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2025.06.30

2025.07.01

なぜ保育士の給料は低いの?理由や平均年収・収入を上げるコツを紹介

保育士は、子どもたちの成長を支える大切な仕事です。
しかし、その責任の重さとは裏腹に、「給料が低すぎる」と言った声が寄せられています。

なぜ保育士の給料は改善されないのか、背景にはどのような制度や社会構造があるのか気になる方も多いでしょう。

本記事では、保育士の給料が低いといわれる理由や平均年収、収入アップを目指すための方法を解説します。

保育士の給料が低いといわれる理由

保育士の給料が低いといわれる理由は、下記のとおりです。

  1. 国が決めた「公定価格」が給与に影響している
  2. 人件費の割合が高く、運営に余裕がない園が多い
  3. 賃金の上限を引き上げにくい制度上の制約がある
  4. 業務量が多いわりに給料が見合っていない
  5. 「やりがい」で報酬の低さが正当化されやすい

1.国が決めた「公定価格」が給与に影響している

保育園の運営費の大半は、子ども1人あたりに配分される「公定価格」によって決まります。
公定価格は、国や自治体が設定した基準で、保育士の人件費や施設の維持費などが含まれています。

実際は、基準以上の保育士を配置していたり、手厚い保育体制を敷いていたりしても、その分の補助は支給されません。
そのため、十分な人件費が確保できず、保育士の給料が構造的に低く抑えられてしまうのが現状です。

2.人件費の割合が高く、運営に余裕がない園が多い

保育園は福祉施設としての性質が強く、営利性を重視しない運営が基本です。
収入の大半は「自治体からの補助金+保護者の保育料」で構成され、利益を出しにくい構造になっています。

中でも人件費は全体の約7割以上を占めます。
経営に余裕がない園では、保育士の給料に十分な資金を充てられません。

とくに私立園では財政基盤が不安定なところも多く、待遇が伸びにくい傾向があります。

3.賃金の上限を引き上げにくい制度上の制約がある

保育士の昇給は、主任や園長といった役職に就くことがおもなルートとなっており、昇給の機会が限られています。

現在は「処遇改善等加算」によって手当が支給されていますが、受給には条件があります。
加算の配分方法は、各園の裁量に委ねられているのが実情です。

制度の条件や支給額は、下記のとおりです。

制度名称支給条件支給額の目安
処遇改善加算Ⅰ経験年数・職員構成などを基に園が算定月額1万2,000~3万8,000円
処遇改善加算Ⅱ副主任等の役職+キャリアアップ研修修了が必要月額5,000~4万円
処遇改善加算Ⅲ
  • 全職員対象
  • 継続的な賃上げや職場改善への取組み
月額9,000円程度

参考:こども家庭庁|公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について

このような仕組みのため、同じように働いていても、園ごとに手当額に大きな差が出るケースもあります。

なお、今後は、処遇改善等加算の「一本化」や「配分ルールの簡素化」が予定されています。
処遇改善の効果が公平に行き届くよう、制度の見直しが進められている点も重要なポイントです。

4.業務量が多いわりに給料が見合っていない

保育士の仕事は、子どもを保育するだけではありません。
下記のように、日々の保育に関係する作業があり、勤務時間が長くなりがちです。

  • 保護者への対応
  • 行事の準備や運営
  • 指導案や書類の作成
  • 掃除や安全点検
  • 会議や研修への参加

これらの作業は勤務時間外に対応することも多く、時給換算で見ると「サービス残業状態」になっていることも。
そのため、保育士自身が責任の重さと報酬のバランスが取れていないと感じ、離職してしまうケースも少なくありません。

5.「やりがい」で報酬の低さが正当化されやすい

保育士の仕事は「やりがいのある職業」としてよく語られます。
もちろん、子どもの成長に寄り添える喜びは大きな魅力です。
しかし、そのやりがいが、給料の低さを我慢すべき理由のように扱われる風潮があるのも事実です。

かつて保育士は「保母」「保父」と呼ばれ、家庭内の延長のような存在として見なされてきました。
その名残から、専門職としての評価や処遇改善が後回しにされてきた背景があります。
しかし、やりがいと適正な報酬は別の問題です。

保育士が安心して働き続けられる環境のためにも、仕事内容に見合った待遇の実現が求められています。

保育士の平均給料

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均月収は約277,200円、年間賞与などを含めた年収は約4,068,100円です。
年収の算出は、(きまって支給する現金給与額×12ヶ月)+年間賞与その他特別給与額で計算しています。

