大阪市は2018年度、本庁舎と16区役所の計17か所に保育所(約270人分)を新設する。4月に本庁舎を含む15か所で運営を始め、9月には2か所が加わる予定。待機児童ゼロを目指す「旗振り役」でもある市が市有財産を積極活用することで、民間の保育所整備も促したい考えだ。
大阪市内の待機児童は、昨年4月時点で325人。希望した認可保育所に入れずに利用を諦めたケースなど、厚生労働省の定義外も含めると2989人に上る。このため市は17年度、前年度比2・7倍となる約116億円の予算を確保し、入所枠の拡大に取り組んできた。
その目玉施策の一つが、本庁舎や区役所での保育所開設だ。市内全24区役所のうち、適合する空き室がないなどの理由から此花、港など6区役所は設置を見送ったが、本庁舎と18区役所の計19か所で開設することを決定。本庁舎と16区役所の計17か所については運営を委託する民間事業者も決まり、4月に15か所、9月には都島、城東区役所の2か所で運営を開始する。
本庁舎では、1階正面玄関近くにあった授乳スペースなどを別の場所に移し、定員15人(0~2歳)の小規模保育施設を整備した。区役所は、中心部に近い北、中央、西、阿倍野区や、住宅地が広がる福島、東成区などに設ける。動線を確保しやすい1階の空き室を利用するケースがほとんどで、定員は9~19人。
事業者が未定の2か所では、天王寺区役所が近隣の市有施設に整備する方向で検討を進めている。生野区役所は来春の開設を目指して事業者を公募中だ。
同様の取り組みは、東京都が16年10月、本庁舎に隣接する都議会議事堂に保育所(定員48人)を開設した事例があるが、全庁的な開設は珍しいという。
大阪市中心部は、タワーマンションの建設ラッシュで子育て世帯が急増しているが、賃借料が高いため、保育所の整備が遅れている。市は17年度に6053人分の入所枠を確保する予定だったが、実際には4745人分にとどまる見通し。このため、18年度は新たに4054人分の入所枠を整備する計画だ。
市は「本庁舎や区役所での保育所整備は象徴的な取り組みとして進めていく。待機児童解消に向けて率先する姿勢を見せ、民間事業者の動きを後押ししたい」としている。
記事引用元https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180312-OYTET50092/
保育のせかい 編集部
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