10月に入ると、朝晩の冷え込みが徐々に強まり、衣替えの時期を迎える園も多くなります。大人であれば気温に合わせて自分で衣服を調整できますが、乳幼児はまだ体温調節の機能が未発達であり、周囲の大人による配慮が欠かせません。
今回は、衣替えの時期に意識しておきたい子どもの体温調節と、保育室の環境づくりについて考えてみたいと思います。
気温が下がり始める10月、何を見直すべきか
10月は、夏服から秋冬服へと切り替わる節目の時期です。しかし、日によって気温差が大きく、「今日は暑かったのに翌日は肌寒い」という変化が続くことも珍しくありません。こうした時期は、大人でも体調管理が難しく感じられますが、子どもたちにとってはなおさらです。
衣替えというと、単に衣服を入れ替える作業として捉えられがちですが、実際には、気温の変化に応じて子どもたちの体温調節をどうサポートするかという視点を持つことが大切です。保育室の環境も含めて、この時期ならではの見直しポイントを整理しておきましょう。
子どもの体温調節機能の未発達さを理解する
乳幼児は、大人に比べて体温調節機能が未発達であり、外気温の影響を受けやすい体の仕組みを持っています。また、体に対して体表面積の割合が大きいため、熱の放散や吸収が大人よりも早く、気温の変化に敏感に反応してしまう傾向があります。
さらに、自分自身の体感温度をうまく言葉で伝えられない年齢の子どもも多く、「暑い」「寒い」と感じていても、それをうまく表現できないことがあります。だからこそ、保育士が子どもたちの様子を観察し、代わりに気づいてあげる視点を持つことが重要になります。
顔の赤み、汗のかき方、手足の冷たさなど、言葉にならないサインから体温の状態を読み取る意識を持つことが、この時期の体調管理には欠かせません。特に、首の後ろや背中に触れてみることで、衣服の中にこもった熱や汗の状態を確認することができます。手足が冷たく感じられても、体幹部分が温かければ問題ない場合もあるため、一箇所だけで判断せず、複数の部位を確認する習慣を持つことが望ましいでしょう。
衣服での調整がしやすい服装の工夫
衣替えの時期には、気温の変化に対応しやすい服装を意識することが大切です。一枚で調整するよりも、脱ぎ着しやすい重ね着を取り入れることで、気温の変化に合わせて柔軟に対応できるようになります。
薄手のカーディガンやベストなど、着脱が簡単な上着を活用することで、朝の肌寒さと日中の気温上昇の両方に対応しやすくなります。保護者にも、こうした重ね着の工夫について伝えておくことで、家庭と園の両方で一貫した服装の準備がしやすくなります。
また、活動量の多い時間帯には汗をかきやすいため、着替えのタイミングについても意識しておきたいところです。汗をかいたまま薄着で過ごすと、体が冷えて体調を崩す原因になることもあるため、活動後のこまめな着替えを習慣づけることが大切です。
園庭遊びや散歩などの屋外活動の前後では、特に衣服の調整を意識したい場面です。外に出る前は一枚多く羽織らせ、体を動かして温まってきたら脱がせるというように、活動の流れに合わせて柔軟に対応することで、汗冷えや体温の急激な変化を防ぐことができます。
保育室の室温・換気の見直し
朝の受け入れ時や、活動の切り替わるタイミングでは、特に体温の変化が起こりやすいものです。登園直後は汗ばんでいても、室内で落ち着いて過ごすうちに体が冷えてくることもあるため、時間帯ごとに様子を確認する習慣を持っておくと安心です。
気温が下がり始めると、保育室の室温管理にも気を配る必要があります。エアコンや暖房を使用する際は、室内と屋外との温度差が大きくなりすぎないよう調整することが望ましい対応です。急激な温度差は、子どもたちの体に負担をかけ、体調を崩す原因にもなりかねません。
また、気温が下がってくると窓を閉め切りがちになりますが、換気を怠ると室内の空気がこもり、感染症のリスクが高まる要因にもなります。適度な換気を意識的に行うことで、快適な室温を保ちながら、空気の入れ替えも両立させることができます。
床に近い場所で過ごすことの多い乳児クラスでは、特に足元の冷えに配慮することも大切です。床からの冷気が直接子どもたちに伝わりやすいため、必要に応じてラグやマットを活用するなど、環境面での工夫を取り入れるとよいでしょう。
保護者への衣服準備の呼びかけ方
衣替えの時期は、保護者に対しても、季節に応じた衣服準備への協力をお願いするタイミングです。連絡帳やお便りを通じて、重ね着のしやすい服装や、着替えの枚数について具体的に伝えることで、家庭での準備もスムーズになります。
伝え方としては、一方的に「用意してください」と伝えるのではなく、「気温の変化が大きい時期なので、脱ぎ着しやすい服装があると便利です」というように、理由を添えて伝えることで、保護者にも納得感を持って協力してもらいやすくなります。
園によっては、衣服の色や形について一定の決まりがある場合もあります。衣替えのタイミングで、こうした園のルールについても改めて周知しておくと、保護者側も準備がしやすくなります。急な気温変化への備えとして、予備の衣類を多めに園に置いておいてもらうよう呼びかけることも、この時期ならではの工夫の一つです。
また、
名前の記入や、サイズが合っているかどうかの確認についても、この時期にあわせてお願いしておくと、衣替えのタイミングでまとめて見直してもらいやすくなります。
寝具・タオル類の見直しも忘れずに
衣替えというと衣服の切り替えに意識が向きがちですが、お昼寝時に使用する寝具やタオル類についても、この時期に見直しておきたいポイントです。夏用の薄い寝具のままでは、気温が下がる時期には肌寒さを感じてしまうことがあります。
園によって対応はさまざまですが、季節に応じた掛け布団やタオルケットへの切り替えについて、保護者と早めに共通認識を持っておくことで、お昼寝の時間も快適に過ごせるようになります。子どもによっては、睡眠中に布団を蹴ってしまうこともあるため、保育士が定期的に様子を確認し、体が冷えすぎていないかをチェックする習慣も大切です。
午睡用の衣服についても、夏場の薄手のパジャマのままでは肌寒く感じる時期です。長袖の寝間着への切り替えを呼びかけるなど、お昼寝時の服装にも目を向けておくと、より丁寧な体調管理につながります。
個人差に配慮した対応を心がける
気温への感じ方や体温調節の様子には、子どもによって個人差があることも理解しておきたいポイントです。同じ室温のなかでも、汗をかきやすい子どもと、冷えを感じやすい子どもが混在していることは珍しくありません。
クラス全体で一律の対応をするのではなく、一人ひとりの様子を観察しながら、必要に応じて個別に声をかけたり、衣服の調整を促したりする姿勢が大切です。保護者から伝えられている体質的な情報があれば、それも踏まえながら、きめ細やかな対応を心がけていきたいところです。
まとめ
衣替えの時期は、子どもたちの体温調節機能の未発達さを踏まえ、服装と保育室環境の両面から配慮を重ねることが大切です。重ね着のしやすい服装を心がけること、室温や換気を適切に管理すること、そして保護者と協力しながら準備を進めることが、この時期を健やかに過ごすための基本になります。
気温の変化が大きい季節だからこそ、子どもたちの小さなサインを見逃さず、丁寧な体調管理を続けていってほしいと思います。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.10.04
2026.10.05





















