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2024.08.27

保育士はサービス残業と休憩なしが当たり前?残業内容ややりがい搾取について

保育園や保育施設で働く保育士は、チームワークが求められる仕事です。

自分のペースで仕事を進めることが難しく、周囲の職員と協力しながら対応する必要があります。

職場によっては定時で仕事が終わらずに、残業や持ち帰り仕事がたびたび発生するところもあり、保育業界では問題視されています。

休憩が取れないほど忙しいところもあるでしょう。

一般的には残業になると、割増賃金が支給されますが、サービス残業をしている保育士も一定数いる状況です。

今回は、保育士はサービス残業と休憩なしが当たり前なのかや、残業内容ややりがい搾取などについてお伝えしていきます。

保育士はサービス残業が当たり前?

保育士の仕事は子ども達の成長を支える社会貢献性が高いものですが、多くの保育士がサービス残業という形で、追加の労働をしているのが現状です。

サービス残業とは、労働者が給料を受け取らずに行う労働です。

保育士の間では一般的な問題となっていて、健康、モチベーション、最終的には保育の質にも影響を及ぼす可能性があります。

保育士の仕事は多岐にわたります。

子どもの日常的な生活サポートだけではなく、保護者とのコミュニケーション、行事の準備、書類作成など、さまざまな業務があるからです。

全てを定時内に終わらせるのは難しく、結果としてサービス残業が常態化しています。

職場の雰囲気や同調圧力も影響しています。

特に新人保育士は、先輩や上司の目を気にして、自分だけ早く帰るのは気が引けるという心理的なプレッシャーがある人は多いでしょう。

保育士の間でも、子どものために手間と時間をかけることが愛情だと考える風潮があるため、サービス残業が常態化しやすいです。

サービス残業が当たり前とまではなっていませんが、遅くまで仕事をしている保育士もたくさんいます。

保育士は休憩なしが当たり前?

保育士の仕事は非常に忙しく、休憩を取る時間がないことも少なくありません。

子ども達の安全を確保するために、常に目を離さずに見守る必要があります。

そのため、昼食を取る時間や休憩時間が十分に確保されないことが多いです。

保育士の数が足りない職場では、一人ひとりの負担が大きくなってしまうので、休憩を取ることが難しくなり、常に忙しく働かなければならないところもあるでしょう。

保育士は休憩なしが当たり前という状況までには、なっていませんが子ども達が昼寝をしている時間に、書類作成や準備作業を行うなどして、実質的に休憩時間が取れない状況が続いてる保育士は多いです。

問題を解決するためには、保育士の待遇改善や労働環境の見直しが必要です。

具体的には、保育士の数を増やして一人ひとりの負担の軽減や、業務効率化を図ることが求められます。

また、休憩場所が制限されている場合もあります。

職員室や狭い休憩室での休憩は、他の職員の出入りや業務の話が続くため、リラックスできる環境ではありません。

休憩中に職員会議が行われることもあるので、休憩時間だと思って休んでいても、なかなか気が休まらない可能性があります。

保育士はサービス残業と休憩なしの両方が当たり前のところもある?

一部の保育施設ではサービス残業と休憩なしが、当たり前になっているところもあります。

保育士は多岐にわたる業務をこなす必要があり、子ども達の生活サポート以外にも、保護者対応や行事の準備、事務作業なども行います。

そのため、サービス残業と休憩なしの両方の原因となる下記のような状況が発生しやすいです。

・休憩時間の確保が難しい=子ども達がいる間は常に対応が必要なため、まとまった休憩時間を取ることが難しい
・持ち帰り仕事=子ども達が帰った後も、事務作業や準備が残っているため、自宅で仕事をすることが多い
・長時間労働=シフト制であっても、早出や遅くまでの勤務が常態化している

