保育士は子どもの成長の観察や、質の良い保育を保つために年間指導計画の作成が重要です。
複数人の子ども達と平等に接していかなければならないのですが、同時に全員に目を行き届かせるのは難しいですよね。
年間指導計画を立てておくことで、計画的な保育活動につながります。
保育士のなかには、年間指導計画への理解を深めて仕事に活かしていきたい人もいるのではないしょうか。
今回は、保育の年間指導計画の基礎知識や、初心者でもわかる作成方法とポイントをお伝えしていきます。
Contents
保育の年間指導計画とは?
年間指導計画は、保育士が1年間の保育活動を見通し、子どもの健全な発達を促すために作成する重要なものです。
厚生労働省が定めている保育所保育指針に基づき作成されます。
日々の保育活動をスムーズに進めるだけではなく、子ども達の成長を促すための具体的な目標や活動内容を明確化につながります。
年間指導計画は、保育所保育指針に基づいて作成されていますので、全国共通の基準として保育士が守るべきポイントが定められているのです。
内容は質の良さを担保するためには、単に子ども達を観察して思ったことを書き進めるのではなく、年齢やいくつかのポイントを意識しながら行うことが大切です。
一度書いてしまえば終わりというものでもありませんから、内容の改善が必要になる場合もあるので柔軟な対応が求められます。
初心者の人は年間指導計画の作成に慣れていないので、なかには苦手意識を持っている人もいるかもしれません。
何度も作成を経験したり、内容の改善を繰り返したりすることで、徐々に慣れていく可能性があります。
保育の年間指導計画の初心者でもわかる作成方法
保育園でママやパパから預かる子どもは、全員が同じ年齢というわけではありません。
一般的に乳幼児~小学校未就学児までの年代の、子ども達を預かることになります。
保育士が年間指導計画を作成する際は、子ども達の年齢を意識しないで情報を書き進めるのは、内容の質を高めたいのであれば良くありません。
子どもの年齢に合わせて、計画を立てるようにすることが大切です。
保育の年間指導計画の初心者でもわかる、作成方法をお伝えしていきます。
0歳児クラス
0歳児クラスでは、生後間もない子ども達が対象となります。
年間指導計画は月齢ごとに細かく分けて作成すると良いでしょう。
月齢とは赤ちゃんが生まれた日にちを生後0日と考えて、1ヵ月後を生後1ヵ月というふうに計算します。
年間指導計画を満1歳になるまでの期間に分けて作成すると良いでしょう。
安全で安心できる環境づくりとともに、五感を刺激する遊びや活動を通じて子どもの興味関心を引き出すことが重要です。
例えば、0歳児クラスでは清潔で安全な環境で、心地よく過ごすようにするという年間目標を設定したりです。
1歳児クラス
1歳児クラスでは、自分で行動したいという意欲が芽生え始めます。
周囲の人への関心や言葉への興味も増していく年齢です。
保育士との安定した関係性が子どもの安心感につながります。
例えば、保育士との安定した関わりの中で、子どもの活動や言葉への興味を広げるという年間目標を立ててみるのもおすすめです。
2歳児クラス
2歳児になると自己主張が強まり、人間関係への興味も深まります。
他の子ども達との関わり方を学ぶ、簡単な身の回りのことを自力で行えるようになるなどの、年間目標を計画してみると良いでしょう。
大切なのは、自分でできたという成功体験の積み重ねを与えてあげることです。
3歳児クラス
3歳児クラスは、遊びや活動への行動力が高まる年代です。
子ども達同士の関わり方を学んだり、基本的な生活習慣を学んだりを年間目標にすると良いかもしれません。
自主性と協調性の両方を育むことが、3歳児クラスは大切になってきますので、子ども達に協力し合う楽しさやルールの大切さを理解させるのが重要です。
保育の年間指導計画のポイント
保育の年間指導計画は、予定していた活動内容が実際には子ども達には難しすぎたり興味を引かなかった場合、別の方法へ切り替える柔軟性が求められます。
運動会や発表会などの後には、ミーティングを行って、次回以降への改善点を見出すことも重要です。
1年の終わりにも、計画を立て内容の全体的な振り返りをして、一年を通じてうまくいった点や課題点などを洗い出してみて、翌年以降へ活かすことも大切です。
都度、内容の修正や改善の実施や定期的な振り返りによって、保育活動全体の質の向上につながります。
保育の年間指導計画を立てる際には、いくつかの意識しておきたいポイントがあります。
園児達の情報について書く以外にも、読む相手がどのように感じるのかも気にしておくことが大切です。
保育の年間指導計画のポイントをお伝えしていきます。
ねらいと内容の違いを理解する
年間指導計画を作成する際には、ねらいと内容の違いを明確に理解することが重要です。
ねらいは、子ども達がどのような姿に成長してほしいかという保育士の願いを表します。
内容はねらいを達成するために、子ども達が経験する具体的な活動や環境です。
どちらも似ているようで違いがあるのですが、ねらいと内容を結び付けることで、計画がより具体的かつ実践的になります。
1年を4期に分ける
年間指導計画では、1年という長期間を効率よく管理するために4期に分けて考える方法が一般的です。
例えば、4月~5月を第一期、6月~9月を第二期、その他の月を第三期、第四期に分けるなどです。
分割によって季節ごとのイベントや、子どもの発達段階に合わせた保育活動を計画しやすくなります。
子どもの様子をしっかりチェックする
計画を立てる際には、子どもの様子を観察しながら柔軟に対応することが求められます。
個々の性格、興味関心など子どもの様子をしっかりチェックすることが大切です。
情報は前年度から引き継ぐデータや、日々の観察記録から得られます。
記録されたデータは、次年度以降にも活用できる貴重な資料になるはずです。
改善の必要があれば早急に行う
年間指導計画は一度作成したら終わりではありません
実際の保育活動中に予想外の課題や変更点が生じた場合、その都度修正していくことが求められます。
例えば、予定していた活動が子ども達には難しすぎた場合、内容を簡単なものに変更するなど柔軟な対応が必要です。
年度末には反省点や改善点をまとめて翌年度へ活かすことも重要です。
まとめ
年間指導計画は、子どもの発達段階に応じた目標や内容などを設定して、計画を立てることが基本です。
子ども達一人ひとりの健全な成長と、発達を支える重要なものですので、しっかりと園児達の様子を観察して深く向きあうようにすることが重要です。
年間指導計画は一度作成したら終わりではなく、その後も状況に応じて修正、改善することが求められます。
日々変化する子どもの様子を観察しながら、不足部分があれば柔軟に修正し進めるようにすると、質の高い保育活動につながります。
初心者の保育士にとっては、計画作りが日々の保育活動における指針になって、自信につながる可能性があるでしょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
「役に立った!」と思ったらいいね!してね(^-^)