保育園の経営体制や、取り組んでいる業務内容を公正に評価して公表する制度が、2000年の社会福祉基礎構造改革(現:社会福祉法の改正)により開始されています。
名称を保育園第三者評価と言い、第三者機関が客観的な立場から評価を行うのですが、よくわからない人もいるのではないでしょうか。
第三者機関が公正に保育園を評価することで、経営者による不正の抑止効果もあります。
例えば、経営者が昔から保育業界で付き合いがある人に、園の評価をお願いするような仕組みですと、根回ししてひいきしてもらったり賄賂を贈ったりして、わざと高い評価にしてもらう不正ができてしまいます。
第三者機関が客観的な立場で評価を行うことで、外部の者からの信頼度が高くなるでしょう。
今回は、保育園第三者評価の基礎基本や、目的・FAQについてと受審は義務なのかなどについて解説していきます。
Contents
保育園第三者評価とは?
保育園の運営体制や、取り組んでいる業務内容を第三者機関が公正に評価して、公表するのが保育園第三者評価です。
第三者評価は、保育園だけで行われているわけではありません。
保育園以外にも、社会的養護施設、特別養護老人ホーム、障害者支援施設などの福祉サービス施設で実施されています。
よく店舗の口コミや評価を一般消費者が、インターネット上のWebサービスで行っているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
保育園第三者評価は、そのような評価方法や基準ではないのですが、評価があるおかげで保育園のサービスの質や内容が判断できるので、ある意味、評価をするという点では一般消費者が行っていることと似ています。
ただし、保育園のサービスの質や内容の評価は、職員や経営者、保護者、子ども達ではありません。
全く関係が無い、第三者機関が客観的な立場から評価を行うので公平性が保たれるわけです。
評価を行う保育園と全然繋がりが無い人達に判断してもらわないと、繋がりがある人でしたら馴れ合いや、情などで不正に良い評価をつけるかもしれません。
不正に評価をつけてもらった保育園は、バレなければ何も問題にならないですが、後々、バレてしまうと信頼も秩序も地に落ちてしまうのでしょう。
そのような事態にならないためにも、保育園第三者評価を第三者機関が行っています。
保育園第三者評価の目的
保育園のなかには、保育に関するサービスの質や内容を評価されるのは、悪い評価を受けたらどうしようと考えたり、今、改善している途中なので評価はまだ後からの方が、助かると思ったりするところもあるのではないでしょうか。
あまり良い気分ではないかもしれませんが、第三者評価で結果を保護者に公表することで、保護者は評価を受けた保育園がどのような、保育のサービスの質や内容なのか理解を深めることができます。
子どもをもつパパやママは、子育てをしながら家事や仕事で、日々、忙しく過ごしていますから、保育園の入園はどこがベストなのかリサーチしたり、見学したりする時間があまり取れない人が多いでしょう。
たった1日、時間ができても保育園の実態を理解するのは難しいので、保育園第三者評価の結果は、保護者の保育園選びに助かります。
保育園第三者評価の目的は、主に子どもがいるママやパパが安心して保育園選びができることです。
保育園側も評価の結果が悪くなかったら、多くの保護者にアピールできるので、良い宣伝効果にもなるのではないでしょうか。
評価の結果が悪い場合は、今後、保育園の運営やサービスの改善に向けて舵を切ることができるので、ポジティブに捉えて、改めて見直していけば、今後はとても人気が高い保育園になる可能性もあります。
保育園第三者評価のFAQ
保育園第三者評価のFAQを解説していきます。
何を評価するのか
保育園の経営体制や、サービス提供に関する基本方針、取り組んでいる業務内容などを公正に評価します。
サービスの種類によって、評価項目が個別に分かれます。
評価の結果までの期間はどの位か
保育園第三者評価の結果が出るまでの期間の目安は、保育園の経営者の同意を得たうえで公表するので、契約から報告書の提出まで約3ヶ月~4ヶ月とされています。
評価の結果は、地方自治体のホームページや、自治体ごとに開設している推進組織のホームページで発表するようになっています。
どんな人が評価するのか
保育園第三者評価は、第三者機関が客観的な立場から評価をくだすので、保育園の事業者が保育業界で昔から仲が良い人や、付き合いがある人に評価を頼むことはできません。
都道府県ごとに、第三者評価を行うことに対して審査を受けて、認証を取得した第三者評価機関が、保育園を公正に評価します。
要件として、法人格を持っている、福祉サービスを提供していないことなどが挙げられます。
評価の手法や手順について
保育園第三者評価は、アンケートや事業評価を用いて評価を行います。
・事業評価=職員による自己評価
・事業者や経営陣による自己評価
・評価者による訪問調査
・アンケート=保護者アンケート・職員アンケート
・運営側が提出する評価機関からの質問シート
・アンケートや質問シートに基づいて行う保育園の経営者ヒアリングと各種関連書類の確認
・保育園に訪問し実際の保育現場の内部調査
上記のような評価の手順で、様々な方向から評価をしていくことになります。
評価を受けるためのコスト
例えば、東京都では第三者評価の費用の補助がありますが、地方自治体によって補助の有無は異なります。
第三者評価を受けるためのコストは、保育園の経営者の負担となるわけですが、補助金がある地域と無い地域があるので、どのくらいの金額を負担するのかは地方自治体で違いがあるでしょう。
金額は各評価機関が決めるのですが、最終的には保育園の経営者と、評価機関の契約により明確な費用が判明します。
保育園第三者評価の受審は義務なのか解説
保育園第三者評価は、全国の都道府県によって受審の義務化は分かれます。
東京都の保育園では、実質上の義務化となっており、その他の地方自治体でも保育園第三者評価を義務付けしようという動きは起きている現状です。
なので、今のところ東京都のように、保育園第三者評価が義務になっている地方自治体と、まだ義務化にはなっていないところで分かれています。
東京が日本の首都ですから、将来的に他の都道府県の地方自治体もどんどん見習って、保育園第三者評価の義務化していないところは義務にする可能性もあるでしょう。
いくら保育園側が拒んでも、義務になると当然、従わなければいけません。
まとめ
保育園のなかには、保育のサービスの質や内容を評価する第三者評価を受けているところもあります。
第三者機関が客観的な立場から、公正な評価をするので不正はできませんし違法性もないでしょう。
現在、東京都の保育園では第三者評価を受けるのは義務になっていますが、まだ全ての都道府県の地方自治体で義務化されてはいません。
今のところ、任意になっている地方自治体がたくさんあります。
保育園第三者評価で、良い評価を受けて公表されたら保護者から信頼されやすくなりますし、宣伝効果もあるので認知度が高まり、子どもを入園させたい保護者を多く獲得できる可能性があります。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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