保育士の労働環境を改善するためには、働き方改革が必要です。

休日が少ない、有給休暇の取得が困難であるなど、保育士が長期間働き続けられない要因が多く存在します。

労働環境の改善は保育士不足の解消にも繋がります。

国は保育士の待遇改善のために、処遇改善加算制度を導入していて、サービス残業や休憩なしで働いている状況の改善に努めていますが、簡単ではありません。

処遇改善加算は保育士の給与が改善され、勤続年数や役職に応じた加算が行われる施策です。

保育士の配置基準の見直しも行われており、将来的な労働環境の改善が期待されます。

保育士が行うサービス残業の内容

保育士が行うサービス残業の内容をお伝えしていきます。

書類の作成

保育士は日々の保育活動や、子ども達の成長記録を記録する書類を作成する必要があります。

日誌や連絡帳、個別の成長記録などは、保護者や他の保育士と情報を共有するために重要です。

しかし、子ども達がいる時間帯には集中して作業ができないため、勤務時間外に行うことが多くなります。

子ども達一人ひとりの成長や発達を記録するためには、細かく観察したうえでの記録が必要です。

行事イベントの制作物や準備

保育園では季節の行事やイベントが頻繁にあり、制作物や準備も保育士の負担となります。

例えば、衣装や小道具、装飾品を手作りするなどです。

運動会や発表会、季節のお祭りなどのイベントは、園児達にとって楽しい思い出を作る大切な機会になるでしょう。

その裏で保育士は、多くの時間を割いて行事イベントの制作物の作成や準備を行います。

制作物や準備は時間がかかり、勤務時間内に終わらないことが多いため、サービス残業になってしまいがちです。

時間外の保育業務

保育士は定時後も保育業務を行う場合があります。

子ども達が帰った後も、保育室の片付けや清掃、翌日の保育の準備などを行います。

保護者が迎えに来るのが遅れたり、子どもが体調を崩したりした場合などもあるため、勤務時間外まで職場に残り続けてサービス残業になりがちです。

子ども達の安全と健康を守るためには、柔軟な対応が求められるので仕方がない面もあるのです。

ミーティング

保育園の運営にはチームワークが不可欠であり、そのためのミーティングも重要です。

ミーティングは子ども達の日々の様子や保育方針、行事の計画などについて話し合いますが、勤務時間外に行われることも少なくありません。

ミーティングは、保育の質を向上させるために定期的に行われています。

話し合いは長時間になりがちなので、サービス残業の一部として暗黙の了解になっている職場もあります。

保護者対応

保護者からの相談や質問に対応するために、勤務時間外に電話やメールで対応する場合もあります。

子ども達の成長や問題についての相談は、時間をかけて丁寧な対応が求められます。

保護者会や個別面談も勤務時間外に行われることが多く、保育士は保護者に真摯に向き合おうとしてサービス残業になりがちです。

保護者との良好な関係は、子ども達の成長にとって非常に重要ですが、保育士にとっては大きな負担となりやすいでしょう。

保育士はサービス残業が多くなると体調面はどうなる?

保育士のなかには、サービス残業をするのは職場の他の人達も同じように、残業代を貰わずに働いているからと、自分の気持に蓋をして黙々と続けている人もいます。

チームワークが求められる保育士の仕事は、自分の業務が終われば済むというものでもなく、周りと一丸となって仕事をまわしていく必要があります。

そのため、自分の業務が落ち着いたら他の職員の作業を手伝ったり、逆に手伝ってもらったりと、職員同士が助け合ってサービス残業をすることもあるでしょう。

残業して終わらない場合や、残業ができない時は仕事を持ち帰っている保育士もいます。

しかし、サービス残業や持ち帰り仕事が頻繁にあると、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかって、体調不良を引き起こしたり、精神的に参ってしまったりする恐れがあります。

サービス残業や持ち帰り仕事をしないと、仕事がまわらなくなるのである程度は仕方がないかもしれません。

無理をし過ぎてしまうと、疲れが溜まって仕事の効率が低下したり、体調不良になったりして、ますます保育現場の仕事がまわらなくなる恐れもあります。

サービス残業や持ち帰り仕事が一時的なものであれば、頑張り甲斐がありますが、長期的に続くようでしたら自分の時間を犠牲にしてまで、仕事に没頭するのはやりがい搾取になってしまう危険性があるでしょう。

保育士のサービス残業はなぜ解消されないの?

保育士のサービス残業はなぜ解消されないのかお伝えしていきます。

保育士が不足している

保育士不足は、サービス残業の根本的な原因の一つです。

保育士の数が不足しているため、一人ひとりの負担が大きくなっています。

日本では少子化が進む一方で、共働き家庭の増加により保育ニーズが高まっています。

しかし、保育士の数が追いついていないため、現場では慢性的な人手不足が続いていたり、労働条件や賃金が低いことが関係していたりするのです。

資格を持ちながらも保育士として働いていない、潜在保育士が多いことも問題です。

保育士の仕事は肉体的・精神的に非常にハードであり、長時間労働が常態化しているため離職率が高く、新たな保育士の確保が難しくなり、結果として現場の負担が増加しています。

