運動会や発表会、遠足、個人面談。秋から冬にかけては、行事や業務が重なり、保育士にとって気の休まる暇がないほど慌ただしい時期です。年末が近づくにつれて、書類の整理や年間の振り返り、保護者へのお知らせなども増え、「気づけば毎日がバタバタで、自分のことは後回し」という状況になっていないでしょうか。
責任感の強い保育士ほど、「ここで頑張らなければ」と無理を重ねてしまいがちです。しかし、年末までの数か月を元気に走り切るためには、早めに自分のペースを整えておくことが大切です。今回は、11月のうちから意識しておきたい、心と体のペースの整え方を考えてみたいと思います。
行事が続いて疲れが出やすい時期
秋から年末にかけての時期は、1年のなかでも負担が大きくなりやすい時期です。
行事の準備や当日の運営では、普段の保育に加えて、製作や練習、保護者への案内などが重なります。行事が終わっても、片付けや振り返り、書類作成が待っていることも少なくありません。
また、気温が下がり、日照時間が短くなると、体調を崩しやすくなります。子どもたちの体調不良も増える時期であり、そのケアにも神経を使います。さらに、季節の変わり目で自分の体調管理が難しくなることもあります。
こうした要因が重なるため、気づかないうちに疲れが蓄積し、年末に近づいてから一気に疲れが表面化するケースも珍しくありません。「まだ大丈夫」と思っているうちから、少しずつ整えておくことが、後々の余裕につながります。
疲れのサインに気づく
まず大切なのは、自分の疲れのサインに気づくことです。忙しい毎日のなかでは、自分の状態を振り返る余裕がなくなりがちですが、次のような変化は、疲れが溜まっているサインかもしれません。
朝、起きるのがつらい、休日にも疲れが取れない、寝つきが悪い、食欲がない、あるいは食べすぎてしまう。こうした体の変化は、疲れが蓄積している目安になります。
気持ちの面では、些細なことでイライラしやすい、やる気が出ない、子どもの声がつらく感じる、仕事に行くのが憂うつ、といった変化に注意します。普段は気にならないことが気になったり、涙もろくなったりするのも、心が疲れているサインの一つです。
こうした変化に気づいたら、「頑張りが足りない」と自分を責めるのではなく、「少し休みが必要なのかもしれない」と受け止めることが大切です。サインに気づけることは、自分を守る第一歩です。
仕事の優先順位のつけ方
慌ただしい時期は、やるべきことが次々と押し寄せ、すべてを完璧にこなそうとすると、どうしても無理が生じます。そんなときこそ、仕事の優先順位を整理する視点が役立ちます。
まず、やるべきことを書き出してみましょう。頭のなかだけで考えていると、不安が膨らんでしまいますが、紙やメモに書き出すと、全体の量が見えて、気持ちが整理されます。
次に、「期限が近いもの」「子どもたちや保護者に直接関わるもの」「自分しかできないもの」を優先的に取り組むようにします。反対に、後回しにできるものや、ほかの人と分担できるものは、無理に抱え込まず、調整する方法を考えます。
また、「完璧を目指さず、60点で十分」と考えられる業務もあります。製作の飾りつけや書類のレイアウトなど、必要以上に時間をかけているものがないかを振り返ってみましょう。必要な品質を保ちながら、効率的に進める工夫が、負担軽減につながります。
同僚と助け合うコツ
忙しい時期を乗り切るうえで、同僚との助け合いは大きな支えです。ただ、「みんな忙しそうだから、頼みにくい」と感じる人も少なくありません。
まず、困りごとや忙しさを、早めに共有することです。「今、書類がたまっていて」と一言伝えるだけでも、周りが気づいてくれることがあります。限界まで我慢してから相談するよりも、早めに伝えるほうが、助けてもらいやすくなります。
頼みごとをするときは、具体的に伝えるのがポイントです。「手伝ってもらえますか」だけでなく、「この製作の準備を、少しお願いできますか」というように、内容を具体的にすると、相手も動きやすくなります。
また、頼るだけでなく、自分にできる範囲で、周りを助ける姿勢も大切です。お互いに助け合う雰囲気ができると、忙しい時期でも、職場が前向きな空気になります。
休日の過ごし方・睡眠
心と体のペースを整えるうえで、休日の過ごし方と睡眠は欠かせない要素です。
休日は、「何かしなければ」と予定を詰め込みすぎず、しっかり休む時間を確保することが大切です。体を休めることも、立派な休日の使い方です。
もちろん、趣味や好きなことを楽しんだり、友人や家族と過ごしたりして、気分転換をすることも、心のリフレッシュにつながります。自分にとって、「気持ちが回復する」と感じられる過ごし方を見つけておくと、疲れが溜まったときに役立ちます。
睡眠も、疲れを回復する基本です。仕事が忙しいと睡眠時間を削りがちですが、睡眠不足が続くと、心身のバランスが崩れやすくなります。寝る前のスマートフォンの使い方を見直したり、湯船につかって体を温めたりと、よく眠れる環境づくりを意識してみましょう。
食事も大切です。忙しいと食事が簡単になりがちですが、温かいものを口にしたり、意識して栄養を摂ったりするだけでも、体の調子が整いやすくなります。
持ち帰り仕事・残業との付き合い方
忙しい時期には、持ち帰り仕事や残業が増えがちです。しかし、仕事とプライベートの境目がなくなると、心身を休める時間が減ってしまいます。
まず、業務時間内にできることを工夫する視点を持ちましょう。午睡の時間や、子どもたちが落ち着いている時間帯を活用して、書類作成を進めるなど、時間の使い方を見直すと、負担が減ることもあります。
また、持ち帰り仕事が常態化している場合は、一人で抱え込まず、上司や同僚に相談することも大切です。業務の分担や進め方を見直すことで、状況が改善することもあります。
「仕事が終わらないのは、自分の力不足」と考える必要はありません。業務量が多いこと自体が課題である場合も多いため、周囲と状況を共有しながら、解決策を探っていきましょう。
年末年始に向けた気持ちの整え方
年末が近づくと、「もう少しで休める」という気持ちが支えになる一方で、「年内にやらなければならないこと」が気になり、焦りを感じることもあります。
そんなときは、年内にやるべきことと、年明けに回せることを整理してみましょう。すべてを年内に終わらせようとせず、優先順位をつけて、無理のない計画を立てることが大切です。
また、年末年始の休みの過ごし方を、今から少し想像しておくのもおすすめです。「ゆっくり眠る」「家族と過ごす」「好きなところへ出かける」など、楽しみを思い描くことで、年末までの気持ちが前向きになります。
もし、「今の働き方を続けていくのが難しい」と感じる状況が続くのであれば、職場の環境や働き方を見直すことも、一つの選択肢です。まずは信頼できる人に相談してみましょう。
まとめ
秋から年末にかけての時期は、行事や業務が重なり、心身に疲れが溜まりやすい時期です。疲れのサインに早めに気づき、優先順位を整理し、同僚と助け合いながら、無理のないペースで進めていくことが大切です。
休日にしっかり休み、睡眠や食事を意識することも、年末までを元気に過ごすための土台になります。完璧を目指しすぎず、自分を労わりながら、年末までの時間を、少しでも穏やかに過ごしてください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.10.26
2026.10.27





















