待機児童問題や保育士の労働環境・待遇面などの問題で、全国的に保育園や保育施設で働く保育士が不足している状況です。
保育士の仕事は、世間からは子どもと触れ合っているだけでお金を稼げる職業だという、勘違いした認識をされがちです。
保育士資格の国家資格が必要な専門職なのですが、その割には給料が安くて肉体的にも仕事はハードで長期間働くことができずに退職する人も多い傾向があります。
世間からは楽にお金を稼げるのだろうと思われがちで、保育士として働く人は低賃金かつ仕事量が多いことを経験し辛いと思う人がたくさんいます。
世間が認識しているイメージと、実際に保育士として働いている人達が感じていることには大きなギャップがあるわけです。
今回は、保育士の現状はどうなっているのかや、人手不足と言われてる理由と保育士不足の現状を改善するために行政が行っていることなどについて解説していきます。
Contents
保育士の現状は人手不足?
国の政策で働き改革や保育士の処遇改善措置などが行われてきましたが、その背景には保育士という職業は低賃金で重労働だという認識が、世間に広まっていることが挙げられます。
なぜそのような状況に陥っているのかと言いますと、全国的に保育士の現状は人手不足になっているからです。
多くの保育園や保育施設で、保育士が足りない状況は今に始まったことではありません。
昔から、長年に渡って保育士の人材不足は続いており現在は待機児童問題や労働環境、待遇面などの問題によって、保育士不足が慢性化しています。
国は待機児童問題の解消を目指すために取り組んだり、保育士の働き方や処遇改善を定期的に見直ししているため、何とかしたいと動いている状況です。
保育士の人手不足は全国で?
保育士不足は、どこか一部の地域だけの限定的なものではなく全国的に陥っています。
働き手が足りないということは、退職者が多く就職や転職する人も少ないので、求人の需要と供給のバランスが整っていません。
保育士を辞める人の理由は、人それぞれ違うので個人的な事情、家庭の事情、仕事に対しての不満や悩みなど色々な心情があるものです。
どんな職業でも、一定数勤め先を辞める人はいるので保育士の職業は退職者がとても多くて、人手不足に繋がっていると安易に決めつけられません。
全国的な保育士不足ということを考えると、ただ単に職場に対しての悩みや不満だけではなく、お伝えしたように待機児童問題や労働環境、待遇面などの問題が大きく関係していると言えます。
保育士に関連する記事はこちら⇒保育士が仕事を辞めたいと思う理由とは?退職前の注意点とセルフケア方法を解説
保育士の現状がよくない理由
保育士の現状がよくない理由は、以下のようなことが挙げられます。
責任が重い
保育士の責務は、保護者の方達から大切な子どもの命を預かり、安全安心の生活サポートをしていくことが求められます。
預かった子ども達が、事故や怪我しないように気をつけながら見守らなければいけませんが、命を預かるというのは重大な責任です。
もし、園児が怪我をしてしまったら、保護者によってはお叱りやクレームを受けることもあり得ます。
保育士は保育士資格が必要な専門職です。
保育業務のスペシャリストでなければいけないので、子ども達が快適に保育園や保育施設で過ごせるようにサポートしながら、安全を確保していかなければいけません。
子ども達全員に目を配るのは難しいのが現状で、仕事量も多くて責任が重いことに対してプレッシャーを抱えてしまい、自力で解消できなくて辞めてしまう保育士がいます。
低賃金
保育士は子どもの命を預かる大きな責任があるのに、仕事量と給料が見合っていないと感じる人は多いです。
一般企業のように、経営者のひと言で待遇面が改善される傾向に保育士の職場はなっていません。
給与面に関して、国が関わっていて保育事業は補助金によって成り立っているところもあります。
そのため、国の財源から保育士に対しての給与を支払う仕組みになっていて、支給額に上限が生まれるので、なかなかすぐに高待遇にはならないわけです。
国としては、何とか保育士の低賃金問題を改善しようと処遇改善に努めたり、基本給とボーナスのほかに処遇改善加算の給付金を設けていたりと動いています。
将来的には、低賃金問題は改善に向かっていくと思われますが、まだまだ時間を要するためそれまで待てない保育士は、どんどん退職している現状があります。
また、保育士は国家資格が必要な専門職なのですが、世間一般的に仕事内容は子どもと施設で触れ合っているだけで給料を貰えるから楽だろうというイメージが先行しがちです。
子どもの命を預かる責任が大きいことに対して、仕事は楽そうだと捉えられるのはギャップがありますが、周りからの保育士という職業に対する評価が給料が大幅に上がらない原因に繋がっています。
なかなか休めない
保育士の仕事は、子どもの身の回りの世話だけではなく、事務作業・季節行事の企画運営・保護者対応など多岐にわたります。
仕事量が多くなると、労働時間も比例して長くなる傾向があるので残業や持ち帰っての作業があったり、休日出勤をしたりなどでなかなか休めない現状があります。
保育園や保育施設によっては、サービス残業が発生したり昼休みなどの休憩時間を、満足にとれないところもあるようです。
プライベートの時間の確保が難しくなり、なかなか休めない状況になってくると精神的にも肉体的にも疲労が蓄積してきます。
保育士として一生懸命に働いているのに、無理のない範囲で仕事ができなければ、ストレスが溜まって仕事が嫌になりやすいです。
職場によって違いはありますが保育士は、仕事量が多くてなかなか休めないという見られ方をされがちです。
そのため、保育士になって働きたいと思う人が右肩上がりに増えていかず、保育現場で汗を流している保育士のなかには、仕事量や人手不足の状況に限界がきて退職している人がたくさんいます。
人間関係に問題
保育士は女性が多く活躍しています。
職場は女の園であるところが多く、女性同士でグループ、派閥などができている場合があるので気を遣いながら仕事をこなしている人もいます。
自分だけが周りから良く思われていないのではないかと悩んだり、居心地の悪さを感じて毎日、精神的なプレッシャーを感じていると、職員と良好な関係を構築できなくて人間関係が悪化してしまう原因となるでしょう。
勤め先の人間関係は、自分で選ぶことができませんから人間関係に問題があるところで働いている保育士は、耐えられなくて退職してしまう人がいます。
また、保護者も色々な性格や気質の方がいるので、気をつけて対応しないとモンスターペアレンツ化するので大変さがあります。
保育士の現状を改善するために行政が行っていること
保育士の現状をお伝えしてきましたが、国・行政は保育業界を見放しているわけではなく、定期的に改善に向けて取り組んでいます。
労働環境・待遇面・働き方に悩んでいる保育士の声は、国・行政には届いており危機感を強めて人材不足解消のための、色々な改善策を行っています。
2015年から厚生労働省では、保育士確保プランを実施して保育士不足に歯止めをかけようと最善を尽くしている状況です。
他にも、保育士試験を年2回の実施に変更して働き手を増やす取り組み、賃金アップや手当の充実化を図る、再就職支援、人材育成などに国・行政は力を入れています。
まとめ
保育士資格は合格率20%台の国家資格で、難易度は高めとされていますが超難関資格ではありません。
保育士試験は年2回実施しており、しっかり勉強すれば合格できる可能性はあるでしょう。
しかしながら、待機児童問題や保育士の待遇面・労働環境などの問題で働き手が少なく離職する保育士も増えているため、多くの保育施設では人手不足の現状があります。
国や行政は、定期的に人材不足解消のために色々な改善策を実施しているので、将来的には問題解決へ向けた取り組みの効果がでることが見込まれています。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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