将来の日本を背負う子ども達の成長を促し、生活スキルを身につけさせ立派な大人になるために成長過程をサポートする保育士はとてもやりがいがある職業です。
しかしながら、いくらやりがいが大きくてもキャリアアップや、待遇が充実していないと労働意欲が低下してしまう恐れがあります。
日本政府は、保育士の働き方を定期的に見直しています。
労働環境整備や研修の充実を図ったり処遇改善などに努めており、徐々にではありますが保育士ができるだけ働きやすいように調整しているのですね。
保育士のキャリアアップ研修は、あまり知らない人も多いので知りたい人はいるのではないでしょうか。
今回は、保育士のキャリアアップ研修の基礎知識情報や、仕組み・メリットなどついて解説していきます。
Contents
育士のキャリアアップ研修とは?
若手や中堅の保育士は、将来的に必ずキャリアアップができるとは限りません。
一般企業のサラリーマンでいうところの昇進のような感じで、保育園であれば主任保育士・園長先生などになれる人は限られています。
向上心がある保育士ほど、キャリアアップを望む傾向がありますが保育士に求められる役割が多様化、複雑化しているので何が正解なのかイマイチ把握しにくいというのが現状としてあります。
そこで、保育士のキャリアアップ研修を実施して保育の専門的知識の向上や、処遇改善などを目指しているところもあるのです。
政府も積極的に動いていて、厚生労働省が2017年に保育士等キャリアアップ研修ガイドラインを定めており、保育現場でリーダー的な役割を担う人材を育成をするために、2023年度より研修が実施されます。
すでに保育士として働いている人や、一度、保育士を離職している人も対象者ですので潜在保育士も復帰しやすくなるようにという狙いもあります。
保育士のキャリアアップ研修を受けるメリットは?
保育士のキャリアアップ研修を受けるメリットを解説していきます。
待遇改善に期待できる
保育士はキャリアアップ研修を受けることで、役職者になれる可能性が高まり保育園の処遇改善加算Ⅱの対象になるので、待遇改善が期待できます。
処遇改善加算の対象者になると聞くと、難しくて良くわからないという人もいるかもしれません。
わかりやすく言いますと給料アップに繋がるということです。
キャリアアップ研修を受講した全ての保育士が、必ず賃金アップするというわけではありませんが、役職につくことで役職手当が貰えるところもあるので、その分、給料に加算されるという感じです。
昇格制度は、働く保育園や保育施設によって仕組みに違いがあるので給料が増えた分は基本給としてなのか、手当としてなのかは勤め先に確認してみましょう。
知識が高まる
保育士のキャリアアップ研修を受けると、より保育に関する専門的な知識を集中的に学べるので、保育現場で活かせることが多くなる可能性があります。
知識が高まると、保育業務中により臨機応変な対応ができるようになったり、PDCAを上手く回せるようになっていくはずです。
保育士の仕事は、チームワークが必要なので1人だけ知識や能力が高くても上手く仕事が回らないものです。
保育士一人ひとりが、保育に関する知識を高め仕事を上手く回せるようになることで、職場で連帯感が強くなり保育業務がスムーズにできやすくなります。
効力は失われない
キャリアアップ研修を受講すると、修了証を貰えます。
特に有効期限があるわけではないので、例え離職したとしても効力は失われません。
キャリアアップ研修の修了証は、全国共通の物なので別の都道府県に引っ越ししたり、転職や復職する際にも活用できます。
例えば、東京都で修了証を貰って、その後、北海道の保育園で働く場合でも修了証は有効というわけです。
保育士に関連する記事はこちら⇒保育士は簡単になれる?難易度や誰でも取れるのかを解説
保育士のキャリアアップ研修はどこで受講できるの?
