保育士は身体的・精神的な負担が大きく、人間関係や保護者対応に悩みやすい仕事です。
しかし、自身の適性を見直して視野を広げれば、自分に合った働き方や環境を見つけられる可能性は十分にあります。
本記事では、保育士に向いていないと感じる理由や対処法、資格を活かした転職先の選び方を、現場視点で分かりやすく解説します。
理想の働き方に近づくためのヒントとして、参考にしてください。
Contents
保育士に向いていないと感じる5つの理由
保育士として働く中で「自分には向いていないかもしれない」と感じることは珍しくありません。
以下のような理由から、転職を検討するケースもあるでしょう。
- 子どもとの接し方に自信が持てない
- 体力や精神的な負担が大きい
- 人間関係や職場の雰囲気に馴染めない
- 業務が多すぎて優先順位が分からなくなる
- 保護者対応にプレッシャーを感じる
それぞれ確認していきます。
子どもとの接し方に自信が持てない
保育士の仕事では、子どもの成長段階や個性に応じた関わりが求められます。
しかし、子どもの気持ちをくみ取れず、対応に迷いがあると「自分には向いていない」と感じやすくなります。
とくに新人やブランクのある保育士は、子どもとの距離感や接し方に戸惑うことも少なくありません。
こうした悩みは経験を重ねる中で少しずつ解消されることも多く、必要以上に自分を責める必要はないでしょう。
体力や精神的な負担が大きい
保育士の仕事は子どもと一緒に身体を動かす時間が長く、立ちっぱなしや抱っこの連続など体力的にハードな場面も多くあります。
保護者対応や連絡帳の記入、行事の準備なども並行して行う必要があり、精神的な負担も感じやすいでしょう。
たとえば、乳児クラスでは頻繁な抱き上げやオムツ替えが必要となり、腰や膝への負担が蓄積しやすい傾向です。
年間行事が多い園では準備や練習が続き、残業や持ち帰り作業が発生してストレスや疲労が蓄積しやすくなります。
人間関係や職場の雰囲気に馴染めない
担任間や正職員・パート職員との連携がうまく取れないと、日々の業務に支障をきたすこともあります。
とくに、小規模な園や同じ職員が長く勤務している園では、職場内の人間関係がすでに固定化されているケースも少なくありません。
そのような環境では、新たに加わる保育士がなじみにくさや孤立感を抱きやすくなります。
意見を伝えにくい雰囲気や、指導や引き継ぎの体制が不透明な場合には不安が募りやすく、仕事に向いていないと感じてしまいがちです。
業務が多すぎて優先順位が分からなくなる
保育士の仕事は子どもの保育だけでなく、以下の業務のように多岐にわたります。
- 連絡帳の記入
- 制作物の準備
- 行事の計画
- 保護者対応職員間の打ち合わせ
業務の優先順位がつけにくい背景にはマニュアル整備の有無や、リーダー職のサポート体制が不十分であることも影響します。
業務が多すぎる状況では達成感が得られにくく、焦りや疲労感が増す一因となるでしょう。
保護者対応にプレッシャーを感じる
保護者ごとに価値観や期待が異なるため、伝え方や接し方に気を遣う場面も多くなります。
少しの言葉の行き違いがクレームにつながるケースもあり、「失敗できない」というプレッシャーを感じやすいでしょう。
忙しい時間帯に連絡対応が重なると、業務との両立に負担を感じる場合もあります。
とくに経験が浅い保育士やブランクのある方は、保護者対応が「自分には向いていない」と思うきっかけになりやすいでしょう。
保育の仕事が向いていないと感じた際の対処法
ここでは、保育の仕事が向いていないと感じた際の対処法を3つ紹介します。
- 自分の状況や気持ちを整理する
- 信頼できる第三者に相談する
- ほかの保育関連職への転職も視野に入れる
それぞれ見ていきましょう。
自分の状況や気持ちを整理する
以下のように「仕事」「人間関係」「保育」といった視点で、状況や気持ちについて整理してみましょう。
視点 | 整理内容 |
---|---|
仕事 | ・行事準備や書類作成に追われ、毎日残業が続いている ・担当クラス以外の業務(掃除、雑務など)も多く、キャパオーバー気味 |
人間関係 | ・ベテラン職員の指示が強く、自分の意見を言いづらい ・年齢の近い同僚が少なく、会話や価値観が合わない |
保育 | ・子どもが言うことを聞いてくれず、関わり方に迷う ・乳児の抱っこや排泄介助が続き、体力的に限界を感じる |
視点を分けて整理すれば、「保育が向いていないのか」「環境や条件が合わないのか」が明確になり、冷静な判断につながります。
信頼できる第三者に相談する
家族や友人、同僚など客観的な立場の人に話せば、感情が整理されて自分の状況を見つめ直すきっかけになります。
保育士支援センターや転職エージェントなどへの相談は、現在の悩みや将来のキャリアの具体的なアドバイスを受けられます。
保育士向け転職エージェント「保育のせかい」では、現場を知るプロが求人選びからキャリア相談まで丁寧なサポートが可能です。
ほかの保育関連職への転職も視野に入れる
保育士の仕事に負担やミスマッチを感じる場合でも、保育士の資格を活かせる働き方はほかにもあります。
たとえば、企業内保育・院内保育・ベビーシッター・放課後等デイサービスなど、保育に関わる職種は多様です。
また、事務職や相談員など間接的に保育を支える仕事もあります。
