保育の魅力、伝えたい 非正規の処遇改善にも奔走 浦浩三さん(58)
穏やかな日差しが降り注ぐ園庭で竹馬に挑戦する園児に「かかとを上げて乗ってごらん」と優しく声をかける。久留米市に男性保育士第1号で採用された職歴30年以上のベテラン保育士。自治労久留米市労連の執行委員長としても、非正規職員の処遇改善などに奔走している。
筑後市生まれ。中学2年生の時、父親を病気で亡くし、中学卒業後は働くつもりだった。しかし、5歳上の兄に勧められ高校に進学。その兄が幼児向けの体操指導を始めた影響で、同市の九州大谷短大幼児教育学科に進んだ。1981年、久留米市に採用された。現在83人いる市の正規保育士のうち男性は4人だけ。男性ということは特に意識しなかったが、子どもたちと田んぼの中を駆け巡ったり、水たまりに一緒に飛び込んだり、水道修理を頼まれたり……。頼りにされる場面は少なくなく、特にわんぱくな子どもたちは一緒に遊ぶと喜んだ。
子どもの発達についてより深く理解したいと、県内の特別支援学校の教諭や心理学の研究者らと勉強会を重ね、福岡大大学院で教育学の修士号も取得。希望して市の幼児教育研究所で2010年から7年間、発達に支援が必要な子どもたちの療育に関わり、園から支援が必要な子どもへの関わり方の相談を多く受けた。「それぞれの子どもの特性がわかれば関わり方のヒントになるはず」。園へ出向いて現場で保育の仕方を共に考えた。
現在は市立大城保育所で1歳児クラスを受け持ち「じいちゃん」と慕われる。心掛けるのは、子どもに目線を合わせ楽しさを共感すること。今まで言葉にできなかったことを話してくれるようになるなど「子どもの笑顔や日々の成長を見られることがやりがいです」。保護者の支援も仕事。子どものありのままを受け止め、頑張り過ぎないよう「良(い)い加減」をアドバイスする。受け持っていた子どもが大人になり保育士になってくれると、喜びもひとしおだ。
14年には自治労の執行委員長に就任した。市立保育所では、正規職員の3倍以上の非正規職員が働いている。組合として非正規職員の給与向上や休暇制度の充実などの待遇改善、正規職員の採用を求める活動にも取り組んできた。
定年まであと2年。「保育士は大変なイメージが先行しているが、楽しく仕事をしている人もたくさんいる。男性にとっても魅力ある職場であることを伝え、保育士を目指す人が増えてもらえればうれしい」
記事引用元 mainichi.jp/articles/20180226/ddl/k40/040/195000c
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