保育士の仕事で大きなストレスとなるのが、子ども達の安全を守っていくということでしょう。
保育業務に携わるうえで、園児達の命を守るのは最優先事項です。
大きなストレスがかかるのは当然ですが、その他にも保育士の業務は多岐にわたるので、色々なことにストレスがかかってきます。
職場側では保育士にストレスチェックを行い、心身の健康状態を把握したり、結果をもとに改善に取り組んでいるところもあります。
ストレスチェックは義務なのかや、どのようなものなのか気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は、保育士のストレスチェックの重要性や、危険な兆候と効果的なセルフケアなどについてお伝えしていきます。
Contents
保育士はストレスが溜まりやすい
保育士の仕事は、子ども達の生活サポートの他にも、デスクワーク、年間イベントの企画・運営、保護者対応などやることが多く、マルチタスク能力が求められます。
保育士資格が必要になりますが、世間一般的には子育てを経験している人と同じようなことを、保育士はしているだけなので、育児の経験者であれば簡単にできそうだと思われがちです。
しかし、たくさんの子ども達を見守りながら、色々な業務をこなすのはとても大変です。
当然、忙しい日々を送っている保育士ほど、ストレスが溜まりやすいでしょう。
保育士のストレスチェックの重要性とは?
保育士は日々、多くのストレスにさらされています。
毎日、たくさんの子ども達と接する中で、保育業務以外にも時間に追われ、人間関係の調整、教育計画の立案など多岐にわたる業務をこなしています。
子ども達の成長を支える重要な役割を担っていますが、非常にストレスフルな環境で働いている保育士は多いです。
なかには、仕事の忙しさに加えて、家庭での責任も抱えていて、十分な休息を取る時間もない人もいるでしょう。
ストレスを放置すると心身の健康に悪影響を及ぼして、最悪の場合、離職に繋がる場合もあります。
ストレスチェックは、保育士が自分のストレスレベルを把握して、早期に対策を講じるための重要な手段です。
職場側はストレスチェックを行った保育士の、メンタルヘルスを管理したり、ストレス状況を把握するための評価システムとして使用されたりしています。
ストレスチェックを定期的に行えると、保育士は自身のストレスレベルを客観的に評価して、必要なサポートを求められるため、心身の回復に繋がる対策を考えたり職場側から提案してもらったりできます。
保育士のストレスチェックの目的
保育士のストレスチェックの主な目的は、ストレスの原因を特定して、個々に適切な解決策を見つけることです。
具体的には、以下のような目的があります。
・ストレスの早期発見=ストレスが蓄積する前に気づき、深刻な問題を未然に防止する
・健康管理=心身の健康を維持して、長く働き続けるための基盤を作る
・職場環境の改善=ストレスの原因を特定して、職場環境の改善に役立てる
ストレスチェックの結果が役職者の人達に共有されると、働いている職員が仕事のストレスにどのように対処しているかを、一人ひとりに対しての理解が深まります。
その結果、労働環境の改善や必要なサポートに役立つ可能性も高まるでしょう。
保育士はストレスチェックを行い、心身が回復できればその後は、自分自身の健康を守りながら子ども達に質の高いケアを提供できます。
保育士のストレスチェックは義務?
保育士のストレスチェックは、2015年の労働安全衛生法改正により、従業員50人以上の事業所では年1回のストレスチェックが義務付けられました。
多くの保育園は従業員数が50人未満です。
そのため、小規模な保育園や従業員が50人未満の施設では義務の対象外となっています。
保育士のストレスチェックは、健康を守り保育の質を維持するためには非常に重要です。
多くの保育園が従業員数が50人未満となるので、ストレスチェックが義務付けられていないところは、保育士自身が自己管理を行うことの重要性が高まっています。
保育士一人ひとりが自己管理を徹底して、ストレスを抱えたら適切なサポートを求めたり、セルフケアを行ったりすることが、より良い保育環境を作るための第一歩と言えるでしょう。
保育士のストレスチェックは拒否できる?
