保育士の経験があっても職場環境の変化、体力面や人間関係への不安など、ブランクがあるからこそ直面する悩みもあるでしょう。
しかし現在は、保育士不足が続くために経験者を歓迎する保育園もあり、復職支援制度や働き方の選択肢も多様化しています。
本記事では、保育士がブランクから復職しやすい理由や復帰に向けた準備ステップを解説します。
安心して復職できる一歩を踏み出すための、実践的な情報を活用ください。
Contents
ブランク明けの保育士が不安に感じること
ブランク期間を経て保育の現場に戻ろうとしたとき、不安を感じる方は少なくありません。
ここでは、ブランク明けの保育士が抱きやすい不安の背景を解説します。
- 保育現場の変化についていけるか不安
- 体力や生活リズムへの不安
- 人間関係・職場の雰囲気に馴染めるか
- 子どもとの関わりに自信が持てない
それぞれ見ていきます。
保育現場の変化についていけるか不安
近年では、以下のような取り組みを行う保育施設が増えています。
- 保育所保育指針の改定により、保育内容や記録の在り方が見直されている
- 出欠管理や連絡帳をアプリで行うなど、ICTツールの導入が進んでいる
- 保護者対応で柔軟な対応が求められる場面も増えている
たとえば、保護者とのやり取りにチャットツールを活用したり、業務の一部をデジタル化する園もあります。
共働き世帯や外国籍の保護者など家庭環境が多様化しており、個別対応や臨機応変な判断も保育士に求められるでしょう。
体力や生活リズムへの不安
保育士の仕事は一日を通して子どもと一緒に動き回る場面が多く、立ち仕事や抱っこ、外遊びなど身体的負担が大きい職種です。
長期間保育現場を離れていた場合、「以前のように動けるか」と不安を感じるのは自然なことです。
また、保育園の勤務は朝が早く、規則的な生活リズムも求められます。
生活スタイルが変わっていた場合、家庭との両立ができるかという懸念も、復職へのハードルになりやすいでしょう。
人間関係・職場の雰囲気に馴染めるか
ブランク期間を経て年齢や環境が変化したことで、若手職員と価値観のズレや既存の人間関係に入りづらさを感じるケースもあります。
とくに過去に人間関係が原因で離職した経験がある方にとっては、再び同じ思いをしたくないという不安も根強く残るものです。
そのような場合、「復職してもまた同じことになるのでは」と警戒心を抱くきっかけになるかもしれません。
子どもとの関わりに自信が持てない
年齢ごとの発達段階に合わせた声かけや対応、複数の子どもを同時に見る感覚が鈍っているように感じるケースもあります。
とくに、0~2歳児などの繊細な年齢層や、初対面の子どもとの距離の縮め方に自信をなくしてしまう方も多い傾向にあります。
遊びの進行や子ども同士のトラブル対応に自信が持てないことも、復職を迷う一因となりやすいでしょう。
ブランクのある保育士が歓迎される3つの理由
保育業界では、ブランクがある保育士も積極的に受け入れられる傾向にあります。
ここでは、ブランクのある保育士が歓迎される3つの理由を紹介します。
- 保育士の需要は高い傾向にある
- 経験者は即戦力として評価されやすい
- 子育てや社会人経験も保育現場で活かせる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保育士の需要は高い傾向にある
保育士は全国的に慢性的な人材不足が続いており、ブランクのある人材でも現場からは歓迎されやすい状況です。
子ども家庭庁によると、保育士有効求人倍率は3.05倍と、全職種平均1.27倍を大きく上回っています。
出典:保育士の有効求人倍率の推移(全国)|子ども家庭庁(令和6年度「保育政策の動向」)
大阪府においては3.29倍と、高い水準を記録しており、関西エリアでも保育士のニーズが高いことも分かります。
勤務時間や保育方針、研修制度の有無など、自分の希望に合った園を比較・検討できる好機といえるでしょう。
経験者は即戦力として評価されやすい
ブランクがあっても過去の勤務経験があれば、保育の流れを把握しているため、指導やサポートが最小限で済みます。
複数担任制の園では、業務を分担できる中堅スタッフとして期待されるケースも多く、若手職員のフォローや保護者対応の面でも頼られる存在です。
そのため、経験者を対象とした復職支援制度や職場見学を実施する園も増えており、再スタートしやすい環境が整いつつあります。
子育てや社会人経験も保育現場で活かせる
子育てを経験した保育士は保護者の視点を理解した対応ができる点で、現場から高く評価される傾向にあります。
「親としての気持ちが分かる保育士」として、保護者からの信頼を得やすいのも強みです。
ほかの職種での社会人経験も、保育現場におけるチームワークや報連相、マナー面で活かされます。
