放課後に小学生を預かる学童保育への民間参入が北陸で広がってきた。体操や英語学習をプログラムに取り入れるなど、公設の学童保育にない特徴を打ち出す。遅い時間の保育や学校までのお迎えといったきめ細かいサービスも目立つ。人手不足が深刻化し、共働き世帯の増加が続く北陸。多様な保育ニーズに応える体制の整備が急がれる。
学童向けの体操教室を開く「ハレア」(富山市)
石黒学舎の施設では児童が英語の耳を鍛えられる(金沢市)
午後4時前、富山市内の住宅街にある民家風の保育施設に低学年の児童が集まってきた。向かった先は1階の体操部屋。準備運動した後、指導員の掛け声に合わせ、トランポリンや小型の鉄棒で元気良く体を動かす。
体操歴15年以上の福原渉太さんが理事長を務めるNPO法人のハレアが2017年11月に開業した。「昨年まで勤務していた学童施設が30人以上の待機児童を抱え、自分で受け皿を作ろうと決めた」と福原さん。金融機関からの借り入れを元手に新築し、自ら体操の指導員を務めている。
平日は最長で午後9時まで預かる。「放課後を有意義に過ごさせたいと考える保護者が増えている」(福原さん)。料金は1時間の体操レッスンを週3回利用する場合で月額5千円。70人の定員は埋まり、4~5人が空きを待っているという。
日曜などには空いた施設を大人1人500円で一般開放する。保護者らを対象とした有料のヨガ教室も開いている。4人いるスタッフを今春以降、6人に増やす予定だ。
北陸では子供、親、祖父母の3世代同居が多く、家庭での育児環境に恵まれ、待機児童問題は発生しづらいとされてきた。だが保育問題に詳しい金沢星稜大学の北川節子特任教授は「金沢市などでは核家族化が大都市圏並みに進んでいる」と指摘。共働き世帯も増え、保育の受け皿整備が重要な課題になっている。
日本政策投資銀行北陸支店が3県の7~12歳の子供のうち学童保育の利用対象者(核家族で共働き、ひとり親世帯に該当)を推計したところ、2020年に9万人を超え、20年間で4割増える計算となった。公設を中心とする学童保育施設は17年時点で829拠点と4年前より約2割増えたが、需要を満たすには民間施設の整備が必要だ。
転勤する会社員が多いとされる金沢市の泉野かいわい。英語教室を手掛ける石黒学舎(金沢市)は英語力を養う保育施設「Beyond(ビヨンド)インターナショナル」を2年前に開いた。
通常の英語レッスンに加え、宿題やおやつの時間もスタッフが英語で接する。小学1年から6年までのカリキュラムを通し、英検準2級レベルのヒアリング能力育成を目指す。責任者の荒木理都子さんは「保護者の海外転勤がある家庭のニーズにも応えたい」と話す。
地域のタクシー会社と提携し、小学校に子供を迎えに行くサービスも提供する。月額料金は週3日利用する場合で3万6800円から。募集人数は毎年10人ほどで、今春入学分も定員を上回る応募があったという。外国人講師を増やし、レッスンも充実させる考えだ。
北陸では新幹線開業以降、飲食や販売などのサービス業に従事する女性や、転勤族の家庭が増えている。政投銀の宮原吏英子副調査役は「土日や夜間勤務、出張や転勤を伴う働き方が広がるなか、多様なニーズに合わせた学童保育の仕組み作りが課題」と指摘する。
記事引用元https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27104860Z10C18A2LB0000/
保育士 就職活動は保育のせかい
「役に立った!」と思ったらいいね!してね(^-^)