社会人になって働いている人全員が、今の会社で定年まで勤めるような時代ではなく、個々で事情は色々違いますが、ネガティブな理由やポジティブな理由で退職する人はたくさんいます。
会社の辞め方には、自己都合退職と会社都合退職があります。
退職後は失業手当を受け取る申請を行う人もいるでしょう。
自己都合退職と会社都合退職では、失業手当に関して何か違いがあるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は、失業手当は自己都合と会社都合で給付期間・条件などが違うのかや、一度貰うと受給不可か解説していきます。
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失業手当の自己都合の条件
失業手当は、根拠となる制度が失業保険と呼ばれており、正式名称が雇用保険になります。
今まで仕事をしていた人は、働く対価として収入を得ていたのが失業したことにより、賃金が貰えなくなります。
貯金がたくさんある人は、将来や生活の不安をすぐには抱かなくて済むかもしれませんが、全く無い人は早く生活費や必要なお金を稼がなければいけません。
急に収入が途絶えて生活が安定しなくなったら、再就職活動もままならない人が一定数いるので、失業手当を受け取れることでスムーズに求職活動を促す目的があります。
では、職場を自己都合退職した場合の失業手当の条件を解説していきます。
一般的な自己都合退職
一般的な自己都合退職は一般被保険者となり、自らの意思によって仕事を退職したケースです。
失業手当の受給条件は、定期的な求職活動を行っているが失業状態の人、離職日の以前の2年間で12ヶ月以上の雇用保険の加入期間があることが求められます。
求職活動は、例えば知人の紹介で単発的な仕事をしたり、日雇い労働などをしたりするのは働いた実態を把握できないので、ハローワークを介して職業相談や職業紹介をして貰う必要があります。
職場を退職する人は、きちんと雇用保険に加入していて要件を満たせば、失業手当を貰える資格があるのは労働者の権利ですから、何も恥ずかしいと思うことはありません。
ただし、失業手当を当てにして長期間、仕事を探さないで生活費にまわすようなことは避けた方が良いでしょう。
あくまでも一時的な収入になりますから、失業手当の給付期間が終了したら以降は自力で金策に励まなければいけません。
できれば、職場を退職する前から失業手当を受け取ったら、どのような使い道をするのか計画を練っておきましょう。
特定理由離職者(自己都合退職)
職場を自己都合退職した場合でも、特定理由離職者の対象者であれば一般的な自己都合退職よりも、失業手当の給付期間が延長されます。
失業手当の受給条件は、定期的な求職活動を行っているが失業状態の人、離職日の以前の1年間で6ヶ月以上の雇用保険の加入期間があることが求められます。
・出産・子育てに専念する必要があり離職した
・体力の衰えなど、身体やメンタルの不調の理由によって離職した
・通勤のことで諸事情が色々あり離職した
・家族や身内の介護など家庭の事情があり退職した
・企業業整備で人員整理等に伴う退職勧奨などに手を挙げて離職した
特定理由離職者に該当するためには、下記のような理由を証明できなければいけません。
失業手当の会社都合の条件
失業手当の受給条件として、自己都合退職の他に会社都合退職の場合があります。
会社都合退職は、文字通り会社側に倒産や解雇せざるを得ない事情などがあって、退職した人で次の勤め先が無いまま離職になってしまった人のことです。
会社都合退職者は特定受給資格者と呼ばれています。
特定受給資格者(会社都合退職)
特定受給資格者は、失業手当の受給資格を緩くする、給付制限の撤廃、所定給付の日数の優遇など色々な緩和措置が設定されています。
会社都合退職者が失業手当の受給条件は、特定理由離職者と同様です。
定期的な求職活動を行っているが失業状態の人、離職日の以前の1年間で6ヶ月以上の雇用保険の加入期間があることが求められます。
ここまでで、失業手当の受給条件として自己都合退職と会社都合退職の違いについてお伝えしてきましたが、具体的にどのような内容なのかあまり把握していた人は少ないのではないでしょうか。
基本的には、自己都合退職よりも会社都合退職の方が雇用保険の加入期間が短く、色々な緩和措置があるので、特定受給資格者は優遇されていると言っても良いでしょう。
失業手当は自己都合と会社都合で給付期間が違う?