ビジネス経験を通じて培った柔軟な対応力や責任感は、保育士としての仕事にも直結するでしょう。
「ブランク=マイナス」ではなく、人生経験の強みが保育士復職にプラスに作用する場面も多く見られます。
ブランクのある保育士が復職する際の事前準備
保育の現場に戻る前に、働き方の見直しをしておきましょう。
ここでは、復職前に取り組んでおきたい3つの準備を紹介します。
- 体力作りや体調面を整える
- 自分に合った働き方の検討をする
- 復帰支援研修を受ける
それぞれ見ていきます。
体力作りや体調面を整える
保育士の仕事は子どもを抱っこしたり、立ちっぱなしで動き回ったりと、想像以上に体力を使います。
ブランクがあると体が慣れていないケースも多く、復職直後に疲労や不調を感じやすくなります。
そのため、ウォーキングや軽いストレッチなど、日常的にできる運動を少しずつ取り入れましょう。
シフト勤務に備えて早起きの習慣をつける、バランスのよい食事を心がけるなど、生活リズムを整えることも重要です。
自分に合った働き方の検討をする
ブランク明けの保育士にはフルタイム勤務だけでなく、時短勤務やパート勤務、非常勤など、柔軟な働き方を選べる園もあります。
早番・遅番の有無や通勤距離、園の保育方針や職場の雰囲気なども長く働き続けるための重要な判断材料です。
勤務時間や通勤距離、園の保育方針など、優先したい条件を整理しておくと求人選びもスムーズになるでしょう。
復帰支援研修を受ける
ブランク期間の不安を解消する手段の1つが、自治体や民間団体が実施している「保育士復職支援研修」です。
大阪府では「大阪府保育士・保育所支援センター」による、潜在保育士を対象とした就職支援や復職応援セミナーなどを実施しています。
さらに、厚生労働省の通知に基づき「大阪府保育士等キャリアアップ研修」も実施されています。
とくに不安が大きい方は、研修から始めるのもおすすめです。
ブランクあり保育士の就活準備の3ステップ
ここでは、ブランクあり保育士がスムーズに再スタートを切るための就活準備3ステップを紹介します。
- ステップ1|保育士証の確認と必要な手続き
- ステップ2|最新の保育事情や制度の情報収集
- ステップ3|履歴書作成や面接対策
詳しく見ていきましょう。
ステップ1|保育士証の確認と必要な手続き
まずは、保育士証の有効性を確認しましょう。
引っ越しなどで氏名や住所に変更があった場合は、各都道府県の窓口での手続きが必要です。
保育士証を紛失している場合は、再交付の申請が必要となるので注意しましょう。
再就職活動をスムーズに進めるためにも、転居をともなう就職では早めに手続きしておくと安心です。
ステップ2|最新の保育事情や制度の情報収集
ブランクがある方は、以下の保育事情をチェックしておきましょう。
- 子ども家庭庁や自治体の保育政策・研修制度
- 最新の保育所保育指針やガイドライン
- ICT化による業務の効率化(出欠管理・連絡帳のアプリ化など)
- 保護者対応や子どもの多様性への配慮に関する方針
自治体の保育士支援センターや公式資料、復職支援セミナーなどを活用し、事前に現場変化の把握が不可欠です。
ステップ3|履歴書作成や面接対策
ブランクがある場合でも、これまでの経験や学びを適切にアピールすることが大切です。
履歴書では職務経歴や、ブランク期間に取り組んだこと(子育て・介護・資格取得など)を具体的に記載しましょう。
復職意欲や現在の保育に対する理解を示せば、採用担当者に前向きな印象を与えられます。
面接ではブランクがあることを気にしすぎず、保育への思いや再スタートへの意欲を伝えることがポイントです。
志望動機では「勤務条件が合うから」だけでなく、「園の保育方針に共感した」など前向きな理由を述べると効果的です。
ブランクのある保育士が働きやす保育園とは
ブランクのある保育士が安心して復職するには、自身に合った働きやすい保育園を見極めることが大切です。
ここでは、ブランクがあっても働きやすい保育園の特徴を4つ紹介します。
- 研修・フォロー体制が整っている
- 勤務時間や雇用形態の選択肢が豊富にある
- 人間関係や職場の雰囲気がよい
- 業務負担の少ない環境が整っている
それぞれ見ていきます。
研修・フォロー体制が整っている
たとえば、ブランク明けで復職する保育士にとって、以下のような取り組みを行う保育園は大きな安心材料となります。
- 現場復帰前後に研修やオリエンテーションを実施している
- 担当制やメンター制度など、質問・相談しやすい体制がある
- 書類作成やICTツールの使用方法などを丁寧にレクチャーしてもらえる
復職者向けのOJT制度(研修制度)や段階的な業務分担の導入により、業務に慣れていける環境を作る園もあります。
勤務時間や雇用形態の選択肢が豊富にある
