昔から国家資格が必要な専門職である保育士は、給料が低いということが世間一般的に認知されています。
肉体的にも精神的にも疲れますし、なにより子どもの命を守るという重大な責任が必要になるため、大きなプレッシャーを感じることになります。
仕事に見合った給料と言えるのかというと、保育士として自信を持って答えられる人は、あまりいないのではないでしょうか。
そして、保育士の年収は全国の都道府県で同じではなく差があります。
保育士の仕事をするなら、できる限り最低賃金や年収が高い地域で、働きたいと思う人も少なくないはずです。
今回は、保育士の年収は地方と都市部で違うのかや、賃金格差の理由と平均年収などについてお伝えしていきます。
Contents
保育士の年収は地方と都市部で違う?
地域によって物価や様々な生活コストが違うことは、保育士の年収にも影響を及ぼし地方と都市部でも差が出ています。
日本では地域によって、最低賃金が設定されていますよね。
都市部では生活費が高いため、最低賃金も高く設定されていることが多いです。
一方、地方では最低賃金が低いため、社会人として働いている人によっては、給料が低く設定されているケースもあります。
保育士の年収は、職場での勤続年数も影響します。
経験年数に比例して増加する傾向にあり、新卒の保育士は比較的低い給与からスタートするのが基本です。
保育現場で経験を積むことで徐々に給与が上昇します。
保育士として、長年、経験を積んで役職者に昇進すると、給与の大幅なアップが見込まれます。
また、資格の有無によっても年収に影響を及ぼすため、無資格よりも保育士資格を取得している人のほうが高収入を得られやすいのです。
さらに、特別な研修を受けたり、追加の資格を取得したりすることで、給与アップに繋がる可能性があります。
保育士の年収で地方はいくら位?
地方では生活コストが低いため、都市部よりも年収は低めに抑えられている傾向があります。
保育所の数が少なく、保育士の需要も都市部と比較すると低くなるため、給料に響いているのが現状です。
各地域で年収の差はありますが、だいたいの目安として地方の平均年収は約400万円だと言われています。
あくまで平均値なので、地域によっては上回ったり下回ったりする場合もあるでしょう。
地方でも保育士不足を解消するために、将来的には年収を上げる動きがありそうです。
地方では人口の多い中心部の方が、保育士の年収が高い傾向があります。
人口の少ない地方部の方が年収は安くなりがちです。
保育士の職場環境は、地方と都市部で大きく異なることがあります。
地方は人口密度が低いため保育士は、一般的に小規模な保育所で働くことが多いです。
子ども一人ひとりと密接な関係を築きやすく、個々のニーズに応じた生活サポートやケアがしやすいと言えます。
地域の子ども達や親との絆が深くなり、家族のような温かいコミュニティができている地域も少なくありません。
保育士の年収で都市部はいくら位?
都市部では家賃や物価が高く、働く人々の給与水準も高く設定されている傾向があります。
保育所もたくさんあるので、保育士の需要が高く年収も高くなりがちです。
例えば、都市部では保育士の平均年収は地方よりも高く、東京都内では約450万円だと言われています。
大都市圏では年収が比較的高めに設定されていることが多いです。
都市部では物価が高いことや、保育施設の運営費用が地方よりも高いことが影響していると考えられます。
国や自治体による支援策の違いも影響しており、一部の自治体では、保育士の給与を引き上げるための独自の支援策を打ち出しています。
例えば、東京都では保育士の処遇改善手当の支給を行っており、これが給与水準の向上に影響を及ぼしているのです。
しかし、都市部でも保育士の給与は、他の職種と比較して低いという問題があります。
都市部で働く保育士は、人口密度が高く多くの保育所が存在する環境で働きます。
例えば、大規模な保育園や企業の保育所などがありますが、子どもの数が多いため一人ひとりに対する生活サポートや、ケアが難しくなるケースもあるでしょう。
保育士の年収は地方と都市部で賃金格差がある理由
地方と都市部で保育士の年収に格差が生じています。
保育士の賃金格差は、単に地域によるものだけではなく、複数の要因が複雑に絡み合っているのです。
例えば、下記のようなことが考えられます。
・都市部では生活費が高いため、最低賃金が高く見合った給与が支払われやすい
・都市部の保育施設は競争が激しいため、優秀な保育士を確保するために高い給与で求人募集する
・地方では生活費が比較的低いため、給与もそれに見合った水準になりやすい
・地方の保育施設では予算が限られているため、高額な報酬は設定しにくい
国や自治体からの補助金の差も影響しています。
人口が多い地域や物価が高い地域には、より多くの補助金が支給される傾向にあります。
国や自治体からの補助金の影響もあるため、都市部で働く保育士の年収が、地方よりも高くなりがちなのです。
保育士の年収に不満を持っている人は多い?
