モンスターペアレントの理不尽な要求に悩まされた経験を持つ保育士や教員は多いのではないでしょうか? 今やモンスターペアレントは教育者にとっての大きな悩みの種となっていて、中には驚くような要求をしてくる保護者もいます。
モンスターペアレントに対処するためには、特徴を理解し、適切に対応できるように準備しておくことが大事です。モンスターペアレントの7つ特徴と5つの対応方法を解説しますので、理不尽な要求に悩まされている方は参考にしてください。
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モンスターペアレントの定義
モンスターペアレントは、学校に対して理不尽な要求を突きつけてくる保護者を指す言葉です。企業にとってのクレーマーとは少し異なりますが、驚くような要求や苦情を投げかけてくるモンスターペアレントもいます。
モンスターペアレントという言葉が生まれたのは2007年のことです。TOSS(教育技術法則化運)の代表である向山洋一氏が教育雑誌「教室ツーウェイ」の中で、理不尽な要求をする保護者のことを指す言葉として使ったのが始まりとされています。
モンスターペアレントと判断する基準
モンスターペアレントの定義は、正当な要求を超えているかどうかにあります。学校や教員に落ち度があれば指摘や抗議をするのは保護者として当然ですし、子どものために学校環境や指導環境の改善を求めることも正当な要求です。
何が正当な要求であるかは個々の基準があるので線引きが難しいところですが、「学校の教員が担える範疇であること」「自分の子どものためだけではい」という点が重要になってきます。学校や教員にも教育方針があるので意見が対立することもありますが、お互いに子どものためを思ってのことであれば、話し合いで歩み寄ることができるでしょう。
しかし、モンスターペアレントの要求は自己中心的で、自分の子どものことしか考えていなかったり、子どものしつけを全て学校のせいにしたりするなど、正当な要求を超えていることが共通点として挙げられます。
モンスターペアレント自身は正当な要求と思っているのでしょうけれど、クレームの内容は世間一般の常識から外れた要求であることが大半です。学校は集団行動を学ぶ場所でもあるので、自分の子どもだけ優遇させるような要求は正当であるとは言えません。
モンスターペアレントの中には、「担任が気に入らないから変えろ」「担任の話し方が気に食わない」など、もはや子どものためでもなく、自分の身勝手な要求を突きつけてくる人もいます。そうした自己中心的なモンスターペアレントへの対処は非常に厄介です。
モンスターペアレントの特徴
モンスターペアレントになる保護者には、いくつか特徴がみられます。
・過保護、過干渉である
・ネグレクト(育児放棄)の傾向がある
・一般的なモラルが低い
・過度に権利を主張する
・感情的である
・責任転嫁をする
・強弁を振るう
過保護とネグレクト傾向は対照的ですが、責任を学校に押し付けたり、過度に権利を主張したりする保護者は、モンスターペアレントになりやすいです。強い言葉で自分の言いたいことを言って、学校や教員の意見には耳を傾けないのも特徴で、とにかく自己勝手な主張をしてきます。
モンスターペアレントが増えた原因
モンスターペアレントという言葉が誕生する前にも、学校に対して自己中心的な苦情を言う保護者はいましたが、ここ近年で増加し、社会問題のひとつとなっています。モンスターペアレントが増えた原因は、以下の6つが考えられます。
・少子化による過保護化
・核家族化による孤立
・子どもの生態を理解していない
・学校の威厳が低下している
・学校への不信感が高まっている
・学校をサービス業と勘違いしている(お客様感覚)
核家族化で子どもの教育を相談する相手やおらず、近所付き合いも希薄になって孤立しているのがモンスターペアレントが増えているひとつの原因です。昔はご近所みんなで子どもを育てる環境がありましたが、今は各家庭でしか教育をしないので、子どものために叱ってくれる人も少なくなりました。
その上、いじめ問題や教員の不祥事で学校への不信感が募っていることもあり、学校の立場が弱くなっていることもモンスターペアレントが増加している一因と考えられます。学校をサービス業と勘違いしていて、お客様感覚で苦情を言うモンスターペアレントもいるのでしょう。
モンスターペアレントの対処方法
モンスターペアレントに理不尽な要求や苦情を言われたら、以下の5つで対処しましょう。
複数人で対応する
モンスターペアレントには、1対1で対応してはいけません。相手が1人だと強気に出る人もいますし、1人で対応するのは不安に感じることでしょう。
複数人であれば精神的な安心感がありますし、教員の誰かが感情的になってもたしなめたり止めたりできます。中には気の弱そうな教員を選んで1対1で苦情を言おうとするモンスターペアレントもいますが、そうした要求に応じてはいけません。
相手の話を全部聞く(途中で反論しない)
モンスターペアレントは、周囲に子育ての悩みを相談できる相手がいなくて不安に感じていることが多いので、まずは相手の話を全部聞くようにしましょう。話の途中で反論したり口を挟んだりすると逆上してしまい、余計に話がこじれてしまいかねません。
感情的になっていても、言いたいことを全部吐き出した後であれば多少は冷静さを取り戻しているでしょうから、こちらの意見を述べるのはそれからです。理不尽なことを言われたらその場で反論したくなる気持ちもわかりますが、感情的になっている時に何を言っても聞き入れてくれないでしょう。
相手の話を聞き終わった上で要点を整理し、こちらが論理的かつ冷静に話をすれば、モンスターペアレントも反論しにくくなります。
理不尽な要求はきっぱりと断る
モンスターペアレントの要求を一度受け入れてしまうと、また別の要求をされる可能性が高くなります。もちろん正当な要求であれば受け入れる必要がありますが、理不尽な要求はきっぱりと断るようにしましょう。
教員に威厳がないとモンスターペアレントに隙きをつかれてしまうので、弱気な態度も厳禁です。学校の教育方針に従い、自己の教育理念を持って子どもたちに接しているのであれば、自信を持って対応しましょう。
モンスターペアレントの要求に負けて特定の子を優遇するような要求を飲んだりすると、今後は他の子どもの親からも苦情を言われてしまいます。そうなると収集がつかなくなるので、要求に正当性がないと判断したら、きっぱりと断ってください。
会話の内容を記録する
モンスターペアレントに何を言われたのか、何を要求されたのか、会話の内容を記録しておきましょう。次回は別の教員が対応することになるかもしれないので、情報を共有するためにも記録は必要です。
基本的には紙やパソコンなどで記録しておき、何度もクレームを言われるようであればICレコーダーなどで記録しておいたほうが良いでしょう。相手の要求に違法性があれば隠し撮りも認められますが、一言添えて録音するようにしてください。
拒否される可能性は高いですが、「私どもが発言に責任を持つため〜」と相手にとっても録音するメリットがあることを提示すれば、相手も拒否しにくいでしょう。
おわりに
モンスターペアレントに遭遇したら、一人で話し合いに応じず複数人で対応するようにしましょう。こちらが弱気な態度だと要求がエスカレートするので、教育者として自信を持ち、凛とした態度で対応するようにしてくださいね。
正当な要求や苦情は素直に認め、それ以外の理不尽な要求には断固としてノーと言う姿勢を持つことが大事です。
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