
保育士への転職を検討する際、自身の最終学歴で資格が取得できるのか不安に感じる場面は少なくありません。
資格取得には、養成施設の卒業や国家試験への合格といった流れがありますが、それぞれの要件は細かく定められています。
本記事では、学歴別の受験資格や東京都のデータに基づく取得割合、資格がない場合の具体的な対処法を解説します。
自分に合った方法を見つけ、納得のいくキャリア選択にお役立てください。
Contents
保育士資格を取得するために必要な学歴とは
保育士として働くためには国家資格が必要であり、取得ルートは大きく2つに分かれます。
自身の学歴や現在の状況に合わせて、最適な方法を選択することが求められます。
- 養成施設を卒業して資格を取得する方法
- 保育士試験に合格して資格を取得する方法
どちらを選ぶかによって、必要な期間や費用、学習スタイルが大きく異なります。
参考資料:厚生労働省「保育士になるには?」
養成施設を卒業して資格を取得する方法
指定保育士養成施設を卒業することは、試験を受けずに資格を取得できる確実なルートです。
厚生労働大臣が指定する大学や短期大学、専門学校などの養成施設で所定の課程を修了し卒業すれば、保育士資格が得られます。
この方法の最大の利点は、国家試験を受験する必要がないため、日々の学習や実習に集中できることです。
学校での学びを通じて実習経験を積めるため、現場に出た際の実践力が身につきやすいという特徴もあります。
一般的には日中の通学が必要な場合が多いですが、夜間部や通信課程を設けている学校もあります。
保育士試験に合格して資格を取得する方法
保育士試験に合格して資格を取得する方法は、社会人や主婦からの転職で多く選ばれているルートです。
自身の最終学歴や実務経験などの受験資格を満たしていれば、養成施設に通わずに独学や通信講座で合格を目指せます。
この方法のメリットは、現在の仕事を続けながら自分のペースで学習を進められる点にあります。
養成施設に通う場合と比較して、費用を大幅に抑えられることも大きな魅力です。
一方で、筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があり、合格率は例年25パーセント前後と決して高くはないため、計画的な学習が不可欠です。
参考資料:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和6年度)」
学歴別に見る保育士試験の受験資格
保育士試験を受けるためには、定められた受験資格を満たさなければいけません。
最終学歴によって条件が異なるため、自分がどの区分に該当するかを正確に確認することが重要です。
学歴ごとの受験資格の目安について、以下3つを解説します。
- 短大・大学・専門学校卒などの目安
- 最終学歴が高卒の方
- 最終学歴が中卒の方
それぞれの学歴において求められる条件を理解し、受験に向けた準備を整えましょう。
参考資料:保育士試験の受験資格認定について – 大阪府
参考資料:令和7年度大阪市職員(保育士)採用試験要綱
短大・大学・専門学校卒などの目安
学校教育法に基づいた大学や短期大学、専門学校を卒業している場合、基本的に保育士試験の受験資格があります。
保育とは関係のない学部や学科を卒業していても受験が認められるため、異業種からの転職を目指す多くの人に門戸が開かれています。
ただし、専門学校卒の場合は、修業年限が2年以上であることやその他の要件を満たす必要があるため注意が必要です。
在学中であっても一定の単位を取得している場合や、卒業見込みの状態であれば受験できるケースもあります。
最終学歴が高卒の方
最終学歴が高等学校卒業の場合、卒業した年度によって受験資格の有無が異なります。
平成3年3月31日以前に高校を卒業している方は、保育科などの専門学科に限らず受験資格が認められます。
一方、平成3年4月1日以降に卒業した方の場合は、高校卒業に加えて2年以上かつ2880時間以上の児童福祉施設などでの実務経験が必要です。
高校の保育科を、平成8年3月31日以前に卒業している場合は特例として受験資格があるなど、細かな規定が存在します。
まずは卒業証明書で卒業年月日を確認し、実務経験が必要かどうかを判断することが求められます。
最終学歴が中卒の方
最終学歴が中学校卒業の場合でも、一定の実務経験を積むことで保育士試験の受験資格を得ることが可能です。
具体的には、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設などで、5年以上かつ7200時間以上の実務経験が必要となります。
この要件を満たしたうえで、都道府県知事の認定を受ける手続きを経ることで受験が可能になります。
