一般的には、保育士よりも幼稚園教諭のほうがお給料が高いと考えている方が多いようです。しかし、それは本当なのでしょうか?
本記事では、厚生労働省が公表したデータを元に、保育士と幼稚園教諭のお給料の違いを調査しました。果たして、幼稚園教諭のほうが高いお給料をもらっているのか? 答えが知りたい方は、ぜひこのまま読み進めてください。
保育士と幼稚園教諭のお給料の違い
厚生労働省が「賃金構造基本統計調査(平成29年度)」を行ったところ、保育士と幼稚園教諭、および全職種の給与額(月額)は以下の結果になりました。
【現金給与額(月額)】
保育士:229.9千円
(うち女性:228.2千円)
幼稚園教諭:231.6千円
(うち女性:228.9千円)
全職種:333.8千円
(うち女性:263.6千円)
参考:平成29年度保育士及び幼稚園教諭の平均賃金等の実態について
保育士の月額給与は約22万円、幼稚園教諭は約23万円です。このデータから、幼稚園教諭のほうが、少しお給料が高いことがわかります。
ただし、女性に限定すると幼稚園教諭と保育士のお給料に差はないようです。
では、続いて年間賞与・特別給与額(年額)のデータを見てみましょう。
【年間賞与・特別給与額(年額)】
保育士:666.5千円
(うち女性:658.3千円)
幼稚園教諭:637.7千円
(うち女性:630.4千円)
全職種:905.9千円
(うち女性:615.0千円)
特別給与、つまりボーナスですね。保育士は年額で約66万円、幼稚園教諭は約63万円となっています。月額給与は幼稚園教諭のほうが高いですが、特別給与は保育士のほうが高いようです。
また、全職種の特別給与(女性)と比べると、保育士も幼稚園教諭が上回っているという調査結果になりました。これも興味深いデータです。
月額給与と特別給与を合わせると、以下の額になります。
【年間給与額】
保育士:3,421千円
(うち女性:3,397千円)
幼稚園教諭:3,417千円
(うち女性:3,377千円)
全職種:4,912千円
(うち女性:3,778千円)
平成29年度の調査では、保育士と幼稚園教諭の年間給与額に大きな差はありませんでした。
ただし、月額給与と特別給与にそれぞれ差がある点に注意してください。また、データにはありませんでしたが、公立と私立では給与に差があるため、これらはあくまでも公私立合わせた平均額です。
保育士と幼稚園教諭のどちらの資格を取るべきか?
ご覧いただいたように、年額給与では保育士も幼稚園教諭もほとんど差はありません。給与だけでどちらを選ぶかを判断するのは難しいです。
公立と私立では、一般的には公立のほうが給与は高いとされています。公立の保育園や幼稚園の求人は人気があるため、倍率は高いです。
しかし、私立の保育園や幼稚園の給与が必ずしも低いというわけではありません。私立の中には公立と同じくらい、またはそれ以上の給与で求人募集していることがあります。
給与が安定しているという面で考えると、公立のほうがメリットはあるといえるでしょう。公立は勤続年数によって昇給していくので、長く勤めれば給与は上がっていきます。
もちろん私立にも昇給はありますが、園によって基準が異なるため、同じ勤続年数でも公立に勤めている人と差が出ることがあります。ただし、公立は求人倍率が高いので、就職のしやすさも考慮して選ぶ必要があるでしょう。
保育士の資格と幼稚園教諭の免許を両方取る
就職や転職の選択肢を広げるために、保育士の資格と幼稚園教諭の免許を両方とも取るという考え方もできます。幼保連携型認定こども園では、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持った「保育教諭」が必要とされるため、2つ保有しておくと就職・転職活動で有利になるでしょう。
その背景には、少子化や待機児童問題に伴い、幼保一元化の考えが進んでいるという事情があります。子供が平等な教育を受けられるようにする、というのも理由のひとつです。
こうした世情も考えると、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っておいたほうがいいと言えます。
おわりに
保育士と幼稚園教諭では給与に差がないため、どちらを取得するか迷いますよね。これからの需要に備えるのであれば、「保育教諭」になるために保育士資格と幼稚園教諭教諭の両方を取得するという選択肢も考えたほうがいいかもしれません。
現時点では保育士と幼稚園教諭のお給料に差はないですが、これからいずれかが上がっていく可能性もあります。どちらが上がっても対応できるように、両方の資格とっておくと安心です。
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