保育士不足から忙しさに追われ、有給休暇を長らくとっていないという保育士さんは多いのではないでしょうか? 職場によっては有給休暇が取りづらかったり、体調不良などの理由がないと取れなかったりと、暗黙のルールに悩んでいる方のいらっしゃるかと思います。
「保育士は有休が取りづらいって本当なの?」と気になっている方も多いと思うので、本記事では保育士の有給休暇についてまとめました。有給休暇を取得するポイントも解説しているので、有休を取ってリフレッシュした方はぜひ参考にしてください。
日本の有給休暇の取得率は低い?
厚生労働省が「平成30年就労条件総合調査」によると、平成29年度の年次有給休暇の取得率は51.1%とのことです。前年度より1.7%上昇しているものの、約半数しか年次有給休暇が取得されていません。
本調査は従業員が30人以上の約6,400社を対象にしたもので、職種によっても有休取得率は上下しますが、51.1%は決して多い数値とは言えないでしょう。
ホテル・旅行の予約サイト「エクスペディア」が行った「有給休暇国際比較調査2018」では、世界19ヶ国中、日本の有給休暇取得率は3年連続で最下位でした。
ブラジル、フランス、スペインの3ヶ国の有給休暇取得率は100%であったのに対し、日本はその半分の50%。これは厚生労働省が行った調査とほぼ同じ結果です。
日本に次いで有給休暇取得率が低いオーストラリアでも70%でした。この結果から、日本は世界各国に比べて有給休暇取得率が非常に低いことがわかります。
参考:有給休暇取得率3年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2018
保育士の有給休暇の平均取得日数
「全国保育協議会会員の実態調査 報告書2016」によると、正規職員の年次有給休暇の平均取得日数は以下のようになっています。
【全体 / 公設公営 / 公設民営 / 民営民設】
2日以内:2.9% / 3.2% / 3.1% / 2.6%
3〜6日:31.3% / 40.7% / 30.8% / 23.9%
7〜9日:28.8% / 31.5% / 22.5% / 27.2%
10~15日 :25.3% / 17.9% / 31.3% / 30.7%
16~20日 :6.8% / 3.1% / 7.5% / 9.6%
21日以上 :1.4% / 0.7% / 1.8% / 1.9%
全体だと最も多いのが3〜6日で、次いで7〜9日、10〜15日の順です。公設公営の保育園に限ると、3〜6日が40.7%と全体の3分の1以上を占めています。
全体を比較してみると、私立の保育園は10〜15日が最も多く、有給休暇の平均取得日数が多いことがわかります。
保育士の有給休暇取得率は低い?
上記の調査結果からわかるように、保育士の有給休暇日数は決して少ないというわけではありません。しかし、一般的に保育士は有給休暇を取りづらいというイメージが強く、実際に働いている保育士もそう感じている方が多いようです。
日本の有給休暇取得率が世界各国と比べて低いため、特別に保育士の有休取得率が低いというわけではないですが、有給休暇の取りづらいと感じる原因のひとつは、保育士不足にあります。
多くの保育園では慢性的な人手不足に悩んでいるため、有給が付与されていても代わりに出勤できる職員がおらず、実際には有給を消化しづらいのが現状です。人手不足で有休が取りづらいのは、どの業種にも共通する悩みでしょう。
体調不良などのやむを得ない事情がある場合は有給を取れますが、休暇目的で休むのは難しく、リフレッシュができないと悩んでいる保育士は多いとのこと。
保育士の人数を増やしたり、系列園同士で人員を補い合ったりと、有給休暇を取得しやすくする取り組みを行っている保育園も増えていますが、まだまだ改善の余地があります。
保育士が有給休暇を取得するには?
有給休暇の待遇は個人で改善できるものではないですし、いくら有給が労働者の権利であるとはいえ、完全に自分の希望通りに有休を取るのは難しいでしょう。保育士の有給休暇は、取得するタイミングが重要になります。
園児が入園・卒園する年度初めや年度末は有休を取るのは避けた方が無難です。年度初めと年度末は保育園の繁忙期にあたるので、仕事の多いこの時期は極力避けるようにしましょう。
有休を取りやすいのは、ゴールデンウィークやお盆休みなどの長期休暇の前後です。保護者が休みの時期は預かる子供の人数が少ないため、有休の申請が通りやすいでしょう。
海外旅行に行くのであれば、長期休暇の前後に有休を取って長い休みを取ってみてもいいかもしれませんね。
これから転職を考えている方は、有休取得率の高い保育園を探してみてください。「児童福祉施設最低基準」では保育士一人あたりで園児をみる人数の上限が定められているため、保育士の配置人数が多い園であれば比較的に有休を取りやすくなるでしょう。
有休が取りづらいのは人手不足が大きな原因ですので、保育士の配置人数をひとつの基準に園ごとの有給取得率を比較してみてください。
おわりに
保育士不足が解消され、有休取得率が100%になるのが理想ですが、現状ではまだ実現は難しいでしょう。園によって有休取得日数や取得率が変わるので、転職する際はその点も注意して求人募集をご覧になってみてください。
有休を取ることは仕事の質にも関わるので、気持ちよく働くために有休のこともしっかり考えておきましょう。
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