保育士として働いている中で「転職した方がいいのかな」と悩むことは珍しくありません。
人間関係や待遇、働き方などの悩みから転職を考える方も多いでしょう。
しかし、いざ動こうとすると「誰に相談すれば良いのか」「何から始めれば良いのか」が分からず戸惑うこともあるはずです。
この記事では、保育士の転職に関する相談先や準備のコツ、失敗しないためのポイントなどを詳しく解説していきます。
転職で悩んでいる保育士の方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
保育士の転職をとりまく状況
保育士の転職市場は、少子化が進む中でも依然として高いニーズに支えられています。
保育士として働く方の中には、「今後もこの仕事を続けられるのか」「異業種への転職は可能なのか」と不安を感じている方もいるかもしれません。
ここでは、現在の保育士を取り巻く転職事情について、年齢やスキル、需要の視点から詳しく解説していきます。
保育士という仕事は今も高いニーズがある
少子化が進んでいるとはいえ、共働き家庭の増加により保育サービスの需要は依然として高まっています。
特に都市部では待機児童問題が解消されきっておらず、保育士の人材確保は大きな課題。
また、延長保育や病児保育、休日保育など多様な保育ニーズに対応する施設が増えたことで、保育士の活躍の場も広がっています。
こうした背景から、保育士の求人倍率は他業種と比べ高く、転職市場でも比較的有利な状況が続いています。
20代・30代の転職は比較的スムーズ
保育士として転職を考える場合、年齢によっても選択肢は大きく変わってきます。
特に20代〜30代は、体力があることや柔軟性の高さから採用する園側にとっても魅力的な人材と言えます。
経験が浅くても、「これから長く働いてくれる」という期待を込めて採用されやすく、キャリアアップのための転職も比較的スムーズです。
一方で、40代以降になると即戦力を求められる傾向が強まり、求人数も限られてくるため、転職を検討している場合はできるだけ早めの行動がカギとなります。
異業種への転職はハードルがあるが可能性もある
保育現場でのストレスや体力的な問題から、異業種への転職を考える保育士も少なくありません。
ただし、一般企業ではPCスキルや業務知識が求められるため、未経験からのチャレンジには一定の覚悟が必要です。
とはいえ、保育士として培ったコミュニケーション力や状況判断力、チームでの連携力などは多くの職場で評価されるスキルです。
特に子ども関連の商品企画や教育系企業、福祉分野などでは保育士経験者が歓迎されるケースもあり、適職を見つけることで新たな道が開ける可能性も十分にあるでしょう。
保育士が転職を考える理由
保育士として働く中で、今の職場に違和感やストレスを感じる瞬間は誰にでもあるものです。
そんなとき、「今のままでいいのだろうか」と転職を意識する方も少なくありません。
転職の理由は人によってさまざまですが、実際に多くの保育士が共通して抱えている悩みも存在します。
ここでは、保育士が転職を考える主な4つの理由について、具体的に見ていきましょう。
人間関係
保育士の転職理由で最も多く挙げられるのが、人間関係の悩みです。
保育園では職員同士のチームワークが重視され、日々の業務は複数人で分担するのが基本です。
そのため、同僚や上司との関係が悪化すると、毎日の仕事が苦痛になってしまうこともあるでしょう。
特に閉鎖的な職場では一度関係性がこじれると修復が難しく、孤立を感じやすい環境に陥るおそれがあります。
自分ではどうにもできない状況が続く場合、環境を変えることが一つの前向きな選択になるでしょう。
給料
仕事内容に対して給料が見合っていないと感じている保育士は非常に多く見られ、これも転職を検討する一因となっています。
保育の現場では体力面・精神面の両方で大きな負担がありながら、給与水準は他職種と比較しても低いのが実情です。
また、年数を重ねてもなかなか昇給しにくい職場が多いため、「将来を見据えて収入を上げたい」と考える方にとっては、転職によってより良い条件を探すのは自然な流れと言えるでしょう。
労働時間
保育士の業務は早番・遅番といったシフト勤務が基本ですが、実際は残業が多く、プライベートの時間を確保しにくいという声も少なくありません。
行事前は資料作成や飾り付けなどで夜遅くまで残るケースもあり、時間外労働が常態化している園も少なくありません。
また、休憩時間がまともに取れない場合や、持ち帰りの仕事が常態化している場合もあり「自分の時間を大切にしたい」と考える保育士にとって、働き方を見直す重要なきっかけとなるでしょう。
教育方針の違い
園によって保育・教育に対する考え方は異なり、自分の保育観と合わないと感じるとき、仕事に違和感を覚えることがあります。
例えば、子ども主体の保育をしたいのに上からの指示が厳しく自由がない、または支援の手が少なすぎて不安になる、というようなケースです。
教育方針のズレは、日々の保育に対する意欲に影響を与えるため、勤務期間が長くなるほどストレスの要因となることがあります。
自分の理想とする保育を実現するために、方針の合う職場を見つけることは、職場選びにおいて非常に重要な視点となります。
保育士の転職は誰に相談するべき?
