労働者の権利の1つとして、職場を退職した後にハローワークで必要な申請手続きを行うことで失業手当の受給があります。
受給条件が決められており短期間での離職になると、失業手当が受け取れないので注意が必要です。
失業保険の受給は、自己都合退職と会社都合退職の2パターンあります。
失業手当を貰うために自己都合退職と、会社都合退職のどちらが良いのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
今回は、失業手当をもらうには自己都合と会社都合で違うのかや、何回も受給OKなのかと転職に成功することも大切なことなどについて解説していきます。
Contents
失業手当をもらうには自己都合と会社都合で違う?
失業手当を貰うためには、まず勤め先の職場を退職している必要があります。
そして、失業している人の全員が受給対象となるわけではありません。
退職前の職場で雇用保険に加入していて、一定の条件を満たす人のみが受給対象になります。
失業手当の受給条件は、自己都合退職か会社都合退職かによって下記のような違いがあります。
待機期間
前職で雇用保険に加入していた離職者は、ハローワークに失業手当を受け取るための申請手続きを行います。
申請手続きが終わるとまずは待機期間が設けられているので、問題無く終わらせなければいけません。
待機期間中にハローワーク側が本当に離職しているのかや、雇用保険の加入の有無などを事実確認します。
失業保険の受給条件として、待機期間は自己都合退職と会社都合退職のどちらとも7日間と設定されています。
給付期間
自己都合退職と会社都合退職のどちらとも、7日間の待機期間が終わると次に失業手当の受給になります。
自己都合退職の場合は、待機期間終了後に2ヶ月間の給付制限期間が設けられています。
給付制限期間が終わらないと失業手当が受け取れないのです。
一方で、会社都合退職の場合は給付制限期間は設けられていませんので、待機期間が終わるとすぐに失業手当の支給開始になります。
失業保険の給付期間の長さは、自己都合退職と会社都合退職のそれぞれ、雇用保険に入っている期間の長さによって変わってきます。
給付日数
自己都合退職の給付日数は、雇用保険の加入期間の日にちによって90日~150日間の幅があります。
失業手当の給付日数は、会社都合退職の方が自己都合退職よりも最長の日数は増える可能性があります。
会社都合退職の給付日数も、雇用保険に入っている期間の長さにより90日~330日と変わってくるので、長く受給したい人は会社都合退職での離職がベストです。
ただし、失業手当をもらうには4週間に1度、ハローワークに行って失業の認定をしてもらう必要があります。
職場を離職したら失業保険はハローワークが勝手に、申請手続きをしてくれるだろうと思う人もいるかもしれません。
しかしながら、自分で失業手当をもらうには行動する必要があるのです。
受給金額
自己都合退職と会社都合退職のどちらとも、失業手当の受給金額は「給付日数×基本手当日額」で決定されます。
個々によって、年齢や雇用保険の加入期間の長さ、退職前に貰っていた給料などに違いがあるでしょう。
いくら位の失業手当を受給できるのかは、上記の条件によって異なるのですが目安の受給金額は離職時の給料の約5割~8割とされています。
基本手当日額は失業手当の1日の給付金額です。
基本手当日額 =賃金日額(離職前の6ヶ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)
上記の計算方法によって、雇用保険の加入者が離職してハローワークで必要な申請手続きを終えると基本手当日額が決まります。
【失業手当の受給例】
例えば、28歳の会社員で月給30万円貰っていた人が、6年間職場に勤務していたけれど会社都合退職したケースを紹介します。
賃金日額 = 30万円☓6ヶ月÷180=約10000円
基本手当日額=賃金日額×給付率(50~80%)=約6036円
受給金額=基本手当日額×給付日数=6036円×120日=724320円
上記のように、28歳の会社員で月給30万円貰っていた人が、雇用保険に6年間加入期間があって会社都合退職したケースでは失業保険を約72万円受け取れる計算になります。
失業手当に関連する記事はこちら⇒失業手当は手取り20万ならいくら位貰える?受給中の仕事はOK?
