保育士として働くなかで、結婚や出産を機に「このまま保育士を続けていけるのだろうか」と将来について考える瞬間は、誰にでも訪れるものです。子どもの成長を支える仕事に誇りを持ちながらも、自分自身のライフステージが変わることで、働き方への不安や迷いが生まれるのは自然なことです。
今回は、結婚・出産後も保育士を続けていくために知っておきたい両立のリアルと、職場選びで意識したいポイントについて考えてみたいと思います。
ライフイベントを機に働き方を見直したい保育士へ
保育士という仕事は、体力的にも精神的にもエネルギーを要する仕事です。子どもたちと日々向き合いながら、行事の準備や書類業務、保護者対応までこなす毎日は、独身時代であれば気力で乗り切れていたことも、結婚生活や妊娠・出産を経ることで、これまでと同じようにはいかなくなる場面が出てきます。
だからといって、「保育士を続けることは難しい」と結論を急ぐ必要はありません。実際には、結婚や出産を経てからも保育士として長く活躍している人はたくさんいます。大切なのは、ライフステージの変化に合わせて働き方そのものを見直し、自分に合った形を探っていく視点を持つことです。
結婚・出産後に保育士を続ける人のリアル
結婚・出産後も保育士を続けている人たちの声を聞くと、共通しているのは「完璧を目指さない」という姿勢です。独身時代のように、行事の準備に何時間も残業をかけたり、休日に持ち帰り仕事をこなしたりすることが難しくなる分、限られた時間の中で優先順位をつけて仕事をこなす工夫をしている人が多く見られます。
また、自分自身が親になったことで、保護者の気持ちにより深く共感できるようになったという声も少なくありません。子どもの体調不良への対応や、朝の送り出しの慌ただしさなど、実体験として理解できることが増えることで、保護者対応の質が変わったと感じる保育士もいます。
一方で、子どもの急な発熱やお迎え要請などにより、周囲に気を遣う場面が増えることも事実です。職場の理解や協力体制があるかどうかは、両立を続けていく上で大きな影響を与える要素だといえるでしょう。
両立しやすい職場の特徴と見極め方
両立しながら長く働き続けるためには、職場選びの視点が重要になります。両立しやすい職場には、いくつかの共通した特徴があります。
まず、同じように子育てをしながら働いている保育士が複数在籍している職場は、お互いの状況を理解し合いやすく、急な休みにも対応してもらいやすい傾向があります。園内に「お互い様」という空気があるかどうかは、実際に働いてみないと分かりにくい部分もありますが、見学や面接の際の職員同士のやり取りから、ある程度感じ取れることもあります。
また、有給休暇の取得実績や、時短勤務・パート勤務といった働き方の選択肢が実際に用意されているかどうかも、確認しておきたいポイントです。制度としては存在していても、実際にはほとんど使われていないというケースもあるため、可能であれば実際の利用状況について具体的に聞いてみることをおすすめします。
さらに、人員配置に余裕がある職場かどうかも重要な視点です。ギリギリの人数で運営されている園では、一人が急に休むと他の職員への負担が大きくなり、結果として休みを取りづらい空気が生まれやすくなります。求人票だけでは分かりにくい部分ではありますが、見学時に現場の雰囲気を感じ取ることも大切です。
時短勤務・パート転換の選択肢
結婚・出産後の働き方として、フルタイムの正社員という形にこだわらず、時短勤務やパート勤務への転換を選択肢に入れることも、長く保育士を続けていくための一つの方法です。
時短勤務は、子どもの送り迎えや家事との両立をしながら、これまで培ってきた経験やキャリアを活かし続けられる働き方です。フルタイムに比べると担当できる業務の範囲が限られる場合もありますが、その分、心身の負担を抑えながら働き続けられるというメリットがあります。
パート勤務についても、保育士資格を活かしながら、勤務時間や勤務日数を柔軟に調整できる求人は関西エリアでも増えてきています。フルタイムでの復帰が難しいと感じる時期は、まずパート勤務からスタートし、子どもの成長や家庭の状況に合わせて、徐々に勤務時間を延ばしていくという道を選ぶ保育士も少なくありません。
大切なのは、「フルタイムで働けないなら保育士を続けられない」と考えるのではなく、その時々の状況に合わせて働き方を柔軟に変えていくという発想を持つことです。
職場選びで確認しておきたいこと
結婚・出産を見据えて転職や復職を考える際には、給与や勤務時間といった条件面だけでなく、以下のような点も確認しておくと安心です。
まず、園の職員構成として、実際に子育てをしながら働いている先輩保育士がどの程度いるかは、一つの目安になります。同じ立場の先輩がいる職場では、相談できる相手がいることで気持ちの面でも心強く感じられるはずです。
また、急な子どもの体調不良に対して、どの程度柔軟に対応してもらえる雰囲気があるかも重要です。制度上は有給休暇が取得できても、実際には取りにくい空気がある職場も存在します。面接の場で直接聞きにくい内容であれば、転職エージェントや求人サービスの担当者を通じて、園の実情について情報を集めるという方法も有効です。
そのほか、通勤時間についても見直しておきたいポイントの一つです。子どもの送り迎えと自分の出勤が重なる生活では、通勤時間の長さがそのまま日々の負担につながります。可能であれば、自宅や子どもの預け先から通いやすい距離にある職場を選ぶことも、両立を続けていく上で大きな助けになります。
まとめ
結婚や出産は、保育士としてのキャリアを終わらせるものではなく、これからの働き方を見つめ直すきっかけの一つです。これまでと全く同じようには働けなくなったとしても、働き方や職場を見直すことで、保育士として長く活躍し続けることは十分に可能です。
大切なのは、一人で抱え込まず、家族や職場の同僚、時には転職エージェントなど、周囲のサポートも上手に活用しながら、自分自身にとって無理のない働き方を模索していくことです。子どもたちの成長を見守る仕事に携わり続けたいという思いがあるなら、その気持ちを大切にしながら、自分らしい両立の形を見つけていってほしいと思います。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.08.19
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