保育士の仕事は子ども達の成長と発達を支えているので、社会貢献性がある重要なものです。
しかし、責任と労働時間に対して、年収が見合っていないと感じる人も少なくありません。
年収に不満を持っている人は、とても多いというわけではなさそうですが、それでもたくさんいるでしょう。
保育士の年収に差がついてしまう条件として、下記のようなことも不満に関係しています。
・勤続年数や経験の違い= 経験年数が増えると年収が上がる傾向があり、役職に就いている場合はさらに高い年収が期待できます。
・役職の違い=主任保育士や園長の年収は、保育士に比べて高くなります。
・仕事内容の違い=担当する仕事内容によっても賃金に差が出てきます。
保育園や保育施設ごとの違い=例えば、私立認可保育園や公立保育園の年収は比較的高めですが、認定こども園は低めです。
上記のような、条件も保育士の年収に差が出て不満がでる原因になりますが、そもそも保育士の仕事は体力的にも精神的にも大変なため、働き方に対する不満が高まる傾向にあります。
国の制度導入により、今後も保育士の賃金は上昇傾向にあると考えられます。
しかし、それでも給与や年収に対する不満を持つ保育士は多いというのが現状です。
保育士の年収が一番高い県はどこ?
保育士の年収が都道府県によって格差が生じるのは、地域によって異なる生活コストや、保育需要の違いが挙げられます。
都市部では一般的に生活費が高く、保育の需要も大きいため、給与が高めに設定される傾向にあります。
一方、地方では生活費が低い反面、保育士の給与も低く抑えられがちです。
保育士の給与が年々、少しずつ上昇傾向にありますが、平均年収が最も高い都道府県は栃木県だと言われています。
栃木県は生活費が比較的高い地域であるため、補うために給与が高くなっている可能性もあります。
地方と都市部では、保育士として働く環境や生活の質が大きく変わるものです。
例えば、地方は自然が豊かで、生活リズムがゆったりとしていると、感じられる人は多いのではないでしょうか。
都市部では交通の便が地方よりも良いとは思いますが、人混みが凄すぎて疲れてしまう、生活費が高いなどの悩みを持つ人もたくさんいるでしょう。
保育士の年収が一番低い県はどこ?
