保育士は一人で大勢の子ども達と触れ合いますが、全員平等に接していかなければいけません。
一人ひとり性格や気質が違うので、全員がどんなことが喜びそうなのか把握するのは難しいですよね。
保育園で鉄板とも言える遊びがうたあそびです。
うたあそびは、多くの子ども達の心を掴み笑顔にさせる力があります。
園児達が喜びそうな、うたあそびをチョイスするのは、なかなか難しいと感じる保育士もいるのではないしょうか。
今回は、保育園でうたあそびが子どもに与える影響や、定番の歌や選び方のポイントをお伝えしていきます。
Contents
保育園でうたあそびが子どもに与える影響とは?
うたあそびと言っても、楽曲はたくさんありますし声を出して楽しむ以外にも、全身を使って運動やリズムに乗りながらやる方法もあります。
普段、集団生活の中で人見知りや、会話するのに苦手意識を持っている子どもでも、みんなでうたあそびをすれば、一体感を感じたり全員にスポットライトが当たるので余計に緊張したりしにくいです。
うたあそびをすることで、子ども達がリラックス状態になったり、歌いながら全身を使って表現したりすれば脳にも身体にも良い影響を及ぼします。
全員がすぐに参加できる遊びなので、仲間外れにされたりなったりする心配もありません。
うたあそびを終えた後も子ども達は、自宅に帰っても口ずさみながら楽しい気持ちで両親と一緒に過ごす場合もあるでしょう。
歌詞の意味がわからなくても、歌うことでポジティブな気持ちになります。
好奇心が旺盛な子どもは、先生に歌詞の意味を聞いてくるかもしれませんので、優しくわかりやすく伝えるようにしましょう。
うたあそびを通して、先生と子ども達の絆もより深まっていくはずです。
保育園でうたあそびをする前に保育士が心がけたいコト
保育園におけるうたあそびは、歌うことを通じて子どもの心が安定し豊かになったり、新しい語彙の習得やイメージを膨らませて想像力を高めたりなどにつながります。
友達と一緒に歌うことで一体感が生まれ、音楽に合わせて体を動かす経験はリズム感を身につけるのにぴったりです。
うたあそびを取り入れる際は、子どもが聞き取りやすい声の大きさと音域を意識しましょう。
アップテンポすぎると歌詞を覚えにくく、低音部が多いと声を出しづらくなりがちです。
うたの最初は保育士が楽しそうに見本を示し、サビから教えるなど工夫すると興味を引きやすくなります。
子ども向けの楽曲、童謡は色々な種類がありますが、あまり難しい歌をチョイスすると、ついていけない子どもが出てくるかもしれませんので、みんなが楽しめるようなものを選ぶようにしましょう。
保育士が独断と偏見で、子ども達はこのうたあそびが楽しめるだろうと決めるのも良くありません。
歌あそびの内容は、子どもが自発的に興味を示すテーマを選ぶことでより深い学びにつながります。
会話ができる子どもは、自宅で過ごしている時にテレビなどを通して、自分のお気に入りのうたあそびがあるかもしれません。
保育園や自宅で日常的に口ずさんでいるかもしれませんので、よく観察してみましょう。
保育園でうたあそびが苦手な子どもがいたら?
