神戸市は2018年度、保育士確保に向け、市内の認可保育所と認定こども園で働く保育士の7年目までの一時金を大幅に増やす。保育定員を拡大し、子育て世代を呼び込みたい考えで、隣接する明石市への対抗心が透ける。新年度に保育枠2千人増を掲げる同市は、神戸市より子育て費用が抑えられるとPRしてきた“因縁”があり、近年は西、垂水区などからの人口流入も目立つ。「子育てのまち」を目指す両市の争いは激しさを増している。
神戸市は17年度までの5年間で保育定員を約6千人増やしてきたが、特定の施設を希望するなどで入所できないケースも含め、昨年4月時点の待機児童は952人となっている。
18年度は定員を約1600人増やす予定だが、担い手となる保育士の勤続年数は市内平均5・3年と早期離職が課題。人材確保のため前年比2倍以上の13億8千万円を投じる。17年度途中に始めた新卒2年で最大計40万円の一時金を継続し、さらに3~7年目にも対象を広げ、年最大20万円を支給する。
自治体独自の一時金は、明石市が16年度から県内で初めて実施し、2年間で計30万円を支給。神戸市も、支給額を増やした制度を追いかけるように設けた。保育士確保に向け、両市はしのぎを削っている。
子育て支援策の充実も競い合う。明石市は第2子以降の保育料や中学生までの医療費を無料にし、ホームページで神戸市などと費用を比べ「子育てするなら明石」とPR。神戸市は西、垂水区を中心に、明石市への転出超過が15年233人、16年385人と年々増加する中、不妊治療や妊婦健診助成を増額し「切れ目のない支援」で対抗する。
久元喜造・神戸市長は「自治体同士で人口を取り合うのは好ましくない。圏域一体となって発展する視点が必要」と強調するが、市幹部は「保育士の待遇は近隣地域より良い。ぜひ神戸を選んでほしい」と願う。
一方の明石市も、17年4月時点の待機児童が694人と対策は待ったなし。保育士の処遇改善に加え、18年度は求職中の保育士と保育所のマッチングなどを担う窓口を新設する。泉房穂市長は「ニーズに合わせてやるべきことは本気で取り組む。明石を上回る施策があるなら参考にしたい」と意気込む。
記事引用元https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201802/0010992708.shtml
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