失業手当をもらうには自己都合の条件とは?
失業手当を離職者がもらうには、自己都合退職か会社都合退職のどちらかを選択しなければいけません。
とは言え、勤務先を退職する時に勝手に離職票に記載する離職理由を、自己都合か会社都合かを書いて良いわけではありません。
勤め先と相談しながら、どちらになるのかを決める必要があります。
失業手当をもらうには、雇用保険の加入期間が1年以上必要です。
雇用保険に入っている期間が1年未満では、失業手当の給付日数が0日となり受給の対象者ではなくなるため注意が必要です。
一般的な自己都合退職
自己都合退職した場合、一般的な自己都合者と特定理由離職者に分けられます。
一般的な自己都合退職は一般被保険者です。
自分の意思で勤務先を退職した人が当てはまります。
一般的な自己都合退職の失業手当の受給条件は、求職活動を真面目に行っているけれど採用までには至らず失業状態にある人です。
他にも前職を退職した日から前の2年間で、12ヶ月以上を雇用保険に入っていることが受給条件として決められています。
特定理由離職者(自己都合退職)
自己都合退職のもう1つは、特定理由離職者になります。
特定理由離職者に該当するためには、下記のような理由の証明が必要になります。
・出産や子育てに専念する必要があり離職した人
・体力の衰えなど、身体やメンタルの不調の理由によって離職した人
・通勤のことで諸事情が色々あり離職した人
・家族や身内の介護など家庭の事情があり退職した人
・企業整備で人員整理等に伴う退職勧奨などに手を挙げて離職した人
・有期労働契約の更新を希望したが、認められず離職した人
・配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になり離職した人
特定理由離職者とは、自ら望まない正当な理由がある場合に認定されるものです。
自己都合退職者でこの特定理由離職者に認定されると、一般的な自己都合退職と比べて、失業保険の給付日数が延長されます。
特定理由離職者の失業手当の受給条件は、求職活動を真面目に行っているけれど採用までには至らず失業状態にある人です。
他にも前職を退職した日から前の1年間で、6ヶ月以上を雇用保険に入っていることが受給条件として決められています。
失業手当をもらうには会社都合の条件とは?
失業手当をもらうには会社都合の条件を解説していきます。
特定受給資格者(会社都合退職)
会社都合退職をした人が失業保険の対象者となる場合は、特定受給資格者と呼ばれています。
失業手当の受給条件は、特定理由離職者と同じになりますが受給資格の内容は緩く設定されています。
具体的には給付日数や給付制限などについて、色々と緩和措置が取られているのです。
特定受給資格者が失業手当をもらうには、求職活動を真面目に行っているけれど採用までには至らず失業状態にある人です。
他にも前職を退職した日から前の1年間で、6ヶ月以上を雇用保険に入っていることが受給条件として決められています。
失業手当が気になる人のなかには、世間体を考えると会社都合退職は能力不足や、何か大きな失態を犯してしまったイメージを周囲から持たれるのではと不安になるかもしれません。
確かに、働き手に問題があったから解雇される人もいますが、例えば、会社の業績が低迷していて人件費削減のために従業員をクビにするなどの理由もあります。
失業手当をもらうには解雇の場合の条件とは?
会社都合退職は、上記でお伝えしたように労働者に問題があって解雇せざるを得ない理由があったり、逆に労働者側には責任が無かったりするケースもあります。
そのため、職場を解雇になった人も会社都合退職者として扱われます。
自己都合退職と違う点として、会社都合退職の場合は自分の意思とは関係なく急に職場から辞めて欲しいと伝えられる可能性があるということです。
自己都合退職をする人は、勤め先を退職するタイミングや転職活動を行う時期をある程度、計画を立てて行いやすいでしょう。
一方で会社都合退職は、急に仕事を失うこともあるので次の転職先にスムーズに入社できなければ、生活費や転職活動の費用が膨れ上がり、失業手当だけの受給では間に合わない恐れがあります。
失業手当をもらうには自己都合と会社都合はどっちが良い?