保育園では、たくさんの子ども達が集団生活をしていますから、人によってはうたあそびに苦手意識を持っている子もいるはずです。
その場合、無理にみんなと一緒に歌うことを強要するのは止めたほうが良いです。
最悪の場合は、歌うことに対してトラウマを持ってしまう恐れがあります。
本来であれば、うたあそびは楽しい活動ですが、苦手意識を持っている子どもにとっては、全然楽しめない状況です。
苦手意識があっても、まだうたあそびが嫌いになっていない場合もあるので、上手く誘導できれば歌うことが楽しいと思わせられる可能性があります。
うたあそびに苦手意識を持っている子どもが、楽しめるようになるのかは保育士の力量次第になってくるでしょう。
うたうことは苦手だけれども、歌を聞いたりするのは好きだったり、お気に入りの楽曲や童謡があったりする園児もいます。
保育士として大切なのは、子どもの気持ちに寄り添ってあげることです。
うたあそびが苦手な子どもがいたら、何か好きな楽曲や童謡があるのか聞いてあげて、うたあそびで流してあげると、口ずさんだり歌ったりしてくれるかもしれません。
保育園で定番のうたあそび
保育園で定番のうたあそびを紹介していきます。
手あそび歌
保育園で手軽に取り入れられる手あそび歌には、子どもの指先の運動機能を高める効果があります。
例えば、「トントントントンひげじいさんのうた」、「げんこつやまのたぬきさんのうた」などがあります。
手あそび歌は短時間でリズム感や協調性を養えるうえ、道具が不要なためすぐに実践できるのが特徴です。
手あそび歌は狭いスペースでも実践でき、他の園児達や保育士とのコミュニケーションを深めるきっかけにもなります。
季節のうた
四季折々の自然や行事を取り入れた季節のうたは、色々あります。
例えば、「チューリップのうた」、「どんぐりころころのうた」、「ゆきやこんこのうた」などがあります。
保育士が子ども達に季節のうたを教える際には、季節ごとに歌詞に出てくる自然のモチーフをスライド映写や絵本とセットにすると、子どもの理解がより深まるかもしれません。
1年を通して季節のうたを楽しめるように、春夏秋冬に合ったうたあそびを取り入れるようにしましょう。
リズムに合わせた体操歌
全身を使う体操歌は、うたあそびの延長として心拍数を上げ、普通にうたうよりも身体全体を使った運動になるので、多くのカロリーを消費する効果があります。
体操歌を導入する際は音量やテンポの調整、歌詞の区切りを意識することが大切です。
子ども達が動きを覚えやすいよう丁寧に、リズムに合わせた体操歌の見本を示すと効果的です。
みんなで歌える童謡
歌詞がシンプルで覚えやすい童謡は、クラス全員が声をそろえて歌うことで一体感を育みます。
例えば、「ぞうさんのうた」、「もりのくまさんのうた」などがあります。
メロディーが親しみやすく、複数パートに分かれて歌うことでうたいやすくなるでしょう。
「ぞうさん」は反復フレーズが多いため繰り返し練習に最適で、小さな子どもでも自信を持って参加できます。
みんなで歌える童謡は、低年齢児でも覚えやすく、繰り返し歌うたびに歌詞の意味を理解する力もついてくるはずです。
動物をテーマにした歌
動物をモチーフにした歌は、子どもが動物の名前や鳴き声を覚えるだけではなく、動きをまねたりして想像力を刺激します。
例えば、「いぬのおまわりさんのうた」で、犬の鳴き声やしっぽを振る動作を取り入れたりするなどです。
動物テーマの歌を選ぶ際は、歌詞にストーリー性があるものを選ぶと、子ども達が飽きずに最後まで集中しやすくなるかもしれません。
大人の私達よりもクオリティーは落ちるのは当然ですから、一生懸命に動物の真似をしていたら、似ていなくても頭ごなしに否定せずに肯定してあげるようにしましょう。
乗り物をテーマにした歌
乗り物をテーマにしたうたは、子ども達の興味を引きやすいうたです。
例えば、「汽車ポッポのうた」、「バスにのってのうた」などがあります。
子ども達の日常的な興味を引き出しつつ、あそびを取り入れながら歌えるため、乗り物の動きの理解につながります。
乗り物うたを保育活動に用いると、次の外遊びや散歩への期待感も高まって、園児達は保育園に通うのが楽しいと思ってくれるかもしれません。
保育園で行ううたあそびの選び方のポイント
保育園で行ううたあそびの選び方のポイントをお伝えしていきます。
子どもの年齢に合わせる
0歳から1歳の乳児期には、親しみやすい単語やゆったりとしたテンポの楽曲が適しています。
