働いているなかで、なかなか自分の仕事ぶりについて、振り返る人はいないのではないでしょうか。
自分の弱みや強み、課題などを改めて見つめ直すことで、改善に繋がり大きく成長できる可能性があります。
できれば、数値で表して見える化すると、自分以外の人にもわかりやすく共有できるでしょう。
保育士の職業では、定期的に自己評価を行う機会があります。
自己評価を通じて、評価者は保育士がどのような働き方をしているのか、課題を克服して取り組めそうなのかなどを把握できます。
保育の質を向上させるためにも、自己評価は必要な取り組みです。
今回は、保育士の自己評価と自己分析の違いや、重要性と意味や目標設定・反省点などについてお伝えしていきます。
Contents
保育士の自己評価とは?
保育士の自己評価は、これまでの行動や結果を自分自身で見つめ直し、弱みや強み、課題を考えてみて今後の保育業務に役立てられるようにするものです。
何となくの気持ちで、仕事をしていても大きな成長は見込めないでしょう。
明確な目標設定を行い、自分が抱えている課題や問題点をどのように克服していくのかを考えながら、保育士をしている人としていない人とではどちらが成長できるでしょうか。
何も考えないで仕事をしている人の方が、成長する機会やチャンスに恵まれないので、自己評価や自己分析する人と、どんどん差は広がっていきますよね。
保育士の自己評価は、ただ自分のことについて振り返るだけのものではありません。
評価者がいるので自己評価シートに、文章化した内容を客観的に評価されます。
都合の良い内容を書くのではなく、自分の弱みや課題を洗い出して評価してもらうことで、自己成長や保育の質の向上を目指します。
保育士の自己分析とは?
自己評価とは違いがありますが、自己分析も重要です。
自己分析とは今までの経験や価値観、将来の理想像などについて自分自身を分析して理解することです。
大学生時代にインターンシップ、就職活動、エントリーシートの作成時などで自己分析、業界研究、企業研究などを行っていた人もいるのではないでしょうか。
自己分析をして自己理解を深めていると、強みや能力を活かせる職場を見つけやすくなります。
保育士の自己評価の時に、自己分析は必ずしもしなくても構いません。
自己分析も一緒に行うことで、さらに深く自分自身について理解できるため、大きく成長できる可能性が高くなります。
保育士の自己評価と自己分析の違いをお伝えしていきます。
自己評価
自分の行動や結果を振り返って、評価するプロセスが自己評価です。
保育士の自己評価の流れとしては、下記のサイクルで行われます。
・目標設定
↓
・実践
↓
・振り返っての自己評価
↓
・改善
↓
・目標設定
保育の質の確保・向上を目的として行われ保育士が、定期的に自分の保育を振り返る役割を担っています。
具体的には自分が設定した目標に対して、どれだけ達成できたか日々の保育を客観的に振り返ったり、自分の行動がどのような結果をもたらしたりしたのかを評価します。
自己評価の具体的な内容は、保育士のキャリアや役職によって異なり、立場が変われば園側が求める役割も変化するということになるのです。
自己分析
自己評価と自己分析は言葉が、似ているのですが違いがあります。
自分自身の強みと弱み、興味や価値観、動機や目標などを明確にするのが自己分析です。
自己評価よりも広い範囲で深い自己理解を目指します。
自己分析を通じて保育士は、自分への理解を深めて、成長するための方向性を見つけることが期待できます。
保育士の自己評価の重要性
自己評価の目的は子どもの理解を深め、保育への手ごたえを感じ、やりがいを高めることにあります。
保育士が自分の保育を客観的に見つめ直して、自身の課題を見つけることができるため、目標を立てることに繋がります。
自己評価を通じて、保育士は自分がどのような保育士になりたいか、現状の自分に足りないものが何かを理解しやすくなるのです。
自分の保育の良さや課題を明確にできれば、子どもに対する理解が深まり、保育の質の向上を目指しやすくなります。
職場の全員が自己評価を行うと、全体の強みや課題を共有し、共同で改善策を考えることにも繋がるでしょう。
保育士は子どもに適した関わり方や環境を用意できているかを客観的に評価でき、職員同士で共有することで、協力体制も取りやすくなります。
保育士の自己評価は絶対に必要?