この年収は全国平均であり、地域や雇用形態によってばらつきがあります。
保育士は専門職でありながら、ほかの職種と比べて年収が低い傾向にあることが課題です。

以下では、年齢別・地域別・勤務先別の観点から、保育士の平均給料を紹介します。

【年齢別】保育士の平均給料

年齢別の保育士の平均給料は、下記のとおりです。

年齢別平均年収
20~24歳約335万円
25~29歳約372万円
30~34歳約390万円
35~39歳約431万円
40~44歳約420万円
45~49歳約440万円
50~54歳約436万円
55~59歳約467万円
70歳~約721万円

参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査

経験年数の蓄積によって、主任や園長などの役職に就く機会が増え、手当が加算されます。
ただし、役職ポストの数には限りがあり、すべての保育士が収入アップにつながるとは限りません。

【地域別】保育士の平均給料

保育士の給料は地域によって大きく差があります。
全国で年収が高い上位4地域と大阪府、もっとも年収が低い岐阜県の平均年収を、下記にまとめました。

地域平均年収
京都府456.7万円
千葉県455.7万円
神奈川県449万円
広島県442.7万円
大阪府387.2万円
岐阜県334.5万円

参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査

このような地域差には、下記のような要因が関係しています。

  • 各自治体の補助制度や手当の充実度
  • 地域ごとの生活コスト
  • 保育士の需要や人材確保の優先度

【公立・私立別】保育士の平均給料

保育士の給料は、勤務先が「公立」か「私立」かによっても大きく異なります。
職種別の平均年収は、下記のとおりです。

区分施設長主任保育士保育士
私立約698.4万円約588.2万円約417.7万円
公立約771.8万円約677.2万円約438.7万円

参考:こども家庭庁|令和6年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査

公立保育士は、地方公務員として安定した収入が見込まれ、役職に就くほど私立との差が顕著になります。
主任保育士では約110万円、施設長では約70万円以上の年収差が見られます。

一方、私立保育士は職場ごとの経営状況や方針に左右されやすいものの、採用数が多く、働き方の多様性が魅力です。
収入面だけでなく、働き方や将来のキャリアも検討して選ぶのがよいでしょう。

保育士の給料を上げるコツ

保育士の給料を上げるコツは、下記のとおりです。

  1. キャリアアップ研修を受けて昇給を目指す
  2. 給与制度が明確な園を選ぶ
  3. 福利厚生が充実した職場に転職する
  4. 経験を積み、主任・園長を目指す
  5. 保育以外のスキルで副収入を得る

1.キャリアアップ研修を受けて昇給を目指す

キャリアアップ研修は、保育士の専門性を高めながら処遇を改善する国の制度です。
研修を受けて、下記のような役職に就くことで、処遇改善加算による手当が加わります。

  • 職務分野別リーダー
  • 副主任保育士

副主任や専門リーダーとして認定されると、月額5,000〜4万円程度の手当が支給されるケースもあります。
園によって加算の反映状況は異なるため、事前に確認することが大切です。

キャリアの幅を広げたい方は積極的に受講しましょう。

2.給与制度が明確な園を選ぶ

給与を着実に上げるためには、初めから「昇給制度や評価基準が定められている園」を選ぶことが重要です。
下記のように、ルールが明確にされている職場では、将来的な収入の見通しが立てやすくなります。

  • 3年ごとに昇給
  • 役職手当あり
  • 勤続年数によって基本給が段階的にアップ

転職活動時には、求人票や面接で「昇給実績」や「昇進ルート」などを確認しましょう。

3.福利厚生が充実した職場に転職する

手取り額を実質的に増やすには、月給の金額だけでなく「福利厚生の内容」にも注目しましょう。
下記のような福利厚生があると、生活コストを大きく削減できます。

  • 借上げ社宅制度
  • 扶養手当・住宅手当
  • 退職金制度・産休育休制度
  • 給食あり・制服支給など物的支援

給与が少し低くても、福利厚生が充実していれば、生活全体の満足度が大きく変わります。

4.経験を積み、主任・園長を目指す

保育士として経験を重ねることで、主任保育士や園長といった役職に就くチャンスが出てきます。
これらのポジションに就くと、管理職手当や役職手当が加算され、月収が数万円〜十数万円増えることも珍しくありません。

信頼される保育士として評価を得るには、日々の保育だけでなく、後輩の指導や保護者対応にも積極的に関わる姿勢が大切です。
小さなリーダー業務から任されるようになると、キャリアアップへの道が近づきます。

5.保育以外のスキルで副収入を得る

副業を通じて保育士の収入を補完する動きも広がっています。
具体的には、下記の方法があります。

  • ベビーシッター(夜間・休日)
  • 子育てブログやコラム執筆
  • 保育士向け教材の作成・販売
  • ハンドメイド作品のネット販売

ただし、勤務先によっては副業を禁止している場合もあるため、就業規則の確認が必須です。
本業に支障のない範囲であれば、自分の得意分野を活かして副収入を得ることは現実的な選択肢です。