失業手当は会社都合退職の方が優遇されていると言えますが、給付期間は原則として会社を辞めた日の翌日から1年間で、雇用保険の加入期間が長くなるほど給付日数が伸びるのですが、きちんと申請しなければいけません。
失業保険を受け取るための申請を怠ってしまうと、貰えないので注意が必要です。
職場を退職したからと言って、後は自宅で待機していれば自動的に失業手当が受け取れるわけではないのですね。
失業手当は自己都合退職の場合は、給付制限期間が設けられており会社都合退職の時は給付制限期間はありません。
ですので、自己都合退職の方が失業手当を受給できるのはすぐにではなく、数ヶ月間待たなければいけないのです。
失業手当は自己都合の場合の給付期間
失業保険を受け取るための申請は、職場を退職した翌日からOKですが給付日数がカウントされるタイミングは、自己都合の場合では7日間の待機期間後からになります。
なぜ、待機期間が設けられているのかと言いますとその間に、本人確認や本当に職を失っているのかなどの事実確認を行うためです。
待機期間は中小企業や大企業に勤めているビジネスパーソンで、別け隔てなく全員が7日間となります。
自分だけ待機期間を短くしてくれとか、撤廃してくれなどワガママを言っても優遇されるわけではないので注意が必要です。
さらに、自己都合退職の場合、2カ月の給付制限期間が決められていますので、その期間が終わらなければ実際に失業手当が支給されません。
失業手当は自己都合の場合の給付期間は、雇用保険の加入期間の長さによって90日~150日間と変わってきますので、長く給付してもらいたいのでしたら前職で、何十年も働いてから辞める方が良いでしょう。
雇用保険の加入期間が1年未満ですと、失業手当の給付日数は0日となり受け取れなくなります。
自己都合退職でも、特定理由離職者の方は失業手当の受給者本人の年齢と、雇用保険の加入期間の長さを考慮されたうえで支給されます。
失業手当は会社都合の場合の給付期間
会社都合退職の場合の失業手当の給付は、申請手続きが終わった後に7日間の待機期間がありここまでは自己都合退職者の場合と同じです。
失業手当の給付のタイミングが自己都合退職の場合と異なり、会社都合退職では待機期間が修了したら即座に給付が開始されます。
その後は、4週間に1度の頻度でハローワークへ通い、失業の認定をしてもらう必要があります。
毎回、失業の認定をしてもらいながら一定期間、失業手当を受け取ることができるのです。
失業手当は会社都合の場合の給付期間は、職場を退職した時点での年齢と雇用保険の加入期間の長さによって、90日~330日の給付日数の違いがあります。
失業保険の条件や給付期間を考えると、自己都合退職よりも会社都合退職の方がけっこう優遇されているのが、把握できたのではないでしょうか。
かと言って、仕事を辞める時に自分の意思で退職する理由がある人が、急に職場に会社都合退職にして欲しいと強く求めても、納得してもら
えない可能性が高いですから注意が必要です。
おそらく会社側も退職者が自己都合で辞めるのに、後から会社都合退職にしてくれと申し出たことに関して、失業手当の早期受給が目的だとわかってしまいます。
自己都合退職の場合は、お伝えしたように待機期間+給付制限期間が設けられていて、すぐには失業手当が受け取れないので、ある程度の貯金をして辞めた方が精神的に安心できるでしょう。
失業手当は受け取ると将来は受給不可?
失業手当は、仕事を辞めて再就職を目指す人の救済措置として、とても助かるものですが、お伝えしたように自己都合退職と会社都合退職の違いによって、申請手続き後の状況が変わってきます。
あくまでも一時的な収入になるので、失業手当を受け取りながらずっと暮らしていけるわけではないので注意が必要です。
一度、失業手当を貰うと雇用保険の加入期間が、リセットされてしまう点も理解しておいた方が良いでしょう。
例えば、1度失業保険を受け取って次の就職先で、短期で辞めてしまった場合は、今度は求職活動を失業手当の支給が無いまま行わなければいけません。
失業手当は一度貰うと、再就職をしてすぐに辞めてしまった場合は受給不可となるのです。
ただし、再就職をして雇用保険に1年以上加入すれば、再度、失業保険の対象者となることができます。
社会人によっては、1度目の退職時に失業保険の申請手続きをしない人もいるかもしれません。
その場合は、2度目に離職した後に失業保険の申請手続きをすれば失業手当を受給できます。
自己都合退職してから失業手当の申請を行い、給付制限期間中に次の職場が決定した際は失業手当の受給ができないので注意しましょう。
不正受給をしないようにする
失業手当を不正受給しないように気を付ける必要があります。
例えば、失業保険の申請手続きを行い給付期間中に求職活動をしていないのに、失業認定申告書に嘘の活動内容を記載したり、事業をスタートしたりなどをしているのにもかかわらず、黙って申告せずに受給するのは不正受給です。
不正受給が発覚した際は、その後の失業手当は貰えなくなり、受け取った金額の全額返還と数倍の金額を追徴納付が課せられるので注意が必要です。
いかなる理由があろうと、嘘の申告や書類に記載するなどの不正行為は不正受給となります。
人によっては、軽い気持ちでバレないだろうと思って不正受給に手を染めようとするかもしれませんが絶対に止めた方が良いです。
一度目を貰うために求職者は求職活動する必要がある
職場を退職して、失業手当の申請を行わなければいつまで経っても受給の要件が満たされないので収入を確保できません。
自己都合退職、会社都合退職のどちらの場合であっても、まず一度目の失業手当を貰うために求職者は求職活動する必要があります。
ハローワークで、定期的に行われている失業認定の手続きが必要になるため、職場を退職すれば自動的に失業手当が支給されるわけではありません。
求職者は定期的に求職活動を行う必要がありますのが、適当に次の職場の選定をしているとなかなか採用までたどり着けなかったり、ブラック企業に応募するはめになったりする恐れがあるので、真面目に取り組むようにしましょう。
再就職手当という給付金の手段もある
求職者が失業手当を受給するまでのハードルが、人によっては高いと感じる人もいるのではないでしょうか。
仕事をまだ続けている人で、退職をしようと思うけれど給付制限期間や給付期間を考えたら、一時的な収入では不安になる人もいるかもしれません。
失業手当は、給付期間中でも次の職場で働く時はストップしますが、代わりに再就職手当を貰えるケースがあるので、さらに収入を確保できます。
再就職手当も申請が必要になるので、忘れずに行わなければいけません。
申請期限は、再就職した日にちの翌日から1ヶ月以内にする必要があります。
期間内にハローワークに再就職できたことを伝えて、再就職手当の支給申請書を貰い必要な項目に記入します。
無事に受理されると、失業手当の他に再就職手当という臨時収入が手に入るので、上手く活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今まで順調に仕事をしていたけれど、個人的な事情や会社側の都合で退職を余儀なくされる人も世の中にはたくさんいます。
退職の仕方は、自己都合退職と会社都合退職の2パターンがありますが、雇用保険に加入していて要件を満たしていれば、それぞれで失業手当の条件や給付に関して違いがあるため、しっかりと理解しておく必要があります。
自己都合退職者よりも、会社都合退職者の方が色々な緩和措置があったり、給付制限期間が設けられていなかったりするので、優遇されていると言えるでしょう。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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