自己評価を保育士がするにあたって、PDFやプリント用紙を渡されてスキマ時間で、適当に書けば良いだろうと思っている人もいるかもしれません。
保育士の仕事をするからには、努力を継続していきながら成果を報告する必要があります。
そのために自己評価が用いられるのです。
保育士の自己評価は、厚生労働省の保育所保育指針により努力の義務が必要だと定められています。
自己評価の報告は絶対に必要とは断定していませんが、国が保育士の質の向上を目指すことに力を入れており、きちんと結果を報告してくださいという言葉を柔らかく表現しているのですね。
自己評価のデータを基にして、国は保育の質をもっと良くするために、色々な対策や支援策を考えているわけです。
報告は努力の義務となっていますが、あくまで建前であり保育士が自己評価を行ったらきちんと伝える必要があります。
保育士の自己評価は定期的に行う
保育士の自己評価は、一度きりではありません。
長く勤めている人ほど、自己評価を求められる回数は多いでしょう。
定期的に保育士の自己評価を行うことで、昨年の課題をクリアできているのか、成長していっているのかなどを、評価者は判断しやすくなります。
保育士の自己成長や、保育の質の向上のために自己評価が役立ちます。
定期的に行われるため、時には面倒くさくなるかもしれませんが、客観的に公正な評価をして貰える重要な機会です。
自分自身のことは深く理解していると思っても、意外と他人から言われるまで気づかなかった点も出てくるものです。
特に、ビジネスの場では周囲の人達からの評価が重要になってくるため、自分を客観視できる機会を疎かにしない方が良いでしょう。
保育園は保育士の自己評価を公表する必要はある?
保育士の自己評価の報告は、努力の義務だとお伝えしましたが、保育園側は結果を公表する必要が、あるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
国から自己評価を行うことを課せられているので、嘘偽りなく公表する必要があります。
保育士自身がいくら口頭で自分の努力を伝えても、根拠として示せるデータが無いので第三者は評価に困りますよね。
保育現場で普段から、どのような努力をしているのかという内容は、自己評価で判断するのが今のところベストな選択だとされています。
そのため、保育園は保育士の自己評価を公表する必要性があるのです。
保育士の自己評価の書き方に悩む人は多い
自己評価を書く必要性や重要性は理解できたけれど、どのような書き方をすれば良いのか、悩む保育士は多いのではないでしょうか。
自己評価の書き方は、下記のような点を意識しながら文章化すると良いです。
・子ども達がどのようなことに興味関心を示しているのか
・子ども達が興味を持った物事に対してどのように感じているのか
・保育の質を向上させるためには何が大切なのか
・保育士の仕事をするなかでの気付きや課題、反省点はどんなことがあるのか
・自分の弱みや強みはどのようなものがあるのか
自分自身を見つめ直すことも大切ですが、自己成長だけではなく保育の質の向上に自己評価は役立ちます。
子どもの立場になって、自分の保育業務を振り返ってみることも大切です。
どんなに自分は仕事ができると思っていても、触れ合っている園児達が不快な思いをしていたり、好かれていなかったりすると職場の評判に悪影響を及ぼす恐れもあります。
自己評価を行う時は、主観と客観のどちらも重要になってきます。
保育士の自己評価の意味
保育士の自己評価は、自己成長と保育の質を向上させるための重要なツールです。
保育士の自己評価は、自己成長、保育の質の向上、プロフェッショナル意識の向上の三つの意味を持っています。
自分の目標や保育計画を見直し、実践を繰り返していくことで専門性が向上し、保育の質を高められます。
日々の保育を客観的に振り返って見ると、自身の保育の良さや課題が浮き彫りになり、改善点が明確化されて専門性が向上し、保育の質を高めていくことに繋がるのです。
保育士の自己評価と目標設定の関係性
保育士の自己評価と目標設定の関係性をお伝えしていきます。
実績や業績を数値化して表す
自己評価においては、具体的な数字を用いて実績や業績を表現することが重要です。
保育士自身が達成した目標や、子ども達に与えた影響の大きさの明確化が可能になります。
例えば、担当したクラスの子ども達が一年間でどれだけ成長したか、具体的な数値や事例を挙げて表現するなどです。
数値化することで、自分自身の成長を可視化してモチベーションの向上にも繋がるでしょう。
保育士が自身の成果を明確に把握できると、保育園の管理者や他の職員達と情報共有する際の有効な手段となります。
客観的な視点で事実を記入する
自己評価は、自分の行動や結果を客観的に見つめ直す機会です。
事実を正確に記入することで、自己理解を深め認識のズレを防ぎ具体的な目標設定が可能になります。
自己評価を行う際には、主観的な感情を排除し、客観的な視点で事実を記入することが求められます。
