保育業界では人手不足化が進んでおり、保育士の数が足りなくなっている背景には、辞める人がいてすぐに人材を確保できない職場が増えていることが考えられます。
退職する保育士が増えてくると、離職率にも影響を及ぼします。
保育士に興味や目指している人にとって、あまりにも離職率が高ければ、長続きしないんじゃないかと考える人もいるのではないでしょうか。
全ての職場で人材が不足していたり、働き辛かったりするわけではないので、保育業界全体に悪いイメージを持つなど極端には考えないようにしましょう。
今回は、保育士の離職率を全国平均と比較や、3年は続けるべきかや主な退職理由などについてお伝えしていきます。
Contents
保育士の離職率は高い?
保育士の離職率は、他の職業や全国平均と比較すると高くはない状況です。
ただし、保育業界で人手不足に陥っている現状を考えると、需要と供給のバランスが取れていないと言えます。
保育士の仕事をネガティブな理由で、退職する人もたくさんいますから、離職率はそこまで高くないにしても、多くの職場で離職によるダメージを受けているでしょう。
1度辞めても、保育士資格や経験があれば、カムバックはしやすい職業ですので、復職は不可能ではありません。
例えば、昔は正社員として働いていたけれど、退職してしまった人もいるはずです。
再度復帰を考えている場合、今度はパートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員など非正規社員になって働くという選択肢もできます。
保育士の仕事はブランク期間があっても、比較的柔軟な働き方が可能です。
あまりにもブランク期間があったら、採用されても即戦力としての実力を発揮できなかったり、職員が自分よりも年上が多くなったりして働き辛くなる恐れもあります。
ブランク期間を空けすぎるのは、自分を苦しめることになりかねませんので、気をつけた方が良いでしょう。
保育士の離職率を全国平均と比較!
保育士の離職率は厚生労働省のデータによると、保育士全体の離職率は約9.3%で日本の平均離職率15.0%よりも低いです。
退職する主な原因としては、仕事量の多さや責任に見合った評価や報酬が得られない、人間関係の問題や体力的な負担、長時間労働などが挙げられます。
また、保育士の離職率は、公立と私立で異なり、私立保育園の方が高い傾向にあります。
給料の安定性や福利厚生の充実度、職場環境の差がその主な要因です。
また、経験が浅い新人保育士の離職率が高く、保育業界全体の人材育成にも影響を及ぼしています。
保育士不足になっている職場もあり、結果として待機児童問題や保育の質の低下に繋がる可能性があります。
保育士が働きやすい環境を整えることは、保育の質を高め、子ども達の成長と発育を支えるために不可欠です。
保育士としての働きやすさを追求することは、潜在保育士や待機児童問題の解決にも関係してくるでしょう。
働きやすい環境が整えられることが、保育士だけではなく、子ども達にとっても良質な保育の提供に繋がります。
保育士の離職率に関連する記事はこちら⇒保育士のストライキは多い?一斉退職問題やその理由!園のその後について
保育士の離職率で3年と5年の平均は?
保育士で3年目や5年目に辞めたいと感じる人もいます。
3年目は仕事に慣れてきた頃に新たな課題やストレスが増えるため、辞めたいと感じることが多いようです。
5年目になるとキャリアの見直しや将来を考える時期に差し掛かかるので、他の職業への転職を考える保育士もいます。
保育士の離職率は、3年以内で約24.9%、5年以内で42.2%だとされています。
保育士の3年目や5年目は、保育業務にも慣れてきた頃で人によっては、ベテラン保育士と遜色ないレベルで仕事ができる人もいるでしょう。
やっと仕事に慣れてきた頃に辞められるのは、多くの職場で痛手になるはずです。
保育士の離職率を抑えるためには、職場側が不満や要望を適切に把握して、改善に努める必要があります。
保育士の離職率を高める主な退職理由
保育士の離職率を高める主な、退職理由をお伝えしていきます。
人間関係
保育士の離職理由の一つに人間関係の問題があります。
職場の人間関係が悪いと、ストレスが溜まりやすくなり、退職に繋がります。
保育園は女性が多い職場です。
職場によっては、閉鎖的な環境でのストレスや派閥、噂話などが原因で人間関係が悪化するところもあります。
賃金の低さ
保育士の退職理由として多いのが賃金の低さです。
保育士の仕事は責任が重く、体力的にも厳しいため賃金が低いと感じると、他の職業に転職することを考える保育士が多いです。
給料は他の職業に比べて低く、特に私立保育園では給料や待遇に大きなバラつきがあります。
体力的な問題
保育士の仕事は体力的に厳しいことが多く、長時間の労働や重労働が原因で離職するケースもあります。
子ども達の世話やイベント行事の準備、デスクワークなど、肉体的にも精神的にも負担が大きいです。
仕事量が多い時期には、体力的な負担が増えるので疲労困憊して、続けていくのが厳しいと感じる保育士もいます。
保育士は3年は続けるべき?
保育士の仕事は国家資格を取得していなければ、基本的に正社員として働けませんから、誰でも簡単に務まるわけではありません。
石の上にも3年という言葉があるように、3年間位の時間が仕事の基礎や流れを把握するために望ましいでしょう。
プロフェッショナルと言えるほど、成長できる可能性は難しいかもしれませんが、3年も保育士経験があれば、色々なことがわかり視野が広がっているはずです。
転職する際にも3年間位の期間を1つの職場で、頑張って働いた経験は有利に働くでしょう。
求人募集をしている職場によって、3年間の保育士経験を粘り強い、逆に3年間しか経験が無いのかと捉えるのかは異なりますが、絶対に不利という期間でもありません。
しかし、勤め先がかなりブラックな環境下であれば、我慢し続けてると疲労困憊になって、体調不良を引き起こす恐れがあります。
ブラックな職場は、長続きしにくいので早めに、もっと良い労働環境や待遇のところを見つけて、転職するのが良いでしょう。
保育士の離職率が低い保育園の特徴
離職率が低い保育園にはいくつかの特徴があります。
・給与や待遇面が良い
・残業が少ない
・休みが多く取りやすい
・福利厚生が充実している
・職場の雰囲気や人間関係が良好
上記の条件は、保育士が長く働き続けるための重要なことです。
保育士の離職率を低下させるためには、保育園や保育施設だけではなく地方自治体や国も巻き込み、社会全体での取り組みが必要です。
具体的には、適正な人員配置や労働条件の改善、賃金の見直し、職場環境の改善、研修やキャリアアップの支援などが挙げられます。
まとめ
保育園側は保育士が長く働ける環境を整えることで、離職率の低下に努める必要があります。
保育士自身も自分に合った職場を見つけることが、長期的なキャリア形成に繋がります。
保育士を目指している人は、単に離職率だけを見て良し悪しを判断するのではなく、情報収集や職場見学などを行い多角的に見るようにした方が良いです。
保育士が安心して長く働ける環境を作り出すために、国や地方自治体も努力してます。
徐々にではありますが、社会全体で色々と改善に取り組んでいます。
今後は、保育士の置かれている環境が、居心地が良くなるようになっていく可能性はあるでしょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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