11月8日は「いい歯の日」です。語呂合わせから制定された記念日で、歯と口の健康に関心を持つきっかけとして、各地でさまざまな取り組みが行われています。
保育の現場でも、給食後の歯みがきや、歯に関する絵本、歯科検診など、歯の健康に関わる場面は少なくありません。一方で、「歯みがきを嫌がる子どもへの関わり方に悩む」「どうやって楽しく伝えればいいのか分からない」と感じる保育士も多いのではないでしょうか。今回は、いい歯の日をきっかけに、子どもたちに歯の健康を伝えるための声かけや工夫を整理してみたいと思います。
歯の健康を考える11月
歯の健康は、乳幼児期から大切にしたい生活習慣の一つです。乳歯は、やがて永久歯に生えかわりますが、この時期に培われた習慣や感覚は、その後の歯の健康にもつながっていきます。
また、食べ物をしっかり噛むことや、おいしく食べることは、子どもたちの食事の楽しさにも関わります。歯や口の状態は、食べる意欲や話す力にも影響するため、保育の中でも大切に扱いたいテーマです。
いい歯の日という記念日をきっかけに、日常の歯みがきや食事の時間を、あらためて見つめ直してみることをおすすめします。
歯みがきの習慣づくりで意識したいこと
子どもたちが歯みがきを習慣にしていくためには、いくつかの視点が役立ちます。
まず、「やらされるもの」ではなく、「自分でやりたいもの」と感じられるようにすることです。歯ブラシを選ぶ楽しさや、鏡を見ながらみがく楽しさなど、小さな楽しみを見つけることで、意欲が育ちます。
次に、「できた」という経験を積み重ねることです。上手にできたときに、「きれいにみがけたね」と具体的に認める声かけは、子どもの自信につながります。
また、歯みがきの時間を、気持ちよさを感じる時間にすることも大切です。口のなかがさっぱりする感覚を、「すっきりしたね」と言葉にして伝えることで、歯みがきの心地よさを実感できます。
何より、焦らず、継続することが大切です。毎日の積み重ねのなかで、子どもたちのペースで習慣が身についていきます。
年齢別の関わり方
歯みがきや歯の健康に関する関わり方は、年齢に合わせて工夫することが大切です。
0〜1歳児クラスでは、歯が生え始めたり、口のなかの感覚が育ったりする時期です。口のなかを触られることに慣れていくことから始めます。歯ブラシを口に入れて遊ぶ姿が見られる時期でもあり、「歯ブラシに慣れる」ことを目標にした関わりが大切です。
2歳児クラスになると、自分でやりたい気持ちが強くなります。自分で歯ブラシを持ってみがく経験を大切にしながら、保育士が仕上げを手伝うなど、無理のない形で進めます。「自分でできたね」という声かけと、「先生が仕上げをするね」という気持ちの橋渡しが、受け入れやすさにつながります。
3〜4歳児クラスでは、歯みがきの手順やコツを少しずつ理解できるようになります。「前歯はこうやって」「奥の歯はこうやって」と、鏡を見ながら一緒に確認すると、楽しみながら学べます。
5歳児クラスでは、歯の大切さや、虫歯になる理由について、簡単な言葉で理解できるようになります。「どうして歯をみがくのかな」と問いかけ、子どもたち自身が考える機会を持つと、より主体的な習慣づくりにつながります。
絵本・歌・遊びを使った伝え方
歯の健康を子どもたちに伝える際には、絵本や歌、遊びを活用すると、楽しく理解を深められます。
絵本や紙芝居は、歯の大切さや、歯みがきの意味を、物語として伝えられる便利な教材です。虫歯菌がキャラクターとして登場する物語や、歯みがきを頑張る主人公の話など、子どもたちが共感しやすい作品が数多くあります。
歌や手遊びも、歯みがきの習慣づくりに役立ちます。歯みがきの時間に合わせて歌を歌うと、みがく時間の目安になり、楽しみながら続けられます。
また、歯ブラシを使ったごっこ遊びや、人形の歯をみがく遊びも、おすすめです。子どもたちが先生役になって、人形の歯をみがいてあげるなど、役割を交代すると、歯みがきへの理解と意欲が高まります。
怖がらせる伝え方は避けたいところです。「虫歯になると痛くなるよ」と脅すより、「歯をきれいにすると、おいしく食べられるよ」と、前向きな言葉で伝えることを意識しましょう。
嫌がる子どもへの向き合い方
歯みがきを嫌がる子どもは、決して珍しくありません。その背景には、さまざまな理由があります。
口のなかを触られることへの不快感や、歯ブラシの感触が苦手、遊びを中断されたくない、眠くて機嫌が悪い、仕上げみがきが痛かった経験があるなど、子どもによって理由は異なります。
まず、嫌がる気持ちを否定せず、受け止めることが大切です。「いやだったんだね」と気持ちに寄り添ったうえで、「一緒にやってみようか」「少しだけにしようか」と、子どもが受け入れられる形を探します。
歯ブラシの種類を変えてみたり、保育士が先にみがいて見せたりするのも、効果的な場合があります。また、友達が楽しそうにみがいている姿を見て、自分もやってみようと感じることもあります。
どうしても難しい日は、無理強いせず、翌日以降に再チャレンジする柔軟さも大切です。毎日の繰り返しのなかで、少しずつ受け入れられるようになることも多くあります。
家庭への共有のしかた
歯みがきの習慣は、園と家庭が連携することで、より定着しやすくなります。
園での歯みがきの様子を、お便りや連絡帳で共有すると、保護者も子どもの成長や取り組みを知るきっかけになります。「今日は自分でみがけました」「仕上げみがきをがんばりました」といった一言が、家庭での会話にもつながります。
ただし、家庭によって、歯みがきに関する状況や悩みはさまざまです。仕上げみがきの大変さや、子どもが嫌がって困っている保護者もいます。「ちゃんとやってください」という伝え方ではなく、「園ではこんな工夫をしています」と共有する姿勢が大切です。
歯の健康に関する具体的な相談については、園の方針に沿って、歯科検診の機会や専門家のアドバイスにつなげることも考えましょう。
まとめ
いい歯の日は、子どもたちの歯の健康や、歯みがきの習慣について考える、よいきっかけです。歯みがきを「やらされるもの」ではなく、「できる楽しさ」や「気持ちよさ」を感じられる時間にするための、声かけや工夫が大切です。
年齢に応じた関わり方や、絵本・歌・遊びを活かした伝え方を取り入れながら、嫌がる子どもの気持ちにも寄り添っていきましょう。焦らず、一人ひとりのペースで、歯の健康を大切にする習慣を育んでいってください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.11.02
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