保育現場において、保育指導案は子ども達の成長と発達を支える重要な計画書です。
日々の子どもたちの様子をよく観察して、個々の成長に寄り添った指導案を作成できると、子ども達一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことに繋がります。
保育士同士が共通認識を持ち、一貫性のある保育を提供するためにも、綿密な指導案作成は欠かせません。
多層的に構成される指導案は、子ども達一人ひとりの個性や発達段階に応じた柔軟な対応を可能にします。
今回は、保育指導案の基礎知識や、指導計画の目的、構成項目などについてお伝えしていきます。
Contents
保育指導案は年間計画だけ?
保育指導案は、年間計画だけで構成されているわけではありません。
年間計画は、長期的な視点で子どもの成長を見通し、1年間の保育活動を計画するものです。
しかし、これだけでは日々の具体的な保育活動を運営するには不十分です。
年間計画を基盤として月案、週案、日案といった短期的な指導案が作成されます。
多層的な計画を立てることで、子どもの成長を支える一貫性のある保育が実現します。
例えば、月案では1か月間の行事や活動を具体化して、週案や日案では、さらに細かい活動内容や、子どものニーズや興味に応じて柔軟に対応するなどです。
保育指導案は年間計画だけにとどまらない多層的な計画書です。
保育指導案とは?
保育指導案とは、子どもたちが安心して生活し、健やかに成長できるように保育士が作成する計画書です。
指導計画とも呼ばれています。
子どもの発達段階や生活状況に基づいて、目標や活動内容を具体的に示します。
保育指導案を活用すると、保育士は日々の保育活動を、効率的かつ効果的に進められるのです。
保育所保育指針に基づき作成されるため、内容は専門性と実践性を兼ね備えています。
指導案には、「ねらい」や「活動内容」、「環境構成」などが記載されており、子ども達一人ひとりの特性や発達段階に応じた支援が可能です。
保育指導案は主に、長期指導案と短期指導案に分けられます。
長期指導案
長期指導案には年間計画と月案が含まれます。
年間計画は年間を通じて、保育の方向性や目標を設定して、子ども達の成長や発達を長期的に見据えた計画です。
例えば、年度の初めに設定される年間目標や、季節ごとのテーマに基づいた活動計画などが含まれます。
月案は年間計画をさらに具体化したもので、1か月間の具体的な活動内容や目標を設定します。
対象月ごとの行事や、季節感を反映させながら計画します。
例えば、春には遠足や花見、夏にはプール遊びなど、季節ごとのイベントなどです。
保育指導案は長期と短期の両面から、子どもの発達を支える仕組みとなっています。
短期指導案
短期指導案には週案と日案が含まれます。
週案は月案をさらに細分化して、1週間ごとの具体的な活動内容や目標を設定します。
日案はその日の流れや、活動内容を時間ごとに記載したものです。
天候や子どもの体調など、その日の状況に応じて柔軟に変更できる点が特徴です。
子ども達の予想される姿や保育士の援助方法、環境構成まで含めた総合的な計画となります。
保育指導案計画の目的は?
保育指導案の目的は、子ども達の健全な成長と発達を促すために、発達段階に応じた適切な支援を行うことです。
子ども達の興味や関心を引き出して、学びの機会を提供したり、保育士が一貫した方針のもとで保育を行うための指針となることが挙げられます。
保育指導案を上手く活用できると、保育士自身が迷いなく業務を進めるための、ガイドラインとして役立ちます。
保育士間で共通認識を持つことで、一貫性のある保育業務が可能になったり、保護者との連携、職員間での情報共有にも繋がるでしょう。
保育指導案は子ども達が、安心して過ごせる環境を整えるためにも必要になってきます。
保育指導案の主な構成項目
保育指導案の主な構成項目を紹介していきます。
保育の配慮
保育の配慮では、子どもの特性や発達段階に応じた支援内容が記載されます。
例えば、新しい環境への適応が難しい子どもには、特別な配慮が必要となる場合があります。
子ども達の安全確保や健康管理、個々の特性に応じた支援方法について具体的に記載しなければいけません。
配慮を必要とする園児への個別対応や、クラス全体での安全管理についても明確に示します。
ねらい
ねらいは活動を通じて、達成したい目標を明確化する項目です。
活動全体の方向性を示す重要な部分になります。
例えば、子ども達が協力して遊ぶことを通じて社会性を育むことや、自然観察を通して自然への興味関心を深めるなどです。
子ども達の発達段階や興味関心に基づいて設定され、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)を意識した内容となります。
予想される子どもの姿
予想される子どもの姿では、活動や環境設定によって期待される、子どもの行動や反応が記載されます。
園児の反応や行動、成長の様子を具体的に記載します。
例えば、特定の活動を通じて、子ども達がどのようなスキルを身につけるのか、どのような態度や行動が見られるかなどです。
活動を通じて予想される子ども達の反応や行動、成長の様子を具体的に記載して、適切な支援方法や活動後の振り返りや評価にも役立ちます。
環境構成
環境構成は、ねらいを達成するために必要な物理的、心理的な環境について明確化する項目です。
例えば、遊具や教材の配置、保育士の立ち位置など、細かな点まで考慮した計画を立てます。
安全性を考慮した遊具配置や、落ち着いて過ごせる空間作りを行うことで、子ども達が安全に活動できるようにどのような配慮をするべきなのかなどが含まれます。
保育指導案の書き方は統一しよう
保育指導案を書く際には、フォーマットや表現方法などが、バラバラにならないように書き方の統一が大切です。
例えば、フォーマットや語尾表現などを書式統一し、基本ルールを決めておくことで、一貫性と効率性が向上します。
書き方が統一されていると、他の職員にも分かりやすく伝わり一貫性ある運用に繋がります。
統一された書き方により、保育指導案の内容が明確になって、保育士間での情報共有がスムーズに行われるはずです。
保育指導案の作成には時間と労力が必要ですが、それ以上に得られる成果は大きいと言えるでしょう。
まとめ
保育指導案は単なる書類ではなく、子どもの健全な発達と安全な生活環境を支えるために欠かせない計画書です。
年間計画から日々の活動計画まで、様々なレベルの計画に役立ちます。
保育指導案を通じて、保育士間で共通認識を持つことができ、一貫性のある保育活動が実現します。
年間計画、月案、週案、日案と、それぞれの時間軸で必要な計画を立て、子ども達の発達段階や興味関心に合わせた保育を実践することが大切です。
この記事の監修は
森 大輔
保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事を兼任中。
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