以降に新しい職場への入職、という流れが組みやすくなります。
ちょうど秋から冬にかけての時期は、翌年4月入職に向けた保育士の採用活動が活発になる時期とも重なります。転職市場が動き始める時期に合わせて動けるという点でも、夏のボーナス後に転職活動を本格化させることには合理性があります。
退職の意思を伝える際は、園長や主任に対して業務が落ち着いた時間帯に、人目のない場所で一対一で話すのが基本です。「お話ししたいことがあるので、終業後に少し時間をいただけますか」とあらかじめ声をかけておくと、相手も心の準備ができます。メールやLINEでの報告は失礼にあたるため、必ず口頭で伝えるようにしましょう。また、園長への相談前に同僚や保護者に退職の話が伝わってしまうと、トラブルになる可能性があります。正式に伝えるまでは、周囲に口外しないよう注意してください。
転職1年目は夏のボーナスに注意
新しい職場に移ると、転職1年目の夏のボーナスは大幅に少なくなることがあります。これは、ボーナスの算定期間に現在の職場での勤務実績が少なく、評価の対象となる期間が短くなるためです。
たとえば、11月に転職して翌年7月に夏のボーナスをもらう場合、算定期間(前年10月〜3月)のうち在籍していたのは11月以降の数か月だけとなり、支給額が日割り計算などで減額されるケースが一般的です。場合によっては支給されないこともあります。
この点を踏まえると、転職前の職場でのボーナスと転職後のボーナスを両方考慮して年収ベースで比較しておくことが、経済的に損をしない転職計画を立てるうえで重要です。
今の時期からできること
夏のボーナス後の転職を目指すなら、今の6月〜7月は情報収集と転職活動の準備を進める絶好のタイミングです。ボーナスをもらう前から転職エージェントや求人サイトへの登録を進め、気になる求人の傾向や相場を把握しておくと、支給後にスムーズに動き出せます。
転職活動は在職中に進めるのが基本です。次の職場が決まる前に退職してしまうと、収入の空白が生じるうえに、焦りから条件に妥協しやすくなります。今の職場を続けながら求人を比較し、納得のいく転職先が見つかった段階で正式に退職を申し出る流れが、最もリスクの少ない進め方といえるでしょう。
転職先を探す際は、ボーナスの有無や支給月数だけでなく、算定基準となる「基本給」の金額と、算定期間の定め方まで確認することをおすすめします。月給として提示されている金額の中に各種手当が含まれている場合、基本給はそれより低くなることがあります。求人票の「賞与年2回・計〇か月分」という記載が実際にいくらになるのか、面接や見学の機会に具体的に確認しておくことが大切です。
ボーナスをもらって辞めることへの罪悪感について
「ボーナスをもらってすぐ辞めるのは申し訳ない」と感じる保育士さんもいるかもしれません。しかし、ボーナスはこれまでの勤務に対する報酬であり、あなたがこれまで積み上げてきた仕事への正当な対価です。辞めることを理由に、もらう権利のあるボーナスを遠慮する必要はありません。
ただ、気持ちの面でスムーズに進めたいなら、退職後の引き継ぎを丁寧に行うこと、退職の申し出を早めに行うことが大切です。園側に十分な準備期間を与えることが、誠意ある退職の形といえます。ボーナスをもらうこと自体ではなく、その後の行動で信頼関係を守ることを意識しましょう。
まとめ
ボーナスをもらってから辞めること自体は問題ありませんが、支給前に退職の意思を伝えてしまうと思わぬ減額につながることがあります。支給日に確実に在籍し、振り込みを確認してから動き出すことが大切です。また、転職1年目は夏のボーナスが減額されやすいことも頭に入れ、年収ベースで損をしない計画を立てておきましょう。
退職の申し出は、受給後1〜2か月を目安に、園長や主任に対して業務が落ち着いた時間帯に一対一で伝えるのが基本です。メールやLINEでの報告は失礼にあたるため、必ず口頭で伝えましょう。保育業界は横のつながりが強く、退職時の対応が評判につながることも少なくありません。ボーナスをしっかり受け取りつつ、引き継ぎを丁寧に行い、気持ちよく次のステップへ進むことが、あなた自身のキャリアを守ることにもつながります。
今の時期から求人情報の収集を始め、じっくりと転職先を探すことが、後悔のない転職につながります。秋の転職市場本番に向けて、今のうちから動き出しておきましょう。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.06.25
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