上記でお伝えしたように、保育士は従業員数が50人以上の職場ではストレスチェックが必須とされています。
ただし、あくまで職場側が従業員数が50人以上の場合、ストレスチェックを行うのが義務化されているだけで、従業員への強制力はありません。
メンタルヘルスの不調によって、病院に通っているのでストレスチェックするのは負担が大きいなど、何かしらの理由がある人は無理に強要はできないのです。
保育士のストレスチェックは拒否できますが、職場側は断った人に対して正当な理由を聞いたり、放置したりしたままですと安全配慮義務違反になってしまう可能性もあります。
職場側は保育士の健康状態を把握して、労働環境の把握や改善に繋げたいと思っていても、ストレスチェックを受けられない理由がある場合は、無理やり行えないため頭をかかえるところもあるでしょう。
保育士のストレスチェックは毎年必要?
保育士はストレスチェックを受ける義務がありませんが、従業員数が50人以上の職場では2015年12月から、毎年1度、実施することが必須とされています。
従業員数が多ければ、職場で一人ひとりに目が行き届きにくくなったり、健康状態を把握しにくくなったりする傾向があります。
保育士が子ども達のお世話をする時も同じですよね。
見守る子どもの数が多いと、一人ひとりに対して深く接することが難しくなりますが、少なければ全員平等に深いサポートが行えます。
仕事でストレスが溜まっていることを、自覚できれば良いですがなかには、全く気づかかない人もいるでしょう。
ストレスを抱えていることに、気づきにくい人もいるためストレスチェックの定期的な実施で、救われる人もいるかもしれません。
保育士のストレスで危険な兆候をチェックしてみよう
保育士はストレスが原因で下記のような状態になることもあるので、危険な兆候をチェックしてみましょう。
疲れがなかなか抜けない
保育士の仕事は体力的にも精神的にも負担が大きいため、疲れがなかなか抜けない場合があります。
長時間勤務や多忙なスケジュールが続くと、疲れが取れにくい状態が続きがちです。
毎日十分な睡眠を取っているにもかかわらず、朝起きたときに疲れが取れていないと、感じる人もいるのではないでしょうか。
過労やストレスが蓄積しているサインかもしれません。
仕事中に常に疲労感を感じることが多い場合も注意が必要です。
集中力が低下している
保育士は多忙で長時間勤務が続くことが多いです。
仕事中に集中力が続かない、ミスが増えるなどの症状が見られる場合、ストレスが原因かもしれません。
集中力の低下は、仕事の質にも影響を与えるため、早めの対策が必要です。
身内や友達との関係が上手くいかない
ストレスが原因で身内や、友達とのコミュニケーションが、うまくいかなくなる場合もあります。
家族や友人との会話中にイライラしやすくなったり、些細なことで喧嘩をしたりしてしまうことが増えた場合、ストレスが影響しているかもしれません。
イライラや不安感が増すと、対人関係に悪影響を与えがちです。
また、保護者からのクレームや要求がストレスになることがあります。
頻繁に体調不良になる
ストレスは免疫力を低下させ、風邪をひきやすくなったり、頭痛や胃痛、睡眠障害などの体調不良を引き起こす場合があります。
頻繁に体調を崩す場合は、ストレスが原因である可能性が高いです。
頭痛や胃痛、睡眠障害などがずっと続く場合は注意が必要です。
なかなか治らないのであれば、早めに病院で診察してもらうようにしてください。
保育士のストレス解消のためにはどんなチェックが大切?
