8月から10月にかけては、台風の接近や大雨による被害のニュースを目にする機会が増える季節です。保育園に子どもたちを預かる立場として、この時期になると「もしも」への備えについて改めて考える保育士も多いのではないでしょうか。
災害はいつ起こるか分からないからこそ、日頃からの心構えが大切になります。今回は、台風や自然災害のシーズンを前に、保育士として意識しておきたい防災の考え方について整理してみたいと思います。
なぜこの時期に防災を意識したいのか
日本では毎年、夏の終わりから秋にかけて台風が多く接近します。大雨や強風による被害に加え、近年は地震などの自然災害もいつ起こるか予測がつきません。子どもたちの命を預かる保育の現場では、こうした季節性のリスクを踏まえて、日頃から意識をアップデートしておくことが欠かせません。
防災というと、大がかりな準備や特別な訓練をイメージしがちですが、実際には日々の保育のなかでできる小さな心構えの積み重ねが土台になります。まずは「なぜ備えが必要なのか」を自分自身の言葉で理解しておくことが、いざというときの行動につながります。
保育園における防災の基本的な考え方
保育園での防災を考えるうえで大切なのは、「子どもたちは自分で判断して行動することが難しい」という前提です。大人であれば状況を見て自主的に避難行動を取れますが、乳幼児にとっては、保育士の指示や誘導がすべてになります。だからこそ、保育士自身が落ち着いて状況を判断し、子どもたちを安全に導く役割を担っているという意識を持つことが基本になります。
また、災害の種類によって取るべき行動が異なることも押さえておきたいポイントです。台風のように事前に接近が分かる災害と、地震のように突発的に発生する災害とでは、備え方も対応の仕方も変わってきます。それぞれの特性を理解した上で、日頃からどのような心構えを持っておくべきかを考えることが大切です。
保育士として日頃から意識しておきたい備え
具体的な対応マニュアルは園ごとに定められているものですが、保育士一人ひとりが日常的に意識しておきたい視点はいくつかあります。
まず、自分が働く園の避難経路や避難場所について、普段から把握しておくことです。実際に災害が起きたときに慌てないためには、頭の中で経路をイメージできている状態が理想です。定期的に行われる避難訓練は、形式的なものと捉えず、本番を想定して真剣に取り組む姿勢が大切です。
また、子どもたちの人数把握や点呼の重要性についても、日頃から意識しておきたいところです。災害時は普段以上に迅速な人数確認が求められます。日々の保育のなかで、子どもの人数を素早く正確に数える習慣をつけておくことは、いざというときに大きな意味を持ちます。
天候の変化にも敏感でありたいものです。台風が接近している時期は、天気予報や気象情報をこまめに確認する習慣を持つことで、園全体としての対応判断がスムーズになります。個人としても、通勤経路の状況や交通機関の運行情報を早めに確認しておくことは、自分自身の安全を守ることにもつながります。
災害時の子どもの不安への寄り添い方
災害への備えというと、避難経路や物資の確認といった物理的な準備に目が向きがちですが、子どもたちの心理面への配慮も忘れてはならない視点です。台風による強い雨風の音や、地震の揺れは、子どもたちにとって大きな恐怖を伴う体験です。
普段から、災害について子どもたちに分かりやすい言葉で伝えておくことは、いざというときの不安を和らげる助けになります。難しい説明をする必要はなく、「大きな音がしても、先生たちがちゃんと守るから大丈夫だよ」といった、安心感を与える言葉かけを心がけることが大切です。
実際に災害が起きた際には、保育士自身が動揺した様子を見せないことも重要なポイントです。子どもたちは大人の表情や声のトーンから状況を敏感に感じ取ります。内心では不安があっても、努めて落ち着いた声で話しかけることで、子どもたちの安心感につながります。
家庭との情報共有の大切さ
台風や災害時の対応は、園だけで完結するものではなく、保護者との連携があってこそ成り立ちます。荒天が予想される際の登園に関する考え方や、緊急時の連絡方法について、日頃から保護者と共通認識を持っておくことは、混乱を防ぐ上で重要です。
また、実際に災害が発生した際には、正確な情報を速やかに保護者に届けることが求められます。不確かな情報が広がることで、かえって保護者の不安を増幅させてしまうこともあるため、園としての情報発信のあり方についても、日頃から意識を共有しておきたいところです。
保育士一人ひとりが、保護者対応の窓口になる可能性があることを踏まえ、落ち着いた対応ができるよう心構えをしておくことも、防災意識の一部だといえるでしょう。
まとめ
台風や自然災害への備えは、特別なことではなく、日々の保育の延長線上にある取り組みです。避難経路の確認や人数把握といった基本的な行動から、子どもたちの不安に寄り添う言葉かけまで、保育士一人ひとりが意識できることは数多くあります。
災害はいつ起こるか分からないからこそ、「まだ大丈夫」ではなく、「今のうちにできることを」という視点を持つことが大切です。この時期をきっかけに、自分自身の防災意識を改めて見つめ直し、子どもたちの安全と安心を守るための心構えを整えていってほしいと思います。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.08.25
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