失業保険は仕事を辞めた人に対しての一時的な救済措置の役割があります。
職場を退職した人は稼ぎがない場合、次の勤め先が見つからなければ生活費を捻出するのが難しくなります。
経済的な支援を提供する社会保障制度の1つが失業手当です。
仕事を退職した人であれば、誰でも貰えるお金というわけではありません。
前職で要件を満たした雇用保険に加入していた人が対象になります。
失業手当が気になる人のなかには、対象の仕方で貰い方が違うのか気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は、失業したらもらえるお金は退職の仕方で違うのかや、ハロワで貰える失業保険の受給条件と給付金手当の一覧などについて解説していきます。
Contents
失業時にもらえるお金の失業保険は離職前に雇用保険の加入が必要
仕事を退職した人が次の勤め先が見つかるまでに、失業手当を貰えるようになるとある程度の生活を維持できるようになるので、求職活動中の経済的な不安を軽減できます。
ただし、失業時に失業保険を使って受け取れるお金は、離職前に雇用保険に加入していなければいけません。
失業手当の申請手続きは最寄りのハローワークで行います。
求職者が就職や転職する意思や能力が無いと、支給対象外になってしまうので注意が必要です。
退職者によって、職場を辞めた理由は違いがあるので自己都合退職の人もいれば、会社都合退職の人もいます。
自己都合退職者と会社都合退職のどちらも、前職で雇用保険に加入していなければ失業手当の受給対象者にはならないのです。
失業したらもらえるお金の失業保険は退職の仕方で違う?
失業したらもらえるお金の失業保険は、退職の仕方で違うのかお伝えしていきます。
自己都合退職
自己都合退職は自らの意思で職場を退職した人のことです。
一般の離職者と特定理由離職者に分けられます。
特定理由離職者の該当者は自己都合退職者であれば全員というわけではなく、下記のような理由の証明が必要です。
・出産や子育てに専念する必要があり離職した人
・体力の衰えなど、身体やメンタルの不調の理由によって離職した人
・通勤のことで諸事情が色々あり離職した人
・家族や身内の介護など家庭の事情があり退職した人
・企業整備で人員整理等に伴う退職勧奨などに手を挙げて離職した人
・有期労働契約の更新を希望したが、認められず離職した人
・配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になり離職した人
失業状態の求職者は、前職を辞めた日から前の1年間で、6ヶ月以上を雇用保険に加入していた過去があることが受給条件です。
具体的に言いますと自己都合退職者は、年齢を考慮せずに下記のように雇用保険に入っていた期間が必要になります。
・10年未満=90日
・10年以上20年未満=120日
・20年以上=150日
失業手当を受け取るためには、待機期間が7日間と給付制限の日数が2ヶ月必要になるので、最低でも数ヶ月の時間が経過しないと手元に入ってきません。
ただし、特定理由離職者は給付制限の2ヶ月は除外できるので、一般の自己都合退職者と比べて給付制限の分だけ早く失業手当を受け取れます。
特定理由離職者とは、真っ当な理由がある自己都合退職の仕方や、労働の契約期間が決められている人が次の更新がないことによる退職になった人です。
会社都合退職
会社都合退職者は特定受給資格者という呼ばれ方をします。
企業の倒産や労働者が解雇されるなど、職場側に責任があって退職した人を指します。
特定受給資格者は失業手当を受け取れる条件として、前職での退職日より前の1年間で被保険者期間が通算して6ヶ月以上あることが必要です。
会社都合退職の仕方は、自己都合退職よりも失業手当を貰える給付日数が長くなったり、待機期間のみで給付制限は除外されるなど優遇されています。
単純に考えると、失業状態の人が失業保険を利用する際に会社都合退職の方が自己都合退職よりも、必要な要件を満たせば給付日数を長くできるので経済的に助かるでしょう。
会社都合退職の仕方による失業手当の日数は最低で90日間、最大で330日と約1年間もサポートしてもらえる可能性があるのです。
失業手当の受給条件に関しては優遇されていると言えますが、自らの意思で職場を退職しているわけではないので、人によっては企業の倒産や突然の解雇などの理由は精神的なショックが大きいものがあります。
経済的な不安は自己都合退職と比べて軽減できるかもしれませんが、メンタル面で大きなダメージを受ける恐れもあるでしょう。
失業したらもらえるお金の失業保険の受給条件とは?
