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2023.08.15

保育士の処遇改善手当は全員対象?仕組み・目的や支給対象外のケースを解説

保育士 処遇改善手当

昔から、保育業界では人手不足に陥っており、待機児童問題も重なって保育士の職業は長時間労働や給料が低いということがあらわになり、労働環境・待遇面が充実していないと言われています。

そのため、国は保育業界を救うため2015年に処遇改善措置を実施し、保育士の賃金水準の引き上げに力を入れている状況です。

保育士不足を解消するためには、色々な問題がありますが待遇の改善も重要です。

保育士の処具改善手当は全員貰えるのか、気になる人もいるのではないでしょうか。

今回は、保育士の処遇改善手当は全員対象なのかや、仕組み・目的や支給対象外のケースなどについて解説していきます。

保育士の処遇改善手当は全員対象?

社会的に保育業界で働く人々の労働環境や労働条件、待遇面などが待機児童問題や人手不足の問題で、あまり充実していないという声があるため、国は改善に向けての取り組みを行っています。

保育士の待遇面に関しては、2015年に処遇改善手当を始め年収をアップさせる施策を打ち立てています。

処遇改善手当は補助金です。

処遇改善手当を導入することによって、保育士の離職率の低下を防いだりカムバックを考えている人の、サポートがしやすくなったりすることを期待されています。

勘違いされやすいのは、保育士に対して個人的に支給されるものだと思われがちですが、そうではありません。

保育園側がきちんと手続きを行い、認可保育園のみが対象となっていますから保育士全員が、処遇改善手当をもらえるわけではないのです。

保育士の処遇改善手当の仕組み

処遇改善手当が保育士に直接支給されるものではなく、雇用先である保育園に対してのものであることをお伝えしてきましたが、保育士に補助金は出ないというわけではありません。

あくまで、直接保育士に支払われないというだけで、保育園側から保育士に給与と合わせて渡す流れになっています。

保育士の処遇改善手当の仕組みを解説していきます。

処遇改善等加算Ⅰ

2015年に保育士の賃金改善を目的に「処遇改善等加算Ⅰ」が導入されました。

処遇改善等加算Ⅰは、勤務先での保育士の平均勤続年数やキャリアアップなどの変動で加算率が増加する仕組みです。

正社員として働く保育士だけではなく、1日6時間以上かつ月20日以上働いてくれるアルバイト・契約社員・パート・派遣社員など、非正規社員も対象となっています。

その他にも、保育園で働く事務員や給食を作る人なども対象になるので、必ず保育士でなければいけないというわけではありません。

基礎分・賃金改善要件分・キャリアパス要件分などに分かれており、基礎分は保育士の平均勤続年数の変動に伴い給料に2~12%上乗せされる支給額です。

賃金改善要件分は、処遇改善手当がでる年度の前の年度を基準にしています。

キャリアパス要件分は、保育士の昇進・昇格などに力を入れて取り組んでいる保育園が対象となる処遇改善です。

処遇改善等加算Ⅱ

2017年に導入された処遇改善が「処遇改善等加算Ⅱ」です。

保育士のキャリアアップに努める保育園に対して、手当を加算する仕組みになっています。

対象となるのは、認可保育園などに勤める正社員や1日6時間以上かつ月20日以上働いてくれる契約社員・アルバイト・パート・派遣社員など、非正規社員も入ります。

園長先生や主任保育士などの役職者は現在のところ、対象者ではありません。

保育士の昇進・昇格の仕組みは、一般企業で働く社会人のように働いた年数によって、係長・課長・部長などのキャリアアップがあるわけではないので、何年勤めても役職者になるのは狭き門です。

キャリアアップしにくいということは、賃金アップも見込めにくいので保育士のキャリアアップによる給料水準の引き上げを目的として、処遇改善等加算Ⅱが導入されています。

処遇改善等加算Ⅲ

2022年2月から保育士の待遇面の改善を目的として、月々の給料が9000円位引き上げが実施されました。

そして、引き上げになった賃金が2023年に「処遇改善等加算Ⅲ」として、扱われるようになってそのまま継続される仕組みです。

正職員として働く保育士だけではなく、1日6時間以上かつ月20日以上働いてくれるアルバイト・契約社員・パート・派遣社員など、非正規社員も対象となっています。

ただし、延長保育や預かり保育などを行っている保育園で、延長保育や預かり保育のみの仕事だけをしている人は対象外となっています。

保育士の給料は、国家資格が必要な職業のなかでも給料水準は高いわけではありません。

人材不足の影響で、労働環境の悪化や給料が低い傾向があるのでこうした処遇改善手当を導入することで、これ以上、保育士のイメージが悪くならないようにや、働きがいのある職業だと認識し直してもらえる可能性があります。

保育士の処遇改善手当の目的

処遇改善手当は、正式には処遇改善等加算です。

保育業界では、処遇改善手当という名称で浸透しているようです。

人材不足に陥っている状況ですから、今のままですと、保育士の給料も右肩上がりで上がっていくことは難しいでしょう。

社会的にも保育士の給与は安いという認識が広まっているので、国は処遇改善手当などの補助金を出して、なんとか人材不足の解消に繋がればという目的があります。

保育士が足りないままですと、子どもをたくさん受け入れたい園があっても人材不足により、人数が制限されてしまいます。

働いている保育士にも人手不足の影響があるでしょう。

保育士の仕事は、他の職員達と協力し合いながら行うためチームワークが大切です。

保育士が不足している園では、仕事量の増加や業務が終わらなくて持ち帰り仕事、残業がたびたび発生することになるので、精神的、肉体的に参ってしまい離職者が続出しやすくなります。

そのような状況に陥らないためにも、保育士不足の解消をしなければなりません。

今すぐに労働環境、労働条件、待遇面などの改善は難しいですので、長期的な視点で見ながら保育士のイメージを変えていく必要があるでしょう。

保育士の処遇改善手当の支給対象外のケースを解説

お伝えしたように、保育士の処遇改善手当は個人に支給されるものでは無いのですが、個人的に受け取れる補助金だと思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。

個人的に直接支給される補助金では無いので、処遇改善手当の存在を知らない保育士もいるかもしれません。

保育士の処遇改善手当は、認可保育園以外の園では支給対象外となっています。

また、認可保育園であっても処遇改善手当の申請をしていないところは、補助金が支給されないため注意が必要です。

全ての保育園が処遇改善の対象施設ではないので、給料アップを目指して就職や転職を考えている人は認可保育園で働くことを視野に入れて、検討してみてください。

まとめ

保育士には、処遇改善手当という国から補助金の支給があります。

しかしながら、個人的に受け取れる補助金ではなく、認可保育園で働き園側が申請をして給料を受け取る時に、支給されるため注意が必要です。

処遇改善手当の仕組みや内容を知ることで、保育士としての将来的なビジョンのイメージがしやすくなるかもしれません。

現状の保育業界は、人手不足に陥っている状況ですから保育士不足を解消させるためには、保育士として働きやすい環境を整えたり、良いイメージを定着させていくことが求められるでしょう。

 


この記事の監修は

保育のせかい 代表 森 大輔

2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。

その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。

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