保育士は売り手市場ですが、慎重に転職先を選ばないと待遇や労働環境が希望にそぐわず後悔するかもしれません。「なんとなく良さそう」で選ぶのではなく、求人票も内容をしっかり吟味した上で転職先を選びましょう。
本記事では、保育園選びで後悔しないために知ってもらいたい、保育士の求人票でチェックすべき6つのポイントを解説します。
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保育士の求人票でチェックすべき6つのポイント
給与の記載が「額面」か「手取り」か
まず求人票で気になるのは「給与」だと思います。給与で注意したいのは、「額面」であるか「手取り」であるか。
「額面」は、基本給に交通費・残業代・各種手当などを合計した金額のことです。
「手取り」は、「額面」から保険料(健康保険・雇用保険)や税金などを差し引いた金額を指します。
求人票に「額面」か「手取り」かが記載されていない場合、多くが「額面」での記載となります。「額面」の約20%が保険料や税金から差し引かれるので、「手取り」は「額面」の約80%と考えておくとよいでしょう。
「手取り」だと思っていたのに、実際は「額面」であった場合、予定よりも入ってくる給与が少なくなります。20%の差はかなり大きいため、勘違いしないように注意しましょう。
「基本給」と「月給」の違い
「基本給」は、交通費・残業代・各種手当などを除いた金額です。「基本給」をベースに、各種手当がプラスされます。
「月給」は、「基本給」に交通費・残業代・各種手当などをプラスした金額です。「月給」=「基本給」の場合もありますが、一般的には月に支払われる給与の総額を指します。
額面と手取りの違いのように、「基本給」と「月給」では実際に手元に入ってくる給与が大きく変わります。
「固定残業(みなし残業)」に注意
記載されている給与が多い場合、「固定残業代」や「みなし残業代」を含めた金額かもしれません。
「固定残業」は、毎月の残業時間を想定し、月給にあらかじめ含めておく制度で、「みなし残業」も同義です。規定の残業時間を越えた場合は、超過した分が支払われます。
「固定残業代(みなし残業代)」が給与に加算されていると、一見すると待遇が良いように見えますが、実際は残業が多く、基本給が安いかもしれません。別途残業代が発生する条件の方が全体の給与が多くなる場合もあります。
「固定残業」は規定の残業時間より少なくてもその分の残業代はもらえるというメリットがある反面、基本給が安くて残業が多いと実際の残業代が少なくなってしまいます。額面の給与の高さだけで判断せず、残業制度をふまえて高いか安いかを判断しましょう。
社会保険を完備しているか
求人票に「社会保険完備」と記載されていれば、雇用保険・健康保険・厚生年金・労災保険に加入しているので安心です。
しかし、社会保険を完備していない場合もあります。社会保険に加入していない場合、自分で国民健康保険や国民年金に加入せねばならず、健康保険や厚生年金を会社が半分負担してくれるという社会保険の恩恵を受けられません。
法人の場合は社員が1名以上で社会保険に加入する義務がありますが、個人事業主の場合は社員5名以上が加入の条件となります。
正社員募集なのに社会保険を完備してない求人はブラックである可能性があるので、注意してください。
どの勤務形態を採用しているか
保育園の勤務形態は、以下の3つのいずれかを採用している場合が多いです。
【固定時間制】
勤務時間が固定されている勤務形態
【シフト制】
働く時間や曜日を固定せず、一定期間ごとに変動する勤務形態
【変形労働時間制】
法定労働時間の範囲内で労働時間を設定する勤務形態
変形労働時間制は、労働基準法で定められている週40時間を上限として、労働時間内の範囲内であれば柔軟に調整することができる制度です。
たとえば、週に4日間10時間働いて3日休みをとったり、繁忙期で1日の労働時間が多くなった時は翌日以降の労働時間を減らしたりなど、変則的な出勤をすることがあります。
保育園は年度初めや年度末、行事前後などの繁忙期は残業が多くなることもあるので、それを見越して変形労働時間制を採用している保育園も多いです。
変形労働時間制で休日が午前半休と午後半休を組み合わせて一日とする場合もあるので、休日がしっかり取れるか確認しておきましょう。
「完全週休2日」と「週休2日」は異なる
「完全週休2日」は、毎週2日必ず休みがあります。1ヶ月に8日以上の休みが取れる計算です。
「週休2日」は、1カ月のうちに1回以上、1週間に2日休みがあるという意味です。「完全週休2日」と異なり、毎週2日の休みが保証されているわけではありません。
「週休2日」は1ヶ月に5日休みが平均なので、「完全週休2日」よりも休みが少ない場合が多いです。
「完全週休2日」と「週休2日」は似て非なるものですが、言葉がよく似ているので注意してくださいね。
求人票の条件を比較して希望にマッチした職場を探そう
求人票だけではすべてを判断できませんが、求人票の段階である程度は希望にマッチした職場を絞り込んでいきましょう。あとは面接で詳しく話を聞き、どの職場が自分の希望に沿っているかを判断していくのが保育士の転職活動のおおまかな流れです。
額面や月給の高い安いだけで判断すると、入社してから後悔するかもしれません。給与だけでなく、残業代や勤務形態などをしっかり確認しておくことが大事です。
「完全週休2日」と「週休2日」では月の休みの日数が異なるので、その点も注意して求人票をご覧になってくださいね。
おわりに
求人票は表面通りに解釈するのではなく、なぜ固定残業代を採用しているのか? なぜ変形労働時間制であるのか? といったことを考えてみてください。求人票だけで完全に読み解くのは難しいので、わからないことは直接確認し、転職後に条件面でトラブルにならないようにしましょう。
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