保育士向けの補助金・制度を活用する

国や自治体が実施している補助制度をうまく活用すれば、実質的な生活コストを下げて、手取りを増やせます。
制度の一部を、下記にまとめています。

制度名目的内容
保育士宿舎借上げ支援事業保育士の生活支援(家賃補助) 月額上限8万2,000円の家賃補助
※採用から10年以内が対象
保育士確保支援貸付事業保育士資格取得・就職準備支援 無利子貸付
※条件を満たせば返還免除
新卒保育士向けのインターンシップ・研修支援実地研修や保育技術の習得支援インターンシップ、実地研修、保育所見学など
保育補助雇用強化事業保育補助者を雇上げて保育士の業務負担軽減・離職防止を図る ● 定員121人未満の施設:年間244万1,000円または325万5,000円
● 定員121人以上の施設:年間488万2,000円または651万円

参考:首相官邸|保育士宿舎借り上げ支援事業
こども家庭庁|令和7年度保育関係予算概算要求の概要
自治体によって内容が異なるため、居住地や転職先の地域でどの制度が使えるか事前に調べておきましょう。

大阪府で実施している保育士向けの支援制度

ここでは、大阪府で利用できる代表的な3つの制度をご紹介します。

  • 貸付事業
  • 保育士宿舎借上げ支援事業
  • 保育士定着支援事業交付金

詳しく見ていきましょう。

貸付事業

大阪府では、保育士資格を持ちながら未就業の方や保育士を目指す学生に対し、最大120万円を無利子で貸与しています。
卒業後、府内の保育施設で5年間働けば返還が免除される仕組みです。

支援内容金額・上限条件・備考
修学資金(月額)最大5万円/月(最大2年間)保育士養成施設の学生が対象
入学準備金20万円(初回のみ)入学年度のみ
就職準備金20万円(最終学年)卒業後、大阪府内の保育所等で5年間勤務で返還免除
返還免除条件府内保育施設に5年以上就労途中退職時は返還義務あり

参考:
大阪福祉人材支援センター|保育士応援貸付金

経済的な負担を減らしながら学び、地元で保育士として活躍したい方におすすめの選択肢です。

保育士宿舎借上げ支援事業

若手保育士が都市部でも安心して暮らせるように、大阪府では宿舎借上げに対する支援を行っています。
自治体や法人が保育士のために借上げた住宅の家賃を、一定額まで補助する制度です。

支援内容上限額(月額)条件
採用6年目以内の保育士(常勤)6万6,000円大阪市内の保育所等に勤務する保育士
特例上限最大8万2,000円同一宿舎に継続入居等の条件を満たす場合
対象施設私立保育所・認定こども園など園が住宅を借り上げ、本人に提供する方式

参考:大阪市|大阪市保育士宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱
家賃の一部を最大8万2,000円まで補助してくれます。
負担を抑えて生活を安定させたい方は、制度の有無を確認しましょう。

保育士定着支援事業交付金

保育士の離職防止と長期的な定着を目指して、大阪府では保育士定着支援事業交付金を交付しています。

支援内容上限額(月額)条件
常勤保育士20万円勤続1年以上
短時間勤務者10万円同上(時間数により異なる)

参考:大阪市|大阪市保育士定着支援事業交付金交付要綱
1年以上勤務した常勤保育士には年20万円、短時間勤務者でも10万円の支給があります。
長く働きたいと考えている方には、経済的にも精神的にも支えとなる制度です。

大阪のキャリアアップ研修制度

大阪府・大阪市では、リーダー職への昇格や処遇改善加算に直結する研修を実施しています。
研修を受講することで、職務分野別リーダーや副主任保育士などの役職に就けて、手当の支給対象にもなります。

実施形式eラーニング+オンライン研修
募集状況2025年6月3日募集終了
受講費用無料(教材費・交通費別)

参考:保健福祉振興財団|令和7年度 大阪市保育士等キャリアアップ研修

2025年度分はすでに募集終了となっているため、制度を利用したい方は次回の案内を随時確認しましょう。将来的に役職を目指したい方は、積極的に受講を検討してください。

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保育士の給料が低い理由には、制度や運営側の仕組みといった、個人ではどうにもならない壁があるのも事実です。
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この記事の監修者

監修者の写真

森 大輔(Mori Daisuke)

保育のせかい 代表

《資格》

保育士、幼稚園教諭、訪問介護員

《経歴》

2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。

>>プロフィールはこちら

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