保育士の資格を取得するためには、保育士養成校に通いながら必要な単位を修得し無事に卒業する、保育士試験を受験して合格の2パターンの方法があります。
学費を捻出できる方は学校へ通えば、保育士試験を受験しなくても卒業と同時に保育士資格を取得できます。
保育士試験を受ける人と比較すると時間はかかりますが、プレッシャーという面では気が楽になるでしょう。
保育士試験への合格率は20%台ですので、そんなに甘いものではないためコツコツと長期間の勉強を積み重ねる必要があります。
ただし、保育士資格を取得できても保育士になるためには登録手続を行い、保育士証を交付されなければいけないのです。
今回は、保育士になるためには登録手続きが必要なのかや、登録をしないと国家資格を失うのかについて、登録の必要性と申請のタイミングや費用・手続きの流れなどについて解説していきます。
Contents
保育士になるためには登録手続きが必要?
保育士養成校を卒業したり、保育士試験に合格して保育士資格を取得できた人は、そのままではすぐに保育園や保育施設で働くことができません。
国家資格の取得が必要になることは、保育士を目指している人なら知っていますが、保育士登録をしなければいけないのを知らない人もいるのではないでしょうか。
せっかく一生懸命に学校へ通ったり、試験勉強を頑張ったりして保育士資格を取得できたのに、そのような決まりになっていることを知らないままですと、すぐには保育現場で働けないので機会損失になってしまいます。
昔は保育士証の有無は問われることはありませんでした。
児童福祉法が改正される以前ですと、保育士証の交付は必須ではなく保育士資格証明書あるいは保母資格証明書を持っていればOKとされていたのです。
現在は、児童福祉法が改正されて保育士になるための登録手続きを行い、保育士証の交付により初めて保育士と名乗れるようになりました。
保育士登録をしないと国家資格を失う?
保育士であることを証明する手段としては、保育士養成校を卒業した時の卒業証書、保育士試験の合格通知などがあります。
しかしながら、現在は法改正後に上記のものを揃えても保育士として認めてもらえません。
きちんと保育士登録をしないと保育士として、保育現場で働くことができないのです。
では、保育士登録をしないと国家資格を失って、また再度、保育士資格を取る必要があるのでしょうか。
せっかく一生懸命に勉強をしてきたのに、保育士登録をしていないことで保育士を諦めざるを得ない状況になったら辛すぎますよね。
実は、保育士登録は保育士として働く上で欠かせないことなのですが、未登録で国家資格を失ってしまうことはないので安心してください。
再び保育士養成校に通ったり、保育士試験を再受験したりする必要もありません。
保育士登録の必要性を解説
保育士登録の必要性を解説していきます。
保育の質を保つ
保育士になるためには、合格率20%台の難関の国家資格を取得する必要があります。
合格率20%ですと、例えば10人受験したら8人が落ちて2人しか試験に突破できない計算になります。
一夜漬けの勉強や短時間の学習で、簡単に受かるほど甘くないことがわかりますよね。
保育士資格を取得した人は、たくさん保育に関する座学や実技を学んできています。
保育士資格を取得して、なおかつ保育士登録をするというのは、しっかりと知識やスキルを身につけている証明になるため、保育の質を保つことに繋がります。
誰でもがすぐに保育士になれるわけではないので、保育業務を行うプロとしての自覚を持つことが重要です。
保護者からの信頼
保育士は子どもの身の回りの世話や健康促進がメイン業務になります。
保育園や保育施設で、たくさんの子ども達に目を配りながら怪我や事故が起きないようにしなければいけないため、安全管理や危機管理も求められます。
子ども達の命を保護者の方達から預かりながら、ママやパパの代わりを務めるので責任重大です。
はたから見れば、保育士はただ子どもと一緒に遊んだりお世話をしたりしていて、一般家庭の主婦が行う子育ての延長線のような仕事だと思われがちです。
何にでも興味関心を示して時には、衝動的な行動をとってしまう子どもを、危険から守っていくのは簡単なことではありません。
子どもを預けるママやパパは、安心して保育士にお任せできないと日中は何も手につかなくなるでしょう。
保護者からは、保育士登録をしている保育士なら、安心感があると同時に信頼できると思ってもらいやすくなります。
社会的信用
保育士の資格は民間資格ではなく国家資格です。
しかも誰でもが簡単に取れるような資格ではないので、保育士として頑張って働いている人は保育に関する知識やスキルを持つスペシャリストになります。
最近では、徐々に保育士の職業は肉体的、精神的にも大変な仕事で、社会貢献度が高くて素晴らしいという認識が広まってきています。
保育士資格を取得して、保育士登録を行うことで社会的信用を得て保護者や自治体、地域住民から頼りにされる存在になるでしょう。
保育士証を持っていれば、居住地域だけではなく全国各地で保育士として、働ける可能性があります。
もちろん、全国で保育士として働けると言っても、求人を募集していることが求められるので、人それぞれ居住地域以外で仕事に就けるタイミングは異なります。
今後、法改正で保育士証を持っている保育士は、発行したエリアでしか働くことができないという決まりが定められない限り、勤務地は限定されません。
専門的な知識とスキルを持つ証明
保育に関する知識やスキルを身につけても、口頭で他人に伝えても信憑性が低いと捉えられて、何も証明できるものが無いと、本当に子どもと接するプロである保育士だと認められにくいでしょう
保育士登録を行い、保育士証が交付されれば保育に関する専門的な知識と、スキルを持っている証明になります。
専門的な知識とスキルを持っている保育士なら、頼りがいがあるでしょう。
明らかに一般家庭の主婦が行う育児の延長線では、とうてい保育士の仕事が務まるわけないので、保育士は地域社会への貢献度が高く尊い職業だと言えます。
保育士登録の申請のタイミングについて
