「休みの希望を出したいけど、言い出しにくい」「他のスタッフとの兼ね合いが気になって、なかなか希望を伝えられない」——シフト制で働く保育士のなかには、こうした悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
保育の現場は、子どもたちの安全を守るために必要な人員配置が求められる職場です。だからこそ、自分の希望をどう伝えればよいのか、遠慮してしまう場面も少なくありません。今回は、保育士の勤務調整における希望の伝え方や、周囲との兼ね合いを踏まえた工夫について考えてみたいと思います。
勤務調整に悩む保育士は多い
保育園の多くはシフト制を採用しており、早番・遅番・中番といった勤務時間の違いに加え、土曜保育やお盆・年末年始の対応など、園によってさまざまな勤務パターンが存在します。プライベートの予定や体調、家庭の事情などに合わせて希望を出したいと思っても、「周りに迷惑をかけるのでは」「わがままだと思われないか」といった不安から、なかなか言い出せないという声はよく聞かれます。
特に、経験年数が浅いうちは、周囲に気を遣うあまり、自分の希望を後回しにしてしまう傾向が見られます。しかし、無理を重ねた働き方は長続きせず、結果として心身の負担につながってしまうこともあります。希望を伝えること自体は、決して悪いことではないという前提を持つことが、まず大切な一歩になります。
保育士のシフト制勤務の特徴
保育士のシフト勤務には、他業種とは異なる特徴があります。子どもたちの保育時間に合わせて、開所時間から閉所時間まで、複数の保育士が入れ替わりながら保育にあたる必要があるため、一人が抜けた分の穴を誰かがカバーしなければならない構造になっています。
そのため、「休みたい」という希望と、「人員を確保しなければならない」という園側の事情は、常に隣り合わせの関係にあります。この構造を理解した上で希望を伝えることで、伝え方そのものも工夫しやすくなります。
また、行事の時期や年度替わりなど、園全体が忙しくなるタイミングでは、通常以上に人員配置への配慮が求められます。こうした繁忙期を把握しておくことも、希望を伝えるタイミングを考えるうえで役立つ視点です。
希望を伝えるタイミングと伝え方
シフト希望を伝える際に意識したいのは、できるだけ早めに、余裕を持って伝えることです。直前になってから希望を伝えると、調整の余地が少なくなり、周囲に負担をかけてしまう可能性が高くなります。多くの園では、シフト希望を提出する締切が設けられているため、まずはその締切を把握し、早めに準備しておくことが基本になります。
伝え方についても、一方的に「休みたい」と伝えるのではなく、理由を簡潔に添えることで、受け取る側の理解を得やすくなります。もちろん、詳細な事情まで説明する必要はありませんが、「通院のため」「家庭の用事のため」といった一言があるだけで、印象は大きく変わるものです。
また、複数の候補日がある場合は、「この日が難しければ、この日でも大丈夫です」というように、代替案を添えて伝えることも効果的です。希望に幅を持たせることで、調整する側の負担を減らし、結果として希望が通りやすくなることもあります。
周囲との兼ね合いで意識したいこと
シフトは自分一人の都合だけで決まるものではなく、他のスタッフとの兼ね合いのなかで成り立っています。だからこそ、自分の希望を伝えるのと同時に、周囲への配慮も忘れないようにしたいところです。
例えば、繁忙期や大きな行事の直前など、園全体が人手を必要とするタイミングを把握した上で希望を出すことは、円滑な人間関係を保つ上でも役立ちます。どうしても外せない予定がある場合を除き、可能な範囲で繁忙期を避けて希望を出す配慮があると、周囲からの理解も得やすくなります。
また、他のスタッフの希望が重なった場合には、日頃からの関係性のなかで譲り合う姿勢も大切です。毎回自分の希望を優先してもらうのではなく、時にはお互いに調整し合う関係を築いておくことで、次に自分が希望を出すときにも協力してもらいやすくなります。
無理のない働き方を続けるための考え方
シフト希望を伝えることに苦手意識がある保育士のなかには、「自分さえ我慢すればいい」と考えてしまう人も少なくありません。しかし、無理を重ねた働き方は、長期的に見ると心身の負担となり、結果として保育の質にも影響を及ぼしかねません。
自分の希望を伝えることは、わがままではなく、長く働き続けるために必要な自己管理の一つだと捉えることが大切です。もちろん、周囲への配慮は欠かせませんが、必要な希望まで我慢してしまう必要はありません。
もし、希望がなかなか通らない状況が続いていたり、シフトに関して相談しにくい雰囲気があると感じたりする場合は、主任や園長など、上の立場の人に率直に相談してみることも一つの方法です。一人で抱え込まず、園全体で働きやすい体制を整えていく視点を持つことが、結果的に自分自身の働きやすさにもつながっていきます。
まとめ
シフト希望の伝え方に悩むことは、決して珍しいことではありません。保育の現場は人員配置への配慮が求められる職場だからこそ、早めのタイミングで、理由や代替案を添えながら希望を伝えるといった工夫が、周囲との円滑な関係を保つ助けになります。
同時に、自分の希望を伝えること自体は悪いことではないという意識を持つことも大切です。周囲への配慮と、自分自身の働きやすさ、その両方のバランスを取りながら、無理のない働き方を続けていってほしいと思います。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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