「今の職場がつらい」「辞めたい」と感じたとき、保育士がまず悩むのは、「転職すべきか、それとも異動などで環境を変えるべきか」という点ではないでしょうか。複数の園を運営している法人であれば、異動という選択肢があり、また、同じ園のなかでも、クラスや担当の変更を相談できる場合があります。
「転職すれば、すべてが解決する」とも限りませんし、「異動すれば、うまくいく」とも言い切れません。大切なのは、自分が何に悩んでいるのかを整理したうえで、納得できる選択をすることです。今回は、異動と転職、それぞれで解決できること、できないことを整理しながら、迷ったときの考え方をお伝えします。
「辞めたい」の正体を整理する
まず出発点として、「なぜ辞めたいと感じているのか」を、できるだけ具体的に整理してみましょう。「なんとなくしんどい」という気持ちのままでは、異動で解決できるのか、転職が必要なのかを判断できません。
辞めたい理由は、大きく分けると、いくつかのタイプに分類できます。
一つは、人間関係です。特定の同僚や上司との関係、職場全体の雰囲気などに悩んでいる場合です。
二つ目は、業務の量や働き方です。残業や持ち帰り仕事が多い、休みが取りにくい、書類業務が負担といった悩みです。
三つ目は、保育の方針や価値観です。園の保育の方針が自分の考えと合わない、やりたい保育ができないという悩みです。
四つ目は、待遇や将来の見通しです。給与や昇給、キャリアの展望に不安を感じている場合です。
五つ目は、担当クラスや年齢への悩みです。苦手な年齢の担当になった、一人でクラスを抱えているなど、担当にまつわる悩みもあります。
書き出してみると、悩みの本質が見えやすくなります。複数の悩みが重なっている場合は、特に重いものから順番をつけてみましょう。
異動で解決できること
異動は、法人内の他の園に移る、あるいは同じ園のなかで担当を変えるなど、今の組織に在籍したまま、環境を変える方法です。異動によって解決しやすい悩みには、次のようなものがあります。
まず、特定の職場環境や人間関係による悩みです。特定の上司や同僚との関係がつらい場合、異動によって環境が変わると、状況が改善することがあります。
次に、担当クラスや年齢に関する悩みです。苦手な年齢の担当が続いている場合は、担当を変えてもらう相談で、改善する可能性があります。
また、通勤や勤務地の悩みも、異動で解決できることがあります。複数の園を運営している法人であれば、自宅に近い園への異動を相談できる場合もあります。
さらに、法人の方針や待遇には満足しているものの、特定の園の環境に悩んでいる場合は、異動によって、これまでのキャリアや待遇を保ちながら、環境を変えられます。
異動のメリットは、法人内での勤続年数や、築いてきた信頼関係を活かしながら、環境を変えられる点です。新しい職場でも、法人の基本的な方針が共通しているため、ある程度の安心感があります。
異動では解決しにくいこと
一方で、異動では解決しにくい悩みもあります。
まず、法人全体の方針や価値観に違和感がある場合です。園が変わっても、法人の理念や保育の方針は共通していることが多いため、根本的な悩みは解決しにくくなります。
次に、給与や待遇への不満です。法人の給与体系は、異動しても基本的には変わりません。昇給の仕組みや、手当の考え方への不満は、異動では改善しにくい悩みです。
また、働き方の根本的な見直しを希望している場合も、異動だけでは難しいことがあります。例えば、時短勤務や、非常勤への転換など、雇用形態を変える希望は、法人の制度によります。
さらに、法人内の人間関係の悩みが、複数の園にまたがっている場合や、異動先の候補が限られている場合も、異動という選択肢が現実的でないことがあります。
転職で解決できること
転職は、新しい法人・園へ移り、環境を大きく変える方法です。転職によって解決しやすい悩みは、次のようなものです。
法人の方針や価値観への違和感がある場合、保育観に合う園を探すことで、働きやすさが大きく変わる可能性があります。
給与や待遇への不満がある場合も、条件の良い職場を探すことで改善が期待できます。法人ごとに給与体系は異なるため、希望に合う条件を探しやすくなります。
働き方や雇用形態を根本から見直したい場合にも、転職は有効な選択肢です。時短勤務や非常勤、あるいは担任を持たない働き方など、希望に合った勤務形態の求人を探せます。
また、環境を完全にリセットしたいと感じている場合や、人間関係の悩みが法人全体に及んでいる場合は、転職によって、新たなスタートを切ることができます。
転職で解決しにくいこと
ただし、転職も、万能の解決策ではありません。転職では解決しにくい悩みや、新たに生じる可能性のある課題もあります。
