保育園を探していると、「社会福祉法人〇〇会」「株式会社〇〇」といった運営法人の名前が、求人票や園のホームページに必ず載っていることに気づきます。ふだん意識することは少ないかもしれませんが、運営法人の種類は、園の方針や働き方に少なからず関わる要素です。
「社会福祉法人と株式会社では、何が違うのだろう」「どちらのほうが働きやすいのだろう」。転職活動の中で、こうした疑問を抱く保育士も多いのではないでしょうか。今回は、運営法人の種類ごとの一般的な傾向を整理しながら、法人の違いとどう向き合えばよいのかを考えてみたいと思います。なお、同じ種類の法人でも園ごとの差は大きく、ここでお伝えするのはあくまで一般的な傾向であることを、あらかじめご了承ください。
保育園を運営する法人にはいくつか種類がある
保育園を運営している法人には、社会福祉法人、株式会社などの営利法人、学校法人、NPO法人、医療法人など、さまざまな種類があります。認可保育園や認定こども園の場合、これらの法人が自治体の基準に沿って運営しています。
なかでも、数として多く見られるのが、社会福祉法人と株式会社です。それぞれ成り立ちや目的が異なるため、運営の考え方にも違いが生まれやすいと言われています。
ただし、法人の種類によって、保育の質や働きやすさが決まるわけではありません。法人の特徴を知ることは、あくまで園を理解するための一つの手がかりと捉えるのがよいでしょう。
社会福祉法人の特徴
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として設立された、公益性の高い法人です。保育園のほかにも、高齢者施設や障害福祉サービスなど、地域の福祉を支えるさまざまな事業を行っている法人があります。
保育園を運営する社会福祉法人には、地域に根ざして長く運営を続けている園が多く見られます。長年の運営実績があり、地域との結びつきが強い園もあります。また、職員が長く勤めている園も多く、落ち着いた雰囲気のなかで、一貫した保育方針を大切にしている園が見られます。
一方で、法人によっては、組織の歴史が長いため、決まった運営の流れが根付いていると感じる人もいます。新しい取り組みを積極的に取り入れたい人にとっては、物足りなさを感じる場合があるかもしれません。ただし、これも法人や園によって大きく異なります。
株式会社運営の特徴
株式会社が運営する保育園は、企業としての経営の視点を持ちながら、保育事業を行っています。近年は、保育の需要が高まる中で、複数の園を展開する企業も増えています。
株式会社運営の園では、企業ならではの仕組みが整っている場合があります。例えば、研修制度やキャリアパスの仕組み、本部によるサポート体制、独自の保育プログラム、業務効率化の取り組みなどです。複数の園を運営している場合は、園同士の交流や異動を通じて、さまざまな経験を積める機会があることもあります。
一方で、法人の方針や経営の状況によって、運営の方向性が変わることもあります。園によっては、本部の方針と現場の実情にギャップを感じる保育士もいるようです。こちらも一概には言えないため、個別の園の状況を確認することが大切です。
働く側から見た違いの傾向
働く側の視点では、どのような違いがあるのでしょうか。一般的に語られる傾向をいくつか挙げてみます。
給与や待遇の面では、社会福祉法人は、法人ごとに独自の給与体系を持つことが多く、長く勤めることで昇給していく仕組みが整っている園があります。株式会社は、法人ごとに待遇の仕組みが大きく異なり、独自の手当や評価制度を設けているところもあります。ただし、実際の水準は法人や園によって幅があり、一概に比較することはできません。
異動や転勤の面では、複数の園を運営している法人であれば、どちらの種類でも法人内の異動がある可能性があります。ただし、一つの園のみを運営している社会福祉法人もあり、その場合は異動の可能性は低くなります。
研修やキャリア支援の面では、株式会社、社会福祉法人ともに、研修に力を入れている法人があります。法人内の研修の機会や、資格取得の支援制度など、具体的な内容は法人によって異なります。
職場の雰囲気については、法人の種類よりも、園長や主任のマネジメント、職員同士の関係性などが大きく影響します。同じ種類の法人でも、園によって雰囲気は大きく異なります。
法人の違いより大切にしたい視点
法人の種類による一般的な傾向を知ることは大切ですが、それ以上に大切なのは、「その園がどのような保育を大切にしているか」「そこで働く職員がどんな様子か」という視点です。
同じ社会福祉法人でも、方針や雰囲気は園ごとに異なります。同じ株式会社でも、園長の考え方や職場のつくり方によって、働きやすさは大きく変わります。法人の種類で判断してしまうと、本当に自分に合う園を見逃してしまう可能性もあります。
また、「社会福祉法人だから安心」「株式会社だから不安」といったイメージだけで決めてしまうことも避けたいところです。大切なのは、自分の目で見て、自分の価値観に合うかどうかを確かめることです。
見学で見ておきたいポイント
運営法人の特徴を踏まえたうえで、実際に園を見学する際には、次のような点に注目してみましょう。
まず、職員同士の関わり方です。声のかけ合いや、困っている職員への助け合いの様子など、日常の雰囲気は、職員同士の関係性を映し出します。
次に、子どもたちの様子です。のびのびと過ごしているか、保育士が子どもたちにどのように関わっているか、保育室の環境が整っているかなどは、園の保育への考え方が表れる部分です。
さらに、園長や主任の話し方や、質問への答え方も、園の姿勢を知るヒントになります。丁寧に答えてくれるか、現場の実情を率直に話してくれるかなど、コミュニケーションの取り方に目を向けてみましょう。
法人の方針や、複数の園を運営している場合の異動の考え方、研修の仕組みなどは、見学や面接の機会に確認しておくと安心です。
法人の情報を調べる方法
運営法人の情報は、法人のホームページや園のホームページ、求人票などで調べることができます。法人の理念や運営している事業、運営している園の数や沿革などを確認すると、法人の特徴が見えてきます。
また、自治体が公表している情報や、口コミなどを参考にする方法もあります。ただし、口コミは個人の感想であり、実際の状況と異なる場合もあるため、あくまで参考程度に受け止め、複数の情報源から総合的に判断することが大切です。
情報収集に不安がある場合や、園の内部事情が知りたい場合は、転職エージェントなどのサービスを通じて情報を集めるという方法もあります。
まとめ
保育園の運営法人には、社会福祉法人や株式会社など、さまざまな種類があり、それぞれに一般的な傾向の違いがあります。社会福祉法人は地域に根ざした長期的な運営、株式会社は企業ならではの仕組みや展開など、特徴が語られることはありますが、実際には法人ごと、園ごとの違いが大きいのが現実です。
法人の種類は、園を理解するための一つの手がかりにすぎません。それ以上に、「その園が大切にしている保育」「そこで働く職員の雰囲気」を、見学や面接を通じて自分の目で確かめることが大切です。イメージだけで判断せず、自分に合った職場を見つけてください。
保育士としての転職活動は、情報収集だけでなく、紹介会社選びにも悩みがつきものです。「保育のせかい」は、認可保育園・認定こども園を運営する社会福祉法人の理事長が監修し、保育士資格を持つ元保育士がアドバイザーを務めているため、現場目線でリアルな悩みに寄り添ったサポートが受けられます。「押しの強い営業対応に疲れた」「希望していない園を強く勧められて不安だった」という経験がある方にこそ、一度相談してみてほしいサービスです。完全無料で利用できるので、気軽に活用してみてください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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