労働者が経営者に対して行うストライキは、しばしば発生しています。
保育士をしている人のなかにも、ストライキを決行する人がいるのをご存知でしょうか。
特に、数年前に全国的に流行った病原菌の影響で、保育業界では人手不足が進んだり、労働環境や待遇面が問題視されたりなどが、ストライキの原因になっているとされています。
一時期は、ニュースでも保育士のストライキ問題がピックアップされています。
保育士の人数が足りない状況や、賃金の低さ、労働環境の悪化などは、昔から保育業界の課題であり、国や職場は改善に努めていますが、なかなか難しいのが現状です。
今回は、保育士のストライキは多いのかや、一斉退職問題とその理由、園のその後などについてお伝えしていきます。
Contents
保育士のストライキ問題
保育士のストライキが増えてきたのは、数年前の病原菌が流行った頃に、多くの職場が休業せざるを得ない状況が関係しています。
なぜ、保育士が職場を休業することが、ストライキ問題に繋がるのかと言いますと、保育士のなかには労働組合に入って労働相談をする人も少なくありません。
休業中の労働相談で多かった意見が、休業補償が十分に支払われていないというものです。
保育士のなかには、状況を打開するためにストライキという手段を、選ぶ人もいたという背景があります。
ストライキは経営者に対して、集団で交渉したり意見を伝えたりするため、1人で行うわけではありません。
保育士がストライキを決行してしまうと、職場だけではなく保護者や子ども達にも大きな影響が出ますから、簡単にできるものではないですし良心が痛むこともあるでしょう。
しかし、保育士がやり甲斐を感じて働けなくなると、子どもや保護者に対して高い保育の質を確保できませんから、ストライキを起こすことで、改善を目指そうとする人もいます。
保育士のストライキは多い?
保育士によるストライキの決行は、単独で行うわけではなく大人数になるため、簡単にできるものではありません。
個々の不平不満が限界を超えて、我慢ができなくなった時に集団でのストライキという形になるので、実際に行動を起こすまでには多くの時間を要するものです。
保育業界でストライキが多発していては、多くの保育士が働く機会が失われるだけではなく、子どもや保護者への混乱を招いて、連日のようにニュースになったりして大問題に発展するでしょう。
連日のようにニュースになったり、問題視されたりしていない状況ですので、全くストライキが起きていないわけではないですが、多いとは言えません。
保育士のストライキは何日もあるの?
保育士のストライキは数日から数週間にわたることがあり、その期間はストライキの理由や交渉の進行状況によって異なります。
ストライキの期間は、保育士達が求める改善が実現されるまで続くことが多いです。
ストライキの主な原因は、給与の低さ、人員不足、労働条件の厳しさなどがあります。
集団で経営者に交渉するので、個々でそれ以外にも別の思いを持っている人もいるでしょう。
主なストライキの原因となるのは、上記でお伝えしたものになります。
いきなり集団で動くのではなく、多くは保育士達の間で不満が徐々に溜まっていき、最終的にはストライキという形で表面化します。
保育士と経営者の間で何かしらの改善が図られる場合がありますが、一方で保育園の評判に悪影響を及ぼす可能性も否めません。
保育士のストライキによる一斉退職問題
保育士のストライキによる一斉退職問題とは、保育士達が職場の環境や待遇に対する不満から、集団で退職を決意する事態を指します。
保育士が一斉に退職してしまうと、保育の質が低下して、子ども達や保護者に大きな影響を与えます。
例えば、保育士の一斉退職が起こると、子ども達を悲しませたり不安がらせたりや、保護者も子どもを預けられなくて、仕事を休まざるを得なくなったりする恐れがあるなどです。
このように、保育士のストライキは単なる労働問題を超え、子ども達や保護者の未来に直接的な影響を及ぼしてしまうので、多くの人達を巻き込んでしまうのです。
働きやすい職場もたくさんありますが、広い視野で見ると労働者のストライキ問題は保育業界だけではなく、社会全体が直面している課題でもあるでしょう。
保育士のストライキが起こる理由
保育士のストライキが起こる理由をお伝えしていきます。
色々なハラスメント行為
保育士達が経験するハラスメントは、職場環境を悪化させる大きな要因となり、ストライキに繋がる恐れもあります。
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなど、多岐にわたるハラスメント行為があります。
例えば、保育士によっては職場でのパワハラやモラハラが原因で、精神的に追い詰められる人もいるでしょう。
色々なハラスメント行為は、保育士の精神的負担を増大させ、職場でのストレスを高めることに繋がります。
職場の労働環境や待遇の悪化
職場の労働環境や待遇の悪化は、昔から保育士の職業では問題視されていますが、ストライキにも関係しています。
例えば、低賃金や長時間労働、持ち帰り仕事が多いなどです。
適切な労働条件になっていない職場は、保育士のストライキや一斉退職へと繋がる原因の1つとなっています。
国や自治体は保育士の待遇改善に向けて、処遇改善加算などの制度を導入していますが、まだまだすぐに改善させるのは難しいです。
人間関係の悪化
保育園は女性が多い職場ですから、派閥やグループが形成されやすい傾向にあります。
職場内の人間関係が悪化しているところもあり、保育士がストライキを起こす原因になっています。
例えば、噂話や悪口が広がったり、コミュニケーション不足や対立したり、孤立感を抱いたりなどが人間関係を悪化させる要因です。
人材不足
保育士不足は日本全国で深刻な問題となっており、特に若手の人材が不足しがちです。
保育士不足によって一人当たりの業務負担が増加し、過労やストレスが溜まりやすくなって、ストライキを起こす引き金になる場合もあります。
少子高齢化による労働力の減少や、非正規雇用の増加が人材不足を加速させています。
保育士のストライキが起きた後の保育園のその後について
ストライキが発生した後の保育園では、様々な対応が求められます。
園側は保育士の要求に応じる場合、給与の改善や労働条件の見直し、人員の増員の対策を検討するなど、改善に向けて取り組むでしょう。
しかし、ストライキが長引くと、保護者や子ども達にも影響を及ぼし、保育園の評判に悪影響を与えかねません。
一部の保育園では、ストライキ後に保育士の一斉退職が発生することもあり、保育園が経営危機に陥る恐れもあるのです。
保育士の待遇や労働環境の改善は、質の高い保育サービスを提供し続けるために不可欠です。
保育園側は、保育士とのコミュニケーションを密にして、不平不満に気づける環境を作ることも、ストライキを防ぐためには欠かせません。
まとめ
ストライキ問題は、保育士だけではなく多くの労働者にとっても関係してくるため、社会全体に影響を及ぼすものです。
保育士達が安心して働ける環境を整えることが、子ども達の成長と保護者の安心に直結します。
特定の職場だけの問題にしていては、保育業界全体は変わっていかないでしょう。
保育士の労働に対する様々な問題は、社会全体での取り組みが求められているのではないでしょうか。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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