上記で失業手当をもらうには、自己都合退職と会社都合退職とでは色々な違いがあることをお伝えしてきました。
失業保険の待機期間や支給期間の違いもあれば、受給資格も異なることがわかりましたね。
では、失業手当をもらうには自己都合と会社都合は、どっちが良いのか考える人もいるはずです。
雇用保険の加入期間で、自己都合退職者は職場を退職する以前の2年間で雇用保険の加入期間が通算12ヵ月以上でなければ失業手当の受給ができません。
会社都合退職者は雇用保険の加入期間が離職する前の1年間で、通算6ヵ月以上であれば失業保険の受給が可能です。
雇用保険の加入期間の長さを考えると、自己都合退職よりも会社都合退職の方が短くてすみます。
他にも、失業手当をもらうには待機期間は自己都合退職と会社都合退職のどちらも7日間必要ですが、給付制限が会社都合退職は設定されていないので早く受給できます。
上記のように、自己都合退職と会社都合退職を比較すると色々な緩和措置がある会社都合退職で失業手当を受給した方が、優遇されていると感じる人は多いのではないでしょうか。
失業手当をもらうには自己都合から会社都合に変更できる?
職場に不平不満があって退職すると、辞め方について揉める可能性があります。
例えば、自己都合退職で職場を辞めるようになっていたのに、急に会社都合退職に変更してくれと頼んでしまうと不信感を持たれてしまうでしょう。
職場によっては離職者が一度、自己都合退職に納得していたのに、会社都合退職に変更は怪しまれてしまう恐れがあります。
最悪の場合は失業保険を早く受け取りたいから、会社都合退職にしたいのではと思われてしまいます。
貯金がたくさんある人は自己都合退職扱いで、失業手当を受け取る申請手続きをハローワークで余裕をもってできるかもしれません。
しかしながら、金銭的な余裕が無い人は自己都合退職での失業保険の受給になると、待機期間や給付制限などで受け取れない期間が発生してしまうと生活が一気に困窮する恐れがあります。
職場を会社都合退職で辞めたい人は、円満退社を目指して双方で話し合って会社都合退職にしてもらえるように動くことが大切です。
失業手当をもらうには再就職を繰り返して何回も受給OKか解説
失業手当をもらうには、前職での雇用保険の加入期間の長さが重要なことをお伝えしました。
自己都合退職と会社都合退職とでは、それぞれ加入期間に違いがありますが再就職を行いすぐに退職した場合は失業保険は受け取れません。
そのため、再就職を繰り返して失業手当をもらうには、雇用保険の加入期間をクリアすることが求められます。
例えば、再就職をして数日で退職した場合、失業保険の対象者にはならないので注意が必要です。
失業手当をもらうには離職が必要だが転職に成功することも大切
職場を退職して失業状態では、他に収入源を確保していないと求職中は精神的に安定しにくいですよね。
失業手当が受給できれば、生活費に充てることができるためある程度は、金銭的な負担を軽減できます。
さらに、貯金をたくさんしていると当面の間はお金の不安はあまり無いかもしれませんが、確実に貯金は減っていきます。
万が一、転職活動が長引けば生活に余裕が無くなり恐怖心が出てくる恐れがあるので、失業手当だけを当てにするのはおすすめしません。
早め早めの行動が大切になるので、転職活動を効率良く勧めるために転職エージェントを活用するのがおすすめです。
まとめ
失業手当をもらうには、自己都合退職と会社都合退職の2パターンの受給資格があることをお伝えしてきました。
それぞれ、受給に関することに違いがありますが見方によっては、会社都合退職の方が魅力的に感じる人もいるのではないでしょうか。
労働者が勤め先を退職する際は、職場と話し合って円満退社を目指した方が後々のトラブルを避けられるのでベストです。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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