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2019.07.24

虐待かもと思ったら。保育士にできる対策と子ども・保護者への声かけ


近年、ニュースを見ていて児童虐待のニュースを目にする機会も多いと思いますが、悲しいニュースは決して「テレビのニュースで見る、現実とは無関係な問題」、「どこかで起きていること」ではありません。

本当は隣で起きているかもしれない重要な問題として、常に高い意識を持っているべきでしょう。
特に保育士は、他の人が見逃してしまう虐待にはじめに気づく立場にもなれるはずですので、これからご紹介するポイントを参考に対策してみましょう。

まずは子どもの様子に注目してみる

目立つ傷やアザをきっかけに、虐待に気づいたという事例は少なくありません。
子どもはもともと大人以上にケガをしやすいためちょっとした傷跡に敏感になる必要はありませんが、「転んだ」というような傷ではなく重症である場合や、あまりにケガの頻度が高い場合には、少し気にかけた方がいいでしょう。

その他にも子どもの対応をしていて「あれ?」、「おかしいな」と思ったポイントが、虐待に気づくきっかけになります。
実際に傷を目にしなくても、服を脱ぐことを過剰に嫌がるような仕草をしたときや、ちょっとした動作で「いてっ」と漏らす様子から虐待を推測できることもあります。

また、虐待の中には「叩く、傷つける」といった行為だけでなく、子どもの生活に必要な手助けをしない「ネグレクト」も含まれます。
同じ月齢の子に比べて極端に細いもしくは小柄な子は、もしかしたら十分な食事を与えられていないかもしれません。
ケガをしていなくても、違和感を覚えた場合にはネグレクトも含めてさまざまな可能性を考慮しましょう。

目につきにくい精神的な虐待にも気を配る

虐待は肉体に表れるものだけではありません。
精神的な虐待を受けている子の場合は、目立つケガや傷がなくとも、日常の中のちょっとしたシーンで違和感を覚えるはずです。
例えば「だめだよ」というちょっとした注意に過剰に恐れる、ヒステリックに泣き出すというような傾向がある子はいませんか?

大人に対して過剰な恐怖心を抱いている子は、なにか苦しい・悲しい経験をしているかもしれません。
いつも元気がない、朝からげっそりと疲れている様子が目立つ子は、特に注意深く観察しましょう。

また、日中はとても楽しそうに過ごしているのに、お迎えが来ると硬直する、家に帰りたがらない場合も注意すべきです。
もちろん「園での遊びが楽しいから帰りたくない」という場合もありますので、早合点せずにそれとなく家庭での過ごし方や家族の話を聞いてみましょう。

家庭・家族に関して口を閉ざしたり、厳しく抵抗感を表したりするのであれば、家庭環境が理想的なものでないと考えられます。

保護者の対応にも注目

虐待を見抜くためには、子どもの様子だけでなく保護者の対応にも注目してください。
送り迎えの時間を使い、保護者がどのように子どもに対応しているか数日に渡って観察してみましょう。

上記のような違和感を覚えた上で、保護者が常に異常なほど威圧的である、手やかばんを強く引っ張る様子がある、他の子どもや保育士に対する対応と、自分の子どもへの対応が明らかに違うときには、虐待の可能性を視野に入れてもいいかもしれません。

また、ネグレクトの可能性も考慮し、子どもに対して無関心である場合にも注意をすべきでしょう。
その際には、施設での子どもの様子を伝えたときの反応などを参考にしてください。

虐待は、保護者の一時的な感情によって起こることも多いものです。
「最近、妙に感情的だ」、「仕事が忙しいのか、疲れきった様子だ」と感じたときには、精神的に追いつめられた状態にいるのかもしれません。

虐待かもしれないと思ったときには

虐待が疑われるときには、児童相談所への相談など具体的な行動に移る必要があります。
そのためにはまず、周りの大人が冷静に対応することが欠かせません。
児童相談所へ通告した人の個人情報は保護されるため、本人から「あなたが通告したんですか?」と言われるようなことは基本的にありません。

しかし、ちょっとしたきっかけから早合点し、勘違いで児童相談所へ通行することによって、保護者が強い不信感を抱きさらに追いつめられてしまう可能性もあります。
子どもの明らかなケガなどが目立つときには、まず本人に「痛そうだね、どうしたの?」と聞くところからはじめてみましょう。

そこで「なんでケガしたの?」「どうして?」「誰に?」と問いつめると、子どもが本当のことを言いづらくなってしまいます。
他の子どもの目が届かない場所で、さりげなく聞いてあげましょう。

また、同様に保護者への声かけも行いましょう。
「子育ての悩みを誰にも相談できない、頼れない」という思いが、突発的な行動につながってしまうことはめずらしくありません。
エスカレートする前に、保護者にとって頼れる存在になれるよう、保育士がこまめに声をかけをすることも大切です。

まとめ

心苦しい虐待のニュースを防ぐためには、周りの人が高い意識を持って接することが欠かせません。
エスカレートする前に児童相談所へ相談することも大事ですので、周囲と相談しながら最適な対応を目指してください。


この記事の監修は

保育のせかい キャリアコンサルタント

大畑 はるか

現役の保育士としても活躍中。

自身の経験を活かして、求職者に寄り添った手厚いサポートに定評がある。

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