ハードルは高いものの、保育補助として現場で働きながら経験を積み、資格取得を目指すことは十分に可能です。
東京都福祉局のデータで見る保育士資格の取得ルートの割合
実際に保育士として働いている人が、どのようなルートで資格を取得したのかを知ることは参考になります。
東京都の調査結果からは、養成施設卒業者と試験合格者のバランスが見えてきます。
- 養成施設(大学・短大・専門など)での取得割合
- 国家試験による取得者の割合
それぞれ見ていきましょう。
参考資料:東京都福祉局「東京都保育士実態調査 結果の概要」
専門実践教育訓練給付制度などを活用すれば、経済的な負担を軽減できる場合もあります。
中卒でも保育士になれる?必要な実務経験の目安
最終学歴が中卒であっても、所定の実務経験を積むことで保育士試験の受験資格を得ることは可能です。
養成施設(大学・短大・専門など)での取得割合
東京都福祉局が公表している実態調査の結果によると、指定保育士養成施設での資格取得者は全体の56.4パーセントを占めています。
半数以上が大学や短大、専門学校を卒業して資格を得ていることになり、依然として主流のルートであることが分かります。
とくに新卒採用においては、養成施設卒業者が多くを占める傾向です。
学校で体系的に学んだ知識や実習での経験は、就職後の即戦力として評価されやすい側面があります。
養成施設ルートは、基礎から学びたい人や、実習を通じて現場の雰囲気を知っておきたい人に適しています。
国家試験による取得者の割合
同調査によると、保育士試験に合格して資格を取得した人の割合は43.5パーセントとなっています。
全体の約4割強が試験ルートで資格を得ており、この数字は社会人経験者や主婦層からの参入が多いことを示唆するものです。
以前に比べて試験ルートの割合は増加傾向にあり、多様なバックグラウンドを持つ人材が保育現場で活躍していることが分かります。
試験合格者は、異業種での経験や社会人としてのスキルを強みとして持っていることが多く、現場に新しい視点をもたらす存在として期待されています。
保育士の受験資格がないといわれたときの対処法
自身の学歴や経歴だけでは受験資格を満たさない場合でも、あきらめる必要はありません。
いくつかの方法を組み合わせることで、受験資格を得る道が開ける可能性があります。
- 受験資格認定を申請する
- 実務経験を満たす職場で働く
- 養成施設で学び直す
詳しく見ていきましょう。
受験資格認定を申請する
受験資格の要件が複雑で判断が難しい場合や、特定の条件を満たすことで受験が可能になる場合は、受験資格認定を申請する手続きがあります。
都道府県知事に対して認定申請を行い、自身の経歴や実務経験が受験資格に相当すると認められれば、受験が可能になります。
たとえば、認可外保育施設での勤務経験などが対象となる場合がありますが、自治体によって認定基準や手続きの方法が異なるため注意が必要です。
まずは居住地の都道府県や試験事務センターに問い合わせ、自身の状況が認定の対象になるかどうかを詳しく確認し、必要な書類を準備して申請を行いましょう。
実務経験を満たす職場で働く
現在の学歴で受験資格がない場合、もっとも現実的な方法は、対象となる施設で実務経験を積むことです。
児童福祉施設や認可外保育施設などで保育補助として働き、規定の年数と時間を満たすことで受験資格が得られます。
この方法のメリットは、現場での実践経験を積みながら資格取得を目指せることです。
働きながら収入を得られるため、経済的な不安を軽減しながら学習を継続できます。
勤務先が実務経験の対象施設として認められるかどうかを事前に確認し、雇用形態や勤務時間が要件を満たすように調整することが肝心です。
養成施設で学び直す
時間と費用をかけられるのであれば、改めて指定保育士養成施設に入学し直すのも1つの方法です。
通信制の大学や短大、夜間の専門学校などを利用すれば、社会人でも働きながら学ぶことが可能です。
養成施設を卒業すれば確実に資格が取得できるため、試験勉強への不安を感じる人には適した選択肢といえます。
学費の一部が支給される
ただし、高卒以上に比べて必要な期間が長くなるため、長期的な計画が必要になります。
- 必要年数と必要時間を把握する
- 対象になりやすい勤務先を知る
- 働きながら受験する流れを組み立てる
高いハードルではありますが、具体的な条件を知ることで、実現可能な目標として捉えられます。
必要年数と必要時間を把握する
中卒者が保育士試験を受験するために必要な実務経験は「5年以上かつ7200時間以上」と定められています。
これはフルタイムで勤務した場合でも約5年間の継続勤務が必要となる計算で、パートタイム勤務の場合はさらに期間が延びる可能性も。
単に在籍しているだけでなく、実際に児童の保護や養護に従事した時間が数えられます。
