保育士として転職を考える際、
「履歴書をどう書けば印象が良いのかわからない」
と悩む方は多いでしょう。
履歴書は、保育園や幼稚園の採用担当者が最初に目を通す書類であり、書き方一つで評価が左右される可能性があります。実際、数多くの保育士を面接してきた採用担当者からは「履歴書の書き方が不十分で、優秀な人を取りこぼしてしまう場合がある」との声も聞かれます。
本記事では、保育士の履歴書作成で押さえておきたい基本ルールや、左右ページの具体的な書き方について詳しく解説します。面接を行う側の視点を交えながら、例文も交えて丁寧にポイントを紹介するので、これから転職活動を始める保育士の方はぜひ参考にしてください。
Contents
履歴書を書く際の基本的なルール
履歴書は採用担当者が最初に手に取る書類です。記載内容や書き方に気を配ることで、信頼感や意欲をアピールしやすくなります。
応募先ごとに作成する
同じ保育園に複数回応募するわけでなければ、履歴書は使い回しせず、応募先ごとに作成しましょう。保育園ごとに保育方針や求める人材像が違うため、それに合わせて志望動機などを微調整すると効果的です。
作成は手書きとパソコンどちらでも問題ない
どちらか一方が絶対に有利というわけではありません。手書きは丁寧さや温かみが伝わりやすく、パソコン作成は読みやすさと効率の面で有利です。パソコンで作成する場合、フォントの種類・サイズを統一し、レイアウトに乱れがないかチェックしましょう。
空欄は作らない
プロフィール欄や経歴欄に空欄が目立つと、やる気のなさや注意不足を疑われることがあります。
特に「職歴なし」の場合でも「なし」と記入するのが基本です。本人希望欄が空白のままの場合も、応募先は「何か書き忘れているのでは?」と感じる可能性があります。
年号の表記は統一する
「平成」「令和」「2024年」など、年号表記を混在させるのは避けましょう。西暦か元号かを決めたら、すべて統一することで履歴書が整理された印象になります。
書き言葉の敬称は「貴〇」で統一する
応募先の名称を指す際は「貴園」「貴社」などを使い、履歴書全体の敬語表現を整えましょう。文体が一致していると、相手への配慮が感じられ、印象を良くできます。
履歴書を書く前に準備するもの
履歴書作成のプロセスをスムーズに進めるためには、事前に必要な材料を用意しておくことが大切です。
履歴書
市販の履歴書やダウンロードしたテンプレートなど、フォーマットはさまざまです。可能であれば、職務経歴や自己PRを書ける欄が十分にあるフォーマットを選ぶのがおすすめです。
ボールペン・万年筆
手書きの場合、黒の油性ボールペンや万年筆を使用しましょう。消せるボールペンは、インクが薄くなったり消える可能性があるため不適です。文字が読みやすい濃さや太さのペンを選ぶと良いです。
証明写真
履歴書の顔写真は応募先に好印象を与えるかどうかに影響します。清潔感のある身だしなみが重要です。
【マナー違反に該当する証明写真の例】
- 大きく露出した服装
- 背景に柄が入っている
- 写真サイズが指定より大きすぎる or 小さすぎる
- ピンボケや汚れが目立つ
【左面】保育士の履歴書の書き方
履歴書は左面と右面で書く内容が異なります。左面では主に個人情報や経歴をまとめる部分が多いです。
①日付
応募書類を提出する日付を記載します。基本的にはポスト投函日や面接日の当日に合わせましょう。
②氏名
読みやすい大きさで、フルネームを丁寧に書きます。ふりがなが必要な場合、見本に合わせて平仮名または片仮名で統一します。
③生年月日
年号表記は元号か西暦かを履歴書全体で統一します。数字は省略せず「昭和◯◯年◯月◯日」や「1990年◯月◯日」のように書きましょう。
④住所
現住所と連絡先の住所が異なる場合は、明確に区別して記載します。マンション名や部屋番号を省略せず正確に書きます。
⑤電話番号
固定電話と携帯番号を両方持っている場合は、連絡が取りやすいほうを優先して記載します。市外局番やハイフンを正しく入れると読みやすいです。
⑥写真
貼る位置の枠に合わせて証明写真を貼ります。のりが剥がれないように丁寧に貼りましょう。
裏面に氏名を書いておくと紛失したときに便利です。
⑦学歴
年代順に学校名を記載し、「入学」「卒業」のワードを省略せず書きます。最終学歴の1つ前の学歴などは必要かどうか、フォーマットや欄の広さに応じて調整してください。
⑧職歴
保育士として働いた園や他職種の経験がある場合も、時系列で記載します。退職・契約終了などの理由は簡潔に「一身上の都合」「契約満了」などと書くのが一般的です。
【右面】保育士の履歴書の書き方
右面では、免許・資格や志望動機、本人希望などを記入する欄が多いです。
ここでの記入内容がアピールポイントにもなるため、しっかりと作り込みましょう。
①免許・資格
取得した保育士資格や幼稚園教諭免許状などを記載します。順番は取得した時系列でOKですが、保育関連の資格を上段に書くとわかりやすいです。
②志望動機・自己PR
職務経歴書で詳しくアピールする場合でも、履歴書にも要点をまとめて書きましょう。応募先の保育理念や方針に共感した理由や、自身の保育観との関連性を盛り込むと説得力が高まります。
③本人希望欄・その他
待遇面や勤務地、勤務開始時期など、特別な希望があれば記載します。ただし、「特になし」と書くだけではなく、本当に希望がない場合も「貴園の規定に従います」など前向きな文言を使うと印象が良いです。
④通勤時間
通勤時間は採用後の勤務シフトなどに影響するため、公共交通機関や自家用車を使う場合は正確に算出しましょう。
⑤扶養・配偶者
