昔から、保育士は女性が就く職業という認識がある日本ですが、女性と男性では賃金に差がありました。
そのため、保育士の職業は年収を低く押さえられてきた傾向があります。
保育士は、子どもの命を預かる大変責任が重い仕事です。
しかしながら、ただお子様と遊んだり生活のサポートをしてあげるだけで、お金を稼げて楽そうという声もあるので誤解している人もいます。
保育士の給料について国は定期的に見直しを行っているので、賃金問題について全く放置されているわけではありません。
今回は、保育士の年代が低い現状と理由や、高収入が得られる働き場所はあるのかなどについて紹介していきます。
Contents
保育士の年収が低いのはなぜ?
保育士不足が解消されない原因の1つに、給料の安さがあります。
子供の成長を支え生活に必要なイロハを、教えていくという素晴らしい職業なのですが仕事量と責任の重さが見合ってないという問題があります。
そして、保育士は昔から女性のなり手が多かったため、給与が押さえられてきたと言われています。
今でこそ、男性の保育士は増えてきましたが、それでも働いている比率は女性の方がまだまだ多いです。
給料が低いと言うことは、年収も低くなってしまいますよね。
周りから見ると、保育士の仕事は子育てをしている母親と同じ様に、子どもの世話をしているだけだから、子供がいる母親なら誰でもやっていることだろうと思われがちです。
実は、子どもの身の回りのサポートだけではなく、保育士は他にもやることがたくさんありますから頭も体力も使います。
しかしながら、やろうと思えばできそうだと思う人が、世の中にはけっこうな割合を占めているのでしょう。
そのような影響も少なからず、保育士の年収が低いことに関係していると考えられます。
その他にも、以下のようなことが保育士が低賃金になってしまう理由としてあります。
制度
保育園の事業者が、自由に職員の給与を決めれるわけではありません。
私立保育園の場合、国や地方自治体から補助金が捻出されているのと、子ども達のママやパパからいただく保育料が職員の給料に反映されます。
園児一人あたりの保育料は、公定価格の制度で一律化されており、園側の希望は通らないような仕組みになっています。
公定価格の制度とは、保育園を運営するにあたり、国が決めた必要な費用のことです。
公立保育園の場合は、公務員保育士となり給与は地方自治体の規定によります。
保育園に勤める保育士の賃金は、園の業績は関係が無いですから年収が低い水準のままですと、処遇改善されない限り大幅に増えたり減ったりはしません。
運営費
保育園の運営費は、事業者が出しているわけではなく国や地方自治体からの補助金と、保護者からの保育料が出されています。
保育士の年収が低い原因として、運営費を多くして人件費を運営費の50%以下におさえているところが増えてきているので、結果的に職員の給与が押さえられてしまいます。
質の高い保育業務を行うためには、人件費をもっとかけるべきだと言われていますが簡単ではありません。
保育士不足の現状、保育施設や園側は、もっと人材採用に力を入れたいと考えているところもあるでしょう。
しかし、人件費をあまりかけられないので、人員削減しているところが増えているのです。
保育の歴史
女性の活躍が多い保育士の仕事は、育児の延長という考え方をする人がたくさんいるので、子どもがいる母親なら誰でもできるのではという認識が広まっていました。
そのようなイメージを持たれているため、年収が低いのは妥当だろうと考えられているのですね。
実際は、多くの知識・スキルが必要な専門性が求められる職業なので、誰でも簡単に務まるものではありません。
保育士の仕事のイメージが変われば、軽視している人達の見方も180度変わって賃金水準に良い影響を及ぼす可能性はあるでしょう。
保育士に関連する記事はこちら⇒保育士は年収1000万円可能?その事実について解説!
保育士の平均年収は?
保育士は、保育の専門知識が必要な職業で国家資格を取得しないとなれません。
資格大国の日本ですから、国家資格を持つ保育士の給料は高いのではと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、他の資格職と比べても平均年収は高くはありません。
保育士の平均年収は、税金を含めますと正社員、ボーナスありの職場で360万円程だと言われています。
働き方によって給料に差が出てしまいます。
正社員より待遇が低くなってしまう、派遣・アルバイト・パート・契約社員は、保育園や保育施設から雇用されている保育士はもっと年収が低くなってしまうのです。
私立
保育士の平均年収は、私立保育園、公立保育園であまり差はありません。
私立保育園の正社員の平均年収は、所得税や社会保険料などの税金を含めて考えますと360万円位が一般的です。
色々引かれた後の手取り額で月の給料を算出しますと、月収20万円位になります。
公立
公立保育園で働く保育士の平均年収は、私立園よりも若干高い位で同様に360万円台と統計データが出ています。
公務員保育士として働くことになり、キャリアアップして主任保育士や施設長などの役職に昇格できれば、私立保育園よりも給料が上がる傾向があります。
役職手当がつくようになると、平均年収の大幅アップが期待できますが実力や運も必要になるでしょう。
保育士の年収は年々改善傾向にある
保育士の年収は、他の国家資格職と比べて賃金水準が低いですが年々改善傾向にあります。
とは言え、一度の処遇改善で何十万円も年収がアップはしません。
私立保育園に勤める保育士よりも、公立保育園で働く保育士の方が長く勤めると賃金が大幅にアップする傾向があります。
これは、公立園の保育士は公務員ですから昇給率が高く、有給休暇や産休・育休なども私立園よりきっちりとれるので色々な手当を含めるとかなり給与の差が広がるからです。
また、国は2022年2月~2022年9月までの約8ヶ月間にわたって、処遇改善措置を行いました。
これにより、保育業務に携わっている人達の月収が約9000円上がり、少なからず年収アップに効果がありました。
処遇改善措置は、今回が初めてではありません。
昔から定期的に実施されており、杭は保育士の平均年収の底上げを徐々に行っています。
保育士で年収が高い働き場所はあるの?
保育士として働くのなら、向上心がある人ほど高収入を得られる職場に勤めたいと思っている人は多いのではないでしょうか。
保育業界では、保育士不足が取り沙汰されていますが、人手が足りない保育施設や保育園に就職しても給与が高くなるわけではありません。
むしろ、職場に不満があって退職する人が何人もいるから、人手不足になっている恐れもあります。
そのような職場は、もしかしたら待遇が良くないからなのかもしれません。
また、キャリアアップして年収をあげようと思っていても、勤続年数が長いベテランの保育士が何人も勤めているところは、昇格し辛い傾向があります。
役職者に選任されやすいのは、やはりベテランの保育士ですので、上が詰まっている状態になりやすいのです。
保育士として、年収が低いままなのが嫌な人は、年収が高い働き場所を探すのも良いでしょう。
高収入が得られる保育士の働き場所として、病院の中にある院内保育園、企業内の企業内保育所、夜勤手当があるところなどがあります。
保育士年収低いのまとめ
保育士の平均年収は、私立保育園、公立保育園のどちらともあまり差は無く360万円位だと言われています。
国家資格職の中でも、保育士の給与は低いとされているのですが、国は定期的に処遇改善策を実施したりで年々改善傾向です。
田舎の保育施設や保育園よりも、東京都など都会の働き場所の方が平均年収の水準は高いので、地域によっても若干の違いがあります。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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