仕事量が多すぎる

保育士の仕事は、マルチタスクで色々なことをこなさなければいけません。

一部の職場では残業をすることが、頑張っている証として評価されるところもあるため、仕事量が多すぎるとサービス残業になりがちです。

違和感を持ちつつも、誰も声を上げないとサービス残業が、当たり前のように行われるようになります。

特にイベントや行事の準備が重なると、業務量が増え残業が発生しやすくなります。

また、保育の質を高めるために、細かな準備や計画が必要とされるため、時間外労働が発生しやすいです。

先輩や上司の目が気になる

保育士のなかには、先輩や上司の目が気になり、自分だけが早く帰るのは罪悪感を感じる人もいます。

職場の雰囲気や独特の社内文化も、サービス残業を減らすうえでの障害となっています。

先に帰宅してしまったら、自分が居ないところで悪口を言われたり、印象が悪くなったりするのではと、ネガティブ思考になってしまう保育士も少なくありません。

職場の雰囲気を考えたり、周囲に合わせたりして残業をすることが多くなる保育士もたくさんいます。

残業を美徳としている

日本の労働文化において、長時間労働や残業が美徳とされる傾向があります。

残業が美徳となっている職場では、サービス残業が当たり前のように行われているところもあるでしょう。

保育士のサービス残業問題にも影響を及ぼしており、残業を減らすのは個人の努力不足と見なされることがあります。

そのため、帰りにくい雰囲気があり、サービス残業が続いてしまうことがあります。

保育士の労働環境の改善は、子ども達に質の高い保育を提供するためにも、保育士自身の健康とモチベーションの向上のためにも重要です。

サービス残業や持ち帰り仕事が当たり前にならないように、保育士が専門性を発揮して、やりがいを持って働ける環境の整備が求められています。

保育士はサービス残業と休憩なしが当たり前にならないように工夫が大切

保育士の仕事は多岐にわたり、サービス残業や休憩なしの状況が当たり前になりがちです。

当たり前にしないためには、以下のような工夫が必要です。

・人員の適正配置=適切な人員配置や新たな保育士の確保をする
・業務効率化=書類作成や準備作業を効率化するために、ICTの導入やデジタルツールを活用する
・労働時間の改善=タイムカードの導入や労働時間の記録を行う
・労働条件の見直し=残業代を支払うようにする
・休憩の確保=休憩時間を確保するために、保育士のシフトを調整する

例えば、ある保育園はサービス残業にならないように、きちんと残業代を支給するよう工夫に努めているところもありました。

労働条件の見直しを行って、残業代の適正な支払いを実施しています。

しかし、職場の労働環境や待遇面の改善は、1人の保育士が工夫するだけでは何も変わっていかない可能性が高いです。

他の職員や役職者の方達と話し合い、職場への理解を求めないとサービス残業や休憩なしの問題は、なかなか改善はされにくいです。

保育士の身体や雇用を守るためにも、将来的には保育業界全体での労働環境や待遇面の改善が必要になってくるでしょう。

保育士のサービス残業と休憩なしの働き方は職場によって違う

保育士の働き方は職場によって大きく異なります。

一部の保育園では、サービス残業や休憩なしが常態化している一方で、他の保育園では労働環境が整備されている場合もあります。

例えば、大規模な保育園では、職員の数が多いため業務の分担がしやすく、サービス残業や休憩なしの状況が少なくなりがちです。

小規模な保育園では、職員の数が限られているため、一人ひとりの負担が大きい傾向があります。

そのため、サービス残業や休憩なしの状況が発生しやすくなるのです。

保育士の労働環境においては、サービス残業や休憩時間が確保されないことが、しばしば問題視されています。

職場によっては、保育士が自らの意志で長時間労働を選択している場合もありますが、多くの場合は制度的な問題や人手不足が関係していると言えるでしょう。

保育士の勤務時間は、シフト制や固定時間勤務など様々な形態がありますが、いずれの場合も長時間労働が問題となっています。

特に、早朝や深夜の勤務がある場合、休憩時間が確保されにくくなります。

保育士が不足していることや、業務量が膨大で保育士が残業をするのが当たり前となっているため、労働時間が8時間を超えることは珍しくなく、法律で定められた休憩時間を確保できていない働き方をしている人もたくさんいる状況です。

職場側や保育士自身が変化を求める動きも見られます。

例えば、無駄な業務を削減して効率化を図ることで、サービス残業を減らす試みが行われています。

危機感を持っている保育士は、より良い労働環境を求めて転職を考える人も増えている状況です。

保育士はサービス残業しても未払いの残業代を請求できる?