保育士資格を取得している人は、保育士登録を行い保育士証明の交付が必要だということは、把握しているけれど、どのような申請のタイミングがあるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
もしかしたら、保育士登録の手続き自体を頭から忘れてしまっていて、早く申請しないといけないと思っている人もいるかもしれません。
実は、保育士登録の申請のタイミングは特に期限は設けられていないので、働きたいと思った段階で登録手続きを済ませていれば問題ありません。
重要なのは、必ず就職や転職して仕事に就く前に保育士登録を行っていることです。
申請はいつでもできるのですが、保育園や保育施設で雇用される条件として必ず保育士登録は行っている必要があります。
保育士養成校を卒業した者や、保育士試験を受験して合格した方は、すぐに保育士の職業に就く予定が無ければ、慌てて保育士登録を行う必要は無いです。
保育士登録の費用について
保育士になりたい人は、保育に関する知識やスキルの勉強のために学校へ通ったり、試験勉強対策でテキスト代や色々な教材や講習の費用がかかったりします。
勉強量も大切ですが、お金の負担もかかるのが保育士になるための壁と言えます。
さらに、保育士の仕事に従事するためには、保育士証が必要になるため、保育士登録をする際に費用が発生するので頭に入れておきましょう。
具体的には、郵便料金・手数料・切手代・封筒代などがかかってきます。
普段の生活でお金のやり繰りに手を焼いている人は、保育士登録の費用を捻出するのはかなり大変になる可能性があります。
前もって、コツコツと貯金をしたり、保育士登録の直前で悩まないようにすることが大切です。
保育士登録の費用は、そこまで高額ではありませんが、約4,000円~5,000円位の金額が必要だと理解しておいてください。
保育士登録の手続きの流れを解説
保育士登録の手続きの流れを解説していきます。
保育士登録の手引の取り寄せ
保育士登録は、手順があるのできちんとやり方を把握して行う必要があります。
最初は、登録事務処理センターから保育士登録の手引を取り寄せましょう。
送信用封筒に登録事務処理センターの宛先を書いて、封筒の左側に赤文字で「保育士登録の手引き1部」と書き送ってもらうようにします。
なぜなら、保育士登録をするなら、手引に入っている申請書類が必要になるからです。
手数料の支払い
送ってきた保育士登録の手引に、きちんと目を通して内容を理解したら同封されている専用の払込用紙に、申請する人の本名や住所など個人情報を書きます。
そして、払込用紙を郵便局に行き窓口で振り込み手数料を支払います。
郵便局で受領証と受付証明書を受け取る必要があります。
受領証と受付証明書に郵便局の日付入り受付印が、きちんと押されているか確認したうえで持ち帰りましょう。
慌てて申請書類に記入していると、記入漏れが発生しやすくなるので、ゆっくり慎重に書いた方が良いです。
申請に必要な書類の準備
次に、保育士登録の申請手続きに必要な書類の準備をします。
・戸籍抄本
・保育士登録申請書
・保育士試験合格証
・保母資格証
・振替払込受付証明書
上記のものを揃えて、送信用封筒へ入れてその時に全て必要な書類が同封しているか、良く確認することが大切です。
例えば、住民票や免許証のコピー、卒業証書など保育士登録に関係の無いものを間違って、同封するようなことは、しないようにしましょう。
間違って同封したからといって、保育士登録ができなくなる可能性は低いでしょうが、またきちんとした手順を行う必要があるので、保育士証の交付までに時間がかかってきます。
うっかりミスは誰にでも起こり得ることです。
しかしながら、子どもの命を保護者から預かる仕事を将来は行うことになるので、子どもの命を守るのは責任重大ですので、マメさは大切です。
申請書類の郵送
申請書類を揃えたら、登録事務処理センターに郵送します。
注意点として、郵便局の窓口へ行って簡易書留で送ることが大切です。
また、送る際には宛名は間違っていないか確認したり、切手をきちんと貼っているか確認したりしましょう。
最後の最後で、ミスをしてしまってまた、保育士登録が伸びてしまうと本人のモチベーションも低下する恐れがありますし、自分は保育士に向いているのだろうかと、自問自答して悩むかもしれません。
申請書類は折り曲げていたり、汚していたりしていないのかも重要です。
例えば、申請書類を自宅に保管しておく間は、クリアファイルに収納して折り曲がったり汚れがつかないように、配慮するなどして大切に扱うようにしましょう。
保育士証の受け取り
無事に保育士登録の申請書類を登録事務処理センターに送付できたら、後は保育士証の受け取りです。
何も問題が無いと判断されれば、保育士証の発行まで数ヶ月の期間を経て届けられています。
保育士証はスムーズに手続きが済んでも、ほんと数日で送られてくるわけではありません。
人によって、自宅に届く期間に違いがあるので断定はできませんが、2ヶ月かかったとか、3ヶ月以上かかっていたという声もあります。
もしかしたら、あまりにも時間がかかりすぎていたら、保育士証を申請していることをすっかり忘れてしまっている人もいるかもしれません。
3ヶ月以上、時間が経過しても音沙汰無しの場合は、こちらから登録事務処理センターに問い合わせてどうなっているのか確認するようにしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
保育士として認められるためには、保育士資格の取得だけではなく保育士登録を行う必要があります。
保育士登録を行い、保育士証を手にして初めて保育士の仕事に就くことができるのです。
上記でお伝えしてきた、保育士登録のやり方を参考にしていただいて、申請手続きがまだの人は就職や転職がスムーズにできるように、行動することが大切です。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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