保育士の年収が最も低いのは福島県だと言われています。
福島県は生活費が比較的低い地域であるため、合わせて給与も低く設定されている可能性があります。
保育士の給与格差の問題を解決するためには、国や自治体による給与体系の見直しが必要です。
保育士の給与を適正な水準に引き上げることで、保育士の社会的地位の向上と職業としての魅力を高めることができます。
また、保育士のキャリアアップ研修制度の充実や、保育士の専門性を高めるための支援も重要です。
保育士の年収が低すぎると、下記のような問題が生じる可能性があります。
・生活費の問題=年収が低いと日々の生活費や将来の貯蓄に影響が出る可能性があります。
生活の質を下げるだけではなく、大きなストレスを感じてしまう恐れもあるでしょう。
・職業選択の問題=年収が低いと保育士という職業自体に魅力を感じなくなるかもしれません。
保育士不足を引き起こし、結果的に子供たちの教育環境に影響を及ぼす可能性があります。
・労働意欲の問題=保育士自身の労働意欲やモチベーションに影響を及ぼす可能性があります。
仕事の質やパフォーマンスが低下してしまい、離職率が高くなってしまうことが考えられます。
年収が低くなってしまうと、様々な問題が引き起こされる可能性がありますが、保育業界全体で保育の質の偏りも懸念されます。
具体的には、経験豊富な保育士が他の職業に転職することで、保育園には未経験者や研修を受けたばかりの新人が多くなる恐れがあるでしょう。
そうなると、子ども達に提供される保育の質が低下する可能性があります。
保育士の年収で地域格差問題について
保育士の年収には、地域による格差が存在している事実があります。
保育士の年収における地位格差は、単に給与の問題だけではありません。
保育士の仕事は専門的な知識と技術を要する重要な職業でありながら、その社会的評価や待遇が十分でないという現実があります。
特に地方では保育士の給与が低い傾向があるため、人材不足や職場離れを引き起こす要因と、なっていることが指摘されています。
年収による地域格差問題は、保育士の労働環境や生活水準に大きな影響を与え、保育士不足を招く原因となっていることは否めません。
年収が低くても、保育士という職業に魅力を感じている人はたくさんいます。
公立保育園と私立保育園では、運営資金の確保方法が異なるため、給与にも差が出ることがあります。
公立園の場合は自治体の予算によって給与が支払われるのに対して、私立園では保護者からの保育料が主な収入源になっているからです。
保育士の年収が低くても保育業務に魅力を感じている人も少なくない
保育士の年収が低くても保育業務に、魅力を感じている人も少なくありません。
その理由としては、下記のようなことが挙げられます。
子どもの発達や成長をサポートできる
保育士の仕事は、子ども達の成長と発達をサポートする役割があります。
子ども達の日々の成長を間近で見守りながら、食事・睡眠・着替えなどの基本的な生活習慣を身につけさせたり、集団生活に慣れさせたりすることが、保育士としての役目です。
園児達が新しいことを学び、だんだんとできることが増えていく過程は、保育士にとって大きな喜びとなります。
例えば、言葉を覚え始めたり、自分で着替えができるようになったりする瞬間は、保育士にとって子どもの発達や成長のサポートができたと感じて、やりがいに繋がります。
社会貢献性がある
保育士という職業は、年収の面では他の職種と比較して低いと言われています。
しかし、多くの保育士が給料だけではなく、やりがいを重視したり魅力に引かれて、日々の業務に取り組んだりしています。
保育士は未来の社会を支える子ども達の成長を促し、社会貢献性がある尊い職業と言えるでしょう。
保育士の仕事は、社会全体に対しても大きな貢献をしています。
具体的には、共働きの家庭が増えてきたことで、保育の需要は高まっている状況です。
保育士は仕事や家事で忙しい、ママやパパ達から子どもを責任を持って預かり保護者を支えています。
保護者の頼りになる
保育士は子どもだけではなく、保護者とも接する機会が多いです。
保育の質を高めるためにも、保護者との信頼関係を構築することも重要です。
保護者の方達と信頼関係が良好になれば、仕事や家庭の事情で子どもを預ける際に、保育士に安心して任せることができます。
また、保護者は子どもと保育士の関係も見ています。
子どもが担任の先生が大好きで、保育園に行くのを楽しそうにしていると、ママやパパはとても安心できるでしょう。
保護者の頼りになる存在でいることも、保育士として大切になってきます。
保育士の平均年収について
保育士の平均年収をお伝えしていきます。
20代
20代の保育士の平均年収は、約344万弱だとされています。