短時間勤務や週3日からの勤務、パート・契約社員など、家庭や体調と両立しやすい働き方が選べる保育園は、復職しやすい環境といえます。
契約社員や非常勤といった雇用形態の選択肢がある園では、自分のペースで働き方を調整できるのも魅力です。
育児や介護との両立を考えている方にとって、ライフスタイルに合った柔軟な勤務形態は、再スタートの大きな後押しになるでしょう。
人間関係や職場の雰囲気がよい
ブランク明けで職場復帰する際、人間関係のストレスは大きな障壁になります。
そのため、新人や復職者を温かく迎える風土や、定期的な面談・相談の機会がある園は働きやすい傾向にあります。
職員同士が協力し合い、悩みを共有できる体制が整っていれば、人間関係に悩まず安心して保育に集中できるでしょう。
園の人間関係や雰囲気は、見学や面接時に確認しておくと安心です。
業務負担の少ない環境が整っている
たとえば、ICTツールの導入により、連絡帳や出欠管理などの事務作業をスムーズに行う工夫をしている園も増えています。
さらに、1クラスを複数の保育士で担当する配置にして、保護者対応や記録作成の役割分担などの工夫も採り入れられています。
こうした環境であれば、ブランクのある保育士でも安心して職務に復帰しやすいでしょう。
ブランクOKの保育士求人を探すポイント
保育士として復職を目指す際、求人情報の見極めが大切です。
以下3つのポイントを意識しながら、ブランクOKの保育士求人を探しましょう。
- 「ブランク歓迎」や「復職支援あり」の表記を確認する
- 職場のサポート体制や雰囲気を見極める
- 転職サイトやエージェントを有効活用する
それぞれ詳しく解説します。
「ブランク歓迎」や「復職支援あり」の表記を確認する
求人票に「ブランク歓迎」「復職支援あり」の記載がある保育園は、研修体制やサポート環境が整っている傾向にあります。
「未経験可」「子育て経験を活かせる」などの文言も確認ポイントです。
過去の経験を評価し、段階的に業務に慣れていける職場であれば、復職への不安も軽減できます。
なお、「ブランク歓迎」や「復職支援あり」の文言がなくても、復職者の受け入れに積極的な園もあります。
気になる求人があれば、応募前に問い合わせて確認しましょう。
職場のサポート体制や雰囲気を見極める
園見学や面接の機会を活用し、研修制度や人間関係、働くスタッフの年齢層などもチェックしましょう。
チームでの協力体制があるか、職員同士の関係性が良好かなども重要なポイントです。
園見学や面接時には、職員の表情や声のかけ合い、保育室の掲示物や雰囲気などから、職場の風土を確認しておくとよいでしょう。
入職後のミスマッチを防ぐためにも、見学や質問を通じて積極的に情報を集める姿勢が大切です。
転職サイトやエージェントを有効活用する
とくに「保育士専用」のサービスを利用すれば、復職支援に力を入れている園の求人に出会いやすくなります。
エージェントを通じて応募すれば、職場の雰囲気や離職率など、一般の求人情報からは見えにくい内部情報も事前に把握できます。
とくに保育士専門の「保育のせかい
」は、関西エリアに特化した求人を多数掲載しており、地域に根ざしたサポートが強みです。
職場の人間関係や雰囲気、残業の有無など、求人票だけでは分からない内部情報も把握できるため、復職に不安がある方にも安心です。
履歴書の添削や面接対策、条件交渉の代行など、就職活動全般を手厚く支援してくれます。
自分に合った働き方を見つけたい方は、転職サイトやエージェントを積極的に活用しましょう。
まとめ|保育士のブランクが不安な方こそ、プロのサポートを活用しよう
「現場についていけるか」「人間関係に馴染めるか」など、ブランクによる不安を抱えるのは自然なことです。
近年では、復職支援研修や柔軟な働き方を用意する園も増えており、経験者を歓迎する風潮も見られます。
さらに保育士専門の転職エージェントを活用すれば、希望条件に合う園を効率的に見つけやすいでしょう。
保育士専門の転職支援サービス「保育のせかい
」では、関西エリアに特化した求人を多数保有しています。
復職に向けた相談や職場見学の調整まで一貫したサポートを提供しているため、不安を解消しながら復職の一歩を踏み出せます。
自分に合った働き方を見つけ、保育の現場で再び活躍したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事の監修者

森 大輔(Mori Daisuke)
保育のせかい 代表
《資格》
保育士、幼稚園教諭、訪問介護員
《経歴》
2017年 保育のせかい 創業。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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