保育士が転職を考えるとき、どこに相談すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
特に初めての転職では、何から始めるべきか分からず、孤独を感じることもあるかもしれません。
転職で大切なのは、自分に合った相談先を見つけることです。
信頼できる情報を得て正しい方向に進めるよう、目的に応じた相談窓口を活用していきましょう。
転職エージェント
保育士専門の転職エージェントは、専任のアドバイザーがついて一人ひとりに合ったサポートをしてくれる心強い存在です。
キャリアの棚卸しから求人の紹介、履歴書の添削、面接のアドバイスまでトータルで支援してくれるため、転職活動に慣れていない方にも安心。
エージェントは内部事情に詳しく「人間関係の良い職場」「残業が少ない園」など、求人票だけでは分からないリアルな情報も提供してくれます。
仕事が忙しくてなかなか転職に時間が取れない方にとっては、効率よく活動を進められる手段の一つです。
転職サイト
自分のペースでじっくりと求人を比較したいという方には、転職サイトの活用が適しています。
多数の求人が掲載されており、勤務地や給与、勤務時間などの条件を細かく絞り込んで検索できます。
中にはスカウト機能がついているサイトもあり、プロフィールを登録しておくだけで企業側からアプローチが来るケースも。
保育士専門のサイトでは、園の写真や職場インタビューなども掲載されており、雰囲気を事前に把握しやすい点も利点といえるでしょう。
「まずは情報収集から始めたい」「アドバイザーの介入なく進めたい」という方におすすめの方法です。
転職フェア・イベント
求人票やネットの情報だけでは職場の実態が見えにくいと感じる方には、転職フェアへの参加がおすすめです。
フェアでは実際に園の採用担当者や現役保育士と直接会話できるため、働く人の雰囲気や現場の空気感を肌で感じられます。
会場では多数の園が一度に集まるため、比較しながら質問できるのも大きなポイント。
また、相談ブースで転職のプロに個別相談できるフェアもあり、「転職するかどうかも迷っている」という段階の方にも参加しやすい場として多くの人に利用されています。
キャリアカウンセリングサービス
「今の職場が合わない気がするけど、本当に転職すべきか分からない」そんな漠然とした悩みには、キャリアカウンセリングサービスが適しています。
カウンセラーは転職ありきではなく、その人自身の価値観や希望、将来設計に合わせて進路を一緒に考えてくれます。中立的な立場からのアドバイスがもらえるため、考えを整理しやすくなり、次の行動に移るきっかけをつかめます。
場合によっては「転職せずに今の職場で調整する」という選択肢が見えてくるケースもありますよ。
保育士・保育所支援センター
公的機関が運営する保育士・保育所支援センターは、地域に根ざしたサポートを受けられる点が大きな魅力です。
現役の保育士だけでなく、ブランクがある方や未経験の方でも相談可能で、就職支援だけでなく研修やセミナーも提供されています。
地元で転職したい方、復職を検討している方にとっては、地域事情に詳しい担当者から実情に即したアドバイスが受けられる点がおすすめ。
施設見学の斡旋やマッチングイベントの案内など、実務に直結した情報を得られるのも安心材料となるでしょう。
先輩や同僚、保育士仲間
身近にいる先輩や同僚、元同僚の保育士に相談するのも、現場のリアルな話を聞くには有効な手段です。
転職経験者であれば、自分と似た立場からのアドバイスや注意点を教えてくれます。
転職サービスでは得られない口コミ的な情報や、職場の雰囲気に関する裏話などを聞ける場合もあります。
ただし、現在の職場で相談する場合は、話した相手との信頼関係やタイミングには十分注意が必要です。
場合によっては誤解や気まずさを生むこともあるため、慎重に進めましょう。
ハローワーク
ハローワークは全国に拠点をもつ公共の就職支援機関で、無料で保育士向けの求人検索やキャリア相談を受けられます。
特に地元での就職・転職を希望する方には、地域密着型の求人情報をもっている点で心強い存在に。
ハローワークでは定期的に保育士向けの就職説明会を開催しているところもあり、情報を得るチャンスが広がります。
初めての転職で相談先に迷ったときには、まずはハローワークに足を運んでみるのも一つの方法ですよ。
保育士が転職相談する前の準備は何をする?