労働基準法では、労働者の権利として残業代の支払いが、定められており保育士も同様です。

労働者が実際に働いた時間に対して、適切な賃金を支払うことが義務付けられています。

保育士がサービス残業をしている場合でも、未払いの残業代の請求が可能です。

ただし、未払いの残業代を請求するためには、実際に働いた時間を証明する証拠が必要です。

例えば、タイムカードや業務日誌、メールの記録などが証拠として役立ちます。

上記のように、労働者が残業をした事実を証明できる証拠があれば、未払いの残業代を請求しやすくなります。

自力での労働時間の管理が難しい場合は、労働基準監督署や労働組合などの相談窓口に相談するのも良いでしょう。

保育士はサービス残業は避けられても持ち帰り仕事がある場合も

保育士はサービス残業は避けられても、持ち帰り仕事が発生してしまう場合もあります。

持ち帰り仕事は、勤務時間内に終わらない業務を自宅で行うものです。

行事の準備や書類作成、保護者への連絡事項の整理などが含まれます。

持ち帰り仕事は、法的には違法ではないケースが多いですが、時間外労働としての残業代が支払われない場合があります。

子ども達が帰った後や休憩時間に行うことが多いですが、時間が足りない場合は自宅に持ち帰る保育士もたくさんいるでしょう。

持ち帰り仕事が常態化すると、プライベートな時間が削られて、心身の負担が増えることになります。

特に、家庭を持つ保育士にとっては、家事や育児との両立が難しくなるため大きなストレスとなります。

ストレスや疲労が蓄積しやすくなり、仕事とプライベートのバランスが崩れるかもしれません。

保育士は日本の未来を託された子ども達の命を守り、サポートしてあげるという社会的にも重要な役割があります。

もっと、社会全体で保育士の価値を再認識してあげて、保育士一人ひとりが持つ専門性を尊重し、適切な労働条件のもとで働けるようさらなる改善が期待されています。

保育士はサービス残業は避けられても休日出勤でカバーする場合も

保育士の仕事は平日のみならず、休日にも及ぶことがあります。

サービス残業は避けられても休日出勤で、カバーする場合もあるからです。

例えば、行事の準備や教室の整理、書類作成など、平日に終わらせることが難しい業務を休日に行うなどです。

運動会や発表会、卒園式などの行事が休日に行われることが多く、その準備や片付けのために出勤する必要があります。

保護者のニーズに応じて、土曜日や祝日にも保育を提供する保育園もあり、その場合は保育士が交代で出勤することになります。

休日に出勤するケースが度々起こると、休息やリフレッシュの時間が減って、疲労が蓄積しやすくなるでしょう。

また、家族や友人との時間を犠牲にすることにもなり、プライベートな生活に影響を及ぼします。

労働基準法では、1週間に1日の休日を確保することが義務付けられていますが、実際には守られていないケースもあるのです。

保育士はサービス残業とやりがい搾取の関係性

多くの保育士は、子ども達の笑顔や成長のサポートに大きなやりがいを感じています。

保育士はやりがいを感じる仕事ですが、働く意欲や情熱を利用して、サービス残業が当たり前になる環境に身を置かれている人も少なくありません。

やりがいがある一方で、やりがいを搾取する形で過剰な労働を強いられることを「やりがい搾取」と言います。

保育士が自らの使命感や、責任感から無償で労働を行うやりがい搾取をされている人もいるため、なかなかサービス残業を無くすのは難しいのです。

保育士の場合、子ども達の成長を支えるやりがいがある一方で、低賃金や長時間労働が問題になっています。

やりがい搾取をされている保育士は、心身の健康を損なうだけではなく、最終的には保育の質にも影響を及ぼす可能性があります。

やりがい搾取を防ぐためには、給料の見直しや労働時間の管理、労働環境の改善などが必要になってくるでしょう。

保育士として働いていてやりがい搾取や、サービス残業に悩んでいる場合は、転職を検討することも1つの方法です。

保育士専門の転職支援サービスや、ハローワーク、転職エージェントなどを利用して、労働環境や待遇が良い職場を見つけてみてはいかがでしょうか。

まとめ

保育士の職業に限らず、サービス残業や持ち帰り仕事が、発生している仕事はたくさんあります。

それにもかかわらず、保育士のサービス残業や持ち帰り仕事は問題視されていて、昔から労働環境や労働条件が割に合っていないという認識をされがちです。

特に、使命感や責任感が強い保育士は、子ども達の成長を支えるやりがいがある仕事だと思って、働き方を疑わない人もいます。

残業や持ち帰り仕事を行い、時間外労働の手当が貰えなくても気持を納得させて、やりがい搾取になっている人もいる状況です。

無理をして働き続けると、心身が疲弊して体調不良になったり、精神的な病気を患ったりする恐れがあります。

長く保育士の仕事をするのであれば、サービス残業や持ち帰り仕事が、慢性的になっている職場で働き続けるのは、身体を壊してしまう恐れがあるので、転職も視野に入れてみましょう。

 


この記事の監修は

保育のせかい 代表 森 大輔

2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。

その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。

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