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2018.03.13

安倍政権の「待機児童政策」は問題だらけだ

「安倍政権肝入りの待機児童政策は、いかにも目新しい装いを見せていますが、実は行きつ戻りつを繰り返しているだけ。

しかも、現在示されている政策にはあらが目立ちます」――。

こう指摘するのは、待機児童の解消を目指す「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」の天野妙代表だ。
安倍政権が進める待機児童政策の問題点とは何なのか。天野代表に解説してもらった。

安倍政権は2013年、「待機児童問題を2017年度末までに解消する」と宣言しました。その後、2016年2月には匿名ブログに端を発して「#保育園落ちた」がSNS上に多く拡散され、2017年2月にも「#保育園に入りたい」というワードが世間で話題となりました。
ところが、同年2月には「2022年度末までに32万人の受け皿を確保する」と先送りしました。

そして、先送りを表明してから8カ月後の2017年10月になって突如、2020年度末までの待機児童解消と、3~5歳の幼児教育・保育の無償化を目標に掲げました。これに対して、保活の当事者たちからは「本当に解消できるのか?」「財源が足りるのか?」といった声が多く上がっています。

誰が待機児童の称号をもらえるのか?

待機児童がいなくなり、3〜5歳の保育料が無料になる――。そんな夢のような話が2020年までに実現すればこの上ないことですが、そう簡単にいくのでしょうか。

政府は現在、2020年度末までに新たな整備が必要な保育の受け皿量を「32万人」と試算しています。
一方、民間シンクタンクの野村総研の試算では「88万6000人」とはじき出され、政府試算の数値に疑問が投げ掛けられています。

そもそも保育所は、認可保育所と認可外保育所(認証保育所、企業主導型保育所など)の2つに大別されます。
認可保育所に入りたい人は住まいのある自治体に申請書を提出します。

そして、認可保育所に入れるかどうかは、自治体ごとに決められた「利用調整指数」に左右されます
入れない人たちの多くは、65歳未満の両親と同居している、労働時間が短い、居住年数が短いなどの理由で減点された結果、下位に位置付けられ、認可保育所の選考から漏れるのです。

現時点では供給に対して需要が大きく上回っているため、待機児童が出ています。純粋に受け取れば、あふれた需要がそのまま「待機児童数」となるはずですが、実際は違います。

国や自治体では、あふれた需要の中から、認可外保育所の利用者や育児休業中の保護者のほか、求職活動を休止したり、育児休業を延長したりした保護者の子どもの人数を引き、「待機児童数」として発表しています。国や自治体は待機児童数を少なく見積もっているのが現状です。

横浜市の待機児童数を参考に考えてみます。同市では2017年4月時点で、6万5144人が認可保育所に申し込み、6万1885人が入園しました。待機児童数は差し引いた「3259人」になるかと思いきや、同市は待機児童数を「2人」と発表しました。この差分「3257人」は“隠れ待機児童”と呼ばれています。

このような状況が多くの自治体で起きています。要するに政府は、実態を正確に把握しないまま、政策を推し進めているのです。

予算の使われ方にも問題がある

現在の待機児童政策は、予算の使われ方にも注意を払わなければいけません。

政府は、待機児童32万人分の受け皿を確保するため、3000億円の予算を考えています。しかし、これには保育士の処遇改善がまったく含まれていません。保育士は大変な人材不足に陥っており、解決するためには処遇改善は不可欠です。

また、消費税増税分のうち8000億円を無償化に使うといいますが、この使途にも疑問が残ります。

前述したとおり、多くの人が認可を希望しながらも、消極的理由で認可外保育所を利用しています。そして、認可保育所の利用料は世帯年収に応じた応能負担ですが、認可外保育所は応能負担ではなく定額で、かつ高額です。

それにもかかわらず、政府は無償化の対象に認可外保育所を入れるか否か決めかねているのです。

 

迷走を続ける政府の待機児童政策。それを象徴するような会議が2018年1月に開かれました。無償化に向け、認可外保育所の対象範囲を検討する有識者会議に参加するメンバーの顔ぶれを見たとき、筆者は驚きました。

専門分野においては大変な権威の方々がそろったのですが、4人いるメンバーはなんと全員60代もしくは70代でした。
10年以内に保育所を利用した当事者はもとより、保育事業経験者もいません。保活の当事者も保育の事業者もいない中で、無償化の範囲が決められようとしています。

筆者もこの会議の初会合に意見聴取で呼ばれましたが、認可外利用者のヒアリングは都内在住者の計3名で、時間も1~2時間程度でした。政府は6月の骨太の方針までに無償化の範囲を決める予定ですが、会議は月1回しか開かれません。東京以外でも待機児童問題に関して意見を聴くなど、もっと丁寧に進めるべきではないでしょうか。

筆者は政府への働きかけだけでは物足りず、多くの国会議員と直接対話を重ねてきました。しかし、「僕の選挙区には待機児童はいないから」「東京だけの問題だよね」といった反応がほとんどでした。そこで、議員の選挙区にあたる地域の待機児童数を教え、保活の大変さを説明すると「それじゃ大変だ」という反応が返ってくるありさまです。

このように、待機児童問題が解決しない背景には、「当事者以外の無関心」も挙げられます。待機児童の問題が「母親のみ」に矮小化されてしまっているのが現状だと言わざるをえません。

待機児童問題は日本全体の問題だ

今後、労働力不足から専業主婦という概念は時代とともに消えていき、性別・年齢に関係なく誰もが働く社会になっていくとみられています。

そうした中で、保育所に子どもを預けられなければ、母親が働きに出られません。
父親側にとってもシングルインカムとなり、終身雇用が終焉を迎える日本においては、家計の経済的リスクが高まります。

また、女性が第1子出産時に退職することで失われる生涯年収は2億円ともいわれ、待機児童問題は女性だけではなく、父親である男性のライフプランにも大きくかかわってきます。

今から20年経てば、子どもたちは社会を担う存在になっていきます。
今、若くて子どもがいない人たちが40代を迎える頃、部下や同僚になるのが今の子どもたちです。

今40代以上の世代が将来受給する年金を稼ぎ出してくれるのも、これから生まれる子どもたちです。今こそ、待機児童の解消へ向け、社会全体で取り組むべきです。

今後の日本の経済社会を左右する待機児童問題。国を誤らないためにも、政府は、(1)待機児童数を再検証して目標値を改め、(2)無償化を延期して全入化に予算を投入したうえで、(3)当事者を議論の中に入れて「子育て政策」を見直すべきです。


記事引用元(東洋経済)
保育園 求人 は保育のせかい

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