ゆったりとしたリズムの楽曲を用いることで、乳児が安心感を得やすくなるからです。
3歳から5歳の幼児期では、語彙や記憶力が急速に発達します。
想像力が発達するため、短いストーリー性のあるうたや、風景をイメージしやすい楽曲が興味を引きます。
保育士が子ども達に教えるうたは、子どもの年齢に合わせることがポイントです。
子どもの発達段階に合わせる
子ども達は歌詞を覚えることで、文字への親しみや語彙の増加につながるほか、歌詞からイメージを膨らませる体験が想像力を高めます。
例えば、乳児期には簡単なフレーズの繰り返しが多い曲をうたってあげたり、幼児期にはストーリー性のある曲を歌ってあげたりすると良いでしょう。
子どもの発達段階に応じて、うたう曲や歌のテンポ、キーなどを調整すると取り組みやすくなります。
乳児期は声域の高いキーを、幼児期には少し低めのキーを選ぶことで、子ども達の声帯に無理をかけず心地よく歌唱できる環境を整えられます。
みんなで楽しめる歌を選ぶ
キャッチーなフレーズがくり返される曲は、初めて歌う子どもでも参加しやすく、一体感を感じやすい特徴があります。
歌詞に友達や思いやりをテーマにした歌を選ぶことも、協調性や共感力を育むきっかけになるのでおすすめです。
保育士が一緒に手をつないで歌うなど、身体的なふれあいを組み合わせると、歌あそびの時間がより楽しく記憶にも残りやすくなるでしょう。
集団生活をしている子ども達のなかで、うたうのが恥ずかしいとか、苦手意識がある子どももいるはずですから、みんなで楽しめる歌を選ぶことがポイントです。
季節や行事に合った歌を取り入れる
季節感や行事への関心を高めるには、春夏秋冬それぞれの象徴的なイメージや行事をテーマにした歌を選ぶことが有効です。
入園式や卒園式、七夕やクリスマスなどの行事には特別感のある歌を取り入れることで、子どもたちの期待感や興味を引き出せます。
特別感のあるうたをうたうことで、節目の行事にふさわしい感動的な雰囲気を演出できます。
入園式や卒園式のシーズンには、うたの練習に時間をかけて完成度を高めておくと、子ども達の保護者を感動させられる可能性があるでしょう。
簡単な振り付けや動きがある歌を選ぶ
音楽に合わせて体を動かす経験は、子ども達のリズム感を養うことにつながります。
例えば、「おもちゃのチャチャチャのうた」では、チャチャチャのリズムに合わせて手拍子を取り入れるなど、子どもが真似しやすい動きを組み込むと効果的です。
うたあそびと一緒に、簡単なダンスや手遊びを取り入れる保育園の子どもは、運動能力や想像力が養われて、表現力が豊かになる可能性があります。
子どもが興味を持ちやすいテーマを意識する
歌あそびの内容は、子どもが興味を持ちやすいテーマを選ぶことで、深い学びにつながります。
例えば、物や自然、身近な物をテーマにしたうたなどです。
子どもが興味を持ちやすいテーマは、歌詞の内容から映像を思い浮かべやすい点が魅力です。
園児達の興味関心を引き出すことで、自発的に口ずさむようになる子どももいるかもしれません。
歌詞から映像を思い浮かべやすく、子ども達が歌の世界に入り込みやすい楽曲を選ぶようにしましょう。
歌あそびの前後に実物の絵本を併用したり、実際に動物のぬいぐるみやおもちゃを見せたりすることで、子ども達のうたあそびの時間が活発になります。
まとめ
保育園でのうたあそびは、子どもの心身の発達に良い影響を与えられる活動です。
幼児期は言語や感情、身体の発達が著しい時期でもあります。
うたあそびの効果を最大限に高めるためには、上記でお伝えしてきたポイントを意識することが大切です。
幼少期に耳に入るうたあそびは、大人へと成長していく過程において何度も聴いたり口ずさんだりするものです。
子ども達のなかには、保育園の先生と一緒にうたあそびをしたのは素敵な思い出になっていて、ずっと心に残り続けている人もいるでしょう。
うたを通して子どもを喜ばせてあげることで、通園するのが楽しみになってくる子どももいるはずです。
子どもでも楽しくうたあそびができるように、保育士は声の出し方や振り付けを工夫しながら、園児達に歌の楽しさを教えていってみてください。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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