失業したらもらえるお金の失業保険の受給条件をお伝えしていきます。
現在が失業状態
失業状態にある人は、前職で要件を満たした雇用保険への加入が失業手当を受け取る条件として必要ですが、さらに求職活動をする意思をハローワーク側へ示さなければいけません。
具体的には、仕事をハローワークのパソコンを使って探したり、職員に相談したりして仕事を探している状態でなければいけないということです。
ケガや妊娠・出産、病気などで今すぐに就職や転職ができない場合は、失業保険の支給対象者から外れてしまうので注意が必要です。
雇用保険の加入期間
求職者は雇用保険の加入期間に気をつけなければいけません。
自己都合退職や会社都合退職の場合、正当な理由がある求職者は雇用保険の加入期間が6ヶ月以上必要になるので、前職で加入日数が足りない人は失業手当の受給が認められません。
正社員だけではなく、派遣社員・パートタイマー・アルバイト・契約社員などの非正規労働者でも雇用保険の加入条件を満たしていれば失業手当の受給資格を得ることが可能です。
ハローワークで申請手続き
失業状態の求職者は前職で、きちんと雇用保険へ加入していても失業保険の受給の対象者になるためには、離職後はすぐにハローワークで申請手続きが求められます。
ハローワークでの申請手続きは、辞めた職場から離職票を受け取って最寄りのハローワークに求職票を提出して、失業手当の申し込みを行います。
必要な書類や物は下記を揃えるようにしてください。
・離職票
・本人確認できる物(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・雇用保険の被保険者証
・本人名義の預貯金通帳やキャッシュカード
・縦3.0cm×横2.4cmの写真
・個人ナンバーが確認できるもの
失業手当は一括でお金をもらえる?
初めてハローワークで失業手当の申請手続きをする人は、一括でお金をもらえるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、失業手当は一括で支給されるものではありません。
失業保険の受給金額は「給付日数×基本手当日額」で計算され、自己都合退職者は待機期間7日間+給付制限2ヶ月、会社都合退職者は待機期間7日間の期間を経過してから支給開始になります。
失業手当がハローワークから支給されるには、求職活動をしている実績が必要です。
失業認定日が決められているので、次の失業認定日までの間に最低2回以上、ハローワークのパソコンを使って探したり、職員に相談したりします。
仕事を真面目に探しているという求職活動の実績が必要となり、支給対象者となる求職者の給付日数に応じて支給開始となります。
初めて失業手当が支給されたら、次回からは28日分ずつ支給されて所定給付日数になるまで貰うことが可能です。
失業したらもらえるお金でハロワの給付金一覧
失業したらもらえるお金でハロワの給付金一覧をお伝えしていきます。
教育訓練給付金
失業状態の人は自己成長を高めるために、スキルアップを図ることも可能です。
「教育訓練給付金」はスキルアップや、資格取得を目的に厚生労働省が指定する教育訓練を受講して、無事に修了したら費用の一部が支給される制度です。
失業している求職者だけではなく、働きながらキャリアアップをしたいビジネスパーソンも対象者となります。
雇用継続給付金
60歳以上になると働いている人のなかには、定年退職や再雇用されて給料が少なくなってしまうビジネスパーソンもいます。
「雇用継続給付金」を活用すると、高齢者の再雇用で給料が減った人や、育児や介護などで休業せざるを得ない人が給付金を貰うことができます。
ただし、雇用継続給付金で高年齢雇用継続基本給付金の支給対象者になるには下記の条件が必要です。
・60歳以上65歳未満の一般被保険者
・60歳以降の賃金が60歳時の賃金の75%未満に減った
・被保険者である期間が通算して5年以上必要
職業訓練給付金
ハローワークで失業手当を貰う場合は、求職活動が必要ですが自身のスキルアップを図りたい人もいるでしょう。
