2023年に保育士試験に合格され、2024年に保育士登録をされた人より、合格体験談をいただきました!
これから保育士試験を受験される方の参考になれば幸いです。
【要約】
・総学習時間55時間
・テキスト代 約7,000円
【受験者プロフィール】
磯谷 しずかさん(看護師・保育士)
数年前から認定こども園で看護師として勤務されています。2024年保育士登録。
保育士資格を目指した理由
看護師として10数年勤務した後、心機一転、こども園で勤務し始めました。
日々過ごす中で、一定条件を満たせば大学•短大に行かずに保育士資格を取得できることを知りました。
看護師資格は持っていても保育士資格はないため、勤務する中で「保育施設で勤務するからには挑戦してみよう!」と資格取得を決意しました。
資格取得方法調査
ネットで「保育士資格」と検索すると
①大学•短大で資格を習得
②「全国保育士養成協議会」というところが実施する試験に合格すると資格取得ができる
2パターンがありました。
資格取得方法の選択
働きながらでは通学は難しいため、大学•短大での習得ではなく、②の「全国保育士養成協議会」が実施する試験を受けることを選択しました。
受験資格
「全国保育士養成協議会」のホームページには試験案内が記載されています。
最終学歴ごとに受験資格の可否が記載されており、フローチャートで確認することができます。
私は学校教育法に基づいた専門学校卒業のため基準はクリアしていました。
試験について
保育士試験は、通常年2回、筆記試験2日と実技試験1日があります。
前期は筆記試験4月頃、実技試験7月頃、後期は筆記試験10月頃、実技試験12月頃に試験があります。
幼稚園教諭の資格等お持ちの方は免除項目もあるため、確認してください。
受験申請
私が受験を決意したのは1月で、前期の申し込みが開始されていたため急いで準備を始めました。
郵送とオンラインでの申し込み方法があり、オンラインは郵送よりも時間と費用が抑えられるためオンラインを選択しました。
申請には卒業証明書が必要であり、協議会指定の用紙を同封し卒業先の看護学校へ郵送しました。
卒業証明書の依頼方法や料金は各学校により異なるため、確認が必要です。
また、卒業証明書記載の氏名の変更がある場合は戸籍抄本が必要であったため急遽取り寄せました。
ホームページ上で顔写真や必要書類をアップロードし、受験料を納付し申請完了です。
試験内容
筆記試験は9科目あり、それぞれ6割以上、つまり20問中12問正解で合格です。
回答方法は主に4択から1つ選択する方法なので、消去法で簡単に答えを導くことができる問題もあり、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。
実技試験は音楽、言語、造形の3つの中から2つを申し込み時に選択する必要があります。
学習方法の選択
試験を受けて資格取得をすることを選択したため、勉強方法の模索です。
検索すると、資格取得のための通信講座が数社出てきましたが、受講費用は平均3〜6万円でした。結構な費用負担があるため躊躇していたところ、独学で取得したという記事を見つけました。
テキストを検索すると様々な出版社から出ており、参考書上下巻で4,000円前後、過去問題集2,500円前後、合計7,000円程で勉強が可能なことを知りました。費用を抑えられることや「やらされている感」が苦手なことから通信講座ではなく、独学で取得することにしました。
合格までにかかった費用=約7,000円
学習開始
令和5年度の受験申請を終え、4月22・23日の試験日程です。試験まで3ヶ月弱。
テキストは「保育士完全合格テキスト上、下」「保育士完全合格テキスト問題集」「保育士完全合格テキスト一問一答」を購入し、勉強をし始めました。
働きながら、子育てしながらの勉強時間の確保は難しく、しかし試験日程は迫るばかり。
勉強に使ったテキスト=3冊
・保育士完全合格テキスト上、下
・保育士完全合格テキスト一問一答
ながら勉強
テキストを読むことは視覚学習ですが、聴覚学習という方法もあります。
私の場合、車通勤でその時間が有効活用できないかと模索していると、YouTubeに「保育士試験完全攻略」といった内容で動画が作成され配信されています。
「保育士試験合格ch」というチャンネルで、各試験科目ごとに勉強方法やクイズ形式が配信されているため、通勤中はひたすら聴き、聴覚からのインプットを開始しました。特に憲法や児童憲章を覚えるために聴覚からのインプットは役立ちました。
1ヶ月半前
通勤時間の聴覚学習に加え、テキストを読み込む視覚学習を開始しました。
するとYouTubeで聴いていた内容の復習となり、また、声に出して読み視覚、聴覚両方活用し、さらにインプットしやすくなりました。
全て読むのではなく、ざっと全体に目を通し、YouTubeで出題されていた部分を中心に読み込みます。
テキストには各科目最終に確認問題(一問一答)が記載されており、知識の確認をします。