この条件を満たしたうえで、勤務先から実務経験証明書を発行してもらわなければいけません。
長い道のりにはなりますが、日々の業務がそのまま受験資格につながるため、モチベーションを維持しながら勤務を続けることが求められます。
対象になりやすい勤務先を知る
実務経験として認められる施設は法律で定められており、すべての保育施設が対象になるわけではありません。
おもな対象施設には、認可保育所や児童養護施設、乳児院などの児童福祉施設が含まれます。
一定の基準を満たす認可外保育施設や、認定こども園なども対象となる場合があります。
一方で、単なる託児スペースや個人的なベビーシッターなどは認められないケースが多いため、注意が必要です。
働きながら受験する流れを組み立てる
5年以上の実務経験を積みながら受験を目指す場合、仕事と学習の両立が大きな課題となります。
勤務時間外に効率よく勉強時間を確保し、少しずつ知識を積み重ねていく姿勢が必要です。
最初の数年は現場での仕事に慣れることに集中し、実務経験の要件が近づいてきた段階で本格的な試験対策を始めるなど、段階的な計画を立てるのが有効です。
現場で学ぶ子どもの発達や保育技術に関する知識は、筆記試験や実技試験でも大いに役立ちます。
毎日の仕事が勉強の一部であると捉え、現場経験と試験勉強を連動させながら合格を目指しましょう。
大卒保育士はもったいない?後悔しない考え方
「大卒で保育士になるのはもったいない」という声を聞くことがありますが、決してそのようなことはありません。
むしろ、大学で培った知識や経験は保育の現場で大きな強みとなります。
大卒保育士が持つ可能性とメリットは、以下の3つです。
- 大学で得た力が現場で役立つ
- 公立や本部職など選択肢が広がる
- 保育以外の経験が強みになる
周囲の意見に惑わされず、自身のキャリアに自信を持って進むための視点をお伝えします。
大学で得た力が現場で役立つ
大学での学びを通じて得た論理的思考力やリサーチ能力は、保育の現場でも直接的に役立ちます。
たとえば、子どもの発達に関する記録を作成する際や、保護者への連絡帳を書く場面において、文章力や構成力は信頼関係の構築に寄与します。
行事の企画や運営において、全体を俯瞰して計画を立てる力や、課題解決に向けたアプローチも大学生活で培われるスキルです。
保育以外の一般教養や専門知識を持っていることで、子どもたちの知的好奇心を刺激するような遊びや活動を提案でき、保育の質を高める要素として機能します。
関連記事:保育の質とは?厚生労働省が示す3つの観点や目標設定について解説
公立や本部職など選択肢が広がる
大卒資格を持っていることで、キャリアの選択肢が大きく広がります。
とくに公立保育士を目指す場合、地方自治体によっては採用試験の受験資格として大卒以上を求めるケースがあるからです。
公務員として働くことで、安定した待遇や充実した福利厚生を得られる可能性が高まります。
私立保育園を運営する法人の本部職や、園長などの管理職を目指す際にも、大卒資格が要件となる場合や有利に働くことがあります。
将来的に現場を離れて運営やマネジメントにかかわりたいと考えたとき、学歴がキャリアアップに役立つ場面は多々あるでしょう。
保育以外の経験が強みになる
一般大学を卒業して社会人を経験してから保育士になる場合、その異業種での経験こそが独自の強みとなります。
接客業で培ったコミュニケーション能力は保護者対応に、事務職でのPCスキルは書類作成の効率化に活かせるからです。
保育現場は閉鎖的な環境になりがちですが、外の世界を知っている人材がいることで、新しい風を吹き込めます。
保護者の中にはさまざまな職業の人がいるため、社会人としての共通言語を持っていることで共感や理解が深まりやすいというメリットもあります。
関連記事:保育士資格を活かせる保育園以外の仕事はある?さまざまな選択肢を紹介
まとめ:保育士の学歴は働くうえで大きな影響はない
保育士として長く活躍するためには、学歴の有無以上に「自分らしく働ける職場」を見極めることが大切です。
就職や転職活動で迷いが生じたときは、現場を熟知したプロに相談してみませんか?
「保育のせかい」は、現役の保育士や保育園の経営者が直接監修を行っており、求人票だけでは分からない業界のリアルな情報を提供しています。
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この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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2026.01.05
2026.02.06





















