11月は、年度の折り返しを過ぎ、後半戦に入っていく時期です。4月に出会った子どもたちも、季節を重ねるなかで、表情や動き、遊び方、友達との関わりが、大きく変化していることでしょう。
しかし、毎日一緒に過ごしていると、子どもたちの成長は、かえって見えにくくなるものです。日々の忙しさに追われるなかで、「この子は今、どんな育ちの途中にいるのだろう」と立ち止まる機会は、意外と少ないかもしれません。今回は、11月というタイミングで、子どもたちの1年の育ちを振り返るための視点を整理してみたいと思います。
年度の後半に入る前に
11月は、運動会や遠足といった大きな行事が一段落し、保育が少し落ち着いてくる園も多い時期です。この時期に立ち止まって、これまでの育ちを振り返ることには、いくつかの意味があります。
まず、年度の後半に向けた保育の方向性を考えるきっかけになります。子どもたちの今の姿を確認することで、「次に何を大切にしたいか」が見えてきます。
また、個人面談や、保護者への情報共有の準備にもつながります。子どもの成長を具体的に捉えておくと、保護者に伝える言葉にも、自然と深みが出てきます。
さらに、保育士自身にとっても、これまでの実践を振り返る貴重な機会です。「あのときの関わりが、今の姿につながっているのかもしれない」と気づくことは、日々の保育への自信にもなります。
4月からの変化を振り返る視点
子どもたちの成長を振り返るときは、4月の頃の姿と、今の姿を比べてみると、変化が分かりやすくなります。
例えば、登園時の様子はどうでしょうか。泣いてなかなか離れられなかった子どもが、笑顔で保育室に入れるようになっていたり、自分で荷物の整理をするようになっていたりする姿は、大きな成長です。
遊びの様子にも、変化が表れます。一人で遊ぶことが多かった子どもが、友達と関わるようになったり、遊びの内容が複雑になったりしていませんか。物の取り合いからトラブルになっていた場面が、言葉で伝え合える場面に変わっていることもあります。
生活面でも、着替えや食事、トイレ、片付けなど、できることが増えているはずです。「できるようになったこと」だけでなく、「やってみようとする気持ち」が育っていることにも、目を向けてみましょう。
できるようになったこと・育ちつつあること
成長を振り返る際には、「できるようになったこと」と「育ちつつあること」の両方に目を向けることが大切です。
「できるようになったこと」は、目に見えて分かりやすい変化です。自分で靴を履けるようになった、友達の名前を呼んで遊べるようになったなど、具体的な姿として捉えられます。
一方、「育ちつつあること」は、まだ途中の段階にある姿です。例えば、まだ上手にできなくても、挑戦しようとしている姿、友達の様子を気にしている姿、気持ちを言葉にしようとしている姿などです。
こうした「育ちつつある姿」は、見落とされやすいものですが、子どもの成長の芽として、とても大切です。「まだできない」という見方ではなく、「今、育っている途中だ」という捉え方で、子どもの姿を見つめ直してみましょう。
子ども一人ひとりの成長の見方
子どもの成長を見る際には、他の子どもと比べるのではなく、その子自身の過去と今を比べる視点が大切です。
成長のペースは、子どもによって異なります。早く伸びる時期もあれば、ゆっくり育つ時期もあります。ある面は進んでいても、別の面はまだ途中ということも、当たり前のことです。
また、「得意なこと」「好きなこと」「関心を持っていること」に目を向けることも、成長を見つめる大切な視点です。その子らしさが表れる場面を、具体的に思い出してみましょう。
気になる点がある場合も、「できていないこと」をただ探すのではなく、その背景にある理由を考えてみます。環境や関わり方、その子の気持ちなど、さまざまな視点から捉えることで、次の関わり方のヒントが見えてきます。
同僚と共有するコツ
子どもの成長の振り返りは、一人で行うだけでなく、同僚と共有することで、より深まります。
同じ子どもを見ていても、担任とフリー保育士、他クラスの保育士とでは、気づく点が異なります。「この子、最近こんな様子があるよ」といった、何気ない気づきを共有し合うことで、多面的に子どもを理解できます。
共有する際は、「できる・できない」の評価だけでなく、子どもの姿をエピソードとして伝えるのがおすすめです。「先日、友達におもちゃを貸してあげて、嬉しそうにしていた」といった具体的な場面は、その子の育ちを実感しやすくなります。
忙しい時期だからこそ、短い時間でも、職員間で子どもの様子を話し合う機会を意識して持つと、保育の質を高める助けになります。
保護者への伝え方
子どもの成長の振り返りは、保護者に伝える内容を整理する材料にもなります。
保護者に伝える際は、具体的なエピソードを交えて、子どもの育ちを共有することが大切です。「最近、お友達と一緒に遊ぶ姿が増えました」と、抽象的に伝えるよりも、「先日の遊びの場面で、お友達に声をかけて、一緒にブロックを組み立てていました」と伝えたほうが、保護者も子どもの姿をイメージしやすくなります。
また、成長を伝えるときは、できるようになったことだけでなく、挑戦している姿や頑張っている姿にも触れましょう。「まだ時間がかかりますが、自分でやってみようとする気持ちが育っています」と伝えることで、保護者も安心し、子どもを見守る視点を共有できます。
個人面談を予定している場合は、この時期の振り返りが、準備の大きな助けになります。事前に整理しておくと、面談で落ち着いて話しやすくなります。
振り返りを日々の保育につなげる
振り返りは、単に過去を整理するだけでなく、これからの保育につなげることが大切です。
子どもたちの今の姿をもとに、「次の時期にどんな経験を大切にしたいか」を考えてみましょう。友達との関わりを広げたい、自分で挑戦する経験を増やしたい、表現する機会を増やしたいなど、保育のねらいが明確になります。
また、保育環境や活動の内容を見直すきっかけにもなります。子どもたちの興味が変化しているなら、遊びの環境も、それに合わせて調整していくことができます。
振り返りを重ねることで、保育士自身も成長していきます。日々の忙しさのなかでも、時々立ち止まって、子どもたちの育ちを味わう時間を持つことが、保育の喜びを再確認することにもつながります。
まとめ
11月は、年度の折り返しを過ぎ、子どもたちの1年の育ちを振り返るのに適した時期です。4月の頃の姿と今の姿を比べることで、日々の積み重ねによる成長が見えてきます。
成長を見るときは、「できるようになったこと」だけでなく、「育ちつつあること」にも目を向けることが大切です。他の子どもと比べず、その子自身の歩みを丁寧に見つめましょう。
同僚との共有や、保護者への伝え方にも、振り返りの内容を活かしながら、これからの保育につなげていってください。子どもたちの成長を味わいながら、年度の後半を、ゆとりを持って迎えましょう。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.11.01
2026.11.06





