1ヶ月前
テキストの読み込みに加え、過去問を解いてさらに学習を深めます。
「覚えたつもり」になっているところは、特に何度も読み。年号などの暗記は語呂合わせ(好きなリズムや音楽に乗せてみる)で覚えます。
1週間前
「保育士完全合格テキスト一問一答」を活用し、暗記。問題集でもわかるように、「保育網領」や「幼児期までに育ってほしい10の姿」「児童憲章」などは言葉の違いなどが出題されるため一言一句覚える必要があるため繰り返し音読しました。
そして体調管理をいつも以上に徹底しました。体調を崩しては本領を発揮できませんからね。
試験当日
試験は2日に分かれているため1日目の受験科目を「テキストザッと読み」「保育士完全合格テキスト一問一答」を活用し、受験票、筆記用具を準備し早めに就寝しました。体調管理は必須です。
試験1日目
電車で試験会場まで向かう間は、テキストのザッと読みをしました。
テキストの端にある補足情報にも目を通します。
試験開始前後は緊張します。問題を読み解いていくと迷いが出てくると思います。
一度最後まで問題を解き、見直しの際に「やっぱりこうだったかもしれない」と解答を変更することもあります。
しかし、もう一度見直しをする頃には落ち着いてきていると思います。そこで直感を信じてみてください。
そして各科目開始後30分から終了5分前までは挙手すると途中退出が認められます。(「教育原理」、「社会的養護」は各50点満点で両方6割以上で合格となるため途中退出は認められません。)
次の科目まで休憩時間が30分あるため、時間に余裕ができれば途中退出し、勉強時間に充てられます。
試験1日目・2日目
受験科目の振り返りが始まります。「あそこ間違えたな」など考え、ネットを開けば解答速報が出始めています。
気になると思いますが、「済んだこと」と割り切り2日目の勉強に取り組んでください。
各科目6割以上正答できていれば、3年間は合格のまま持ち越すことができるため、1科目ごとに集中が必要です。
実際に試験を受けてみて、参考書の端に記載されている「要点」「メモ」も出題されていたこと、各科目開始前のザッと読みをしたことで解けた問題もありました。
試験翌日
翌日から解答速報が出始めます。自己採点し、各科目が合格かどうかを確かめました。
自信がなかった科目(すべて落としたと思っていました)も合格点を取り、なんと1回目の挑戦で8科目合格基準でした。
しかし問題に不備があった際や、正答の解釈の違いなどがあるため、正式の合否は約1ヶ月後。ドキドキしながら、すべて合格していた場合、すぐに実技試験があるため、その準備も必要です。
実技試験
実技試験の題材は決まっており、前期、後期ともに同じです。言語はここ数年題材は同じものが使用さており、音楽は次年度に変更されています。
造形に関しては当日題材が発表されるようです。私は「言語」と「音楽」を選択しました。
「言語」は3分間の素話で、好きな題材を選びます。
自身の子供によく読み聞かせをしていた「ももたろう」を選択しました。実技試験についてもYouTubeで、台本、身振りなどを映像で配信してくれていたため参考にしました。しかし、全て暗記は難しいため、流れだけを覚えて、「3分で終わるように」ということを心がけて練習に取り組みました。
「音楽」に関しては中学生までピアノを習っていましたが、すでに楽譜を読むことも難しくなっており、弾き歌いが最大の課題でした。
協議会のホームページに楽譜は掲載されていますが、伴奏をつけてと決まりがあるため、自分で用意しなければなりません。
通信講座を利用している方は、楽譜や当日のマナーや流れなどが記載された冊子をもらえます。
しかし私は独学で挑戦しているため、冊子もありません。幸い、こども園に勤務しているため、周りにプロがたくさんいます。
勤めているこども園に相談し、初心者でも伴奏可能な楽譜を作成してもらいました。
また有難いことにピアノのレッスンもしていただくことができたため、なんとか形にはなりました。
自己採点で1科目不合格でしたが、万が一に備え実技試験の準備はしておきました。
前期結果発表
オンライン申請の場合、マイページにログインすると当日10時から結果が確認できます。郵送で申請の場合は郵送で結果が届きます。
ドキドキしながら確認すると結果は9科目中8科目合格。
「保育実習理論」を落としました。試験内容は、移調、伴奏つけ、楽譜から曲名を判断するなど、音楽の知識に加え、保育綱領などでした。
音楽に関しては暗記だけでは難しい部分がありました。
そうすると、9科目合格で実技試験へと進めるため、実技試験の準備はしていましたが、先へは進めず、10月に予定されている後期試験の「保育実習理論」の1科目への挑戦となりました。
後期試験にむけて
音楽の基礎知識をつけるため、移調や伴奏付けについて学習を始めます。
しかしテキストを読むだけだは到底理解できず、YouTubeで「移調」「長調、短調」を検索し、どの動画がわかりやすいか複数視聴し、聞き流し学習を開始しました。併せて実際に繰り返し問題を解き、2週間ほどでなんとなく正答できるようになりました。