保育士としてのキャリアが、まだ浅いので年収は比較的低い傾向にあります。
20代の初期段階は、経験を積み重ねることでスキルを高め、将来的な給与アップに繋がる重要な時期です。
保育士としての経験とスキルを積むことで、年収は徐々に上がっていく可能性があるでしょう。
30代
30代になると平均年収は、約390万円弱だとされています。
多くの保育士が中堅の立場になるため、人によっては管理職への昇進も期待されて、給与のアップが見込まれます。
保育士としての経験とスキルが増えることで、20代よりも年収は上昇する可能性が高いです。
キャリアを積んで中堅としての役割を担うことで、役職者になれるかもしれません。
40代
40代の保育士は平均年収が、約435万円弱だとされています。
順調にキャリアを積み重ねられた人のなかには、園長や主任保育士などの管理職に就くケースもあるでしょう。
役職者になると手当がついたりして、給与も上昇します。
40代の保育士は、人によっては年収のピークを迎えるかもしれません。
50代
50代の保育士は平均年収が、約420万円強だとされています。
長年の経験と知識を活かして活躍できるため、高い年収を確保しながら働き続けられる可能性があります。
多くの保育士が安定した役職に就いており、給与も安定している傾向がありますが、転職を繰り返したりブランクがあったりすると、50代の平均年収よりも大幅に下回るかもしれません。
経験年数が長い保育士や、特定の資格を持つ保育士はより高い給与を期待できます。
ただし、保育士の給料は地域や保育園や保育施設の種類、経験年数などによって、大きく異なるため全員が同じではありません。
保育士の年収は最低賃金との関係性はあるのかについて
保育士の給与は、国や自治体の政策、保育園の運営方針、地域の経済状況など、多くの要因によって左右されます。
最低賃金は労働者が受け取ることができる、最低限の賃金を定めるもので、保育士の年収にも影響を与えます。
しかし、最低賃金だけが保育士の給与を決定するわけではありません。
経験・スキル・職務内容なども関係してきます。
最低賃金は地域ごとに異なるため、地域によって保育士の給与に差が出ることもあります。
しばしば、最低賃金は改定されていますから、保育士の年収は前年あるいは翌年で若干の違いが出ることもあるでしょう。
最低賃金の改定は、保育士だけではなく世の中で働いている全ての労働者に対して、全体的な賃金水準の上昇に繋がる可能性があります。
労働者の生活水準を、保護するための重要な制度が最低賃金なので、保育士を含む全ての労働者に影響を与えるからです。
保育士の年収は今後上昇する見込みはある?
多くの保育士が、責任の重さと比較して年収が低いと感じており、これが職場を離職する大きな要因の一つとなっています。
しかし、政府や自治体による処遇改善策が進んでおり、保育士の年収は徐々に上昇傾向にあります。
実際に、過去数年間で保育士の給与は徐々に上昇しており、保育士処遇改善等加算という制度が導入されたことが関係しているのです。
それでも、保育士の賃金が他の職種と比較して低いという問題は解決していません。
保育業界全体の賃金水準が低いことが関係しているからです。
今後も改善のための取り組みが必要とされるでしょう。
年収に関しては、保育士の仕事を選ぶ際や、キャリアアップを考える時にとても重要になるものですよね。
なかには、お金よりもやりがいを重視する人もいますが、生活していくためにはお金を稼いでいく必要があります。
年収が低いよりも、高い方が生活水準を高められるため、充実したライフスタイルを構築できる可能性があります。
国や自治体による補助金の支援など、バックアップ政策は保育業界にとって、とてもありがたいはずですので、今後の政策にも注目が集まるでしょう。
まとめ
保育士の仕事は、子ども達の成長を支え社会貢献性がある尊いものです。
園児達が成長する姿を目の当たりにしたり、保護者からの信頼を得たり頼りになる存在でいたりなど、たくさんの魅力があります。
保育士としてのキャリアを積むことで、多くの経験と専門知識を得ることができ、年収アップに繋がる可能性があるでしょう。
国や自治体による保育士の待遇改善策も進んでおり、将来的にはより良い環境で働けるようになることが期待されています。
保育士の給与水準が改善されることで、もっと子ども達への保育の質が良くなって、社会全体の福祉の向上にも役立つはずです。
待遇が良くなると、保育士のモチベーションの向上や職場環境の改善が期待できるでしょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
「役に立った!」と思ったらいいね!してね(^-^)