保育士のキャリアアップ研修は、勤め先で受講できるのではと考える人もいるのではないでしょうか。
受講の場所はきちんと決まっていて、都道府県あるいは都道府県知事の指定した研修実施機関です。
キャリアアップ研修は、専門分野ごとにスケジュールと募集定員が決められているので、適当な日時に受講できるわけではないので注意が必要です。
指定研修機関には、指定保育士養成施設・非営利団体などがありますので、キャリアアップ研修を受講したい保育士は日程や受講場所を入念に確認して受けるようにしましょう。
保育士のキャリアアップ研修の分野は?
保育士のキャリアアップ研修は、以下の8つの分野に分かれていて1分野あたり約15時間以上の受講時間があります。
・食育・アレルギー対応
保育現場での食事の献立作成や衛生管理、食育・アレルギー疾患などに関して学ぶ研修です。
・幼児保育
3歳以上の子ども向けを対象とした幼児教育の現状と問題点、個々の発達特性ごとの指導、保育内容などを学びます。
・乳児保育
0歳~3歳未満の子ども向けを対象とした乳児保育における最適な環境設定、個々の発達特性ごとの指導、保育内容などを学びます。
・保健衛生・安全対策
保健衛生や安全対策に関する知識を深め、子どもの発育・発達に関する理解と保育計画の作り方などの習得を目指します。
・障害児保育
障害児保育の分野では、障害がある子どもへの理解を深めたり、その保護者や家族に対してのサポートの仕方などを研修で教えて貰います。
・マネジメント研修
保育士がキャリアアップする際、リーダーとしての力を養うための分野です。
職場の人達のメンタルヘルス対策、保育業務に関係する法令・制度、保育指針等などについて理解を深めたり、マネジメント力を学びます。
・保護者支援・子育て支援
地域における子育て支援や、子どもへの虐待を防ぐための理解、保護者のサポート対応などについて学ぶ分野です。
・保育実践研修
若手の保育士や、保育業務の初心者を対象とした保育実践研修です。
保育士資格を所持しているけれど保育業務に慣れていない人や、潜在保育士などが安心して保育現場に復帰を後押しするための研修内容です。
保育士のキャリアアップ研修の役職など
保育士のキャリアアップ研修の役職について解説していきます。
副主任保育士
主任保育士の1つ下の役職とされているのが副主任保育士です。
勤め先の運営や、保育業務の質の向上を目指しリーダーとしての役割が求められる役職です。
キャリアアップ研修では、実務経験が7年以上、マネジメント研修の他に3つ以上の専門的な研修を受講する必要があります。
職務分野別リーダー
保育士としての実務経験が3年以上が条件で、職務分野別リーダーを目指せます。
マネジメント研修の他に、保育実践研修を除く6つの専門分野のどれかを修了していることが求められます。
1つの専門分野に複数の保育士を任命できますし、別々の専門分野に対しても就任が可能です。
専門リーダー
専門リーダーは、主任保育士の1つ下の役職で実務経験が7年以上、キャリアアップ研修の8つの分野のうち4つの専門分野を受講する必要があります。
副主任保育士は、勤め先の経営面まで担当する場合がありますが専門リーダーはその限りではなく、保育士としてプロ中のプロという役割です。
保育士キャリアアップ研修のまとめ
現職の保育士の育成や、潜在保育士が安心して保育現場に復帰できるようにキャリアアップ研修制度が設けられています。
保育士のキャリアアップ研修は、8つの専門分野に分かれていて役職に応じて、学ぶ分野が異なったり求められる実務経験に差があります。
キャリアアップ研修を受講すると、修了証が発行されて有効期限は今のところ定められていないので生涯有効となっており、転職や復職の際に効果的です。
この記事の監修は
保育のせかい 代表 森 大輔
2017年 保育のせかい 創業。保育士資格・訪問介護員資格を保有。2021年 幼保連携型認定こども園を開園するとともに、運営法人として、社会福祉法人の理事長に就任。
その他 学校法人の理事・株式会社の取締役を兼任中。
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