自分の強みや改善点を正確に把握し、次の目標設定に活かせられるのです。
例えば、子ども達がどのように反応したのか、どのような成果が得られたかなどを記録することで、今後の活動計画に反映できます。
仕事へのやる気を高める
自己評価と目標設定は、仕事へのやる気を高める効果があります。
自分の成果を見つめ直し、新たな目標に向けてのやる気を引き出すことができます。
自分の努力が子ども達や保育園に、どのような影響を与えているかを理解できると、仕事への満足感とやる気を高められるはずです。
努力が結果として表れていると、モチベーションの維持にも繋がるでしょう。
スキルアップに繋がる
保育士は自己評価を通じて、自分の強みや弱みを理解し目標を設定することで、スキルアップに繋がります。
例えば、コミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力など、人によって強化したいことは違いがありますよね。
改善が必要だと感じたスキルに対して、具体的な目標設定を行い、努力できれば自己成長を促し必要なスキルや知識の習得を目指せます。
新たな知識やスキルを身につける必要性を認識して、努力し続けていれば保護者との信頼関係が築かれて、保護者の期待に応える保育サービスを提供できるようになるかもしれません。
人事評価の判定材料になる
自己評価は、保育園の人事評価の判定材料としても使用されます。
自分自身で設定した目標に対する取り組みや成果を、評価者に理解してもらうことで客観的な評価が得られます。
保育士の努力や成果に対して、公正な評価を貰うことに繋がるでしょう。
保育園の方針や目標の理解度が深まる
自己評価をすることで、保育士は保育園の方針や目標に対する理解度が深まります。
業務遂行能力、子ども達とのかかわり方など、自分がどのような貢献をしているのか把握すると、職場への所属感や満足度を高められます。
自分の役割と保育園の目標との関連性を明確化できると、より積極的な業務遂行が期待できるはずです。
保育士としての自己評価と目標設定は、個人の成長だけでなく、保育園全体の質の向上にも繋がります。
保育士の自己評価と反省点
自己評価の目標設定でやるべきことを明確にしたら、今までの振り返りを行いどのような反省点があるのか理解することも重要です。
例えば、何度も自己評価を行っている保育士であれば、前回の課題や目標を今回はクリアできているのか、自分自身を見つめ直す時にわかるはずです。
課題や目標をクリアできていなかった場合、なぜなのか反省点を考えることができますよね。
また、反省するだけでは自己成長や保育の質の向上に繋がらないので、反省点を把握したうえで今後の保育士の仕事に、どのように活かしていくべきなのかしっかり考えることが大切です。
完璧な人間はいません。
人間ですから時には仕事で失敗したり、ヒューマンエラーを起こしたりすることもあります。
定期的に自己評価を行いながら、自分に対しての反省点を今後の保育業務に活かしたり改善したりできると、少しずつ立派な保育士へと成長していける可能性が高くなります。
保育士の自己評価は自分の過大評価に注意しよう
自己評価の努力の内容は、自分で文章化するので人によっては、過大評価してしまう恐れがあります。
自分のことを素晴らしいとか優秀だと思うのは、自己肯定感を高められますし、思うだけなら誰にも迷惑がかかりません。
しかし、自己評価の時に自分について過大評価してしまうと、もしかしたら評価者から見たら仕事ができていないと思っていたり、優秀ではないと思われていたりする可能性があります。
自分の評価と評価者からの評価にギャップが生じてしまうと、今後、保育士の仕事をする時にモチベーションが、上がらなくなるかもしれません。
仕事をするうえでポジティブ思考は大切ですが、自分の働きぶりを過大評価してしまうのは、素直さや謙虚さが無くなってしまう恐れがあります。
保育士を長く続けていくのであれば、素直さや謙虚さは自己成長や、保育の質を高めるために重要になってくるでしょう。
保育士の自己評価をする際は、自分の過大評価に注意しながら、嘘偽りのない内容を書くようにしましょう。
まとめ
保育士の仕事をしていると、定期的に職場から自己評価シートの記入を求められます。
厚生労働省の保育所保育指針により、自己評価は努力の義務が必要だとされていますので、保育士は報告、職場側は公表しなければいけません。
自己評価を通じて保育士は、自己成長や保育の質を高めることに繋がります。
客観的な視点から今までの振り返りを行い事実を記入したり、自身の実績や目標を数値化したりすることが大切です。
自己評価を保育園や保育施設に提供したら、今回の振り返りや目標設定を今後の保育業務に活かせられるようにしていきましょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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