まず、人間関係の悩みです。どの職場にも、人間関係の課題はあり得ます。「人間関係が合わない」という理由だけで転職すると、同じような悩みを繰り返すことがあります。自分が何に困っているのかを整理して、どんな雰囲気の職場なら働きやすいのかを考えておくことが大切です。
次に、仕事そのものの大変さです。保育士の仕事は、体力的にも精神的にも負担がかかるものであり、職場が変わっても、この点は変わらない部分があります。
また、転職後の環境に慣れるまでの負担もあります。新しい人間関係、新しい業務の進め方、新しい園の方針など、一から学ぶ必要があります。
さらに、勤続年数が積み上がっていた場合は、昇給や待遇の面で、リセットされることもあります。
判断の軸を持つ
異動か転職かを考えるときは、判断の軸を持つことが大切です。
まず、「何を一番変えたいのか」を明確にします。人間関係なのか、働き方なのか、待遇なのか、保育の方針なのか。優先順位をつけて、最も解決したい悩みを軸にします。
次に、「異動や環境調整で解決できる可能性があるか」を考えてみます。上司に相談することで、状況が改善する可能性があれば、まずそれを試してみる選択肢もあります。
また、「今の職場で、続けたいことや大切にしたいこと」も振り返ってみましょう。やりがいを感じる場面や、居心地のよい関係など、手放したくないものがあるかどうかも、判断の材料になります。
そして、「このまま続けたら、半年後・1年後の自分はどうなっているか」を想像してみることも、有効です。心身の状態も含めて、無理が続くようであれば、早めに環境を変えることを考えてもよいでしょう。
上司に相談するときの考え方
異動や担当の変更を検討する場合は、まず上司に相談することが、最初のステップになります。
相談の際は、「辞めたい」というだけでなく、「何に悩んでいるのか」「どう変わったらいいと考えているのか」を、整理して伝えると、話が進みやすくなります。例えば、「今の担当で、こういった点が難しいと感じています。こうした形で変えられる可能性はありますか」と、具体的に相談します。
ただし、相談しても、希望通りになるとは限りません。法人や園の状況によっては、異動や担当変更が難しい場合もあります。相談の結果を踏まえて、次の選択肢を考える姿勢も必要です。
また、相談したことで、職場の対応が変わる場合もあれば、変わらない場合もあります。その反応も、自分がこの職場で働き続けるかどうかを判断する、一つの材料になります。
転職を選ぶ場合の進め方
異動や環境調整では解決が難しいと判断し、転職を選ぶ場合は、焦らず計画的に進めることが大切です。
まず、辞めたい理由を整理し、次の職場に求める条件を明確にします。「前の職場の嫌なことを避ける」だけでなく、「どんな職場で働きたいか」を考えると、ミスマッチを防ぎやすくなります。
次に、在職中に情報収集を始めることをおすすめします。求人情報を調べたり、見学の機会を設けたりしながら、時間をかけて情報を集めましょう。
また、一人で抱え込まず、信頼できる人や、転職のサポートを行うサービスに相談することも、有効な方法です。客観的な視点から、自分の悩みや希望を整理してもらえます。
退職の時期や、引き継ぎの進め方についても、早めに考えておくと、円満に次のステップに進みやすくなります。
まとめ
「辞めたい」と感じたとき、異動か転職かを考えるためには、まず自分が何に悩んでいるのかを整理することが大切です。人間関係、働き方、保育の方針、待遇、担当クラスなど、悩みの種類によって、異動で解決しやすいことと、転職が必要なことがあります。
判断の軸を持ち、上司への相談も視野に入れながら、納得できる選択を考えていきましょう。転職を選ぶ場合も、焦らず、計画的に進めることで、次の職場とのミスマッチを減らせます。自分にとって、心地よく、長く働ける環境を見つけてください。
保育士としての転職活動は、情報収集だけでなく、紹介会社選びにも悩みがつきものです。「保育のせかい」は、認可保育園・認定こども園を運営する社会福祉法人の理事長が監修し、保育士資格を持つ元保育士がアドバイザーを務めているため、現場目線でリアルな悩みに寄り添ったサポートが受けられます。「押しの強い営業対応に疲れた」「希望していない園を強く勧められて不安だった」という経験がある方にこそ、一度相談してみてほしいサービスです。完全無料で利用できるので、気軽に活用してみてください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.11.06
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