業務内容や勤務条件を見直せば、保育に関わるやりがいを感じながら自分らしく働ける環境に出会えるでしょう。
保育士資格を活かした働き方の選択肢とは
ここでは、保育士の資格を活かせる代表的な働き方を紹介します。
- 学童保育・子ども教室の指導員
- 企業主導型保育施設の保育士
- 保育系人材紹介会社のキャリアアドバイザー
- 保育教材や知育玩具メーカーの企画・営業
詳しく見ていきましょう。
学童保育・子ども教室の指導員
学童保育や子ども教室の指導員は、小学生を中心とした子どもの生活や学習支援を行う仕事です。
放課後の時間帯を中心に、安全な居場所の提供や宿題サポート、遊びの見守りなどを通して、子どもの成長を支えます。
おもに午後からの勤務となるため、午前中の時間を有効に使えるほか、体力的な負担も比較的少なめです。
保育士資格があると採用面で優遇されることも多く、働き方の柔軟性から家庭やプライベートとの両立を図りやすいでしょう。
企業主導型保育施設の保育士
企業が運営する保育所では、従業員の子どもを対象とした小規模保育が多く、子ども一人ひとりに手厚い保育を提供できます。
シフトの融通や非常勤、時短勤務を選べる施設も多く、子育て中の保育士やブランクからの復職にも適しています。
運営母体が一般企業であるため待遇や福利厚生が手厚い企業も多く、働きやすい環境が整っているでしょう。
h3>保育系人材紹介会社のキャリアアドバイザー
保育系人材紹介会社のキャリアアドバイザーは、保育士や幼稚園教諭の求職者に対し、就職支援を行う仕事です。
保育士同士の悩みに共感しながら、適職探しをサポートする立場として働けるため、保育現場とは異なるやりがいがあります。
基本的に保育現場とは異なるオフィス勤務となるため、体力面の負担を抑えつつ働けます。
保育業界の知識を活かしながら、対人支援やキャリア形成に関心がある方に適しているでしょう。
保育教材や知育玩具メーカーの企画・営業
保育教材や知育玩具メーカーの企画・営業職は、子どもの発達や教育に関する知識を活かして、商品開発や販売促進を行う仕事です。
おもな業務には、園への提案営業や展示会での製品紹介、教材開発のアイデア出しなどがあります。
現場経験があれば、保育現場でのニーズや使い勝手を反映した提案ができ、企画や営業面でも強みになるでしょう。
保育士に向いていないと感じた際の転職先の見つけ方
転職先を選ぶ前に、自分に合った働き方や適性の整理が重要です。
ここでは、転職活動をスムーズに進めるための3つのポイントを紹介します。
- 自分の得意・不得意を振り返る
- 勤務時間や雇用形態の希望を明確にする
- 転職エージェントの活用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自分の得意・不得意を振り返る
自分の得意・不得意を振り返る際は、以下の3つの要素を基準にすると整理しやすいでしょう。
要素 | 基準内容 | 例 |
---|---|---|
好き・嫌い(感情) | 「楽しい・嬉しい」と感じる業務と、「ストレス・苦痛」に感じる業務を区別する | ◎子どもと体を動かす遊びは好き ×保護者対応は緊張する |
得意・苦手(スキル) | 上手にできる、周囲に褒められたことがある業務と、ミスが多く苦手意識のある業務を整理する | ◎行事準備や装飾作りは得意 ×スケジュール管理や同時進行の作業が苦手 |
負担・余裕(体力・環境) | 日々の業務で「無理なく続けられるもの」と「疲弊しやすいもの」に分けて考える | ◎午前中だけの勤務なら体力的に余裕がある ×立ちっぱなしや抱っこが続くと体に負担がかかる |
「感情・スキル・体力」の3軸で振り返ることで、自分にとって働きやすい環境や向いている仕事のヒントになるでしょう。
勤務時間や雇用形態の希望を明確にする
以下のような観点から整理しておくと、判断がしやすくなります。
- 生活リズムとの整合性
- 月収や時給の希望水準
- 社会保険の加入条件
- 今後のキャリア設計
家庭との両立を重視する場合は「午前中のみ」「週3勤務」など、具体的な条件を整理します。
扶養内で働くかによって、勤務日数や時間に制限がある点にも注意しましょう。
転職エージェントの活用
業界に特化した転職エージェントを活用すれば、ミスマッチを防ぎながら希望に合う職場を効率的に見つけることも可能です。
履歴書の添削や面接対策、非公開求人の紹介など、自分1人では得られない情報やサポートが受けられるでしょう。
「保育のせかい」では、現役保育士や園の関係者が監修した求人情報を提供しており、現場目線で転職活動を進められます。
まとめ|保育士が向いていないと感じたときこそ、働き方を見つけるチャンス
保育の仕事に違和感や負担を感じたときは、自分の得意や適性を見つめ直す好機でもあります。
別の保育関連職へ視野を広げることで、自分に合った働き方や職場と出会える可能性が高まるでしょう。
「保育のせかい」は、保育士向けに特化した転職支援サービスです。
実務経験を持つスタッフが対応し、転職活動を支援します。
保育現場の事情をふまえたアドバイスと求人提案により、ミスマッチの少ない転職が可能です。
保育士の資格を活かして自分らしく働ける職場を見つけたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
「役に立った!」と思ったらいいね!してね(^-^)