転職相談は、思い立ったタイミングで気軽に利用できますが、事前にある程度準備しておくことで相談時間をより有効に使えるようになります。
転職するかどうか迷っている段階でも、自分の状況を整理するだけで方向性が見えやすくなります。
ここでは、相談に行く前に整理しておきたいポイントを4つ見ていきましょう。
転職したいかどうかを考える
「今の職場がつらい」「他にもっといい場所があるのでは」と感じても、必ずしもすぐ転職を決断する必要はありません。
まずは、自分が本当に転職を望んでいるのか、それとも一時的な疲れや不満から来ているものなのか見極めましょう。
気持ちのモヤモヤが続いている場合は、その原因を掘り下げて考えることが重要です。
転職の意思が固まっているかどうかによって、相談先やその後の動き方も変わってきます。
転職すること自体が目的になっていないか、一度立ち止まって考えることも必要ですよ。
現在の状況や経歴を整理する
相談の際は、「どんな保育園で働いていたのか」「どんな役割を担ってきたか」といった情報を求められることがあります。
これまでの職歴や経験を整理しておくことで、スムーズに相談を進められるでしょう。
例えば「今の園に就職した理由」「どんな業務を任されていたか」「どんなやりがいや課題を感じていたか」などを振り返っておくと、アドバイザーに的確なアドバイスをもらいやすくなります。
普段は思い出せないような過去の業務内容も、書き出してみると意外な強みやアピールポイントが見えてくることもあるでしょう。
転職先に求める希望をまとめる
転職相談では、「どんな職場で働きたいか」も具体的に伝えられると、よりマッチする求人を紹介してもらいやすくなります。
例えば「残業の少ない園がいい」「0〜2歳児と関わりたい」「駅近で通いやすいところが希望」など、自分が大切にしたい条件を事前に考えておきましょう。
ただし、すべての希望を叶える職場はなかなか見つからないこともあるため、どの条件を優先するか、妥協できる点はどこかも整理しておくと良いです。
迷っている場合は、その優先順位自体を一緒に考えてもらいましょう。
履歴書や職務経歴書を用意する
本格的に転職を意識している場合は、履歴書や職務経歴書を用意しておくのがおすすめです。
転職エージェントや求人紹介サービスを利用する場合、書類をもとに具体的な求人を提示されることが多いため、準備しておくと対応がスムーズです。
作成する過程で、これまでの経験やスキルを客観的に振り返られるため、自己理解にもつながります。
完璧な書類を用意する必要はありませんが、たたき台があるだけでも相談の内容をより深めることが可能でしょう。
保育士が転職で失敗しないためのポイント
転職は人生の中でも大きな選択の一つです。
保育士としてのキャリアをより良いものにするためにも、焦って動くのではなくいくつかの大切なポイントを押さえて行動しましょう。
ここでは、転職で後悔しないために意識しておきたい4つの観点について、順に解説していきます。
ポイント①転職の目的を明確化する
まず最初にすべきことは、「なぜ転職したいのか」という自分の気持ちを明確にすること。
ただ何となく今の職場に不満があるからという理由では、転職後もまた似たような悩みに直面してしまう可能性があります。
「今よりもワークライフバランスを大切にしたい」「子どもとの関わりを深められる環境で働きたい」など、自分が今後どんな働き方を求めているのかしっかり言葉にしておきましょう。
目的がはっきりしていれば、転職活動の判断に一貫性を持たせやすくなります。
ポイント②希望条件の優先順位を設定する
転職について「自宅から近い方がいい」「給与を上げたい」「行事が少ない園がいい」など、希望がいくつも出てくるかもしれません。
しかし、全てを完璧に満たす職場を見つけるのは現実的ではありません。
大切なのは、自分にとって何を一番に優先するのか整理しておくこと。
譲れない条件と、妥協できる条件を分けて考えることで、選考の段階でも判断に迷いにくくなります。
条件の絞り込みができると、より効率良く求人を探せるようにもなります。
ポイント③園の雰囲気を確認しておく
実際に働く職場の雰囲気は、求人票やHPだけではなかなか見えてきません。
働きやすさや人間関係、保育の方針などは、入職してからでないと分からないことが多いため、できるだけ事前に情報を集めておきましょう。
可能であれば園見学を申し込むことや、転職フェアで現場の職員と話をしてみるのも有効です。