曲名選択問題対策としては、童謡が出題されているため、こども園の楽譜を作成してくださった教諭に相談し、「日本の童謡全集」という楽譜を購入しました。その中で曲の始まりが休符で始まるなど、特徴がある曲を弾き、曲名と曲調を覚えるようにしました。
こども園で勤務していると、日々の制作に携わることができます。そのおかげで、表現技法(デカルコマニーやバチック等)を体験することができ、学習するときにイメージしやすかったです。
後期筆記試験〜実技試験に向けて
1科目だけの受験であったため、プレッシャーはありましたが、合格し実技試験へ進めました。
毎日朝と夜にピアノの弾き歌いをし、通勤時間を活用し素話を練習しました。ピアノは楽譜を見なくても弾けるようになるために、弾く速さを変えてみたりと繰り返し練習しました。素話は3分のタイマーをかけ、リズムで覚えるように意識しました。
実技試験
当日は朝からガイダンスがあり、そこで自分の受験番号の書かれたタイムテーブル表が配布されます。「造形」は9時台に一斉試験がありました。
「音楽」「言語」はそれぞれどちらが先かはそれぞれ違いがありますが、一覧で確認したところ、「造形」を選択した方は待機時間がたくさんありました。また「音楽」「言語」を選択した方は午前中でほぼ待機時間がなく試験が組まれている方と、午前の最終、午後の最終と1日かかる方もいました。
最終は15時過ぎの終了でした。私は10時11時台に試験が組まれており、「音楽」からのスタートでした。
試験開始予定時刻の10分前には試験待機室へ行くように指示があり、それまでは休憩室で過ごします。
待機室で待機していると試験誘導官が、試験番号と氏名を呼び、それに従い試験室まで移動します。
試験室に入ると受験番号シールを試験官2人に1枚ずつ渡し、氏名を名乗ります。「音楽」は楽譜は持ち込み可で、開始の指示があれば弾き歌いします。しかしなにを思ったか、ピアノを弾き始めたものの、歌うことを忘れてスタートしてしまいました。
「すみません。もう一度お願いします」と言い、弾き直しをしました。あとは緊張で覚えていませんがなんとか終了し「有難うございました」と一礼し退室しました。休憩所に戻り、「保育士 実技 引き直し」で検索すると、「引き直しをして不合格でした」の記事が多々あり、絶望しました。
しかし「合格した」方もいて、気持ちを切り替え「言語」に挑みました。
試験誘導官の方が気さくな方で「大丈夫。練習した通りにすればいいんだよ」などと待機中に声をかけてくださりました。
待機中に前の方が試験をしている声が聞こえてきて、自分の題材と被ると思考を持っていかれそうでした。
ほとんどの方が「おおきなかぶ」でした。「言語」では試験官が奥に座り、その手前に幼児の絵が描かれた椅子が2脚ありました。
開始の合図の音が鳴り、試験官を見ずに幼児の絵を見ながら素話をしました。お話が終わり、だいたい15秒ほど余ってしまいましたが、幼児の絵を見ながらニコニコして過ごしました。終了の合図があり、「有難うございました」と一礼し退出します。
試験後
結果発表までの1ヶ月緊張でした。結果発表は当日10時からオンラインで公開です。
しかし、10時にアクセスすると回線が混雑し、なかなか繋がりません。アクセスできたのは正午頃でした。結果はギリギリ合格。
喜びよりも「やっと終わった」と安堵の方が大きかったです。オンライン申請のため合格通知は自分で印刷します。
保育士資格は自分で申請をし、「保育士証」が発行されます。実技試験時に申請に必要な書類が配布されます。
必要事項を記入し、手数料を郵便振込後、振込証明、合格通知書を同封し簡易書留で発送します。2ヶ月ほどで「保育士証」が届きました!
※保育士登録は事務処理センターでできる?申請手続きの必要書類や費用を解説(保育のせかい)
終わりに
私が保育士資格を取得するまでの経緯をまとめました。これから受験する方、受験しようかと考えている方の役に立てれば幸いです。
合格までの総勉強時間=約55時間
保育のせかいよりコメント
2回の筆記試験受験、実技試験1回での合格おめでとうございます。
保育士試験は合格率が10%台と、一見すると大変狭き門に感じますが、筆記試験の9科目は、一度合格すれば3年間その合格した科目は有効となり、合格した科目は受験が免除されます。
頑張れば結果がついてくる試験です。独学で合格するということも、決して難しくはありません。
3年間のうちに少しずつ科目に合格していく、という考え方も可能です。(実技試験は、合格率が90%)
一度合格したら、生涯有効な国家資格です。「受験しようかな?」と考えている方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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