保育士のストレス解消のためには、どんなチェックが大切なのかお伝えしていきます。
専門家に相談して悩みを確認してもらう
ストレスが溜まっていると感じたら、専門家に相談するのも大切です。
カウンセリングを受けることで、自分の悩みやストレスの原因を専門家に確認してもらうと、対処法が見つかる可能性があります。
例えば、心理カウンセラーや医師に相談して、適切なアドバイスを受けると改善に繋がるかもしれません。
生活習慣を確認して改善させる
規則正しい生活習慣を維持することもストレス解消に役立ちます。
バランスの取れた食事、規則正しい睡眠、適度な運動など生活習慣を見直して、改善するとストレス耐性を高められます。
保育士として働く上でのストレスは避けられないものですが、生活習慣を見直し健康を維持することが、自分自身だけではなく、子ども達にとっても質の高い保育が受けられるので大切です。
職場環境を確認して見直す
職場環境がストレスの原因となっている場合は、上司や同僚と話し合い、改善策を見つけることが重要です。
保育士のように女性が多い職場では、人間関係のストレスが大きくなる傾向があります。
職場の人間関係や業務の量、労働条件など職場環境を確認して見直すと、ストレスの軽減に繋がる可能性があります。
具体的には、定期的なコミュニケーションの場を設けたり、業務の分担を見直したり、休憩時間を増やしたりなどの対策が効果的です。
保育士のストレスチェックの結果は人それぞれ異なる
保育士の仕事をしている人は、色々なストレスを外部から受けますが、原因は全員同じではありません。
個々によって、ストレス耐性や労働環境などが違うため、人によってストレスに感じる原因が違います。
そのため、ストレスチェックを行うと、結果は人それぞれ異なるでしょう。
ストレスチェックの結果をふまえて、分析して改善に繋げるようにしていけば、ストレス耐性がつくかもしれません。
次回のストレスチェックでは、今まで大きな負担だと思っていたことが、全然、ストレスだと感じない可能性があります。
保育士はストレスチェックしても完全な解消は難しい
保育士が抱えるストレスは多岐にわたります。
業務量の多さや職場の人間関係、保護者とのトラブル、給料の低さなどが挙げられます。
子ども達の安全と健康を守るという重大な責任も、大きなプレッシャーやストレスになるでしょう。
ストレスの原因は色々あるので、ストレスチェックを行っても完全に解消することは難しいです。
ストレスは保育士の心身の健康に影響を及ぼして、最終的には保育の質にも影響を与えかねません。
保育士のストレスを完全に解消することは容易ではありませんが、ストレスを適切に管理して、軽減する方法は存在します。
ストレスチェックは、チェックリストやアンケート形式で行われることが多く、睡眠の質、仕事への意欲、身体的な症状など、様々な側面からストレスのサインを探ります。
上手くストレスチェックを活用しながら、ストレスレベルを把握して、早期な対策を行うようにすることが大切です。
保育士のストレスチェックで危険な場合の効果的なセルフケア
ストレスチェックで高いストレスレベルが示された場合、セルフケアを実践すると心身の状態が、回復に向かう可能性があります。
例えば、下記のようなセルフケアが効果的です。
・休息とリラクゼーション=しっかりと休憩を取り、リラクゼーション方法を取り入れたり、深呼吸やストレッチをしたりも効果的です
・専門家のサポート=心理カウンセリングや医療機関のサポートを受けると、専門家から適切なアドバイスをもらえます
・健康的な生活習慣=バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がける
上記のようなセルフケアを行い、ワークライフバランスを上手く保ちながら、健康的な生活を送ることが大切です。
保育士のストレスチェックは、単にストレスレベルを測定するだけではありません。
保育士が健康で健やかな日々を送れるように、具体的な行動を促すための重要なツールです。
まとめ
保育士の仕事をしていると、色々なストレスを抱えるでしょう。
ストレスを溜め続けていると、体調不良を引き起こしたり、精神的に辛くなったりするので良くありません。
保育士として健康で充実した日々を過ごせるように、ストレスチェックを行うのも大切です。
ストレスチェックを行った人は、ストレスのサインを見逃さないようにして、必要であれば早めに対処するようにしましょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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