保育士の業務のなかでも、多くの時間を要する書類作成の一つが、週案や月案といった指導計画です。「毎回何を書けばいいのか悩んでしまう」「気づけば作成に何時間もかかっている」という声は、経験年数を問わず多くの保育士から聞かれます。
今回は、指導計画の作成にかかる時間を少しでも短縮するための考え方や工夫について整理してみたいと思います。
書類作成に追われていないか
指導計画は、子どもたちの発達段階やねらいを踏まえて、日々の保育の方向性を示す大切な書類です。しかし、その重要性ゆえに、丁寧に作り込もうとするあまり、作成そのものに多くの時間がかかってしまうことも少なくありません。
特に、月案や週案は定期的に作成が求められるものであるため、その都度一から内容を考えようとすると、業務全体を圧迫してしまう原因にもなります。行事の準備や日々の保育記録と並行して取り組まなければならない時期には、指導計画の作成が後回しになり、結果として締め切り直前にまとめて時間を取られてしまうという悪循環に陥ることもあるでしょう。
まずは、「毎回すべてを新しく考えなければならない」という思い込みを見直すことが、時間短縮の第一歩になります。
指導計画に時間がかかる理由
指導計画の作成に時間がかかる背景には、いくつかの要因があります。一つは、ねらいや内容の文言を毎回一から考えようとすることです。似たような活動であっても、表現を変えなければならないと感じてしまい、言葉選びに時間を費やしてしまうケースは少なくありません。
また、子ども一人ひとりの様子を丁寧に反映させようとするあまり、情報を詰め込みすぎてしまうことも時間がかかる要因の一つです。もちろん個々の様子を踏まえることは大切ですが、すべての情報を書き切ろうとすると、まとめる作業に多くの時間を要してしまいます。
さらに、フォーマットそのものが定まっておらず、書くたびに構成から考え直しているケースもあります。土台となる型がないまま毎回作成していると、内容を整理する段階から時間がかかってしまうのは自然なことだといえます。
書く前に整理しておきたい視点
指導計画をスムーズに作成するためには、書き始める前の準備段階を大切にすることがポイントです。まず、その期間の子どもたちの様子や、直近の保育のなかで感じたことを簡単に書き出しておくことで、いざ計画を立てる際の材料を整理しやすくなります。
また、大きな行事の予定や、季節ごとに取り入れたい活動をあらかじめ把握しておくことも役立ちます。年間を通じた大枠の流れを頭に入れておくことで、月案や週案を作成する際に、ゼロから内容を考える必要がなくなり、スムーズに肉付けしていくことができます。
書く前の段階で「今回のねらいは何か」を一言でまとめておく習慣も効果的です。ねらいが明確になっていれば、それに沿った活動内容を考えやすくなり、文章としてまとめる際の迷いも少なくなります。
使い回せるフォーマットの活用法
指導計画の作成時間を短縮する上で特に効果的なのが、自分なりのフォーマットを整えておくことです。毎回一からレイアウトや構成を考えるのではなく、基本となる型を用意しておき、そこに内容を当てはめていく形にすることで、作成にかかる時間を大幅に減らすことができます。
過去に作成した指導計画のなかから、よくできたと感じるものを参考にしながら、自分なりのテンプレートを作っておくことも一つの方法です。季節ごとの活動例や、よく使う言い回しをストックしておくことで、似たような時期の計画を立てる際に活用しやすくなります。
また、園によっては共通のフォーマットが用意されている場合もあります。そうした場合は、フォーマットの意図や記入のポイントを早い段階でしっかり理解しておくことで、迷いなく作成を進められるようになります。分からない部分は、先輩や主任に早めに確認しておくことも、時間短縮につながる工夫の一つです。
完璧を求めすぎない書き方
指導計画の作成に時間がかかってしまう保育士のなかには、完璧な文章を書こうとするあまり、何度も書き直しを重ねてしまうケースも見られます。もちろん、丁寧に作成することは大切ですが、必要以上に文言にこだわりすぎると、その分時間がかかってしまいます。
まずは大まかな構成と内容を一通り書き出し、その後で細かい表現を整えるという順序を意識するだけでも、作成のスピードは変わってきます。最初から完璧を目指すのではなく、下書きの段階では「伝えたいことを漏れなく書き出す」ことを優先し、仕上げの段階で文章を整えるという二段階の進め方が効果的です。
また、指導計画は一度作成して終わりではなく、実際の保育の様子を踏まえて振り返り、次の計画に活かしていくものです。完璧を目指しすぎず、「今できる最善のもの」を作成するという意識を持つことも、時間的な負担を減らす上で大切な考え方です。
チームで情報を共有しながら作成する
指導計画の作成は、個人だけで抱え込む必要はありません。同じ学年やクラスを担当する保育士同士で、子どもたちの様子や次に取り入れたい活動について情報を共有しながら進めることで、一人で考える負担を減らすことができます。
また、他の保育士が作成した指導計画を参考にすることも、時間短縮に役立つ方法です。表現の仕方や構成の工夫など、他の人の書き方から学べる点は多くあります。指導計画の作成をチームでの学び合いの機会として捉えることで、個人のスキルアップにもつながっていきます。
デジタルツールを活用した作成の効率化
近年は、指導計画の作成をICTシステム上で行う園も増えてきています。パソコンやタブレットで作成することで、過去の計画を参照しながら編集できたり、よく使う文言を登録しておいたりと、手書きに比べて効率化できる部分が多くあります。
こうしたツールを活用する際は、単に手書きの内容をそのまま入力するだけでなく、システムの機能を積極的に使いこなす意識を持つことが大切です。例えば、過去の同時期の計画をコピーして必要な部分だけを修正する、よく使う表現を定型文として登録しておくといった工夫を重ねることで、作成にかかる時間をさらに短縮することができます。
作成した計画を振り返り、次に活かす
指導計画は作成して終わりではなく、実際の保育を通じてどうだったかを振り返り、次の計画に活かしていくことで、その価値がより高まります。振り返りの際には、うまくいった活動や、子どもたちの反応が良かった工夫を簡単にメモしておくと、次に似た内容の計画を立てる際の参考になります。
こうした振り返りを積み重ねていくことで、次第に自分なりの「使える引き出し」が増えていき、指導計画の作成そのものがスムーズになっていきます。短期的な時間短縮の工夫と合わせて、長期的な視点での積み重ねも意識してみると、負担の軽減につながっていくはずです。
まとめ
指導計画の作成にかかる時間は、事前の準備やフォーマットの活用によって、大きく短縮することができます。書く前にねらいや材料を整理しておくこと、自分なりのテンプレートを持っておくこと、そして完璧を求めすぎずに二段階で作成を進めることが、負担を減らすための基本になります。
指導計画は、子どもたちの成長を見据えた大切な書類である一方、作成そのものに追われすぎては本末転倒です。無理のない範囲で工夫を重ねながら、効率よく、かつ丁寧な計画作成を続けていってほしいと思います。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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