「職業訓練給付金」は求職者が知識と技術の習得に励み、スキルアップを図りながら生活サポートの給付金の受給ができるものです。
職業訓練は無料で受講できますが、テキスト代は自己負担になるので注意が必要です。
ハローワークと連携して求職者支援訓練や公共職業訓練を受講できるので、失業している求職者は上手く活用してみましょう。
失業したらもらえるお金でハロワの手当一覧
失業したらもらえるお金でハロワの手当一覧をお伝えしていきます。
失業手当
ハローワークで失業状態の求職者が、申請手続きすることで受給できる「失業手当」はビジネスパーソンの多くが知っているのではないでしょうか。
失業すれば自動的に受給できるわけではなく、退職者が自分でハローワークに申し込みに行く必要があります。
雇用保険に加入しているビジネスパーソンは、退職したら失業保険を貰わないともったいないです。
退職した人で失業手当の受給資格がある人は、忘れずにハローワークで申請手続きをしましょう。
再就職手当
失業すると前職で貰っていた給料が手元に入らなくなるので、収入が途絶えてしまいます。
雇用保険に加入していた人で、要件を満たしていれば失業手当を受け取れますが、求職者は前職の賃金と比べるとどうしても失業手当の受給金額は減ってしまいます。
失業状態の人によっては、失業手当を当てにするよりも早く再就職した方が金銭的な不安が和らぐ人もいるでしょう。
すぐに再就職したい求職者は「再就職手当」を活用するのがおすすめです。
要件を満たしている求職者は、再就職が決定したらハローワークへ報告すると手当が貰えます。
ただし、1年以上安定した仕事ができることが求められたり、雇用保険の加入者にならなければいけなかったりなど条件があるので注意が必要です。
傷病手当
ハローワークで求職活動をしようと思っても、求職者のなかには病気やケガが原因で行動できない人もいます。
病気や怪我などで新たな仕事に就けない求職者は「傷病手当」を活用できます。
傷病手当を貰う条件は、新たな職業に就けないまま15日以上の日数が経過していることです。
15日未満の日数の場合は失業手当に該当します。
失業したらもらえるお金だけあてにするのはNG
退職した人はそれぞれ金銭感覚が違うので、浪費癖がある人は失業手当を受給できても散財してすぐに生活が困窮するかもしれません。
前職で働いている間に、たくさん貯金があれば次の勤め先が見つかるまでの、経済的な不安を減らすことができるでしょう。
しかしながら、貯金や失業手当だけを当てにするのは良くありません。
前職で雇用保険に加入していたから、失業手当が貰えるので安心だと思っていても、失業状態が長引けばどんどんお金が減ってしまいます。
できれば、退職する前に転職活動を行ったり、辞めた後の行動計画を立てたりして早めに次の仕事が決まるように準備することが大切です。
失業したらもらえるお金は不正行為するとNG
失業状態の人は失業手当の受給中に隠れて働いたり不正行為はNGです。
バレないと思っていても、ハローワーク側にバレるケースが多いでしょう。
ケースバイケースによりますが、申告すれば失業保険の受給中のアルバイトが認められることもあり得ます。
ただし、ハローワーク側が求職者に対してルールを伝えるので、きちんと守る必要があります。
不正受給は必ずバレると思ってしないようにしてください。
まとめ
前職で雇用保険に加入していた人で、要件を満たしていれば失業した時にハローワークで失業保険の申請手続きを行い失業手当を受け取れます。
ハローワークで受給できるのは失業手当だけではありません。
その他にも上記でお伝えしてきたように、色々な給付金や手当があります。
離職後の経済的な不安を軽減させるためにも、理解を深めておくことが大切です。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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