家族の状況によって勤務形態が制限される場合があるため、正直に記入します。特に扶養内で働きたい場合は、応募先が対応可能かどうかも確認しておくとスムーズです。
履歴書を書く際に気をつけたいポイント
保育園や幼稚園に応募する際、書類選考で履歴書をじっくりチェックされることは少なくありません。
志望動機や自己PRを含め、以下のポイントを押さえて書くことが大切です。
応募した保育園の保育理念を事前に調べる
公式サイトやパンフレットなどを通じて、応募先の保育理念や教育方針を理解しましょう。志望動機を書く際に「どこに共感したのか」「自分の保育観とどのように合致するのか」を示すと、高い評価を得やすいです。
前向きかつ説得力のある志望動機にする
「給与が高いから」や「家から近いから」だけでは、採用担当者の印象に残りません。
保育士としてのキャリアをどう築きたいのか、応募先でどのような成長を望むのか、具体的な言葉で書きましょう。
応募した保育園で自身の経験やスキルをどう活かせるか志望動機に記載する
たとえば「行事運営でリーダー経験がある」「リトミックを指導できる」など、具体的なスキルを挙げて、それが応募先のプログラムにどのように活かせるかを説明することで、即戦力としてのアピールが可能です。
将来の目標をふまえた志望動機にする
「保育士としてどんな園を作りたいか」「キャリアアップを通じて子どもの成長にどう貢献したいか」などの将来ビジョンを盛り込むと、意欲や長期的な貢献を期待してもらえます。
【パターン別】志望動機の例文
履歴書の志望動機欄には、自分の経験や応募先とのつながりを短い文章で的確に示すことが大切です。
以下、3つのパターンに分けて例文を紹介します。
応募した保育園の特徴を取り入れた志望動機
「貴園が行っている『自然体験保育』に共感し、子どもが自然の中で学ぶ大切さを実践できる環境を探しておりました。私も野外活動に力を入れており、これまでの経験を活かして子どもたちの成長をサポートしたいと考えております。」
自分の強みや経験を取り入れた志望動機
「前職ではリーダーとして行事の企画運営を担当し、子どもたちに達成感を味わってもらう工夫に力を入れました。貴園では行事を通じた総合的な教育に力を入れていると伺い、これまでのリーダー経験を活かして子どもたちの成長をさらに支援したいと思っております。」
ブランクがある場合の志望動機
「出産・育児のために数年間現場を離れていましたが、子育てを通じて改めて子どもが成長していく姿に喜びを感じています。ブランク期間にも保育関連の勉強を続けてきたため、貴園で即戦力として子どもたちに寄り添う保育を行いたいと考えております。」
履歴書に関するよくある質問
保育士の転職活動で履歴書を作成する際、しばしば疑問に思われるポイントをQ&A形式でまとめました。
履歴書はどの種類がよい?
「JIS規格」「オリジナルフォーマット」などがありますが、特に指定がなければJIS規格をベースにした書式で問題ありません。
保育士向けに職務内容や志望動機をしっかり書けるスペースがあるものを選ぶと良いです。
履歴書はどこで購入する?
文具店やコンビニ、100円ショップなどで手軽に入手できます。また、インターネットでダウンロードしたテンプレートを印刷して使用する方法も一般的です。
履歴書の用紙サイズはA4?B5?
企業や園ごとに特に指定がない場合、A4サイズが読みやすく保管しやすいのでおすすめです。B5サイズでも問題ありませんが、志望動機や自己PRを書くスペースが狭くなるかもしれません。
履歴書の印刷はどこでできる?
自宅にプリンタがない場合は、コンビニのネットプリントサービスや公共施設のコピー機などで印刷可能です。鮮明な印字を得るには、コンビニの高解像度プリンターを利用すると便利です。
履歴書の提出方法は?
履歴書の提出方法には、主に「メール」と「郵送」の2通りがあります。
メールで送る場合は、履歴書をPDF化して添付するのが一般的です。ファイル名は「履歴書_氏名.pdf」など、内容が一目でわかるように整理しておきましょう。また、メール本文には応募する職種名や自身の連絡先を明記し、丁寧な文章で送信することが大切です。
郵送で送る場合は、履歴書を折らずに送れるサイズの封筒(A4またはB5)を使用し、添え状(送付状)を同封するのがマナーです。封筒の表面には、赤字で「履歴書在中」と朱書きし、相手に内容が伝わるようにします。郵送前には、誤字脱字や書類の不足がないか、必ず再確認しましょう。
履歴書はポイントを押さえることで自分の魅力をしっかり訴求できる
保育士の履歴書作成では、基本的なルールや書き方のポイントを押さえることで、採用担当者に自分の魅力をしっかりと伝えられます。
特に、志望動機や自己PRは限られた文字数でいかに説得力を持たせられるかが鍵です。
保育のせかいの監修者を務める森は、これまでに200名以上の保育士を実際に面接し、履歴書を細かくチェックしてきた経験があります。求職者が意識せずに見落としている箇所や、採用側が強く注目するポイントを熟知しており、そのノウハウを本記事に盛り込んでいます。
転職を成功させるには、履歴書が第一印象を左右する重要な書類であることを常に念頭に置き、きちんと整合性のある情報を記入することが大切です。
もし保育士としてのキャリアに迷いや不安があるなら、保育のせかいで紹介している他の記事や情報も、ぜひ活用してみてください。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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