また、転職エージェントを利用すれば過去の評判や職員の声など、よりリアルな情報を得られる場合もあります。
見えづらい点こそ事前に確認しておくことが、転職後のミスマッチを防ぐための重要な対策となります。
ポイント④転職活動の時期を意識する
保育業界では、4月に新年度が始まるタイミングで人の動きが活発になります。
そのため、4月入社を目指す場合は、遅くとも前年の秋ごろから情報収集を始めておくのが理想的でしょう。
年度途中での募集もありますが、選べる求人の数や条件は限られます。
できるだけ希望に合った職場で働き始めたいと考えるのであれば、余裕をもったスケジュールで転職活動を計画しましょう。
特に初めての転職では、書類の準備や面接対策にも時間がかかるため、早めの行動が成功のカギですよ。
保育士の転職に関するよくある質問
保育士として転職を考えたとき、多くの方が似たような悩みや疑問を抱えるものです。
ここでは、転職希望者からよく寄せられる代表的な質問を取り上げ、それぞれ丁寧に解説していきます。
転職活動を円滑に進めるためにも、あらかじめ疑問点を整理しておくことが重要です。
年度途中で退職できる?
保育園では4月から3月までを1年度として保育活動が行われるため、年度末まで勤務を続けるのが一般的です。
しかし法律上は、正社員であっても退職の申し出をしてから2週間が経過すれば、年度途中でも退職することは法律上認められています。
とはいえ、現場の混乱や同僚への負担を抑えるためにも、早めの相談と丁寧な引き継ぎを意識し円満退社するのが理想です。
今の保育園を円満退社できるか不安
退職するときに職場との関係を悪化させたくないと考えるのは自然なことです。
特に人手不足の園では、退職の申し出に戸惑いや反発があるケースもあるでしょう。
大切なのは「いつ・どのように」伝えるかです。
可能であれば繁忙期を避け、十分な猶予をもって退職時期を相談しましょう。
また、自分一人で抱え込まず、転職エージェントなどに相談することで、より円滑な退職手続きを進めやすくなります。
保育士の転職は何歳までできる?
保育士の転職に年齢制限はありません。
人手不足が続く保育業界では、年齢に関わらず現場経験のある人材を歓迎する傾向があります。
ただし体力面や勤務スタイルの柔軟性が求められるため、若い世代の方が選択肢が多くなるのも事実。
一方で、経験豊富なベテラン保育士を求める園も多いため、年齢に不安がある方も、自身の強みを明確にすれば、適した職場を見つけられる可能性があります。
保育士の平均年収は?
保育士の年収は勤務先の規模や地域、経験年数によって大きく異なりますが、厚生労働省の調査によると令和4年時点で約381万円とされています。全産業平均と比較するとやや低めですが、処遇改善手当や公的支援の拡充により、待遇は徐々に改善傾向にあります。
より高い年収を目指すなら、待遇の良い法人運営の保育園や企業内保育所、認定こども園なども選択肢に入れてみると良いでしょう。
※参照元:e-Stat_政府統計の総合窓口:令和4年賃金構造基本統計調査
保育士資格を活かせる仕事は?
保育士資格は保育園だけでなく、放課後等デイサービスや児童館、ベビーシッターなど、さまざまな職場で活かせます。
さらに、テーマパークの託児施設や子ども向けの写真スタジオ、英会話教室など、意外な場所でも保育士の経験は歓迎されます。
「子どもと関わる仕事がしたい」という気持ちを軸に、自分の得意分野やライフスタイルに合った職場を見つけてみましょう。
保育士から一般企業に転職できる?
保育士から異業種への転職は決して珍しいことではありません。
実際、保育士として培ったコミュニケーション力や問題解決力、マルチタスク能力は、多くの職場で高く評価されます。
未経験歓迎の事務職や営業職、接客業など、一般企業でも活躍の場は広がっています。
パソコンスキルや基本的なビジネスマナーを身につけておくと、よりスムーズな転職活動ができるでしょう。
転職で後悔しないために信頼できる相談先を見つけよう
保育士の転職では、誰に相談するか、どのタイミングで動くかが成功を左右します。
転職エージェントや支援センターなどの相談先を上手に活用し、自分に合った職場を見つけるための準備も大切です。
この記事を参考に、後悔のない転職を実現してください。
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